○田村(貴)委員
日本共産党の田村貴昭です。
電気通信サービスにおける利用者、受信者の保護について質問をします。
今回、法案には初期契約解除制度が導入されました。携帯電話やスマートフォンなどの契約解除をする場合、通信自体の契約は対象となりますけれども、携帯やスマートフォンなどの端末は対象外とされています。
なぜ対象から外したんでしょうか。
○西銘副大臣
端末を通信サービスとあわせて初期契約解除制度の対象とするかどうかにつきましては、総務省の有識者による研究会において議論がなされております。
研究会の議論におきましては、端末を対象とした場合、返品された端末は再販売等が困難であり、代理店等の経営に大きく影響するなどの懸念が示されております。また、携帯電話事業者から、端末の返品も可能なお試しサービス八日間の実施を検討しているとの表明がありました。
これらを踏まえまして、昨年十二月の研究会報告書では、店舗販売における端末等に係る制度化は、現時点では行わずに、SIMロック解除等の事業者の取り組み状況等を注視することとされました。
また、その後の動きとしまして、お試しサービスは、携帯電話事業者のうち、ソフトバンクモバイルは既に導入しており、残る二社も二十七年度第一・四半期、四月から六月までに導入を予定しておること、また、SIMロック解除は、総務省が昨年十二月にガイドラインを改正し、本年五月以降に新たに発売される端末からSIMロック解除を実施することとしております。
こういった取り組みが現に進んでいることから、今回の法案におきましては、端末等は制度の対象外としたところであります。
以上です。
○田村(貴)委員
まず、SIMロック解除のことなんですけれども、事業者を変えてサービスを変えたら、つながるつながらないという問題も解決できる可能性も出てくる、そういう場合もあるかもわかりません。しかし、この端末というのは、受信エリア内であっても、まず使ってみないと受信可能かどうかわからないという前提があります。ここにやはり問題があるわけです。
それから、消費者が端末を解約したいときの希望というのは、つながらないという問題のほかにも、料金が高いであるとか、使いづらい、あるいは、説明を受けたんだけれどもその機能が使えない、さまざまであるというふうにも思います。
複雑で非常にわかりづらい料金体系の中からプランを選択して、そして一台、高いですよね、何万円もする端末を組み合わせて購入を契約していくわけです。セールストークをうのみにしてついつい契約してしまうということも多々あるというふうにも思います。
私は、端末とプランというのは一体のものだというふうに考えています。日本弁護士連合会からも、端末の売買契約は電気通信契約と一体であることと意見書も出されています。
携帯電話やスマートフォンなどの端末も契約解除の対象とすべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉良政府参考人
お答え申し上げます。
先ほど副大臣が答弁したとおり、携帯電話事業者は、お試しサービスを既に導入しているか、あるいは二十七年度第一・四半期に導入する予定であることを表明しております。
ソフトバンクモバイルは、電波が届かない等を理由にサービスに満足できない場合は、無償で契約解除、端末の返品が可能なサービスを提供中でございます。契約後八日間ということでございます。KDDIは、ソフトバンクモバイルと同様のサービスを今年度第一・四半期に開始予定でございます。それから、NTTドコモは、契約前に端末を数日間レンタルできるサービスを本年の六月に開始予定でございます。
電気通信事業者がこのような取り組みを実施することと、規制はやはり必要最小限であるという基本的な考え方を踏まえまして、総務省における有識者による研究会報告書において、当面は、端末等は制度の対象外とした上で、苦情の減少に向けた事業者の取り組み状況を注視して、その効果が十分でない場合には制度的措置を改めて行うことが適当というふうにされております。
私ども総務省としましては、この研究会の報告書や携帯電話事業者による取り組み状況も踏まえまして、今後ともこの問題について継続して検討してまいりたいというふうに思います。
○田村(貴)委員
継続して検討はいいんですけれども、せっかくの法案審査なんですよね。法律にやはり盛り込むことが僕は大事だというふうに思っているわけです。
それで、副大臣からも、それから局長からも答弁がありましたように、通信事業者各社に初期の試用についての動きがありました。
そこで、高市大臣にお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、今お話ありましたように、ドコモは電話機が届いてから五日程度の試用サービス、それから、KDDIは八日間無償解約が可能、ソフトバンクも八日間の無償解約を上げているといった流れであります。
つまり、通信事業者各社においては、端末の契約解除の必要性を認めたということではないですか。だとするならば、今回、法律で対象としてもよかったのではないでしょうか。
事業者三社の試用サービス、あくまでも試みです。試用サービスというのは、自主的な取り組みであって、消費者が望む解約を保証するものではありません。この際、端末を対象とすべきだというふうに思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
○高市国務大臣
まずは、電気通信事業者が、今委員がおっしゃっていただいたような取り組みを実施するということ、そして、やはり規制は必要最小限であるべきという基本的な考え方を踏まえて、総務省における有識者による研究会の報告書で、当面は、端末等は制度の対象外とした上で、苦情の減少に向けた事業者の取り組み状況などを注視し、その効果が十分でない場合には制度的措置を改めて行うことが適当とされました。
ですから、総務省では、この研究会の報告書や現在の携帯電話事業者による取り組み状況を踏まえて、今後ともこの問題については継続して検討してまいります。
○田村(貴)委員
わかりました。
今回の法改正で、消費者保護の対応が加わったとしましても、解決できない問題が多数あります。
例えば、通信事業者と長期契約のかわりに割引を受けられる一方、中途で解約する場合には違約金を課せられる、いわゆるスマホや携帯の二年縛りの問題であります。
引き続き高市大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、二年縛りの問題というのはいろいろあります。その中でも、二年が経過して、更新を拒否しないと、また同期間の拘束を受けることについては、多くの不満と苦情がユーザーから寄せられています。しかも、今、事業者からユーザーに更新月を知らせる仕組みとはなっていません。さらに、SIMロック解除の義務化で、自動更新を誘導する、そういう懸念もあります。
お話が出ていますように、そんな中、通信事業者が利用者に対して更新月の前月にメールを送信すると、一昨日、報道もありました。これが本当に行われるのであるならば、全ての事業者から全ての利用者に対して連絡が入るように事業者を指導すべきだというふうに私は考えます。
また、更新月を過ぎて途中解約すると、一万円近い違約金を払わなければならないシステムがあります。こうしたものはもうやめるように業者に改善を求めるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○高市国務大臣
現状では、田村委員おっしゃったとおり、期間拘束・自動更新つきの契約が一般的でございます。主要携帯電話事業者では、拘束期間は二年、解約可能期間は二年間の契約満了後一カ月のみ、その後は再び二年の拘束期間が始まるものとなっておりますし、拘束期間中に解約した場合には、契約解除料九千五百円の支払いを求められるということになります。
このような契約に関しまして、総務省の研究会においても、利用者が合理性ある判断ができるようにすることが必要だという議論がございました。携帯電話事業者各社では、先ほど委員がおっしゃったとおり、更新月が近づいた時点で、利用者に更新月が近づいたという旨をメールでお知らせすること、それから、契約解除料を支払うことなく解約が可能な期間を一カ月から二カ月に延長することといった取り組みを実施することを表明しておられます。
一方で、サービスの利用者側からは、当初の拘束期間が経過後、再び自動的に期間拘束が始まるというのは、サービスの解約や乗りかえを困難にするものとして、やはり、契約のあり方自体の検討を求める御意見がございます。
このため、本年の四月二十日、総務省の研究会のもとに、この問題に特化した、つまり、期間拘束・自動更新つき契約に関して検証を行うためのタスクフォースを設けました。
各方面からの御意見も十分に踏まえながら、早急に検討を進めてまいります。
○田村(貴)委員
自動更新、違約金、それから通知がないといった問題は、早急に解消してほしいというふうにも思います。
今度の法案では、新たに、不実告知や事実不告知の禁止、勧誘を受けた者が締結を拒否した場合の勧誘継続の禁止が盛り込まれています。
こうした違反があった場合の対応はどうなっているんでしょうか。教えてください。
○吉良政府参考人
お答え申し上げます。
顧客の獲得競争が激化する中で、電気通信事業者または代理店によりまして、今使っているサービスが終了するので乗りかえが必要というようなことなどの契約の締結を必要とする事情や、また料金そのものにつきまして事実でないことを告げます不実告知や、申し込みが混み合っていて開通までには時間がかかるというような契約に関する事実を故意に告げない事実不告知が行われまして、意に沿わない契約を締結したとの苦情が寄せられております。
このため、今回の改正では、このような契約事項に関しまして、利用者の判断に影響を及ぼすというような重要なものにつきまして不実告知、事実不告知を行うことを禁止することにしております。
お尋ねの不実告知、事実不告知の禁止に違反した電気通信事業者または代理店に対しましては、まずは報告徴収を行いまして、違反が確認された場合には、行政指導によりまして改善を促した上で、それでも改善が見られない場合には、業務改善命令による是正を行うことも可能としているところでございます。
これらの措置によりまして、この不実告知等の禁止の実効性を担保して、利用者が安心して継続的にサービスを利用できる環境を整備していきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員
時間がなくなってきたんですけれども、今の問題でも、取り消し権がないわけですね。消費者保護の仕組みは、やはり不十分と言わざるを得ません。
今度の法改正で、電気通信事業者等に契約締結書面の交付が義務づけられたこと、そして、初期契約解除や不実告知、事実不告知が盛り込まれたことなどは前進であると思います。しかし、消費者の立場に立ったら、まだまだ問題があります。
大臣にお伺いします。
携帯電話、スマートフォンの購入契約は二年縛り以外の選択もあることを多くのユーザーは知りません。また、二年縛りについても、更新拒否しなければ自動更新されることも広く知られていません。今度の法改正で初期契約解除それから不実告知の禁止等が導入されましたが、それらも国民、消費者の多くが知るところとなるか、心配であります。
ここは、総務省がしっかり消費者に対して知らせるべきではありませんか。事業者もやるのは当然です。しかし、総務省が行う法改正なのですから、総務省が法の改定に伴ってのメリット、デメリットを国民、消費者に伝えるべきだというふうに思います。
その媒体はいろいろあると思います。政府広報もその一つでしょう。パンフ、ビラなども出してみてはいかがでしょうか。消費者が手にとってわかりやすいガイドが今こそ必要だと思いますけれども、大臣、所感をお聞かせください。
○高市国務大臣
田村委員のおっしゃるとおりだと思います。
今回の利用者保護規律の改正につきましては、御指摘のような課題も含めて、広く国民、利用者に対してわかりやすく周知をしてまいります。
特に、国民、利用者向けには、パンフレットなどを作成します。それから、電気通信事業者、代理店、消費生活センターの相談員向けには、消費者保護に関するガイドラインを改正することを考えております。作成したパンフレットやガイドラインなどにつきましては、全国各地の消費者センターや電気通信事業者、代理店、総務省などの連携の場であります電気通信消費者支援連絡会などで周知を図るということを考えております。
以上のような取り組みで、今回の改正について国民、利用者の皆様が正しく御理解いただけるように、広く周知をしてまいります。
○田村(貴)委員
消費者保護の原点というのは情報の開示にあるというふうに思います。しっかりとやっていただきたいと思います。
きょう述べた問題点をぜひ解決しながら、国民、消費者の立場に立った電気通信行政の促進を求めて、質問を終わります。