○田村(貴)委員
NHKの籾井会長の発言について、まず最初に質問をします。
籾井会長の発言をめぐっては、昨年一月の会長就任以降今日に至るまで、多くの国民・視聴者から抗議や懸念の声が寄せられています。
そこで、NHKに伺います。
国民・視聴者からの籾井会長の発言に対する問い合わせ、意見は今日までどれだけ寄せられているのか、会長就任の昨年一月から直近の数字をここで明らかにしてください。
○吉国参考人
お尋ねの件ですけれども、去年の国会で六月十九日にお答えしているんですが、会長にかかわる視聴者の反響、就任記者会見のあった去年の一月二十五日から去年の六月十八日までのおよそ五カ月間でおよそ四万四千二百件です。
直近の件数としまして、先月二月一日から今月二十日までの間に寄せられた御意見などがおよそ八千百件となっております。
意見は多岐にわたっておりまして、一人の意見で肯定的なものと否定的なものがまじったりしておりますので、なかなか分類できないんですけれども、あえて分類すれば、七割程度が否定的な意見と見られます。
そういう形で、多岐にわたる意見なので、代表的な意見を紹介するということは難しいんですけれども、これで公平な放送ができるのか心配だといったものや、あるいは籾井会長にはNHKを改革してほしいといったものもあります。
以上です。
○田村(貴)委員
二月二十五日でのくくりでは、八五%が批判的な意見だった。今のお答えのくくりでも、七割が批判的な意見が占めていた。これは、会長、大変な視聴者の声だと思いますよ。
また、籾井会長の辞任や罷免を求める申し入れや要請数はどのぐらいになっていますか。
○吉国参考人
先ほども申し上げましたように、視聴者の意見、一人でいろいろなことをおっしゃっていますので、今お求めがありましたような形で、会長の罷免、辞任を求めるというようなくくりでは集計をしておりません。
○田村(貴)委員
籾井会長は、昨年一月の会長就任会見で、国際放送では日本の立場を政府見解そのままに伝えるかとの問いに対し、政府が右と言うことを左と言うわけにいかない、従軍慰安婦については、戦争しているどこの国にもあった、日韓条約で全て解決していることをなぜ蒸し返すのか、おかしいなどと述べ、そして、ことし二月五日の定例記者会見で、慰安婦問題の番組制作について、正式に政府のスタンスがまだ見えない、慎重に考えなければならないと表明をしました。また、二月十八日の民主党の部門会議に出席した際に、村山談話について、今のところいいと思いますと述べ、今のところとした理由については、政権がかわって、村山談話はもう要らないと言うかもしれないと説明されたとしています。
つまり、政府の主張に沿って思考し、それを個人的意見として、NHK会長として公の場で表明することをはばからない事態が昨年以来続いているということであります。反省が見られていません。
浜田経営委員長にお尋ねします。
昨年一月の籾井会長就任時の発言について、公共放送のトップとしての立場を軽んじた行為であると言わざるを得ず、会長として厳しく自覚を促したと国会で答弁されています。その昨年の会長発言、政府が右と言うことを左と言うわけにいかないも、それから先月二月の、正式に政府のスタンスがまだ見えないという発言も、同様の性格であります。浜田委員長として、同様の発言が籾井会長から今も繰り返されているという認識にお立ちでしょうか。
○浜田(健)参考人
会長の言動が誤解を招くようなものであったり、また、これに関連して、NHKを取り巻く状況が混乱していることは、大変残念だというふうに思っておりま
す。公共放送のトップである会長の発言は大きな影響を持つものであり、そのことにつきましては一層強く自覚していただきたい、そういうふうに思っております。
○田村(貴)委員
籾井会長、一層強く自覚していただきたいと今の浜田委員長のお答えであります。
先月二月にNHK経営委員を辞任された上村達男早大教授は、放送法はNHKの独立や政治的中立を定めているとした上で、政府が右と言うことに対して左とは言えないなどとした籾井会長の発言について、政府の姿勢におもねるもので、放送法に反します、放送法に反する見解を持った人物が会長を務めているということですと、三月三日の朝日新聞のインタビューで述べています。
籾井会長時代の経営委員長代行を務められた方から、こういう重大な指摘がされているわけですよね。経営委員長は同じ思いでしょうか。
○浜田(健)参考人
上村前委員の任期中に、経営委員会の場でそのような趣旨の発言をされたことはないと認識をしております。
経営委員としてではない個人的な意見でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○田村(貴)委員
では、籾井会長にお尋ねします。
放送法に反していると指摘されたわけですけれども、籾井会長はどのように受けとめておられますか。
○籾井参考人
上村元委員の御発言については、個人的な御意見としまして、私は、ちょっとコメントを差し控えますが、放送法には違反しておりません。
○田村(貴)委員
上村前経営委員の名前を読み間違えました。訂正します。
籾井会長、あなたを信じて会長に選んだ経営委員から、いわば不適格だと言われているんですよね。事の重大性をもうちょっと真剣に受けとめていただきたいと思います。これまでの自分の言動については謝罪するときもあるんですけれども、しかし、その言動がNHKの会長としてふさわしくなかったのか、真摯な反省がないから同じことが繰り返されてきているのではないでしょうか。
改めて、籾井会長にお伺いします。
従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかどうかとの問いに、正式に政府のスタンスがまだ見えないと会見で述べたことに対して、二月二十三日、衆議院予算委員会では、戦後七十年の関連番組については、現場に内容を検討してもらっている、戦後七十年という節目の中で、いつ、どのような形で取り上げるかどうか、よく検討しなければならないというのが発言の真意と答弁をされました。
そこで、お伺いしますけれども、籾井会長が、戦後七十年関連番組の作成、放映について、問題意識を持って現場に検討を求めておられるということでしょうか。
○籾井参考人
私は、放送の内容、編集等々について、私の個人的な意見を申し述べて、それを放送に反映させたことは一度もありませんし、今後もそれはございません。
さっきの七十年の話は、質問の中で、戦後七十年の放送についてはどういうふうに考えるかという質問がありました。これについては、現場がいろいろやっていると思いますが、個人的には、戦争の悲惨さ、これは伝える必要があるわけですが、同時に、やはり戦後日本があの廃墟の中から立ち上がってきて今日に至ったということも放送してくれればいいなという期待を持っておりますということは申し上げました。
さらに、慰安婦の問題につきましては、では、慰安婦の問題も報道するんですかという質問がありました。これについてはなかなか難しい問題ですということで、慎重に検討しなければいけないでしょうと。そして、八月のいわゆる政府談話については、出ると言われておりますので、やはりその辺の談話が出た後に広くいろいろな形で意見を拾う、こういう意味で申し上げたわけでございます。
これは、今まで何度も御説明しておりますけれども、別に慰安婦問題で政府のことを気にしてということではないですが、やはり国際放送基準で、あるいは放送基準で、我々はいろいろな意見を放送に反映させなければならないということになっておりますから、談話もその一つの要素であるということでございます。
それから、就任のときに発言したことについては全て国会審議の中で取り消しておりますので、その辺、よろしく御理解いただきたいと思います。
○田村(貴)委員
会長、また言われましたね、八月に出る政府の談話、これがまだ出ていないと。これは結局、この談話が前提で番組をつくるということで検討をお願いしているというふうにも聞こえますよ、それを何度も言われると。どうなんですか。
○籾井参考人
今も申し上げたと思いますが、記者会見のところで質問がありまして、まず戦後七十年、そしてさらに突っ込んだ質問がありまして、その中で、慰安婦の問題も
入るんですか、こういう質問があったわけです。私は、これは慎重にやらなければいけませんと、本当にそういうふうに申し上げたわけです。
それが本当のところですが、先ほども言いましたように、放送というのは、誰それの意見だけではなくて、いろいろな意見を言わなきゃいけませんので、そうい
う意味で、広く、世論といいましょうか、こういうものをやはり考えながら、番組をつくるとすればしなければならない、こう申したわけでございます。
○田村(貴)委員
何人にも律されずといったところは、何の見解にもとらわれず番組をつくっていくということにもつながる話だと思います。私は、今の会長の答弁はやはり承服できないと思います。
次の質問に移ります。
浜田委員長は、昨年の通常国会、三月の時点の質疑で、籾井会長に対して二度にわたり注意を行わざるを得なかったと述べておられます。
籾井会長は、そのたびに謝罪の言葉を述べて、放送法にのっとった業務遂行の決意を述べておられます。
経営委員長として籾井会長に注意を行ったのは、経営委員長、これまで何回でしょうか。また、籾井会長に経営委員会の申し入れを行ったのは何回になるんでしょうか。いつ、どういう件が行われたんでしょうか。教えてください。
○浜田(健)参考人
注意を二回、申し入れを二回行いました。
注意は、昨年一月の就任会見に対するものと昨年二月の経営委員会での発言に対するもので、経営委員長として行いました。
また、申し入れは、この二回の注意を行ったことに対するもの、そして先般の誤解を招く発言に対して経営委員会として行いました。
○田村(貴)委員
もう一つお伺いします。
NHKの会長の言動を理由にして、経営委員会が注意や申し入れを行った事例は過去にあるんでしょうか。
○浜田(健)参考人
ございません。
○田村(貴)委員
経営委員会として、会長に対して前代未聞の注意や申し入れが行われてきた、これは事実ですね。しかも、四回も行ったにもかかわらず事態が変わっていない。どうするんですか、NHK。
経営委員会には会長の罷免権があります。NHKの国民・視聴者に対する信頼を回復するために、経営委員会としての機能はほかに何が考えられるとお考えでしょうか。経営委員長にお尋ねします。
○浜田(健)参考人
そのような御懸念を招いていることは大変残念なことと考えております。
一方で、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、NHKのみならず、日本の放送界にとっても大きな節目となる年だと考えております。今は、それを見据えた新しい経営計画の第一歩を踏み出そうとしている大変重要な時期であります。私としては、速やかに着手し、その実現を目指していただきたいというふうに思っております。
会長以下執行部には、皆様の御理解を賜るための最大限の努力を行っていただきたいし、また、経営委員会としてもそのための監督はしっかり行っていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員
今、委員長からお話がありましたように、課題はいっぱいあるわけですよね。そして、重責を担っておられるわけです。会長自身も、やはりきょうだって、いろいろなお仕事がNHKであったというふうに思うわけですよ。
問題がここにあります。会長の問題発言が繰り返されるたびに国会で問いただされるんですね。それから、経営委員会からは、業務に支障を来すという話も伺っております。
そこで、予算の審査もあるんですけれども、籾井会長は、就任後今日まで、何回国会に呼ばれていますか。
○籾井参考人
今の御質問は、国会に何回呼ばれたかという御質問でございますよね。
では、報告いたします。
二〇一四年は、衆議院予算委員会九回、衆議院総務委員会十一回、参議院予算委員会五回、参議院総務委員会十回、合計三十五回です。二〇一五年は、差し当たり今日まで、衆議院予算委員会八回、衆議院総務委員会六回、参議院予算委員会五回、参議院総務委員会一回、きょうでございます、以上二十回でございます。
○田村(貴)委員
それは、これまでの会長と比べてどういうことになっているんでしょうか。非常に多いということだったらそういうふうにお答えいただきたいと思いますけれども、執行部でいいです。
○籾井参考人
過去の、会長が呼ばれた回数については、詳しくは承知しておりません。各年度のNHK予算、決算審議以外では、放送法改正、テレビ報道のあり方が議論になった際に参考人として招致されております。
○田村(貴)委員
衆参合わせて、委員会だけでも五十五回、会長就任以降ここに来られているわけですよね。それはひとえに籾井会長の数々の発言が招いた結果でありますよ。発言だけではありませんよね。今日、行動もですよ。行動も、極めてNHKのトップに立つ者としてはふさわしくありません。
次に、ハイヤーの私的利用問題についてお尋ねをしたいと思います。
籾井会長にお伺いします。
一月二日に、NHKの秘書室が手配したハイヤーで自宅から小金井カントリー倶楽部に向かったと伺っています。それはどういうゴルフの企画だったんでしょうか、教えてください。(籾井参考人「どういう」と呼ぶ)一月二日の小金井のゴルフです。どういうゴルフの企画だったんですか。
○籾井参考人
全くプライベートの、クラブ会員同士のゴルフでございます。
○田村(貴)委員
全くプライベートなことだった。NHKとしては関係のないプライベートなことだったということですよね。
では、会長、お尋ねします。
会長は、会長就任後、このゴルフ場にこれまで行かれたことがこのほかにございますか。その際、交通手段はどうされていたんでしょうか、教えてください。交通手段。
○籾井参考人
ほとんど行っておりませんが、多分二、三回だと思います。
○田村(貴)委員
どういう交通手段で行かれたんでしょうか。
○籾井参考人
お答えします。
私は渋谷区西原というところに住んでおります。近い駅は幡ケ谷でございます。幡ケ谷から東府中まで京王線に乗ってまいります。そこからタクシーに乗ってコースまで参ります。帰りも、全くこの逆でございます。
○田村(貴)委員
この一月の二日の小金井カントリー倶楽部に、ほかの日もプライベートで行かれたんだけれども、そのときは公共交通機関とタクシーに乗られたということがわかりました。
浜田委員長、それから執行部の皆さんにお尋ねするんですけれども、役職者が私用で車が必要なときに協会のタクシーやハイヤーを使うことはあるんでしょうか、使ったことがありますか、また、職員にその手配を依頼することがあるんでしょうか、答えてください。
○石田参考人
過去にそういう例があったかどうか、過去にさかのぼって調べていませんので、ちょっと今の段階ではっきりお答えできません。
○田村(貴)委員
経営委員長もお願いします。
○浜田(健)参考人
執行部以下の運用については承知しておりませんけれども、経営委員の出勤に当たっては、ハイヤーを使わせていただいているというふうに承知しております。
○田村(貴)委員
プライベートでそういうタクシーチケットを切ったりハイヤーの乗車票を回すなんということは、やはりないわけなんですよ。起こり得る話ではないんですよ。
籾井会長、秘書に、秘書室にハイヤーの手配を依頼すれば、協会と提携した、NHKと提携した会社のハイヤーがやってきますよね。そして、NHKの乗車票が使われるということになりますけれども、それは想定しなかったんですか、一月の二日。
○籾井参考人
おっしゃるとおり、十二月二十六日に、私は、一月二日のゴルフのために秘書室長に車の手配を頼みました。
そのときに、二人で話して、これはプライベートだから、公用車、普通使っているNHKの車ではなくてハイヤーを使いましょう、こういうことに相なったわけです。それで、私は、じゃあ代金は自分が払うから、こういうことを言って、一月二日に配車されたわけです、実際に。
私は、当然自分が払うと思っていますから、何にもしないで、乗って、ゴルフへ行って帰ってきて、こういうことだったわけですね。よって、私は、伝票も何も一回も見ていないんでございます。
○田村(貴)委員
会長、結果として、私用で使ったハイヤー代四万九千五百八十五円を協会が二月二十七日に支払うことになった。受信料で立てかえ払いが行われていた、これは事実なんですよ。
NHK業務と関係のないゴルフなんですよね。業務と関係ないゴルフだったら、何で自分で私的に車の手配をされなかったんでしょうか。あるいは、これまでのように、公共交通機関とタクシーのそういう利用方法を考えなかったんでしょうか。協会と提携のないハイヤー会社に個人的に頼めば済んだ話ではなかったかと私は思うんですけれども、いかがですか。
○籾井参考人
そうだと思います。
ただ、何で会社が使っているハイヤーを使ったかといえば、これは、日ごろ使っているハイヤーでございますから、信頼もできるし、セキュリティーも大丈夫だ、そういうことで、やはり秘書に頼むのが一番間違いがない。
それから、先ほども言いましたように、公私混同を避けるためにハイヤーを使っているわけですから、そういう意味で、秘書もそれは知っていることですから、公私混同と受け取られないようにしているわけです。よって、プライベートでは伝票は出ないんです。
問題は、一月十三日に、十五日の締めが直前だったものですから、締めというのは半月で締めるんです、一回。そのときに、秘書が、催促を受けて、これは出さなきゃいかぬというのでとりあえず伝票を出した、これは結論としては間違いなんですが。よって、そこで伝票を出してしまえば、会社のルールにずっと乗っかって流れるわけです。よって、会社の中で請求が出てきた、こういうことになるわけです。
○田村(貴)委員
いろいろおっしゃいますけれども、やはり受信料、公費がくぐっていってしまったということは、これは事実なんですよね。
私は思うんですよ。この問題は、やはり会長、秘書室に手配を要請すること自体がそもそもの間違いではなかったか、そこから公私混同が始まっているというふうに言わなければならないと思います。
NHKにお伺いします。
NHKの年間のハイヤー、タクシー、それぞれの代金総額を述べてください。いつの年度でもいいです。
○石田参考人
済みません、質問の通告でその内容がないので、今すぐちょっと答えられないんですが、資料を整えて、年間のハイヤーとタクシー代の利用額については、これまでもお出ししたことがありますので、後でお答えしたいと思います。
○田村(貴)委員
済みません、NHKの方から資料をいただきました。
平成二十五年度で……(発言する者あり)けさいただきました。だから、御存じかなと思ったんですけれども、ハイヤーが二十五年度で七億四千二百万円、タクシーが二十億八千二百万円。NHKですから、タクシー、ハイヤーの利用なしに業務や取材が成り立たないことは、それは私でもよく理解しております。だからこそ、公私の区別はしっかりつけなければならないということですよね。
そこで、お伺いします。
監査委員会活動報告書
の三ページ、ハイヤー、タクシーについて私用目的での利用は内部規定上認められておらず、運用上も通常は業務遂行のための利用のみが認められているとしていますよね。しかし、先ほどからの不可解な例外であります。私的利用目的であったとしても、その立場上必要な、身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合を否定しない、わざわざこれが書かれているわけです。
では、この身柄の安全、情報管理、所在確認を例外とする根拠は何でしょうか、文書の規定があるんでしょうか、お示ししていただきたいと思います。
○石田参考人
内部規定には、そうしたことを直接定めたものはございません。
○田村(貴)委員
だから、これは公私混同なんですよ、間違いなんですよ、約束事違反なんですよ。
NHKの「本部における自動車使用要領」、この三に、「自動車の適正使用」として、「(二)自動車の使用は、業務上必要な場合に限る。」「自動車の使用に
あたっては、」いろいろ書かれているんですけれども、例外規定はないですよ。会長、副会長、理事の服務に関する準則、放送法その他法令、定款及び協会の諸規定を遵守し、日本放送協会のために忠実にその職務を行わなければならない。例外規定は何もないですよ。
だから、ルールがあって、それにのっとってやるのがやはり職務じゃないですか、しかも、一万人のトップだったら。そこをいろいろ理屈をつけて、言い逃れしようとされているんですか。
何かありますか、どうぞ。
○籾井参考人
最初から御説明しているように、これは十二月二十六日の時点で、既に、公私を分けるために、公用車を使わずにハイヤーを使うと決めたわけでございます。公用車が使えるのにハイヤーを使ったということは、ハイヤーというのは金額がはっきりしますから。そのとき、私は支払いますと言っていたわけです。
ところが、ちょっとさっきも言いましたように、締め切りのときに催促されて伝票が出ちゃったわけですよ。それで流れの中に入ったということですから、私と
しては、実はそういうことも知らないわけです。私は、ただただ請求書を待って払うだけ、こういうふうに思っていたところ、三月六日になって、籾井さん、あ
なたの使用がおかしいと言われたので、えっと驚いたわけでございます。
金額がわかったところで、すぐにお支払いもしたわけです。私は、金額がわかった時点ですぐに払ったんです。
○田村(貴)委員
まだ事の重大性がおわかりになっていないような感じがしますね。会長、やはり、プライベートなんですから。そして、タクシーとかハイヤーとかいろいろ用意
することはできるじゃないですか、会長だったら、別の会社であっても。そうすれば問題なかったんですよ。それはうなずかれますね、そうなんですよ。
だから、事の本質はそこなんです。NHKの乗車票が動く、やはりこういうやり方をしてはだめだということを私はここで申し上げておきたいというふうに思います。
時間がなくなってきたんですけれども、会計検査院の二〇〇七年の九月にこういうまとめがあります、「日本放送協会における不祥事に関する会計検査の結果について」。この中で、公共交通機関が利用できる時間帯であるのにタクシーを利用したり、業務との関連性が必ずしも明確でないと判断されたりしたものなどについては、こういうことがいっぱいあったんですね、このことについては、不適切な実態を踏まえて戻入処理したとされている、こういう会計検査院の報告があるんです。
このときに、NHKはやはり猛省されたと思うんです、そういう公私混同の扱いについて。NHKは、この反省に立って、職員にどのような周知徹底を図ってこられたんですか。お答えください。
○石田参考人
お答えします。
NHKでは、平成十六年に、紅白歌合戦に絡む不祥事以来、一連の不祥事がありました。これを受けて、二〇〇六年、平成十八年四月から、自動車使用料などの経費処理の緊急業務調査を実施し、全職員に向けたタクシーの適正使用の周知徹底など、さまざまな注意喚起を行いました。
こうした中で、今御指摘のありました二〇〇七年、平成十九年九月に会計検査院の報告書が出ました。NHKとしては、翌十月からタクシー券の運用変更を行うなど、その後も適正な運用の徹底を継続的に行っています。
NHKとしては、平成十六年の不祥事の後、タクシーも含めた経理処理の適正化を図って、その時期にこういう会計検査院の報告書も出たというぐあいに認識しております。
○田村(貴)委員
やはり反省しなければならないと思います。
高市大臣、お待たせしました。NHKのトップが、前代未聞の公私混同のハイヤー使用、そしてこれまた異例の、監査委員会から報告が上がっている、そして本委員会で集中審議が行われている事態を今つくっているわけです。こういう事態について、総務大臣としてどのようにお考えになっておられますか。御所見を述べてください。
○高市国務大臣
NHK及び籾井会長におかれましては、受信料によって運営される公共放送の社会的責任の重さに鑑み、国民・視聴者から疑念を持たれることのないように、監査委員会の調査報告や経営委員会の見解を踏まえて、再発防止に向けてしっかりと対応していただくことを期待いたしております。
○田村(貴)委員
疑念を持たれることがないようにといいながら、疑念を持たれることがこの場でも、最近もまた出てきた。私は、本当に残念でなりません。
きょうは、受信料の支払い義務制度とか、それから「クローズアップ現代」の問題も取り上げる予定でしたけれども、時間が参りましたので、今度の予算審議のときにまた議論をさせていただきたいと思います。
終わります。