TPPに批判と懸念噴出 “農業に打撃 食の安全に不安” 北海道・宮崎で地方公聴会

 環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案を審議している衆院TPP特別委員会は26日、札幌市と宮崎県高千穂町で地方公聴会を開きました。公述人からは農業への影響を危ぶむ声や慎重審議を求める意見が続出しました。日本共産党から札幌市では畠山和也議員が、高千穂町では田村貴昭議員が質問しました。

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 札幌市の公聴会では、北海道農業ジャーナリストの会幹事の中原准一・酪農学園大学名誉教授が、国会決議で交渉から除外とした農産物の重要5項目も、関税撤廃や引き下げなど“無傷”ですんだものはなかったと指摘。「(5項目は)北海道を代表する作物」「150年に1度という非常に危機的な状況の中に北海道農業がきている」と強調しました。

 

 北海道農民連盟の山居忠彰書記長は、輸入米の価格偽装問題について「TPP影響試算の正当性を根底から失わせるものだ」と指摘。「承認ありきの姿勢で審議するのではなく、TPP協定の逐条審査など、本質的な論議に十分時間をかけて、丁寧に審議することを強く要望する」と述べました。

 

 

1477470004015_001 宮崎県高千穂町での公聴会では、意見陳述で元宮崎大学学長の藤原宏志氏が「日本と米国の農産物価格では競争にならない。日本の農業は壊滅的な打撃を被り、国民は安全性に不安のある輸入農産物を食べさせられることになる」とTPP反対の立場を表明。NPO法人理事の蒲生芳子氏も「日本ほど食品の安全が厳しく規制されていない国もあります。海外から輸入される食肉や大豆の安全性は大丈夫なのか」との懸念を示しました。

 

 TPP参加に一定の理解を示した公述人も「主要品目の牛肉、豚肉への影響を懸念している」(河野俊嗣宮崎県知事)、「行き過ぎた国際競争への不安がある」(和牛繁殖業の興梠〔こうろき〕哲法氏)との意見を述べました。

(しんぶん赤旗 2016年10月27日)