○田村貴昭君
私は、日本共産党を代表して、地方財政計画外二法案について、関係大臣に質問をします。(拍手)
今、地方自治体に求められているのは、地域の産業と雇用をつくり、子育て支援や社会保障を整備して、地域の再生、活性化を図ることです。国が行うべきこと は、地方交付税を拡充して、条件不利地域を初め、地方が自由に使える一般財源を十分に確保すること、そして、ナショナルミニマムの保障などをしっかり果た すことであります。
ところが、安倍内閣が地方創生としてやろうとしていることは、これに逆行するものであります。
以下、具体的に質問をします。
第一に、まち・ひと・しごと創生事業費の創設です。
安倍内閣が、熱意ある地方を応援するとして、自治体の頑張りぐあいに合わせて地方交付税の配分に傾斜をつけようとしていることは重大であります。
地方財政計画に計上される一兆円のまち・ひと・しごと創生事業費のうち、六千億円が人口減少等特別対策事業費です。その算定は、人口を基本とした上で、まち・ひと・しごと創生の取り組みの必要度と取り組みの成果に基づいて、配分を順次、必要度から成果に移していくというのであります。
これでは、成果が出ていないとされる地方自治体への地方交付税は減らされ、置いていかれた自治体は一層困難な事態に追いやられるのではないですか。
高市総務大臣や石破地方創生大臣は、努力して成果を上げた自治体には地方交付税を配分すべきと繰り返し発言されています。しかし、地方財政の専門家、識者からも、地方自治体の頑張りぐあいを勘案して地方交付税の配分に有利、不利をつける手法を単純に拡大することは警戒が必要であるとの指摘が出されているのです。重く受けとめるべきではありませんか。
地方交付税の趣旨をゆがめ、政府の政策へ地方を誘導するやり方は、きっぱりやめるべきであります。
地方自治体が自由に使える一般財源総額の確保に対する国の責任を果たすべきです。財源不足を国、地方の折半ルールで行うのではなく、抜本的な法定率の引き上げに切りかえるべきであります。
第二は、連携中枢都市圏構想です。
従来から、医療、ごみ処理、し尿処理、消防などの業務を自治体間で広域的に連携する仕組みが展開されています。これまでの広域的な連携と連携中枢都市圏構想とは、一体何が違うのですか。
政府は、連携中枢都市は、圏域全体の経済成長の牽引の役割と高次の都市機能の集積、強化の役割を果たし、そのために、圏域人口七十五万人の連携中枢都市に対して二億円の普通交付税を交付するとしています。これは、連携中枢都市に政府の成長戦略を担わせるということではありませんか。
そして、中心都市への行政サービスと都市機能の集約は、周辺市町村の行政サービスの後退、格差の拡大をもたらすものであります。
連携協約を結んだ自治体間で紛争が生じれば、知事や自治紛争処理委員による解決が図られるとされています。それは、行政サービスの後退、格差の拡大をめぐる紛争が予想されるからではありませんか。
また、連携協約を結ぶ周辺市町村には、連携協約に基づく政策合意の実行が義務づけられています。政府は、圏域としての政策を継続的、安定的に推進するとしています。連携周辺市町村が離脱することは想定されていないのではありませんか。
周辺市町村が連携協約から離脱する場合、離脱を望む自治体の議会の議決だけでできるのですか。
以上、高市総務大臣に伺います。
安倍内閣の言う地方創生は、人口減少への危機感をあおり、社会保障や地方交付税の削減は仕方がない、集約とネットワーク化を徹底して、足りない部分は民間投資を活用し、住民の自助、共助で賄えというものであります。安倍内閣の地方創生は、連携中枢都市の周辺地域や集落などの切り捨てをもたらすものです。答弁を求めます。
平成の大合併によって、自治体周辺では大幅な人口減少となりました。九州では、実に、合併九十九市町村のうち八十八市町村で人口が減り、五割の自治体が、合併が人口減の歯どめにならなかったとする調査結果を西日本新聞が報じています。石破大臣、連携中枢都市圏構想は、その誤りを繰り返すものではありませんか。
加えて、新たな市町村合併を伴う道州制導入には断固反対です。道州制導入に対する見解を問うものであります。
第三は、地方自治体の行革努力の実績を地方交付税の算定に反映させる、元気創造事業費の継続です。四千億円のうち、三千億円が行革努力分となっているのであります。
地方自治体の定数削減、人件費削減は限界を通り越しています。総務大臣にその認識はあるのですか。
東日本大震災から四年、被災地では職員不足が一層深刻な事態です。被災自治体にも全国と同じように行革努力分を押しつけるのですか。
高市総務大臣、被災自治体の再建、復興推進のためにも、人件費抑制路線を取り払うべきであります。
最後に、被災者の住宅再建は待ったなしであります。住宅再建支援に必要な財源や震災復興特別交付税を含め、被災自治体にとって自由度の高い復興財源を確保するとともに、関係自治体にその見通しを早期に示すべきです。
答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
○国務大臣(高市早苗君)
田村議員から、十二点お尋ねがございました。
まず、人口減少等特別対策事業費の算定についてお尋ねがありました。
平成二十七年度の人口減少等特別対策事業費の算定に当たりましては、各地方公共団体がこれからまち・ひと・しごと創生に取り組むことを踏まえ、取り組みの必要度に応じて手厚く配分し、現状において指標の数値が芳しくない団体の需要額を割り増すこととしております。
しかしながら、いつまでも指標の数値が芳しくないことを重視して配分することは、適切ではないと考えております。
今後、各地方公共団体において地方版総合戦略の策定及びそれに基づく事業の実施が予定されておりますことから、地方版総合戦略に基づいた取り組みの成果を反映させるべく、そのための新たな成果枠を設けて、段階的に取り組みの必要度から配分額をシフトすることを検討したいと考えているところでございます。
このように、御懸念のようなことを進めようと考えているわけではなく、各団体がまち・ひと・しごと創生に取り組むための財政需要を適切に算定してまいります。
次に、成果に応じた交付税の配分についてお尋ねがありました。
人口減少等特別対策事業費の算定に当たっては、取り組みの必要度により、現状において指標の数値が芳しくない団体の需要額を割り増すとともに、実際に、まち・ひと・しごと創生に取り組み、成果を上げた団体では全国標準以上の経費が生じていると考えられることから、取り組みの成果を算定に反映することとしております。
このように、人口減少等特別対策事業費においては、全国各地で取り組まれるまち・ひと・しごと創生の幅広い取り組みについて、そのおのおのの財政需要に関連すると考えられる指標を用いて補正を行うものであり、国が地方団体の政策を誘導するという御指摘は当たらないものと考えております。
次に、地方交付税の法定率引き上げについてお尋ねがありました。
平成二十七年度において、交付税原資の安定性の向上、充実を図るため、地方交付税の法定率を見直しました。しかしながら、平成二十七年度の地方財政においては、今回の法定率を見直してもなお巨額の財源不足が生じており、国、地方の折半で補填している状況であります。
国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることから、その実現は容易なものではないと考えておりますけれども、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、政府部内で十分に議論をしてまいります。
次に、連携中枢都市圏について、従来の広域的な連携との違いについてお尋ねがございました。
一部事務組合など従来の広域連携は、ごみ処理などの事務を共同で処理するものでありました。これに対して、連携中枢都市圏は、経済成長の牽引等を行うことにより、人口減少・少子高齢化社会においても活力ある社会経済を維持するための拠点を形成するものです。
連携中枢都市圏と政府の成長戦略についてもお話がございましたが、昨年閣議決定された日本再興戦略においては、連携中枢都市圏について、二〇一五年度から全国展開を図ることとされているところです。
連携中枢都市圏の目的の一つには、経済成長の牽引も位置づけられており、総務省としては、地方の自主的取り組みが推進されるように支援をしてまいります。
また、次に、連携中枢都市圏からの脱退について、議会の議決に関連してお尋ねがありました。
連携中枢都市圏は、社会経済的に密接な関係にある市町村が中長期的に安定して連携することにより取り組むものです。したがって、連携の廃止には双方の市町村の議会の議決を必要としております。
ただし、地域の実情によって離脱を求める市町村が想定されますことから、連携協約に、一方の市町村が議会の議決を経て失効を求めた場合、一定期間経過後に失効すると規定をすることは可能でございます。
また、連携中枢都市圏内の周辺市町村での行政サービスの後退、格差の拡大についてお尋ねがございました。
連携中枢都市圏の取り組みは、圏域全体の地域経済を活性化し、利便性を向上させていくことが主眼でございます。したがって、連携中枢都市圏の取り組みが、周辺市町村の身近な行政サービスの後退、格差の拡大につながるとは考えておりません。
また、紛争解決の手続でございますけれども、連携協約の紛争解決手続は、例えば、協約締結当時想定していなかった事情の変化により協約上の取り組みを行わなくなったことなどを想定しているものであって、行政サービスの後退や格差拡大を予想したものでございません。
次に、地方の定数、人件費削減の認識についてお尋ねがございました。
地方公共団体においては、これまでも、適正な定員管理の推進や給与の適正化に取り組んでおりますが、なお課題のある団体もあると認識をしております。
引き続き、効率的で質の高い行政の実現に向け、適正な定員管理の推進や給与適正化等に取り組むことが重要と考えております。
次に、被災地における地域の元気創造事業費の算定についてお尋ねがありました。
地域の元気創造事業費の算定においては、各団体の行革努力を反映するため、職員数削減率、人件費削減率、人件費を除く経常的経費削減率、地方債残高削減率などの指標を用いております。
その際、東日本大震災に係る被災自治体の算定に当たっては、被災地の状況に鑑み、災害復旧等に従事させるために採用した職員数や復旧復興事業に係る経費を除外する特例措置を講じております。
したがって、被災地にも全国と一律の行革努力分を押しつけるといったことにはならないと考えております。
また、被災自治体における定員削減による人件費抑制についてでございますけれども、各地方公共団体の定員管理につきましては、地域の実情を踏まえて、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言をしております。
被災自治体におかれましても、引き続き、行政需要の変化に対応した適正な定員管理の推進に取り組んでいただくことが重要だと考えております。
最後に、震災復興特別交付税等の確保についてお尋ねがございました。
震災復興特別税につきましては、平成二十七年度までの集中復興期間中はその財源を確保することとしており、まずは、平成二十七年度までの復興の加速化に取り組んでいくことが必要と考えております。
集中復興期間後の震災復興特別交付税のあり方につきましては、全体の復興財源フレームの中で検討されるものでございます。
いずれにしましても、被災地の復興に真に必要な事業の実施に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。(拍手)
○国務大臣(石破茂君)
田村先生から、四問御質問いただきました。
まず、地方交付税についてであります。
国の総合戦略におきましては、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、地方創生の取り組みに要する経費につきまして、地方財政計画の歳出に計上いたしますとともに、地方交付税を含む一般財源を確保することといたしております。
今回の地方交付税の算定につきましては、先ほど所管大臣から答弁がございましたように、各地方の創意工夫に基づいて行われますまち・ひと・しごと創生の幅広い取り組みについて、そのおのおのの財政需要に関連すると考えられる指標を用いて補正を行うものでありまして、国が地方公共団体の政策を誘導するといった御指摘は当たりません。
次に、地方創生は周辺地域や集落の切り捨てを前提としているのではないかというお尋ねでありますが、地方創生は、経済の好循環を全国津々浦々まで届けるとともに、その好循環を支えます町に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境をつくり出すことを目指すものでございます。
少子高齢化や人口減少、厳しい財政状況を踏まえますと、このまま手をこまねいていれば、地域社会の安心な暮らしの基盤の維持が困難となるおそれがあると考えておりまして、今回の地方創生では、持続可能性のある地域社会を維持するため、中山間地、地方都市、大都市など、それぞれの地域の特性に即した地域課題の解決と活性化を基本的な考え方に掲げて取り組むことといたしており、特定の地域の切り捨てを前提としているものでは全くございません。
次に、連携中枢都市圏についてでありますが、今回、これまでの重複する都市圏概念を統一し、進めていくこととした連携中枢都市圏構想は、人口減少・少子高齢社会におきましても一定の圏域人口を有しつつ、活力ある社会経済を維持するための、経済成長の牽引などの機能を備えた圏域を形成することを目的としておるものであります。
雇用の創出や、高度医療や高等教育などの高次都市機能の集積、地域医療や子育て支援などの生活関連機能サービスの向上により、連携中枢都市圏が人口のダム機能としての役割を果たせますように取り組んでまいります。
道州制についてのお尋ねでありますが、道州制は、地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方とのあり方を根底から見直す大きな改革であります。
この導入は市町村合併を前提とするものではなく、その検討に当たりましては、基礎自治体のあり方も含め、具体的な姿を明らかにしつつ、国民的な議論を行うことが必要であります。当事者であります地方団体の声を聞きながら、丁寧に議論を進めていくことが重要と考えております。
与党におかれまして、道州制に関しまして地方団体とも意見交換を行うなど精力的に検討が重ねられており、政府といたしましても、連携を深め、取り組んでまいる所存でございます。
ありがとうございました。(拍手)
○国務大臣(竹下亘君)
田村議員から、復興財源の確保についての御質問をいただきました。
これまで、被災地の方々が一日も早く安心した生活を取り戻していただけるよう、住宅再建や産業、なりわいの復興に全力を尽くしてまいりました。集中復興期間の区切りとなる平成二十七年度予算におきましても、復興の加速化についての重点化をいたしました。まずは、この予算の成立に今全力を尽くしているところでございます。
その上で、二十八年度以降の復興事業につきましては、それまでの進捗状況等を、しっかり事業のレビューをした上で、何ができているか、何が足らないかとしっかり見詰め直した上で、財源を含めてそのあり方を検討してまいります。
集中復興期間が終わっても我々はとまりません。平成二十八年度以降についても、被災者の方々の心に寄り添いながら、しっかりと対応してまいります。
以上です。(拍手)