○田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。
森山大臣、よろしくお願いします。
最初に、諫早の開門問題について伺います。
まず最初に、農水省に数字の確認をさせてください。二〇一六年度、平成二十八年度予算について、国営諫早湾干拓事業の開門調査を実施するための対策経費については六十一億八千九百万円を計上していると伺っていますけれども、間違いございませんか。
○末松政府参考人 お答えいたします。
諫早湾干拓の開門問題をめぐる関連訴訟や関係者による話し合いの帰趨について予断することはできませんが、開門することになった場合にも対応できるよう、国として所要の予算を措置しておく必要がございます。
このため、平成二十八年度予算案におきましては、先生御指摘の、開門への対応に係る経費として約六十一億九千万円を計上しており、具体的には、対策工事費として五十四億円、環境調査費として五億四千万円、施設管理費として二億五千万円を措置することとしております。
以上です。
○田村(貴)分科員 開門調査を実施する予算が組まれています。
福岡高裁の確定判決に即して、国は開門の義務を負っている、このことには変わりがないと思いますけれども、いかがですか。イエスかノーかでいいですよ。
○末松政府参考人 国は、平成二十二年十二月の福岡高裁確定判決による開門義務を負っていることに変わりはございません。一方で、平成二十五年十一月の長崎地裁仮処分決定による開門禁止義務の、相反する二つの法的義務を負っておりまして、いずれか一方の立場に立つことができない状況にあることにも変わりはないという状況でございます。
○田村(貴)分科員 それでは、国が開門を命じた福岡高裁の確定判決に従わずに漁業者に支払い続けている間接強制の制裁金について、新年度は幾らを見込んでいますか。また、これまで支払ってきた額は、平成二十七年度、二〇一五年度で切っていただいて、幾らになりますか。
○末松政府参考人 開門に係る間接強制金については、現在、四十五名の債権者に対して、平成二十六年六月十二日から平成二十八年一月三十一日までの五百九十九日分として、四億一千四十万円を支払い済みでございます。それから、平成二十七年度末ということでございますれば、平成二十八年三月三十一日までの六百五十九日分として、四億六千四百四十万円となる見込みでございます。
予算について言及がございましたが、平成二十八年度予算案においては、四十五名の債権者に対し、一日当たり九十万円、一年間で一人七百三十万円ということになりますが、それの四十五名分として、三億二千八百五十万円を計上しているところでございます。
○田村(貴)分科員 この潮受け堤防の開門をめぐっては、開門を主張する漁民側と開門反対派との間で複数の裁判が続いているところであります。この間、長崎地方裁判所と福岡高等裁判所の方から和解勧告があって、既に協議が始まっているというふうに聞いています。
この和解勧告に対して、森山大臣、どのように受けとめておられるんでしょうか。また、この和解勧告で、農水省としては何を目指していかれるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○森山国務大臣 田村委員にお答えをいたします。
諫早湾干拓の開門問題につきましては、福岡高裁及び長崎地裁から和解が勧告をされ、本年一月より長崎地裁において、関係する三者での和解協議が始められたところでございます。
長崎地裁による和解勧告においては、開門によることなく有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図る和解の協議を勧告する旨示されたところであります。
本件においては、裁判所から和解に関する方向性が示されたのは初めてのことであり、重く受けとめております。
国といたしましては、和解勧告及びそれを踏まえた訴訟指揮に従いつつ、問題の解決に向けて真摯に努力をしていく考えでございます。
○田村(貴)分科員 大臣、長崎地裁の和解案については、やはり問題があるわけなんですよ。
なぜならば、一つに、開門はしない、そして二つ目に、国は開門にかわる漁業改善のための措置を検討し実行しなさい、三番目に、国は支払い済みの制裁金に加えて解決金を支払う、こういう中身であります。これはもう漁業者にとっては到底受け入れられない問題であります。なぜならば、漁民が開門にこだわり続けてきたのは、開門が有明海の再生と漁業被害の救済の唯一にして最後の方策として、これまで裁判も通じて訴えてきたからなんですね。
開門を認めない話し合いならば、これは漁民側としてはテーブルに着くことはできないんです。テーブルに着かないということは、和解が成立いたしません。
大臣は、和解に全力を挙げると今表明がありました。これを決裂、不調させて農水省はいいんですか。農水省がまさにここでイニシアチブを発揮すべきときだというふうに私は思います。
そこで伺います。国が行った環境アセスメントがあります。この開門方法について、制限的開門の三―二のケースであれば、農業被害を起こさせない、農漁共存は可能であるというふうに思いますけれども、なぜこの三―二方式を長崎地裁の方に説明をされないんでしょうか。それが不思議であります。教えてください。
○末松政府参考人 現在、長崎地裁の和解勧告をいただきまして、さまざまな検討をしております。和解協議における具体的な対応については、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○田村(貴)分科員 それでは、やはりフェアじゃないというふうに思いますよ。開門がこれまでの一番の議論なんですよ。ここが一番の中心なんですよね。これを前提にしないと、この問題は解決いたしません。
長崎地方裁判所は和解案で、開門にかわる漁業改善のための措置を検討、実行せよというふうに言うわけです。しかし、農水省、それはもう既にやってきましたよね。二〇〇四年五月の農水大臣の発表以来十二年、足かけ十二年にわたってやってきましたけれども、有明海の漁場の環境は一向に改善されない、むしろ悪化しています。
農水省関連だけでも四百三十億円もの巨費を投じたにもかかわらず、農業用水の調整池の水質保全策も含めて改善されていない、潮受け堤防の締め切り以降、十八年たっても調整池の水質改善の展望が見出せない、こういう状況にあるわけです。
長崎地方裁判所に、国として言うべきことがあるんじゃないですか。この和解勧告ではまとまりません。営農地に被害が出ない三―二の開門方式というのがあります、そして、漁場改善は既にもうやってきました、環境改善は手を尽くしました、こういうことをまず最初に裁判所に対して農水省の方から説明すべきではありませんか。お答えいただきたいと思います。
○末松政府参考人 本件については、さまざまな立場の方からさまざまな御意見があることを承知しております。
国は、問題解決に向けた話し合いの進展につながるということであれば、長崎地裁が示した解決の方向性も一つの考え方だと思いますし、また、ほかの考え方もあるというふうに思います。そういう全般的なことを考慮しながら、検討を進めていくということだと考えております。
○田村(貴)分科員 どうも和解協議に対する農林水産省の本気度が感じられません。みずから招いたこの責任を棚に上げて、和解勧告を絶好の機会にして、開門しない方向でまさか取り組むんじゃないでしょうね。そんなことだったら、もうゆゆしき問題ですよ。
きょうは時間がないから言い尽くせないんですけれども、協議が決裂した場合、それでも、福岡高裁の開門しなさいという確定判決、これは国は免れることはできません。したがって、和解が不調であっても問題解決しないんです。
だから、これはやはり最後の手段ですよ。頑張って、三者がテーブルに着いて、そして開門も議論の中の一つに入れて、ちゃんと議論をしていかなければなりません。その長崎地裁の和解勧告案にしても、国は高裁確定判決に基づく開門義務がある、履行しない異常な事態に責任があると言われているじゃないですか。こうしたことをしっかり堅持して臨んでいただきたいというふうに思います。
お配りしている資料があります。
これは、 資料の①でありますけれども、長崎県の島原半島のノリの漁師さんが写された写真であります。この間見せていただきました。網を引き上げたら、全くノリがついていないんですよ。大臣、よくごらんになってください。昨年は、根づけはうまくいったんです。しかし、十一月に赤潮が発生して、芽流れが起こった。一昨年と同じ状況になっている。秋芽がこんな状態ならば、冷凍網ももう期待ができない。夏を越せそうもないというのが島原半島の状況であって、有明、島原、国見、そして瑞穂、みんな同じ状況にあるわけなんですよ。機械の修理代も出ない。各漁協、皆さん嘆かれているということであります。
農水省、このことを聞かれていますよね。
それから、大浦のタイラギ漁師の方が言われました。短期開門のときに一時的に貝が立って回復したんだけれども、門を閉めたら再び立ち枯れてしまった。現在、四期連続で休漁となっている。そして、稚貝も立っていないので、来期も休漁とならざるを得ない。イイダコやシバエビなどで何とかしのいできたけれども、これも一昨年からとれなくなって、そのためにカニ網に移った。しかし、それもとれない。非常に厳しい状況だ。クラゲをとって何とか食いつないでいるというんです。
ノリはことし、熊本の長洲から南の熊本にかけて非常に悪いという状況も報告されています。南部排水門からの大量排水で島原半島沿いがだめになっているという状況報告も上がっています。
農水省の皆さん、大臣、いつまで漁民にこの塗炭の苦しみを味わわせていくつもりなんですか。大臣、ノリの不作、そしてタイラギ休漁、クラゲをとるしかない、細々と食いつないでいる漁民の実態、この漁業環境の悪化をいかに受けとめておられますか。お答えいただきたいと思います。
○森山国務大臣 お答えをいたします。
有明海につきましては、赤潮や貧酸素水塊の発生等により、漁業が大きな影響を受けていると認識をいたしております。
具体的には、ノリについては毎年色落ちが発生をしておりますし、タイラギについては佐賀、福岡両県でタイラギ潜水器漁業が平成二十四年度から四年連続休漁しております。厳しい状況であるということは十分認識をしております。
有明海の再生は、国としても大変重要な政策課題でありますので、これまでも増養殖技術の開発、赤潮、貧酸素水塊発生機構の解明、覆砂、耕うん等による漁場環境の改善などに取り組んできたところであります。
さらに、平成二十七年からは、これまでの調査や現地実証の結果を踏まえ、国と有明沿岸四県が協調して、二枚貝類の水産資源の回復や海域環境の改善に取り組んでおります。
また、ことしは、有明海沿岸においてアサリの稚貝が多く発生しているという明るい兆しも一部見られておりますけれども、この稚貝の移殖に対しても支援を行っております。
引き続き、関係県と連携しつつ、漁業者等の御意見も聞きながら、有明海の再生に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
○田村(貴)分科員 大臣には自分のお言葉で語っていただきたいと思いました。
最後に、長崎地裁に対しては、三―二の開門方式であれば農業者に被害は出ないことを伝えていただきたいと思います。それから、開門を前提にしない和解協議はあり得ないこと、そして、国がそうしたことをちゃんと伝えて、和解協議でイニシアチブを発揮していただきたい、このことを強く要望したいと思います。
次の質問に入ります。
次に、奄美大島のミカンコミバエの発生問題について質問します。
昨年、鹿児島県奄美大島に果実や果菜類の害虫ミカンコミバエが侵入し、蔓延防止のために、農林水産省は昨年十二月、果物類、果菜類の移動規制を決めました。当時収穫期を迎えたポンカン、今収穫期のタンカンは、二月までに島全体で八百トンから一千トン廃棄される見込みであります。
お手元に資料を配付しております。順番が変わりますけれども、③です。
私は、去年の十二月に現地に行ってまいりました。この写真は、土の中に廃棄処分されるタンカンであります。ショッキングですね。この果実、ミカンの中に虫が入っているわけじゃないんですよ。しかし、混入する可能性が否定できないから廃棄処分となるわけなんですね。ミカンコミバエが広がらなければ、全国の店頭に、今、東京でもこのタンカンが店頭に並んだんです。これを一つもらって食べてみたんです。物すごくおいしい。年間の生産額が四億円、まさに島の主力であります。手塩にかけて育ててきたこの生産者の無念は、想像を超えます。
それから、 資料②として、奄美群島におけるミカンコミバエの誘殺状況を示した農水省の資料を配付しています。
ここでお伺いをしたいと思います。
果物、果菜類の移動規制を判断した、そのきっかけとなったのはいつの時点ですか。
○小風政府参考人 お答えいたします。
昨年九月以降でございますけれども、奄美大島南部を中心に、ミカンコミバエ種群が継続的にトラップに誘殺されました。誘引物質及び殺虫剤を塗布したテックス板を散布するなど、防除対策を講じてきておりました。
しかしながら、十月になりましてもミカンコミバエ種群の誘殺が多数確認されておりました。また、九月中旬以降には果実から幼虫が確認されたということもございます。奄美大島の特産品であるポンカン、タンカンなどが収穫時期を迎える中で、こうした果実を介して島外に蔓延する可能性がある、こういうことも踏まえまして、本虫の蔓延防止及び根絶に万全を期すため、専門家の意見も聴取いたしまして、奄美大島全島を対象として……(田村(貴)分科員「それはいいです」と呼ぶ)はい。
そういうことで判断した次第でございます。
○田村(貴)分科員 この農水省の誘殺状況の表から読み取れるものは何かというと、奄美市で六月三十日から七月六日に二匹、七月七日から十三日に九匹、七月十四日から二十日にかけて四匹、二十一日から二十七日に四匹が確認されている。二十八日以降は一カ月にわたってゼロでありました。
瀬戸内町においては、七月二十一日から二十七日に六匹、七月二十八日から八月三日にかけては二匹、その後、二匹、二匹、三匹、〇匹、一匹と続いていくわけであります。
この発生が六月時期に確認されたこと、そして、その数値については、島全体、どこまで共有されていますか。
○小風政府参考人 誘殺があった場合には、速やかに国、県、市町村が連携して対応することとしております。
本件につきましては、六月の奄美市における誘殺の当初から、鹿児島県、市町村と情報共有を行い、防除対策を講じてきたところでございます。
また、今次の奄美大島の本虫の誘殺に関しましては、島の中でのテックス板の設置に当たりまして、周辺の住民に対して、誘殺があったことを説明した上で、防除の協力を求めてきたところでございます。
○田村(貴)分科員 お話を聞いてきたんですけれども、結局、ミカンコミバエが発生した、誘殺状況で確認できたというんだけれども、しかし、これは行政内部での情報にとどまっておったわけですよ。生産者は知らなかったんですよ。生産者は知らないままにずっと過ごしてきたんです、長い期間。行政側からはチラシの回覧があったというだけなんですね。ミカンコミバエに注意、発生したんじゃない、注意と呼びかけられている。それは注意しろと言われたら、そうですねで終わっちゃうんですよね。手だてが打たれてきていなかったんですよ。
奄美市においては七月二十七日以降、瀬戸内町においては八月二十四日以降、ゼロとなっていたことに安心したんじゃないんですか。その後、九月から十一月にかけて急増期を迎えているんですけれども、生産者と住民に対する説明は、実に十一月に入ってから。説明会は十一月の九日でありました。
資料ですね、ここにおられるんですけれども、このポンカンの廃棄場で、生産者の方がトラックいっぱいに自分がつくったポンカンを持ってきて、全部捨てるわけですよ。そのときに、こう語っていただきました。見方が甘かったんじゃないか、行政も、そして自分たちも。発生していることがわかっているんだったら、誘殺剤、テックス板の散布など幾らでも手は打てた、何でもしたのにと本当に悔しがって言われたんですよ。
発生確認後から、危機意識を持って、そして情報を全島で共有し必要な対策を打つべきではなかったのか。私は、島の皆さんからそう聞いて思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小風政府参考人 七月以降でございますけれども、県、市町村、防疫所で現地対策会議を奄美市におきまして随時、十回にわたり開催しております。
また、チラシの回付もいたしまして、情報の提供をしております。(田村(貴)分科員「回覧ね」と呼ぶ)はい。
それから、七月下旬の瀬戸内町の誘殺時におきましても、トラップの増設など調査体制を強化いたしました。また、テックス板の設置、ベイト剤の散布など防除対策も講じまして、本ミカンコミバエの発生の終息を図ってきたというところでございます。
しかしながら、十月になりましても、ミカンコミバエ種群の誘殺が多数確認されます。また、九月中旬以降に果実から幼虫が確認されたということで、奄美大島の特産であるポンカン、タンカンの収穫期を迎えるということもございまして、専門家の意見を聞きまして、十二月十三日から植物防疫法に基づく緊急防除ということに取り組んでおります。
○田村(貴)分科員 時間がないんだから、聞いたことに答えてくださいよ。
情報をやはり全島で早目に共有すべきでなかったのか、見通しが甘かったんじゃないかと聞いているんですよ。いかがですか。
○小風政府参考人 六月末に奄美市で誘殺されましたミカンコミバエの一群は、七月に講じました初動の防除後、約一カ月間はゼロの期間が続いて、一旦終息したのではないかというふうに考えております。
また、七月下旬以降に瀬戸内町で誘殺されました一群につきましては、その誘殺の状況から判断いたしますと、初動防除によって終息に向かった。しかしながら、風の状況を勘案いたしますと、九月になって新たな飛来があった可能性が高い、また、その後も断続的な飛来があったということが考えられると思います。
このような状況のもとで、十月の誘殺状況、それから果実の幼虫の確認状況、こういうことも専門家の意見を聞きながら防除対策を講じたということでございます。
〔小倉主査代理退席、主査着席〕
○田村(貴)分科員 真夏の時期に確認されて、その後ゼロが続いたから、やはりこれは安心した。私は、対策を本当に甘く見ていたんじゃないかなと思います。
今をもってしたら、誘殺トラップだって、あのときから今は三倍にふやしているわけでしょう。そして、テックス板にしたって、今は二十万枚ぐらい空中から散布して対策しているわけじゃないですか。それは、専門家の意見も聞き、今、危機意識を持ってやっているわけじゃないですか。
だから、当時の判断としては、本当に、生産者にも伝えていない。回覧板を回すだけ。注意を呼びかける。それじゃだめなんですよ。対策していると言えないんですよ。だから、見通しが甘い、判断ミスがあったんじゃないかと聞いているんです。
判断ミスはなかったんですか。もう一度聞きます、局長。
○小風政府参考人 お答えいたします。
誘殺があった地点周辺でございますけれども、半径二キロにおきましては、テックス板の設置を強化しております。また、周辺の五キロ以内におきましては、トラップの設置も強化しております。誘殺があった地点ではそのような防除は緩めていない、協力を説明しながら、防除にしっかり取り組んできたというふうに考えてきております。
○田村(貴)分科員 なかなかお認めになられませんけれども、私はこの状況をずっとこの間聞いてきたんですけれども、担当者の口からは、ミスという言葉がありましたよ。だから、しっかりお認めになったらいかがですか。教訓を生かさないと、また同じことが起こるんですよ。そうであってはいけない。この全量廃棄を見て農水省が痛痒を感じなかったらだめですよ。
テックス板を、この冬、十二万枚、十五万枚、二十七万枚を空中で散布してやってきた。誘殺トラップにしたって、当時から三倍以上ふやしてきた。これだけの対策を何で六月の時点でやっておかなかったのか。そして、同じ鹿児島県内でも、ミカンコミバエの発生を確認しなくても、テックス板を散布して予防策を張っているところだってあるわけなんですよ。だから、私は、この奄美大島の一件というのは、やはり状況の見通しが甘かったと言わざるを得ないというふうに思います。
大臣にお伺いしたいと思います。
手元に持ってきたのは、奄美大島の地元紙、奄美新聞であります。一月一日のお正月の特集で、こんなに大きく報道されています。生命線の島外出荷絶たれる、継続できる支援、防除策訴え、奄美果樹農業、危機乗り越え再生を、早期根絶へ、防除対策の強化急務と。強化急務が図られてきています。はなからやっておけばよかったんですよ。私は本当にそう思います。
今から気温も上がってくる、そして、一番最初の収穫はスモモ、その後、マンゴーとかいろいろ続いていくわけです。状況は心配されます。駆除がしっかりと、今対策がとられているか、そんなところを大変危惧するところなのでありますけれども、やはり、島の主力の果実類がしっかり栽培できて、安心して島外に出荷できて全国の消費者の方に喜んで食べていただける、これが島の思いであります。私も九州ブロックです。大臣も九州です。生産者の気持ちはよくわかると思うんです。
ですから、やはり今回の教訓を生かして、島の主力、果実の栽培、それから農業に安心して取り組めるよう取り組みを強化していただきたいし、特段の力を発揮していただきたいと思います。
繰り返しますけれども、今回の移動制限は、行政の判断次第では回避できたというふうに私は思っています。そう思っておられる生産者、島民の方も大勢おられることを申し上げて、大臣の今のお考えをお聞きしたいと思います。
○森山国務大臣 私も、参議院の時代から、奄美の皆さんが大変な努力をされてタンカンやポンカン等を主要作物に育て上げてこられたのはよく理解をしております。今回のミカンコミバエの問題というのは、本当に胸の痛い話でございました。
いずれにいたしましても、今回のことを契機にして、トラップの配置というのが適正であったのかどうか、一番現場がわかっておられるのは農家の皆さんですから、農家の皆さんも今回いい教訓であったと思いますし、できるだけ今後こういうことが起きないように、いろいろな見直しは積極的にさせていただきたいなというふうに思っております。
一年、精魂込めてつくってきた作物を廃棄しなきゃならないことほど農家にとってつらいことはありません。いずれにいたしましても、今後も、専門家の方々の意見も聴取させていただきまして、二度と再びこういうことが起きないように農水省としても努力をさせていただきたいと思っております。
今回は、本当に農家の皆さんはよく頑張っていただいて、短期間に終息できるのではないかというところまで頑張っていただいていることは本当にありがたいことだと思いますし、何としても短期間に終息をさせて、再生産に意欲を持って取り組んでいただけるように農林水産省としても努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田村(貴)分科員 大臣の思いはわかりました。
一番教訓としなければいけないのは、生産者ではありません、これは行政であります。そのことは重ねて申し上げておきたいと思います。
植物防疫官……
○鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので、よろしくお願いします。
○田村(貴)分科員 わかりました。
大変重要です。この人員確保もしっかりと進めていただきたい、そのこともお願いして、質問を終わります。