○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
冒頭、熊本地震に対して、高市大臣に要望し、一問質問をさせていただきたいというふうに思います。
熊本県等を震源とする地震被害に対して、政府は激甚災害の指定をしました。また、安倍総理は、地震被害に対応するために補正予算を編成することを表明されています。
熊本県は、二十三日、十項目にわたる政府への緊急要望を提出しました。
大臣、私は、土曜日に、三度目になりますけれども、被災地を訪ねてまいりました。住家、公共土木施設、農業施設等々、全県で甚大な被害が生じています。そして、宇土市、八代市、大津町、益城町などでは、災害対応の拠点というべき役所の庁舎が被害に遭っています。
被災自治体やあるいは避難住民の実態と要望に即して、政府として、必要な財政措置、財政支援を思い切ってとっていただきたいと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
○高市国務大臣 委員にはもう数回にわたって被災地にお入りいただいたということですが、私自身も、被災地の首長また議長などの方々から被害状況、その対応状況についてお話を伺い、十項目の県からの要望も含めて、直接お話を伺っております。
今回の平成二十八年熊本地震によって被災された地方公共団体におかれては、応急対策に加え、復旧対応などに相当な財政負担が生じることが見込まれます。
このため、当面のさまざまな対応に係る資金繰りを円滑にするために、六月に定例交付すべき普通交付税の一部、四百二十一億円を繰り上げて四月二十二日に交付いたしました。
今後も、被災地方公共団体の実情を踏まえながら、関係省庁と連携をして、特別交付税を含めて、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対応をしてまいります。
○田村(貴)委員 思い切った措置をお願いしたいと思います。
それでは次に、図書館における指定管理者制度について質問をしていきたいと思います。
まず最初に、総務省にお尋ねします。
二〇一二年十一月六日に、公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果というのが出されています。
自治体の指定管理者制度の導入率は対象施設によってばらつきがありますけれども、導入率が共通して低い施設として図書館が挙げられます。都道府県、政令指定都市、市区町村のそれぞれの図書館の指定管理の導入率は何%になっているでしょうか、説明していただけますでしょうか。
○渕上政府参考人 お答えいたします。
地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査におきまして、平成二十七年四月一日時点での結果についてお答えいたします。
図書館の指定管理者制度の導入状況につきましては、都道府県で九・五%、指定都市で二一・五%、市区町村で一四・七%となってございます。
○田村(貴)委員 新しい平成二十七年度の数字を今説明していただきました。都道府県で九・五%、指定都市で二一・五%、市区町村で一四・七%といったところで、これは施設の中では一番低い方だというふうになります。
体育館や宿泊休養施設などが八割、九割の導入率であるのに対して、図書館は低い。その理由をどのように考えておられるでしょうか。
○渕上政府参考人 お答えいたします。
図書館などの社会教育施設につきましては、地方公共団体からは、教育機関、調査研究機関としての重要性に鑑み、司書、学芸員等を地方団体の職員として配置しているなどの意見がございまして、これも要因の一つではないかと考えております。
○田村(貴)委員 教育機関であることや専門職の配置などの理由から、なかなか指定管理にはなじまない、難しいというような見方であろうかというふうに思います。
そこで、総務省が二〇一〇年十二月に出した通知、「指定管理者制度の運用について」について尋ねたいと思います。
通知の一項目め、「指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度」とあります。
では、お尋ねしますけれども、効果的に達成するために必要がない場合、また、そもそも効果的に達成できない場合には活用できないということなんでしょうか。
○渕上政府参考人 お答えいたします。
御指摘のありました平成二十二年十二月の指定管理者制度についての通知でございますが、まず、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときに活用できる制度であること、二つ目に、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を議会の議決を経て指定するものであって、単なる価格競争による入札とは異なるものである、こういった基本認識に立っております。
こういう観点から、各地方公共団体におきましては、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供するという観点から、当該施設の設置目的や地域の実情に応じて、指定管理者制度を導入するかしないか、また導入するに当たっての業務の範囲について、適切に選択していただきたいと考えております。
○田村(貴)委員 今のお答えは、留意事項についての説明だったと思うんです。
もう一度、尋ねます。
指定管理者制度については、今御説明があったんですけれども、効果的に達成するために必要がない場合、それから効果的に達成できない場合、活用できないということだと私は読んでいるんですけれども、それでいいんでしょうか。
○渕上政府参考人 お答え申し上げます。
指定管理者制度が公共サービスの水準の確保という要請を満たすものであること、そして公の施設を最も効率的、効果的に管理できる主体が何であるかということを、それぞれの地方公共団体が地域の実情に応じて自主的に判断いただくものということでございます。
○田村(貴)委員 質問を続けたいと思います。
しかし、今説明していただいた、とりわけ、その留意事項に、「単なる価格競争による入札とは異なるものである」と。言ってみたら、営利施設にしてはならないというようなところの見解だと思うんですけれども、ここに照らして、管理者の決定や施設の管理運営が留意事項を無視した形で行われているところがあります。
例えば、佐賀県の武雄市立図書館であります。
これは、蔦屋書店を運営するCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が管理者となっています。このCCCによる武雄市立図書館の管理運営については、これまでいろいろな問題が生じております。
例えば、管理者がみずから出資していた企業から追加の蔵書を中古本で購入したり、貴重な郷土資料を廃棄してしまったとか、ほかにもあるんですけれども、文部科学省はこうした事態、問題については掌握されているでしょうか。
○徳田政府参考人 お答えいたします。
公立図書館の管理運営につきましては、設置者である各自治体において責任を持って対応すべきものであります。
言及されました図書館につきましては、指定管理者制度により問題が指摘されていることは報道等から承知しているところでございます。
○田村(貴)委員 私、九州なので、この佐賀県の武雄市に行って図書館を実際に見てまいりました。
改めてその実態に驚いたわけなんですけれども、雑誌の種類がふえたとか、コーヒーを飲みながら本を読めるとか、一見おしゃれでよさそうに見えるんですけれども、子供からお年寄りまで誰もが利用しやすい、あるいは地域の知の拠点という図書館本来の役割を重視した仕組みにはなっていない、そのことが確認されました。
現状の一部について御紹介したいと思います。
配付資料の1をごらんいただきたいと思います。
右上の写真であります。奥に写っているのがスターバックス、コーヒー店です。実はここが図書館の出入り口になっております。そこから、見えるんですけれども、窓際、テラス、明るくて一番いいところは、これはスターバックスの座席になっています。コーヒーとかケーキを買わないとここの席には座れないという仕組みになっています。
かつてここは、この左の写真にあるように子供の書棚コーナーだったんですね。入れかわってしまいました。
館内に入ると、蔦屋書店がまずあります。つまり、販売のコーナーであります。そこを通らないと従来持っていた図書館の蔵書の書架に行けない構造になっています。売り物と蔵書の境界が非常にわかりにくい、こういう図書館です。専門書などの蔵書は、さらにその奥の書架にあります。
つまり、この目的外使用部分、喫茶であるとか、あるいは販売コーナーであるとか、ここが前面に出ているのがこの武雄図書館の特徴となっています。この指定管理者制度になってしまったということです。
インテリアとして導入された背の高い書架が遮って、レファレンスカウンターが見えません。見通しが非常に悪くなっています。写真のとおりです。
それから、背の高い書架が多くて、児童や車椅子の利用者が一人で手にとることができない本のエリアが広がっています。この下の写真であります。二階の部分の書架は、上層部分は利用者がみずから本を手にとることはできません。この一番上に新聞の年鑑があるんです。普通、図書館とか大学図書館に行ったら、年鑑は重たいですから一番下にあるわけですね。これはとることができないんです。これをどうしても読みたいという人は、図書館の係の人に言って、脚立を持ってきてとってもらわなければいけない、そういうことになっています。
閉架をなくして開架式になったという売り込みなんですけれども、実質的には、この二階の部分を見ても、飾り棚と化しているようなところもあるわけであります。
そして、蔵書購入費を管理者が流用し、書架の安全対策の費用が増加したために蔵書購入費をそちらの方に流用してしまって、これは住民訴訟に発展している、こんな問題まで生じているわけであります。
きわめつけは、子供のためのスペースが縮小されて、移動させられたということであります。
配付資料の2をごらんいただければと思います。
先ほど言いましたように、外が見えて、図書館の一番いいところの場所は、スターバックスにとって置かれました。そして、移動した児童書のコーナーはどうなったんでしょうかということで、ここに写真があります。子供用の、丈の低い書架や机や椅子は、配置が一変しました。児童書コーナーは、書架の一部が大人用と同じになっています。これはもう一目瞭然ですけれども、絵本がこんな高いところに置かれています。とって見たいなと思うんですけれども、これは大人だってとることができませんよね。
子供のための読み聞かせを行うお話の部屋、それから子供のトイレや授乳室があったところも、今は、窓際の最奥に、申しわけ程度のカーペットが置かれている、そうしたコーナーになってしまいました。子供の居場所が狭められたことに対しては、利用している市民から大変な不満の声が上がっております。
どうなるかといいますと、この間聞いてびっくりしたんですけれども、武雄市は、現在の図書館の隣に新たに子供用の図書館を建設すると言っているわけであります。
では、これは何のための指定管理方式なのか。いわば合理化ですよね、歳出削減。その流れの中によって、サービスが後退してしまった。同時に、結局、お金がまたかかってしまう。本末転倒な結果だと言わざるを得ません。
子供やお年寄り、それから障害を持った人への設備上の配慮や、郷土資料の収集、これらは全て、図書館の役割の中でも、基本中の基本として配慮を求められる部分であります。
そこで、文部科学省に伺います。
文部科学省告示第百七十二号、図書館の設置及び運営上の望ましい基準についてであります。
当該図書館をほかの者に行わせる場合には、当該図書館の継続的かつ安定的な実施の確保等が定められています。また、「市町村立図書館は、高齢者、障害者、乳幼児とその保護者及び外国人その他特に配慮を必要とする者が図書館施設を円滑に利用できるよう、」として、必要な機器の整備についても求めているところであります。
この基準は、指定管理者であっても、あるいは民間事業者が運営しても準拠することを定めたものでしょうか。それについてお答えいただきたいと思います。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○徳田政府参考人 お答えします。
先生御指摘いただきました、図書館法に基づく、図書館の設置及び運営上の望ましい基準においては、図書館の運営等に必要な基本的な内容を示しているところでございます。
文部科学省といたしましては、指定管理者においても、この基準によって、公立図書館の設置者である各自治体の自主的な判断により、公立図書館が、地域の要請や住民のニーズ等を踏まえつつ適切に運営されることが望ましいと考えております。
○田村(貴)委員 今、武雄の事例を紹介しましたように、図書館本来の利用という側面で見ると、不利益が増大しています。それは各方面からも指摘されています。裁判も起こっています。
文部科学省として、この実態をつかみ、そして、設置者からも必要な聞き取りを行っていただき、基準に照らした対処が今必要であると考えますけれども、いかがでしょうか。
○徳田政府参考人 お答えします。
当該図書館においては、その運営にかかわって裁判が進行しており、個別の事例についてはコメントを差し控えたいと思いますが、公立図書館は地域の実情に応じて運営されるものであり、設置主体である自治体において、具体的な運営の適否を適切に判断していただくことが必要と考えております。
○田村(貴)委員 文部科学省はどうするんですか。
○徳田政府参考人 私ども文部科学省といたしましては、設置主体であります自治体の対応を見守ってまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 図書館の望ましいあり方からいっても、その姿勢は非常に後退的だと言わざるを得ません。関心を持って実態掌握に努めていただきたいと要求したいと思います。
大臣にお伺いします。
冒頭申しましたように、図書館は、指定管理者制度からいっても、導入率が低く、なじまないという問題があります。それから、この実態に照らしても、また図書館の望ましいあり方からいっても、武雄市立図書館、いろいろと問題があります。
このような状況について、今議論させていただきましたけれども、大臣、どのように受けとめておられるでしょうか。
○高市国務大臣 佐賀県武雄市の図書館の事例については、やはり具体的な裁判中の事例ですから、コメントは差し控えさせていただきます。
しかし、外部資源を活用して運営するという場合でありましても、委託した事務事業についての責任は行政に帰属するものでございます。ですから、地方公共団体においても、適切に事業の執行管理に努めていただかなければなりません。
こうした観点から、昨年八月に助言通知を発出いたしました。その中で、行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価、管理を行うことができるような措置を講ずるよう要請をいたしております。
地域の実情に応じた自主的な判断のもと、適切な事業手法を選択していただき、質の高い行政サービスを効率的また効果的に提供していただくということが地方公共団体に求められていることだと考えております。
○田村(貴)委員 やはり適切に管理していくといった立場では、総務省についても、それから文部科学省についても、そこはしっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。
公立図書館は、図書館法で利用料金の徴収が禁じられています。民間事業者が収益を上げるような施設ではありません。利益を得ようとすれば、人件費などのコストカットや、本の流通や実施事業による収入の拡大に頼るほかないんです。にぎわい創出、それは大切かもわかりませんけれども、それによって図書館の役割が変質してしまったり住民サービスが後退するようなことがあってはなりません。問題が生じれば、やはり基準に照らして是正すべきではないかと思います。
直営か、あるいは指定管理は、自治体の任意。自治体にとってみたら、指定管理をするのも直営にするのも、これは自治体が決めることであります。そして、導入率は低い。だとするならば、大臣、この間所信質疑の中でトップランナーの論議をさせていただいたんですけれども、トップランナーの検討リストから図書館は外すことも求めたい、そしてこのような指定管理のあり方は即刻是正をしていただきたい、そのことを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。
終わります。