190-衆-地方創生特別委員会 企業農地取得やめよ 田村貴氏 特区法改定案を追求 共産党は反対/避難所の環境整備求める 田村貴昭議員 政府の対策を確認

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 宮本岳志議員に続いて、また新手のひどい特区の話についてお伺いしたいと思います。
 農地法等の特区について質問をいたします。
 昨日の連合審査でも、企業の農地取得を認める特例措置についてさまざまな質疑がありました。
 私は、きょう、鹿児島県の薩摩川内市の唐浜ラッキョウの取り組みについて少し紹介したいと思います。
 リース方式で企業参入に挑戦してきた、苦労をされてきたところの話でありますし、日本農業新聞、ことし二月二十四日付でも紹介されました。私も、現地に事実を確かめてきたところであります。
 薩摩川内市は、二〇〇四年から唐浜らっきょう生産振興特区を推進してきました。企業参入を導入しました。その背景には、全国的にも共通する課題でもあるんですが、生産者の減少、地元の貴重な特産品を何とか維持して生産を拡大したいということでありました。そこで、やってみたんですけれども、スタート時は七社が参入いたしました。しかし、撤退が相次ぎました。現在は、企業参入で残っているのはゼロになったと伺っています。
 農林水産省、お越しでしょうか。唐浜らっきょう生産振興特区の参入と現在残っている企業参入については私が今話したとおりでしょうか。事実確認をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。


○山北政府参考人 お答えをいたします。
 鹿児島県の薩摩川内市におきましては、平成十六年六月に構造改革特区の認定を受けまして、リース方式による企業参入を進めたところでございます。
 具体的には、地元の建設会社などの七社の企業が遊休農地を借り受けて農業に参入いたしまして、地域の特産品であったラッキョウの生産を行ったところでございます。
 しかしながら、本業の経営ですとかあるいは農業経営が不振であったことから、平成二十六年の六月までに七社全社が農業から撤退したと承知しているところでございます。
 なお、現在、これらの企業が借り受けていた農地につきましては、全てリース契約が解約されまして、多くは他の担い手が耕作を行うなど適正な農地利用が行われているものというふうに承知をしているところでございます。


○田村(貴)委員 リース契約方式での賃借は三年契約だったんですね。しかし、一作で三社が撤退をいたしました。やはり企業は、赤字や倒産のリスクがあります。薩摩川内市の場合、相次いで企業が参入したが、次々に撤退していく、市の農業公社が新たな農業者を確保して事なきを得たのが実態である。今おっしゃったとおりです。市の担当者の方もこういうふうにおっしゃっていました。これはまだ農地の取得が企業にはされていないから、農業公社が間に立って何とか生産が維持されてきたということを示しているのではないでしょうか。
 再び農林水産省にお伺いします。
 国家戦略特区内で企業が農地取得をするには、改正案第十八条一項で掲げる一号から三号の要件の全てを満たしている法人としています。そういう法人について、農業委員会は農地の取得を許可することができるとしています。例えば、適正でない利用の仕方をした場合にはその農地を自治体に移転する旨を自治体と企業との間の契約でうたうとしています。また、同条第六項では、適正でない利用などがあった場合は、農業委員会がその旨を地方公共団体に通知するとしています。しかし、これでは、一旦は農地の不適正な利用が起こることになってしまうのであります。
 安倍総理は、第十九回国家戦略特区諮問会議の関係で、よそ者の企業は農地を荒らすのではないかという地域の懸念を払拭するため、企業の負担で原状回復する仕組みを設けたのですと言われています。企業の負担で原状回復する仕組みは、法案のどこに担保されているのでしょうか。説明をいただきたいと思います。


○山北政府参考人 今御指摘のありました二月五日の国家戦略特別区域諮問会議におきまして、総理発言でございますが、養父市が、農地を所有して農業を行う企業に対しまして一定の負担、十アール当たり十五万円ということでございますが、を求める条例を制定したことに対しまして、その意気込みを評価する発言を行われたものというふうに認識をしているところでございます。
 今回の特区におきます農地所有の特例におきましては、企業が農地を適正に利用していない場合には農地の所有権を企業から当該地方公共団体に移転することとし、その旨の書面契約を企業と地方公共団体との間で締結していることを要件としているところでございます。
 このため、企業が仮に耕作放棄をするような場合には、地方公共団体に農地の所有権そのものが移転されることから、地方公共団体が責任を持って確実に原状回復することができる仕組みというふうになっておりまして、養父市の条例より今回の特区特例の方が厳しいものであるというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 それでは、なぜ自治体と企業の間の契約でしか担保ができないのでしょうか。法による事前の防止規定というのは、この特区ではないのでしょうか。


○山北政府参考人 お答えいたします。
 二十一年の農地法の改正によりまして、リース方式の場合には企業の全面参入が認められているわけでございますが、こういったリース方式の場合にも、法律上は、企業が農地を適正に利用しない場合にはリース契約を解除する旨の書面契約の締結を義務づけているところでございます。契約解除の際の原状回復責任ですとかあるいは費用負担につきましては、当事者間の契約書において定められているところでございます。
 今回の特区特例でも、原状回復の担保の具体的な仕組みを法定しているわけではございませんけれども、今回の措置でリース方式の原状回復措置とのバランスがとれておりまして、また、今回の特区特例というのは、地方公共団体が責任を持って取り組むことを前提に強い要望があったものでありますから、地方公共団体には責任を持って適切に運用していただけるものというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 所有権を移してしまうから契約でしか担保できないということです。
 法定はしていないと今お話がありました。では、ずっとこの委員会でも論議されていますように契約が守られなかった場合に、自治体としてはどのような対策、対抗措置を打てるんでしょうか。これは訴訟しかないということなんでしょうか。その辺について説明していただきたいと思います。


○山北政府参考人 特区で参入いたしました企業が撤退する場合におきましては、契約に基づきまして農地の所有権が地方公共団体に移転されることとなるところでございます。この際の原状回復責任ですとか費用負担につきましては、当該地方公共団体と企業との間で契約書にあらかじめ定めておくべきものでございまして、地方公共団体に責任を持って判断していただくというふうにしているところでございます。
 また、仮に株式会社が破産したり資力がない場合というのは、実際上、市町村が原状回復を行うこともあり得ると思いますので、こうした点も含めまして、地方公共団体においては契約の内容を慎重に検討することになるというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 企業が撤退してしまう、あるいは経営破綻に追い込まれる、そうしたことも想定しておかなければならないというふうに思うわけです。
 例えば、その法人が逃げてしまったら、行方をくらまして所在がつかめなくなってしまったら、契約そのものをほごにし、そして自治体に権利をまた譲るということができるんでしょうか。相手側が逃げてしまったら、契約について変更手続もできないのではないかなというふうに思うんですけれども、そうした場合についてはどういうふうな措置が講じられるんでしょうか。法人がつかまらない場合。


○山北政府参考人 今回の措置におきましては、先ほど申し上げましたように、企業が農地を適正に利用していない場合には地方公共団体にその所有権が移転するということでございます。その所有権の移転につきましては、地方公共団体は不動産登記法によりまして遅滞なく仮登記の嘱託をするということでございますので、その登記に基づきまして確実に所有権が地方公共団体に戻るということでございます。


○田村(貴)委員 それでは、その法人が経営破綻を招いたときにはどういうことになるんでしょうか。例えば会社更生法とか、あるいは経営破綻に追い込まれてしまった、莫大な債務を持ってしまった、その債権者に農地等が担保あるいは債務としてとられてしまう、そうしたことになってしまった場合に、どういうふうに自治体は取り戻し、原状回復ができるのか、このことについてもお聞かせいただきたいと思います。


○山北政府参考人 お答えをいたします。
そういった場合には、所有権としては地方公共団体に戻るということでございますので、そのときのコストが地方公共団体の負担になるということはあり得るというふうに思っております。そういうことを含めまして、今回の制度を運用するに当たっては、地方公共団体においてその契約の内容を含めて慎重に判断されるものというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 先ほどの唐浜のラッキョウのリース契約でも、リース契約で本当によかったと言われています。
 採算が合わない、もうけにならないといったら、やはり撤退するわけですね。撤退したときにいわゆる係争事案になってしまう、調停やあるいは裁判になってしまう、これは自治体にとってはリスクを負ってしまうわけです。それから、原状回復にしたって、自治体の自己負担になっていくということは明らかでありますね。そうしたことも含めて議論をしなければいけない、そういうこともしっかりと捉えておかなければいけない、私はそういうふうに考えるわけであります。
 所有を企業に一旦移してしまうということで農地としての適正な利用と保全が保っていけるのか、やはり懸念は残るわけであります。今質問してきましたように、農地の保全という点でも、所有権を移した方がいいのだろうという合理的な理由は私は見出せません。
 先ほど紹介した日本農業新聞の記事では、撤退した元建設会社の社員の方の話が紹介されています。人件費の見通しが甘く大赤字だった、もしも当時農地を所有していたら、資材の置き場にするか転売していただろうというふうにおっしゃっています。また、JA北さつま川内営農センター長は、リース方式での企業参入は歓迎だとしながら、所有は別問題だとおっしゃっています。記事では、採算が合わないと企業は撤退しやすい、後に残った農地の保全が、周囲の農業者や住民にとって重い問題になるというところまで指摘されています。
 これは、リースの特区を活用したいわゆる企業の農地利用についての歴史的な経験則であります。こうした経験則を踏まえてみるならば、やはり私は、所有権を移転する、企業に農地を明け渡す、こういう特区のやり方はやってはいけないというふうに考えます。
 日本農業新聞の記事にも、企業が経営判断で撤退して維持できない農地が出ても、リースだから農地を守れたというふうにあります。私の事務所の方からも薩摩川内市の方にお聞きしますと、それがやはり当時の実感であったというふうに述べられています。
 今度の改正案で、安倍総理が言うように、地域の不安の払拭につながっていくんでしょうか。かえって不安と懸念が大きくなるのではないでしょうか。なぜ農地取得を可能とする改正案が必要なのかという問題になってきます。
 どれほどせっぱ詰まったニーズがあるのか、これは全国的にどれほど引き合いとかニーズの声が上がっているのか、このことについて教えていただきたいと思います。


○佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。
 私どものところには、農業を安定的、長期的な経営基盤のもとでやりたい、あるいは大規模経営とか六次産業化に取り組んでいきたいというところから農地の所有を求めるニーズが届いてきております。
 それは、一つには、リース方式といいますのはもちろん有効な手段ではございますけれども、契約の更新に伴いまして賃借料が変更されたり、あるいは、十年以上の期間のものにつきましては更新ができない、そういうリスクも考えられるということもございますし、また、そのリース期間において投下した資本を回収して営農をやっていくのには短過ぎるというようなこともあるわけでございます。
 要望でございますけれども、養父市を初め全国の自治体や事業者から、平成二十五年から二十七年にかけまして合計二十件の提案が寄せられております。
 具体的なニーズでございますが、例えば養父市におきましては、農地を所有する意向を示している法人につきましては、数千万円の追加出資を行い、耕作する農地面積を十ヘクタール程度に拡大したい、拡大に当たっては、特例を活用して休耕田を取得、所有し、農地の再生を行いたいというようなことで、具体的な希望を持つ企業の声を養父市を通じて聞いているところでございます。


○田村(貴)委員 ちょっと驚きました。全国からこの特区についてわんさかわんさか引き合いとか要望が起こっているのかなと思っていましたけれども、三年間でわずか二十件ですか。その程度の要望ですか。それで、ずっと生産者が日本の食料とそして食料主権を守るために、自給率を上げるために頑張って守ってきた農地を営利を目的とする企業に譲り渡す、そういう特区を今切り開いていいのかなという思いが率直に私はあります。
 最後に石破大臣にお伺いしたいというふうに思いますけれども、ことし三月二日の国家戦略特区諮問会議での「国家戦略特区における追加の規制改革事項等について」ということの中身であります。
 企業による農地取得の特例について、喫緊の課題である担い手不足や耕作放棄地等の解消を図ろうとする国家戦略特区において、農地を取得して農業経営を行おうとする法人について、地方自治体を通じた農地の取得や農地の不適正な利用の際の当該自治体への移転など一定の要件を満たす場合には、農地の取得を認める特例を今後五年間の時限措置として設けるとしたわけなんです。そして、今度の改正案になっております。
 薩摩川内市の事例からいっても、企業による農地取得の特例が、喫緊の課題である担い手不足や耕作放棄地の解消、これには役立っていないどころか、それは危険であり、やってはならないというふうになってきたと思います。
 石破大臣、以上のように、私は、きょう、ラッキョウのリース特区の話を引き合いに話をさせていただきましたけれども、こうした特区による農地の企業取得についてはやめた方がいいと思います。いかがでしょうか。


○石破国務大臣 この川内市の事例は私も報道で拝見をいたしておるところであります。そこでいろいろな方がいろいろなことをおっしゃっておられて、企業が経営判断で撤退して維持できない農地が出ても、リースだから農地を守れたのだ、見出しもそんな形になっていたと思いますが、今回の法案は、リースによらずして所有権の移転という形をとっても農地が守れるという仕組みになっております。確かに、手続というものは踏まなければいけませんが、リースでなければ農地は守れない、所有権が移転をすれば農地は守れないということであれば、このような提案はいたしておりません。そのように対応しているものでございます。
 もう一つは、農業参入をするという場合に農地を持てばマイナスになるよというのは経営者の常識だというような、そういう報道もあったやに承知をいたしておりますが、それは経営者の判断というものなのでしょう。先ほど、うまくいかなかった例で、人件費の見積もりが甘かったという話ですけれども、そんなものはそもそも参入するなという話なのです。
 私も、農林水産大臣をやっておりましたときに、かなり企業の農業経営というものの例は見てまいりました。農業は企業が簡単に入れるほど甘いものではないというのは承知をいたしておりまして、所有権を持つという形態ではありませんが、企業が農業の経営から撤退をしたという例も多く承知をいたしております。ですから、今回は、どういう企業が農地を保有するのかということは、行政において相当に厳しく見ていかなければならない。間違っても、人件費の見積もりが甘いなどという、そんなものが農地を保有するようなことはあってはならないことでございます。
 ですから、どういう企業が参入をしていくのかということは、農地の重要性に鑑みてよくよく吟味をし厳選をしていかなければいけないと思っています。これが、仮に自治体が農地を買い取らなければいけないような、そういう事態が生起したとするならば、何でそんなのを選んだんだという話になるのだと私は思っております。
 やはり所有権というオールマイティーの権利を持つことによって、長期的な農業の経営の展望が可能なのではないか。リースの限界というものがあるのは、政府参考人から御説明したとおりでございます。リースの方が安いよね、農地を保有するとコストがかかるよねということを承知の上で、なおかつ転用しないでこういうものに参入するというものはよほどの企業だというふうに思っておりまして、そこからまた新たな展開というものがあるというふうに考えております。
 したがいまして、今回の提案もそういうような考えに基づいてやらせていただいておるものでございますので、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。


○田村(貴)委員 リースでも取得でも、破綻するときは破綻する、撤退するときは期日を考えずに撤退する、これが利益を追求する企業のあり方であります。農業、農村に新たなもうけの場を広げたい財界の従来からの要求に基づくやり方、そして、地域の農業振興に心を砕いて必死に特産品の維持やあるいはその拡大のために頑張る農家の人たちの苦労を考えたら、今度の農地取得の特例を設けることには私は反対であります。

 次の質問に移ります。
 熊本地震と被災者の支援について質問をいたします。
 新聞の見出しにこういう題字が躍っています。避難所生活、近づく限界、衛生悪化、感染症懸念。避難所、ひしめく人々、廊下が寝床、絶えぬ往来。避難所の生活環境の改善が緊急かつ重要な問題になっています。
 内閣府政策統括官、被災者行政担当参事官が十五日に熊本県に通知をした、「避難所の生活環境の整備等について」という文書があります。これによりますと、一日も早く被災者の方々の生活環境を整えることが重要である、特に高齢者や障害者等の要配慮者及び女性や外国人についても十分な配慮が必要であるとしていますけれども、十五日に参事官が発したこの文書、そのとおりでしょうか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおりでございます。


○田村(貴)委員 そして、避難所の設置期間の長期化が見込まれる場合には、次の備品を整備し、被災者に対するプライバシーの確保、暑さ寒さ対策、入浴及び洗濯の機会確保等、生活環境の改善対策を講じることとして、その備品については、簡易ベッド、畳、マット、カーペット、冷暖房機器、テレビ、ラジオ、仮設洗濯場、簡易シャワー、仮設風呂、仮設トイレとあります。
 熊本で、発災から十一日たちました。発災翌日にはこの通知が発せられているわけであります。にもかかわらず、圧倒的多数の避難所ではこうした備品は到着していません。私は、熊本に三日間入って、複数の自治体、避難所を回って見てきました。なぜなんでしょうか。
 二十三日に、熊本市の六百名が避難する都心の避難所を訪ねました。それから、阿蘇市の大きな避難所も見て回ってまいりました。入った人みんな言います。かたい床に、まあ段ボールがあれば。あるいは、ウレタン製の薄いマットを敷いて寝ている。足の悪い方は本当につらそうであります。広い体育館に十日たっても畳一枚入っていない。間仕切りも皆無。洗濯機など見たことない。十日間、お風呂に入りたくても入れない。ウエットティッシュで体を拭いている。きょうもテレビのニュースであっていました。
 二十四日に同僚議員が、益城町、御船町、熊本市を回ってきましたけれども、私と同様の調査結果でありました。
 参事官にお尋ねしたいと思います。
 自治体の手だてが打たれていないのでしょうか。それとも、打つ余裕がないのでしょうか。だとすれば、通知を出した政府、内閣府として今どのような対応をされているのでしょうか。お伺いします。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 自治体におきましては、地震発災後の対応にやや混乱等も生じているような事情もあるように伺っておりまして、まだ御指摘のような実態がありますのはそのような影響があるのかというふうには思っております。
 内閣府といたしましては、なかなか、直接個別の避難所に改善措置を講ずるということが難しい面もございますけれども、改めて、発しました通知の趣旨を再度徹底する等、必要な対応をとってまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 私は、この熊本県の災害救助担当に出した通知というのは非常に大事だなと思っています。ここに書いてある避難所の設置、備品については、本当に必要であります。だからこそ、あるべき姿をぜひ実現していただきたい。しかも、喫緊の課題です。速やかに実現していただきたい。
 自治体の方は、これらの備品については発注しているんでしょうか。必要なところにこれらの備品が届く、一応そういう段取りになっているんでしょうか。それさえもつかめていないのか。その点についてはどうですか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 避難所で必要としております物資につきましては、発災後、当分の間ということで、内閣府の方でも取りまとめて直接お送りするような体制はとっております。
 ただ、やはり、具体的にこういうものが必要であるというような情報が十分に届いてこないような面が今までございまして。ただ、その状況も徐々に改善はしつつあるように聞いておりますので、今後しっかり対応してまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 聞いている。ちょっと他人事のように聞こえますよ。通知は出したら、これはおしまいですか。通知は努力目標なんですか。地震の恐怖に日々おびえて暮らしている方がおられます。家を失った、家族も失った、塗炭の苦しみと悲しみの中にある被災者がおられるわけです。けがをした人、仕事に行くこともできない市民が多数おられます。心身ともに落ちつく場所をつくっていくのは政治と行政の役割ではありませんか。
 「避難所の生活環境の整備等について」、この文書は、被災者行政担当参事官名で出されています。この参事官というのは中村参事官、あなたですね。そうですね。お答えください。


○中村政府参考人 お答えします。
 現在その参事官の任にあるのは私でございます。


○田村(貴)委員 そうであるならば、避難所のあるべき姿を自治体に求めた責任者として、これらの備品の確保と提供のめどについて明らかにすべきであります。
 この委員会でめどについて明らかにすることはできませんか。発災から十一日たって、畳一枚、マット一枚、そして間仕切りもない。洗濯機もない。お風呂にも入れない。それ以上のことはいっぱいあるんですけれども、まずは落ちついて安心して寝ることができる、その体制をとることが今一番求められている。だから私はこれにこだわるんです。
 備品について、確保と提供のめどについて、参事官、今どのようにお考えでしょうか。自治体から聞いているじゃだめなんです。どうですか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 現場の避難所において充足しているかどうかということでございますので、私どもの確認する手だてとしては、基本的に自治体の方にお尋ねするということがむしろ一番確かな情報ルートなのではないかというふうに思っております。


○田村(貴)委員 この文書を発した一番の責任者としては、私は今の発言は少々無責任に聞こえるというふうに思います。
 いろいろ聞きたいことがあります。被災者の正確な掌握について、これはぜひ進めていかなければなりません。
 内閣府が毎日発表している被害状況等についての資料があります。インターネットでもとれます。四月十九日発表分までは、熊本県、屋外避難者なしと記載されています。誰がどう見ても、テレビの映像、新聞の報道を見ても、屋外避難者なしなどという状況にはありません。なぜ、なしとしてきたんでしょうか。お答えできますか。


○中村政府参考人 私の方ではちょっと承知をいたしておりません。


○田村(貴)委員 それでは、強く求めたいと思います。
 指定避難所、自主避難所、車中泊を初め屋外で過ごす被災者をできるだけつかむ。指定も、そして自主避難も、屋外、テントの人、車中泊の人、これをやっている自治体はあります。甲佐町とか、一部でやっているところがあります。できます。そして、車中泊の人にも、状況はどうですかと、そして、食事を提供している自治体があるんです。これを被災地全県でやらないと次の手を打つことにならないわけなんです。
 私が行った避難所では、私の住んでいる地元北九州市からの頼もしい職員派遣があっていました。それから、ボランティア志願の方もたくさんおられます。列をなして、自分でできることはないかと、今、熊本でボランティアにいそしむ方がふえている。だから、マンパワーは確保されつつある。そういう掌握はできないはずはないと思うんですよね。
 まずは正確な被災者、避難所、避難者の数をつかむ、これは大事だと思うんですけれども、どうされますか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 正確な実情をつかむ必要があるということは、私も全くそのとおりだと存じます。したがいまして、今御紹介のありました、きちっと把握している事例を至急調べさせていただきまして、必要な措置を検討したいと思います。


○田村(貴)委員 朝も夜も、それから御飯だけをとりに来た町民の方、それから車中泊でお弁当を届けた、おにぎりを届けた、そんなところまでカウントしている自治体もあるわけですから、これはやはりやろうと思ったらできることなんです。やらなければ次に進みません。
 この行政が発表しているカウントというのは、指定避難所の被災者だけの数になっているんでしょうか、それとも自主避難者も含めての数になっているんでしょうか。ここはちょっとわからないんですけれども、教えてください。


○中村政府参考人 政府におきまして集計をしております避難者の数といたしましては、指定避難所かどうかといった区別はしておりません。


○田村(貴)委員 わかりました。避難所の被災者についての数は全て含まれていると。そうしたら、今度は、避難所そのものの掌握もしていただきたいというふうに思います。本震を受けて指定避難所がダメージを受けて、そして閉所となって、被災者が退所を迫られた。この委員会でも、私、参事官と何回もやり合ってきました。NHKの調査によれば、指定避難所になっているのに使えなくなったところが四十カ所、そして施設の一部に被害が出ているところが三十四カ所になっているとの報道であります。これはもうすごい数であります。行き場を失った被災者の方、そうした避難者の方の対策を急いで進めていただきたい。この間から言っているとおりです。これは要望にとどめておきたいと思います。
 それから、被災家屋の掌握についてであります。これは国土交通省の方にお伺いします。
 被災家屋の掌握、二次災害防止のためにも、被災建築物応急危険度判定が今まさに急がれています。全国からの判定士も百五十人から六百人に増員されたというふうにも伺っております。応急危険度判定をいつまでに終わらせていくか、めどをつけて取り組む、そういう時期に来ているというふうに考えますけれども、国交省、いかがでしょうか。


○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
 被災建築物の応急危険度判定は、余震などによる二次災害を防止するとともに、被災した自宅を使用しても大丈夫かどうかを確認するため、被災した住宅や建築物について、倒壊の危険性や外壁、窓ガラスの落下などの危険性を判定するものでございます。
 熊本県では、益城町と熊本市におきまして発災翌日の四月十五日から判定活動を開始いたしまして、これまでに十市町村において判定活動が行われてございます。
 国土交通省におきましては、判定士の人員確保に向け、全国からの広域的な応援に関する調整を行っているところでございまして、委員御指摘のとおり、四月二十三日以降は約六百名体制で判定を促進してございます。この結果、昨日までに、延べ二千二百五十人体制で二万三千八百五十七件について判定が行われてございます。
 判定の終了時期につきましては、菊陽町が四月二十三日、益城町が四月二十四日、山都町が四月二十五日に当初予定分を完了してございます。その他の市町村につきましても、今、六百人体制で動員をかけて実施してございますので、地元の状況を踏まえつつ、できる限り速やかに実施してまいりたいというふうに考えてございます。
 一日も早く判定活動が完了できるよう、国としても全力で支援してまいります。


○田村(貴)委員 大型連休前、あるいは連休をまたいでということになるんでしょうか。ある自治体に行きましたら、なかなか把握は人手不足でできないということで、もう連休明けになってしまうんじゃないかと言われていましたけれども、その辺のめどについてはいかがですか。


○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な日時につきまして確定的なことは申し上げられませんけれども、六百名体制になりまして、一日五千件とか六千件とかいったペースで進めてございますので、できる限り早く当初分の実施の完了を目指したいというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 先ほどの「避難所の生活環境の整備等について」に戻るんですけれども、福祉避難所について、これは今一番大事です。
 災害弱者、どこに行けば、福祉避難所の人手不足。福祉避難所、機能せず、周知なし、人も足りず。こうした新聞の見出しを見るに、やはり心が痛みます。一般の避難所での生活が厳しい高齢者や障害者の受け入れができない深刻な事態となっているわけであります。受け入れるスペースはあったとしても、支える側の職員、専門職がいないとの理由であります。
 参事官の通知では、高齢者や障害者等の要配慮者のニーズを把握し、必要な対応を行う、社会福祉施設等の協力も得つつ、福祉避難所を設置するなどの措置を講ずることとされています。しかし、指定福祉避難所百七十六カ所のうち機能しているのは三十五カ所、利用者は百四人、そういう報道もあっています。これはどうしましょうか。すぐに手だてを打たなければなりません。
 要配慮者のニーズを把握して、福祉避難所の強化を急いで進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 福祉避難所の機能が図られるように対処していかなければならないということは、確かに私もそのとおりだと思いますので、繰り返しになりますけれども、改めて、自治体に働きかけを行ってまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 どうもきょうは煮え切らない答弁が多かったんですけれども。地震の発生をとめることはできません。しかし、災害関連死は、行政と政治の力でとめることができます。被災者の掌握、車中泊の被災者、屋外被災者にもしっかりと支援の手を差し伸べていただきたい。そして、自主避難所にも支援物資を届けて、避難所と同じ支援をやっていただきたい。人間らしく生活できるように避難所の抜本改善を、きょうやる、あしたは、次はここまでやる、そういう目標とめどを持ってしっかりとやっていただきたい。私たちも頑張って支援物資を届けて、また調査活動に赴きたいというふうに思います。
 きょうはここで終わりたいと思います。以上で質問を終わります。