190-衆- 地方創生特別委員会 国家戦略特区・ライドシェア問題と、熊本震災 災害関連死を防ぐために政府は全力を 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 国家戦略特区法の一部改正案、自家用自動車の活用拡大について質問をいたします。
 改正案によれば、主な運送対象者は訪日外国人を初めとする観光客とありますけれども、これは訪日外国人に限定するのでしょうか。日本人旅行者やあるいはビジネスマンも運送していいのでしょうか。説明を受けたいと思います。


○持永政府参考人 御説明申し上げます。
 今般、国家戦略特別区域における特例措置として設けようとしておりますものは、交通が著しく不便な地域におきまして、訪日外国人を初めとする観光客の輸送ということを主な目的としております。
 具体的な輸送の対象でございますけれども、外国人観光客だけではなくて日本人観光客が含まれておりますし、このほかに、御質問のありましたようなビジネス客等の利用も排除するものではございません。


○田村(貴)委員 一の市町村、すなわち、運送主体の地域住民も、これは乗っていいということでしょうか、イエスかノーかで結構です。


○持永政府参考人 地域の住民につきましても、その利用を排除するものではございません。


○田村(貴)委員 では、なぜ訪日外国人というところが一番目立ってしまうんでしょうか。だとするならば、なぜ、地域住民が事前協議にも、そして国家戦略区域会議にも参加する仕組みになっていないんでしょうか。
 これまでの、地域住民を対象にした自家用有償運送では、地域関係者による合意が必要とされ、地域公共交通会議ないし運営協議会には地域住民等が参加する仕組みになっていたはずであります。ここが変わってしまいました。なぜでしょうか。


○持永政府参考人 御説明申し上げます。
 今回の特例措置につきましては、訪日外国人を初めとする観光客の輸送、これを主な目的として創設するものでございます。
 そういった意味におきまして、従来のその制度、こちらの方は通院ですとか買い物といった、地域住民の生活に必要な足ということでの有償制度でございますので、まず目的を異にしておるところでございます。そういった意味で、その目的が違う、それから主たる対象が違うということで、その目的の違いに即した制度設計になっているということでございます。
 なおでございますけれども、今回の特例措置の中におきましても、御指摘のとおり、地域住民が区域会議等に参加するといったスキームとはなっておりませんけれども、地域の足の確保について責任を持ちますまさに自治体が事前の協議ですとか区域会議の構成員となっているところでございます。


○田村(貴)委員 しかし、地域の自治体といっても、これは首長さんですよね。地域住民がちゃんと直接意見を上げる、私たちの自治体の中におけるいわゆる運送、交通事業に対して物が言えないというのは、私は不思議でなりません。
 不思議でならないのは、大臣、特区の提案なんですけれども、私はなかなかよくわかりません。バスやタクシーも利用できないようなところの観光地域に、果たしてどれだけの外国人旅行者の方が出かけられるんでしょうか。また、その運送を担う自家用自動車にどれだけの需要があるんでしょうか。そして、運転手さんは、先ほども議論がありましたけれども、一日講習を受けたらお客さんを乗せていい。安全性は担保されるんでしょうか。初めて会うお客さんが外国人です。言葉は通じるんでしょうか。
 いろいろと疑問と心配は尽きないわけであるんですけれども、大臣、後でお伺いします。
 今言いましたように、その運送主体は市町村なんですよね。そして、非営利団体と変わらないわけなんです。市町村が行い、その地域の住民も対象とするのであれば、実施計画の協議の段階からなぜ住民の声を聞かないのか、あるいは、地元の交通事業者等々の声を聞かないのか、こうしたところは、私は本当に不思議でならないわけなんです。
 聞くべきではありませんか。制度はやはりそこに住民参加を入れるべきではないですか。どうでしょう。


○持永政府参考人 御説明を申し上げます。
 先ほどと重複いたしますけれども、やはり現行の地域の足を守る、買い物とか通院の足を守るといった制度と異なりまして、今回は、外国人を初めとする観光客、こちらを主な目的とした制度設計となっておりますので、そういった意味におきまして、その違いに着目もしつつ、御提案のような制度設計になっているところでございます。


○田村(貴)委員 この制度は、最終的に担当大臣と、そして首長と事業者が合意すれば、ゴーなんですよ。そういうあり方というのは、まさに規制緩和、そして安心、安全性に対してのやはり担保がどんどん落ちていくのではないかな、そういう危惧感もあるわけであります。
 地方創生を預かる石破大臣としては、御所見はいかがでしょうか。


○石破国務大臣 委員御指摘のような議論というのは確かにあるし、それは重要な論点だと私は思っております。
 平成二十六年の二月の二十五日閣議決定でございますが、国家戦略特区法第八条第一項に規定する区域計画の同条第七項の認定に関する基本的事項という閣議決定がございます。この閣議決定におきまして、区域会議というのを構成するのは、確かに地方自治体の首長でございます。そこで区域計画をつくり、それが総理大臣の認定を経てと、こういう仕組みになっておるのは御案内のとおりですが、今申し上げました閣議決定によります基本的事項におきましては、区域計画の作成に当たり、地域の実情や住民の声は関係地方公共団体の長の参画を通じて適切に反映されるよう努めるものとする。原文は「反映するよう」となっていますけれども。
 要は、地域の実情、住民の声というものは、地方公共団体の長の参画を通じてということですから、それがこう、彼らが参画をすれば反映されるということを言っているわけではなくて、その長たちは、当然、住民によって選ばれているわけですし、彼らはそこにおいて計画を作成するに当たって地域住民の声というものをきちんと反映しなければいけないという含意も私はあるものだと思っています。単に参画すればそれでいいという話ではございません。
 そこにおいて実際に地域住民の方がどう思っておられるかということが反映されなければ、それは、委員がおっしゃるようなことも懸念なしとしないと思っております。地域の住民の声というものが反映されない、そういうような国家戦略特区というのは、そもそもあるべきだとは私は思っておりません。


○田村(貴)委員 地域の住民の声は反映されて当然であると思います。従来の運営協議会が不要ということになれば、一般交通事業者が反対するなどのハードルが低くなってしまう、白タク行為がしやすくなるということを指摘させていただきたいというふうに思います。
 続いて、ライドシェアについて伺います。
 昨年二月から三月にかけて、私の地元、福岡県福岡市、その周辺でライドシェアの検証実験が行われました。道路運送法の事業許可がない旅客運送、白タク行為は違法であります。国土交通省は、検証実験を行ったウーバー社の日本法人に対して中止指導を行ったわけでありますけれども、その中止指導の理由について、簡単でいいですから、説明していただきたいと思います。


○持永政府参考人 御説明を申し上げます。
 福岡では、ウーバー社のアプリを使ったライドシェアということでございますが、これは委員御存じのように、タクシーの事業許可を得ていない一般のドライバーの方と利用者の方をアプリで仲介する、ドライバーに対してはウーバー社が一定の対価を払うといった形でございます。
 これも御承知のように、お客様を運ぶということでございますので、安全確保、それから道路運送法を守っていただくことは当然のことでございますが、今般の実証実験につきましては、この道路運送法に抵触するということと考えられましたので、中止を指導いたしております。
 また、保険の問題もございまして、実は、事故が起きた場合の保険の適用の有無についても不明確であったということで、利用者の保護も問題がありましたので、こういったことも含めて中止指導をしたところでございます。


○田村(貴)委員 違法の白タク行為が大都市において一カ月以上にわたって堂々と行われていたということであります。中止としたのは当然のことであります。にもかかわらず、ウーバー社は、利用者にも高い評価をいただいた、データをとることで都市交通の課題もわかったというふうに評価をしています。アメリカの資本や、それから日本の企業が規制緩和を次々と求めているところです。
 言うまでもなく、道路運送、旅客運送で一番求められるのは、安心、安全であります。運賃ダンピング、それから規制緩和の流れが、取り返しのつかない重大事故をずっと繰り返し引き起こしてきたということであります。こうした白タク行為は絶対に認めない、そして安心、安全を脅かす規制緩和はいささかも認めない、政府としてはその立場を強く堅持していただきたいというふうに思います。

 
 次に、地方復興、地方再生、それから地方創生、地域振興、そのいろいろな取り組みが寸断されてしまった熊本の大地震、そして被災者の支援について伺いたいというふうに思います。
 熊本市における複数の避難所が耐震上の問題で閉鎖されました。そして、被災者が出ていかざるを得ない事態となっている。だから、早急に避難所を確保すべきだというふうに、私は一昨日この委員会で取り上げました。しかし、内閣府の中村参事官は、その事実は確認できないというふうに、私も驚いたんですけれども、そういう答弁でございました。
 そこで、私、一つ一つの学校に確かめました。ある学校では、体育館を閉鎖し、別の教室に移動してもらった。また、ある学校では、ほかの施設を三つほど案内したけれども、その容量が少なくて、全ての被災者を受け入れるには限界があったというふうに報告をもらいました。また、全く代替施設が案内されなかった、そうした学校の体育館もありました。
 十六日の本震で体育館の壁が落下するなど、避難所が危なくて、十八日を中心に体育館の避難所が閉鎖されたのは事実であります。避難場所を失った被災者が大勢生まれているのは事実です。テレビや新聞でも報道されています。(写真を示す)現地の学校です。誰も被災者はいません。体育館です。張り紙を張っています。撮影は二十日の日です。発災直後です。「この体育館は、耐震上問題があるため、避難所を閉鎖しました。」と。おわかりいただいたでしょうか。
 内閣府、連絡とれたでしょうか。この現状認識を今私と共有できているでしょうか。お答えいただきたいと思います。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 今回の地震におきまして、耐震性に問題があり、閉鎖された避難所というものがあったかどうかということにつきましては、先生の御指摘のほか、さらに報道等も見ておりますし、また、昨日も一件、報道を見て、自治体の当局に確認したような事例もございまして、これはあったものと認識をいたしております。
 おとといの答弁でございますけれども、昨日の前日の時点におきまして、避難所の問題というものが個別具体的には関係の自治体でまずは対応をとっていただくものという考え方で連絡をとった際の経緯についてお答えをしたものでございまして、もとより御指摘のような事実がそのことによって存在しなかったという趣旨でお答えしたものでもございませんので、御理解をいただければと存じます。


○田村(貴)委員 後段の部分は必要ないことですよ。ここはもう、時間もあれですから、これ以上言いません。
 ただ、私、十八日の日に一報を入れているんですよね。そして、国会で取り上げていることです。すぐに学校に一つ電話をすれば、私も電話したんですよ、それで済む話なんですね。こういう状況では、危機管理意識は共有できませんよ。被災地の復興、やはり政府を挙げてというところに、まず連絡をとって、情報を共有しないといけないということだけは指摘させていただきます。
 そこで、大事なのは、避難所の確保であります。
 熊本市内の避難所は、一カ所平均で二百人であります。それから、一千人を超す避難所もあります。私も、この間の金曜日、土曜日に行って、見て回ってまいりました。どこもすし詰め状態であります。段ボールと毛布だけで廊下で過ごす被災者というのは、一週間たってもテレビの映像に出ています。変わらないんですよ。政府のやること、自治体と一緒に、公共施設、企業、民間施設、船舶、公営住宅、あるいは民間の一時借り上げ、もう何でもいいです、政府が率先して居場所を確保する、これが今一番求められています。
 その決意について再度お伺いしたいと思うんですけれども、できるだけ努力をする、そんな答弁では困ります。安倍首相も、あらゆる手段を講じていきたいと言っています。避難所をつくる、追い出された被災者の居場所を確保する、そういう決意をぜひここで言明していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 避難者の方々の行き先の確保というものにつきましては、住宅ですとかあるいは避難所の確保を含めまして、県庁内においてもプロジェクトチームが立ち上がっていると伺っております。そちらの方ともしっかり連携をとって、国としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 きょう、あした、何ができるか。時間を争って進めていただきたいというふうに思います。
 なぜそれを進めていただかなきゃいけないのかというと、被災者の健康が今脅かされています。昨日、我が党の志位和夫委員長は記者会見して、緊急の課題として、震災関連死を防ぐための提起を行ったところであります。エコノミークラス症候群を初め、被災者の健康が損なわれています。避難所における感染の心配が今生じています。足を伸ばして寝ることができない、車中泊、そして毎日、きのう雨も降りましたけれども、過ごされておられる被災者の気持ちにやはり寄り添うことが必要です。せっかくあの大地震で助かった命です。災害関連死を政治の責任で防がなければいけないと思います。
 そこで、私、一昨日、内閣府にも直接要請させていただいたんですけれども、テントを大規模に確保することが望まれています。状況を心配された民間のテント業者が今善意で提供されています。それから、テントは災害救助法の対象にもなっているはずであります。自衛隊、官庁、民間等々、政府として要請をしていただきたい。急いで確保していただきたい。今、現状、どうなっておられるでしょうか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 現状におきましては、御指摘のとおり、災害救助法による国庫負担の対象となるところでもございますので、テントの確保につきましては、現場の自治体からの、現場の判断による要請があれば調達に着手できる状況はございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 判断できる状況にあるんじゃなくて、今、私どももおととい申し入れて、災害救助法の対象になっていて、そしてこれは必要であるといったところだから、きょうまた仕事で頑張っていただきたいというふうに思います。
 避難所の生活改善も喫緊の課題であります。テレビを通じて飛び込んでくる画像にやはり胸が痛みます。プライバシーもない、かたい床に毛布をかぶって過ごしている方の姿がどんどん映されています。衛生上も、精神衛生上も非常によくない状況が続いています。メンタルケア、メンタル支援も必要だし、メディカル支援も必要なんですけれども、避難所の生活改善、パーティション、簡易ベッド、それから椅子、ベッド、ソファー等々、こうした必要な備品について必要な部分が手だてが打たれているのか、このことについてもお尋ねしたいと思います。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 内閣府といたしましては、発災当初より、避難所の生活環境の確保に関する通知を熊本県に発出しております。この中で、御指摘のように、プライバシー確保のためのパーティションですとか、あるいは腰をかけることができるものということでは簡易ベッドの設置などの配慮のお願いを県の方に出しております。また、こういったものは、先ほどのテントと同じように災害救助法による支援の対象ともなるものでございますので、今後とも、生活環境の改善のため、自治体に対し、物資確保の支援ですとか必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 政府が率先して取り組んでいただきたいと思います。体を伸ばせて心身ともに落ちつける避難所へ、そして避難施設をふやす、テントを確保する、被災現地と連絡をとって、きょう、私、緊急の対応について申し上げました、政府として全力を挙げていただくよう強く要望して、きょうの質問を終わります。