○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
早速、法案の質問に入りたいと思います。
地方公務員に対する育児、介護の支援制度はたくさんあります。そして、このたびの法改正であります。これを周知徹底させる必要があるというふうに思いますけれども、具体的には、政府は周知をどのように進めていこうと思われているでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
地方公務員が育児・介護休業を取得しやすい環境を整備するためには、制度の存在や内容について周知を図ることが重要でございます。
総務省では、これまでも、育児休業、介護休業制度の創設や改正があった際には、制度の概要や運用について整理した通知の発出や、各地方公共団体の人事担当者が集まる会議の場における制度の周知や運営方針についての議論のほか、各地方公共団体に対するヒアリングの場において職員への周知を確実に行うよう助言などを行っているところであります。
また、女性活躍、働き方改革の取り組みの支援の一環として、育児・介護休業制度の職員への周知に係る取り組み事例の紹介も行っております。
こうした取り組みを通じ、職員への周知が図られるよう努めてまいります。
○田村(貴)委員 例えば、妊婦の業務軽減などの周知は、どれほどまで到達しているでしょうか。制度の周知率を知る上で政府が何か調べた統計とか結果というものがあったら教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 各地方公共団体における両立支援制度の職員への周知状況について、網羅的な調査は行っておりませんが、女性地方公務員の活躍推進に係る取り組み状況等について、地方公共団体に対し、アンケート調査を行っております。
その結果によりますと、職員の子育てハンドブックを作成、配付したり、職員を対象に育児と仕事の両立の意識醸成を目的とした研修等を行うなど、制度周知を含めた両立支援に係る取り組みが広範に行われているというふうに認識しております。
○田村(貴)委員 まとまった統計がないということですので、先ほど梅村議員も紹介した自治労連女性部の調査結果があります。高市大臣もぜひ聞いていただきたいと思うんですけれども、例えば、妊娠中の業務軽減で、勤務時間の短縮等を知らなかったが五〇・五%、時間外労働と休日労働の免除を知らなかったが、それぞれ二〇・五%と二四・一%、また、就学前のお子さんを持つ職員の時間外労働の制限についても、知らなかったが四四・四%でありました。
そこで、大臣に伺います。
多くの職員が育児、介護の休業制度を活用できることについては賛成でありますし、もちろん法改正には賛成でございます。そこで、やはり知られなければいけないと思うんですね、制度の改正も、そして制度全体についても。権利というのは、やはり知って、知らせて、そして活用してこそ初めて生きてくるものだというふうに私も思うわけであります。
国家公務員には、これ、いただいたんですけれども、人事院の「育児・介護のための両立支援ハンドブック」というのがあります。ここまでたくさんの制度があるのか。二十二ページにわたって詳細に、しかもわかりやすく書かれています。
地方公務員に対しては、残念ながら自治体ごとの判断になっていくというところであります。
この際、総務省から地方自治体の職員に対して基本ガイドみたいなものを示してはいかがでしょうか。先ほど逢坂議員の方から、国家公務員と地方公務員の制度の根拠法も違うし、そして自治体によって運用も違うし、私自身もちょっと混乱しているところもあるわけですので、この際、誰もが手にとれる宣伝物、リーフレットをつくるとか、あるいはホームページで周知徹底を図っていくとか、やはりそうしたアクションが必要ではないかなと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 育児・介護休業などの制度の内容を、これは民間で働く方であれ国家公務員であれ地方公務員であれ、お一人お一人がよく理解されるということはとても重要だと思います。
これまでも、地方の例えば中小零細企業の経営者の方々が集まる会合などに呼ばれましたときに、私も積極的に女性労働者の権利、今法律で認められている権利についてお話をしてまいりましたが、案外知らない経営者の方が多い、そういう問題は民間企業においてもございました。
この育児・介護休業も含めて、地方公共団体の勤務条件というのは自主的に条例で定めるということになっていますので、各団体で定められた制度、条件というものについては、各団体においてまず責任を持って職員に周知をしていただかなければなりません。
実際に、地方公共団体において、両立支援制度や職員の方々の体験談を紹介した仕事と子育て応援手帳を配付したり、また男性職員用の子育てハンドブックを作成して庁内LANで閲覧できるようにするといった取り組みを行っているところもございます。
ですから、総務省としては、この法律案が成立した後に、国家公務員に係る制度も踏まえて速やかにその条例の例を作成させていただいて、地方公共団体にお示しをすることにしていますけれども、このほかにも、制度の周知に関するさまざまな取り組み事例を全国の地方公共団体に紹介させていただいたり、あと、国家公務員の両立支援ハンドブック、今委員が御紹介いただいたものですが、これについても情報提供するということによって、各地方団体における職員への周知の取り組みを応援してまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 なかなか制度の周知が図られていないという実態がありますので、両立支援ブックの地方自治体版などもつくっていただくように、政府としての特段の努力を要望したいと思います。
法改正で何点か質問したいと思います。
本法案では、非常勤職員が介護休業の申し出をする際の要件が緩和されました。介護休業が取得できる九十三日経過日から引き続き六カ月を超えて在職する可能性があれば取得できるというふうにされております。
この際、多くの非常勤職員は三月末に任期の更新時期を迎えてまいります。例えば十一月に介護休業を取得し終えて、その後の六カ月ということになりますと、これは年度がかわります。三月をまたぐことになります。雇用更新の見込みがあれば、これは取得できますよね。この確認ですけれども、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
御指摘のとおり、今回、非常勤職員が介護休業を取得できる要件について、従来、取得後一年の継続任用が必要であったのが、これを六月に短縮する緩和を行い、取得の拡大を図っております。
この継続任用の間に任期満了期日が到来する状態であっても、任期更新等により引き続き任用される可能性がある場合は、任期が満了することが明らかではないと判断され、取得要件を満たすものとされております。
以上でございます。
○田村(貴)委員 では、もう一問です。
先ほど梅村議員から臨時的任用職員の育児休業に関する質問があったんですけれども、臨時的任用職員の介護休業についてはいかがでしょうか。任期の要件を満たせば申し出の対象となると私は考えますが、いかがですか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
今回の改正法案において、介護休業を取得できる非常勤職員の要件としては、引き続き在職した期間が一年以上であること、介護休業開始から九十三日を経過する日から六月を経過するまでに任期が満了することが明らかでない者としております。
臨時的任用職員についても、介護休業の取得対象からは除外されてはおりません。ただ、臨時的任用職員については、地方公務員法上、任期等の要件がかかってまいりますので、対象は限定されるというふうには考えております。
以上でございます。
○田村(貴)委員 細かい話はまた後日詰めたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
自治体の臨時、非常勤職員のうち、特別職非常勤職員については、これは本法案の対象外となっています。そこで、特別職非常勤職員が育児休業を取得できるようにするためには、自治体が条例や要綱で定める必要があります。
お配りしている資料1が、総務省の地方公務員の臨時・非常勤職員に関する実態調査であります。このうち、保育所の保育士が一万一千百五十六人、それから図書館職員が六千五百四十三人、消費生活相談員は千五百八十八人となっています。多くのこうした専門職の方が特別職非常勤として任用されて、業務を担っています。
資料2は、自治体の非常勤職員の育児休業導入の状況であります。下の表が特別職非常勤職員でありますけれども、育児休業導入済みが、びっくりしたんですけれども、四十七都道府県中二十四、五一%、二十政令市中十七、そして、市町村は千百六十八のうち二百七十七という状況になっています。
総務省、これが一番の直近の資料で、今述べた数字という状況であることは間違いありませんか。
○高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○田村(貴)委員 そこで、大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、育児休業制度があるとなしでは、地方自治体の特別職職員の勤務条件に雲泥の差が出てまいります。都道府県でもまだ半分しか導入していません。市町村では大半であります。
条例や要綱をつくって職員が育休それから介護休業を取得できるようにすることは、総務省としてもこれを後押しするという答弁が先ほどからあっております。だとするならば、具体的にこの導入率を高めていくために総務省としてはどのように支援をされていこうとしているのか、大臣、お答えいただきたいと思います。
○高市国務大臣 特別職の非常勤職員であっても、労働者性が高くて、継続的な勤務が見込まれる者については、現状においては、要綱などによって制度を設けて育児・介護休業が取得できるようにするということは適当だと考えております。
一方で、特別職非常勤職員で労働者性の高い者については、守秘義務など公共の利益保持に必要な制約が課せられていないといった問題もございます。
そのために、総務省としましては、平成二十六年通知で、これらの方々について、「本来、一般職として任用されるべきであり、特別職として任用することは避けるべきである。」と明記をして、任用根拠の見直しを助言いたしました。
現在、都道府県・指定都市で改善の動きは見られるんですけれども、さらにこの取り組みを進めていくということが重要だと考えています。
総務省では、先ほども申し上げましたが、地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会で御議論いただいている最中でございますので、その結果を踏まえて、特別職非常勤職員の任用根拠の適正化に向けまして、さらに取り組みを進めてまいります。
○田村(貴)委員 条例や要綱もつくらなければならない、そして任用も変えていかなきゃいけない、これは大変な作業になるわけなんですね。この導入がスムーズに、そして育児休業、介護休業がしっかりととれるように、ぜひ支援を強めていただきたいというふうに思います。
時間がなくなってまいりました。
やはりこの制度が一人一人の職員に適用されていくためには、周知の徹底が必要でありますし、そして、先ほどからお話があっていますように、とりたくてもとれない、代替の職員さんがいないという問題があります。
自治労連さんの調査によりますと、職場の状況で今一番必要なものは何かと要望を尋ねたら、賃上げと同じパーセンテージで、人員増であったといったことがあります。やはり人がいなければ休みたくても休めないという深刻な状況があります。
そこで、雇用をめぐっては、専門職も含めて、安定雇用のためには職員の正規化が何といっても必要であると思います。そのための財政支援というのがやはり必要になってくるというふうに思います。しかし、三位一体の行財政改革によって、自治体は非常に今財政難に直面しています。ですから、非常勤採用それから特別職あるいは臨時的任用がふえてきたという背景があります。
ですから、やはり財政支援が今からは大事になっていくというふうに思いますけれども、最後に、こうした育児休業、介護休業をしっかりととることができるように、代替職員が確保できるために自治体の現場への財政支援が必要だというふうに考えますけれども、総務省、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
総務省では、各地方公共団体において、効率的で質の高い行政の実現に向け、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言しております。
各団体においては、多様な行政サービスに対応し、よりよい行政運営を行うため、正規職員や臨時、非常勤職員、任期つき職員といったさまざまな任用、勤務形態を組み合わせるなどの工夫を重ねているものと承知しております。
なお、標準的な業務に必要な職員給与費は、普通交付税により措置しているところでございます。
以上でございます。
○田村(貴)委員 時間が来ました。
終わります。ありがとうございました。