NHKの2016年度予算案は22日、衆院総務委員会で採決され、日本共産党、民主党、維新の党、社民党が反対しましたが、自民党、公明党、おおさか維新の会が賛成して承認されました。籾井勝人会長が14年1月に就任して以降、3年連続で全会一致での賛成が得られない異常事態となりました。
採決に先立ち、日本共産党の田村貴昭議員が反対討論に立ち、(1)籾井会長の発言への視聴者、国民の批判が高まっている(2)相次ぐ不祥事の全容解明と説明が尽くされていない(3)リスクの高い海外の営利事業に対する2億円の出資―などの問題点をあげ、「予算の承認にあたっては、予算の立案・執行における経営姿勢が問われる」とのべました。
委員会の質疑で田村氏は、子会社におけるずさんな経理、職員の危険ドラッグ使用やタクシー乗車券の不正使用をはじめとした不祥事が続発する状況について、「予算審議の入り口に立てない異常事態」だと指摘。とくに、子会社「NHKアイテック」の社員が架空工事の発注で2億円を横領していた事件をあげ、「NHKを含め、営利主義に立っているからではないか」と、打開策を提示するよう求めました。
NHKの井上樹彦理事は「コンプライアンスの徹底や指導監督の強化を図っていきたい」と答えました。
梅村さえこ議員は、NHKの信頼回復に向けて「役員や全職員が公共放送のジャーナリストとしての自覚に立ち、視聴者・国民との間で緊張感を持つことが問われている」とのべた上で、籾井会長に対し「視聴者・国民の信頼を得ると言いながら、まっすぐ声を聞く改革が見えてこない」「視聴者から会長に意見を言う場がほしいという声にどう答えるのか」とただしました。
また、梅村氏は過去最大規模となったNHK予算について、受信料負担軽減の検討や、国民生活センターに寄せられている受信料の契約時の強引なやり方を改めるよう要求。官民ファンドへの2億円の出資は「NHKが商業主義に踏み込むもの」だとして反対するとのべました。
予算案は24日の衆院本会議にかけられる見通しです。
(しんぶん赤旗 2016年3月23日)
※ NHK予算関連記事 (しんぶん赤旗 2016年3月23日)