能登半島地震被災地 「断水解消」 実態に合わず/宅地内水道管破損 国は把握せず 蛇口から水出るまで支援を

4月25日 災害特 能登半島地震による深刻な断水が続いています。国土交通省は石川県内の断水戸数について、4月23日現在で輪島市、珠洲市、能登町の計約4570戸で、その他の自治体では「解消」したとしています。しかし、これは家の外に敷設された水道管が通水しただけで、宅内の水道管が破損して水が出ない家屋は多く残されており、「解消」とはいえない状況です。
 
 日本共産党の田村貴昭議員は、25日の衆院災害対策特別委員会で、宅内の蛇口から水が出るまで国が責任をもって支援策を講じるよう強く求めました。(質問動画はコチラ)
 
 「能登半島地震による災害にかかる水道施設等の災害復旧費補助金交付要綱」は、公費補助の対象を配水管から分岐して自宅の敷地内の最初の止水栓までとして、ここまで工事が終われば「断水解消」としています。そこから先の宅地内の水道施設の修理は被災者の自己負担で、実際に家の蛇口から水が出るかどうかを国は把握していません(図)。
 
業者不足
 
スクリーンショット 2024-04-30 100602 田村氏は、石川県内で最大時11万2420戸が断水したと指摘し、「多くの宅地内の給水施設が破損していると考える方が自然だ」と強調。自治体と協力して実態把握するよう求めました。その上で“宅地内断水”で苦しむ被災者の苦難を一日も早く解決するため、二つの問題を解消するよう提起しました。
 
 一つは、工事業者不足です。田村氏は輪島市の女性の事例を紹介。女性は宅内の水道管修理を頼んでも100軒以上が順番待ちで2カ月かかると言われました。田村氏は「どこで水が漏れているか地中を掘り返して探す必要があり時間がかかり、自治体の指定工事店では足りない。市町や県を超えて、手当もつけて工事の担い手を確保する必要がある」と提起しました。
 
 国土交通省の松原誠上下水道審議官は「県外の工事業者をリストに追加することも含め宅内配管工事の加速に取り組む」と答弁。松村祥史防災担当相は「市町外の工事事業者を含め、対応可能な事業者を確認している」と答えました。
 
自己負担
 
 二つ目は修理費用です。地上の配管で数万円、地下は10万円以上かかる場合もあり自己負担です。災害救助法の応急修理補助は、対象が「準半壊」以上。「一部破損」世帯は石川県全体で5万3419棟(16日時点)あります。「半壊」以上でも補助は最大70万6000円、「準半壊」で最大34万3000円まで。他の修理に費用がかかれば水道施設まで回らず、水道を優先的に修理すればその他の修理に補助が使えないこともあります。
 
 田村氏はこうした問題を指摘し、水道復旧工事の対象を宅内の蛇口までとするよう強く要望。そのためにも▽被災者生活再建支援制度の拡充▽応急修理補助の対象と額の拡充▽工事費用に対する新たな支援金創設―を求めました。
 
 松村防災担当相は「何ができるのか検討したい」と答弁。田村氏は「被災地では気温が上がり洗濯の頻度も増え、風呂も自由に使いたい。蛇口から水が出る当たり前の生活を取り戻すことに政府が支援してこそ、まっとうな災害対策だ」と訴えました。(しんぶん赤旗 2024年4月30日)