輸入途絶など不測の事態に際し農業者に対する増産指示や罰則の規定を設ける食料供給困難事態対策法案が5月21日の衆院農林水産委員会で採決され、自民、公明、維新の賛成で可決しました。日本共産党、立民、国民などが反対しました。
法案は、政府が「食料供給困難事態」と判断すれば、農家に増産計画の届け出を指示するもの。拒否すれば罰金が科され、計画通りに生産しなかった場合、生産者名を公表します。立ち入り検査も実施でき、拒否すると過料が科されます。
日本共産党の田村貴昭議員が「正当な理由があれば公表されないというが、正当か否かを調べる時も立ち入り検査をするのか」と質問。農水省の杉中淳総括審議官は「計画に従わなかった事業者に立ち入り検査を実施することはありうる」と答弁しました。(質問動画はコチラ)
さらに、田村氏が「計画を出さなかった場合、警察の捜査対象となるのか」と質問したのに対し、杉中氏は「捜査機関が判断する」と答弁。犯罪捜査の対象となることを示しました。
田村氏は討論で、法案について「懲罰的圧力で事実上農家に増産や生産転換を強要するものだ」と批判。これまで政府が食料の輸入自由化を進める一方で、生産者に減反や生乳廃棄などを強い、経営悪化・離農を放置してきたと指摘。緊急時に増産を強制するのは「農家に犠牲と混乱を押しつけ、離農を加速させる」と強調しました。
また、侵略戦争中に国家総動員法に基づき農家に作付けなどを強制した歴史にふれ、「本法案も強制ではないと言いながら、社会的圧力や罰則で増産を迫る仕組みで認められない」と批判しました。(しんぶん赤旗 2024年5月22日)