不動産担保や経営者保証の代わりに、労働者を含む全財産を担保とする融資を受けやすくする事業性融資推進法案が5月10日の衆院財務金融委員会で審議入りしました。
本制度は、不動産など評価しやすい担保はとらず、事業の将来性を評価した融資が期待されます。そのため金融機関には「伴走支援」などの経営に深くかかわる対応が求められます。
日本共産党の田村貴昭議員は、20年前に金融庁が事業性評価を軸とするリレーションシップバンキングを推奨し、不動産担保や経営者保証に過度に依存しない事業性融資への転換を方針としたにもかかわらず、「なぜ広がらないのか」「反省点はどこか」と質問。金融庁の井藤英樹企画市場局長は、さまざまな理由があるとしつつ、事業性の評価や体制などには課題はあるが、「(金融機関に)重要性の理解度はかなり浸透している」と答弁。田村氏は「銀行の審査能力等の不足」「借り手企業の弱体化」などが改善しないと機能しないと指摘しました。(動画はコチラ)
また田村氏は、金融庁が当時、不良債権処理を強引に進め、多くの銀行が整理回収機構(RCC)や債権回収会社に中小企業向け債権を売り飛ばし破綻・倒産に追いやったと指摘。「本制度でも支援する能力のない貸金業者等に債権を売り飛ばすこともありうるのでは」とただしました。
井藤局長は、法律上、債権の譲渡は制限されていないとしたうえで、「金融機関が債務者の意思に反して債権の売買を促進する制度ではない」「導入後は実態把握をしていく」と述べました。(しんぶん赤旗)