193-衆-予算委員会 熊本地震 支援ちぐはぐ 必需品4割未配送 冬に夏物 衆院予算委 田村議員指摘/下関北九州道路事業の再開やめよ

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 私は、熊本地震の被災者支援について質問をします。
 昨年四月の地震から十カ月が過ぎました。多くの被災者、県民は、いまだ苦しみの中にいます。地震によって命をなくした方は五十五人、避難生活の疲労や環境の悪化などによって病気にかかり、亡くなるなどの震災関連死は百四十九人に及んでいます。
 最初に、松本防災担当大臣に伺います。
 熊本地震の場合、犠牲者に占める震災関連死の割合は七三%です。これは、阪神・淡路大震災の一四・三%、東日本大震災の一五・九%に比べても非常に高い割合となっています。なぜこうした状況になっていると御認識されているでしょうか。


○松本国務大臣 まず冒頭に、熊本地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 お尋ねのありました、熊本地震におけるいわゆる災害関連死につきましては、災害の規模、態様などはさまざまであるため、熊本地震と東日本大震災の数字を単純に比較することはできないと考えられます。
しかし、熊本県がお亡くなりになられた方の数などを発表しておりまして、その割合が七割を超えているということは承知をしているところでございます。
 大事なことは、災害が直接的な原因以外で亡くなる方を一人でも少なくすることだと考えているところでございまして、災害時の対応は、災害の規模、態様、発生場所などが千差万別であるためさまざまでありますが、過去の災害における知見などを生かし、災害が直接的な原因以外で亡くなる方が一人でも少なくなるよう、今後とも、関係省庁、自治体、関係者がしっかり連携して取り組んでまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 せっかく助かった命が、疲労や環境悪化で失われているということです。被災者が心身ともに健康に生活を送ることが大事でありますし、そして生活となりわいの再建に希望を見出す、これが非常に大事であります。
 ところが、大臣、希望を見出せない状況が今続いているわけであります。被災者の今の状況について述べていきたいと思います。
 被災自治体で、生活必需品の支給が行われています。これは災害救助法に基づく制度でありますけれども、発災から十カ月たった今も、布団や肌着、あるいは紙おむつ、調理器具などを必要とする被災者がたくさんおられます。熊本市の生活必需品の申請件数は、二月十五日現在で一万二千五百六十七件、一月だけでも千三百十五件に上っています。
 生活必需品の単価でありますけれども、一人世帯の場合は、国基準では、全壊で、夏は一万八千三百円、冬は上がって三万二百円。半壊は、夏は六千円、冬は九千七百円。熊本市はほぼ国の基準どおりの対応となっています。
 大臣、今は真冬ですので、冬だから冬基準だろうというふうに思われるかもわかりません。しかし、熊本地震は四月に発災しましたので、実は夏基準の支給となっているわけですよね。真冬なのに夏基準で、その単価で布団が届くわけですよ。おかしいと思いませんか。
 寝具のセットがあるんですけれども、敷布団、かけ布団、枕、これにカバーがついて六点セット。しかし、これに毛布はついていないんですよ。実態に合っていない生活必需品の支給になっています。これは直ちに改善すべきじゃないですか。


○松本国務大臣 災害救助法による応急救助につきましては、内閣府告示、いわゆる一般基準に基づいて実施されておりますが、お尋ねの生活必需品の給与は発災時点を基準として基準額が定められておりまして、四月に発災した熊本地震は夏季、四月から九月の基準額で実施されているところでございます。
 しかしながら、被害の状況等によっては、いわゆる一般基準では対応できない場合もあります。このような場合には、個々の災害の発生場所、規模、態様等を考慮し、被災状況に応じて必要な対応ができるよう、災害救助法施行令によりまして、いわゆる特別基準の設定が可能となっております。
 そのため、いわゆる一般基準で対応することが困難な場合には協議をしていただきたいと考えておりまして、また内閣府といたしましても、協議を受けた際には状況をしっかりと確認し、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。


○田村(貴)委員 しっかり協議して確認をしていただきたいことがいっぱいあるわけです。
 そもそも、布団セットが六千円で成り立つわけないんですよ。単価が安過ぎるんです。生活必需品なんだから、今求められるのは、例えばストーブとかこたつがあってしかるべきなんですよ。それがなぜ、寝具、肌着、紙おむつ、やかん、茶わん、こうしたものに限られているのか。
 被災者の今のニーズに応えるべきではありませんか。直ちに協議をとって対応していただきたい。いかがですか、大臣。


○加藤政府参考人 お答えいたします。
 熊本の事例につきましては、地震は春に発災をしておりまして、災害救助法は、日常を営むことが困難な者に急場をしのぐ生活必要品を給与するというようなものが原則でございます。年が明けて毛布あるいはストーブというのは、四月の発災ということでありましたら通常は生じないところではないかと思いますが、地域によって事情はいろいろあると思います。
 その際は、まず事務委任をされている市町村と実施主体の県が協議されて適切な対応をされると思いますけれども、その上でまた国の方に協議があれば、その事情等もしっかり聞きながら適切に対応してまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 大事なのは、現実がそうなっていないということをわざわざ言っているわけなんですよ。災害救助法に基づく制度でしょう。政府がしっかりと被災者に向き合うべきですよ。
 さらに問題なのは、申し込んでこれらの生活必需品が届くまで数カ月もかかるという問題であります。基準単価が低いから商品を受注できる業者は限りがある、ここに根本問題があります。熊本市では、今現在、大臣、いいですか、八月の終わりから九月に申請を受けた分について発注しているというんですよ。今発注しているんですね、八月分を。耳を疑う状況ですよ。
 こういう状況が現実にあることを政府としてよしとするんですか。災害救助法の趣旨からしてもおかしいじゃないですか。いかがですか。


○松本国務大臣 ただいまも御答弁させていただきましたように、そういった状況に対応していくということの重要性はよく承知をしているところでございまして、ただ、それぞれの地域、それぞれの様態に違う対応をしていくということになってまいりますので、その地元の状況などをしっかり受けとめ、そしてそれにお応えしていくということを地元の市町村などとともに検討していかなければなりません。
 ぜひ、御相談するという機会をしっかり持たせていただいて、その中で対応させていただきたいと思います。


○田村(貴)委員 政府の方からしっかりと情報を収集し、そして必要な助言をしていくことが今求められているんですよ。
 先日、私、熊本市に行って、布団やフライパン、それから鍋、下着類を申請した方と実際お会いしました。九月に申し込まれていたんですけれども、きのう現在でまだ届いていないというんですよ。困っている、何とかしてほしい、当然のことであります。ネット通販で、即日、翌日納品というのは当たり前の時代であります。いかようにもやり方はあるじゃないですか。
 半年前の申請分を今ごろ発注している問題があるんです。未発注が三千六百九十二件です。未発送が五千九十二件です。被災者が今必要としている生活必需品はずれまくっていて、それも半年たって来ていない。
 さあ、私はきょう事実を言いました。早速、内閣府、担当大臣、現地と連絡をとってください、そして直ちに改善していただきたい、即納品していただく手だてをとっていただきたい。いかがですか、大臣。


○浜田委員長 その前に加藤政策統括官、後に大臣に願います。


○加藤政府参考人 委員の方からお話がございまして、国の方から県の方にお話をさせていただきまして、県と市の方でお話をされたというふうに伺っております。その中で、やはり発注する業者の数が少ないということもございますので、まずはそこをふやしてみようというようなお話し合いがされているというふうにも聞いておりまして、しっかりとまた相談しながら取り組んでまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 内閣府の方にも、私、この一カ月間ずっと言ってきましたよ。だから、知っているはずでしょう。
 大臣、今、やはりこれはおかしいでしょう、災害救助法のもとで。半年たってまだ届かないんですよ、必要とされるものが。急いで届けないといけないものが届いていない。この現実は内閣府もおかしいと言っているんだから、対応をとってください。いかがですか。


○松本国務大臣 ただいまも県の方と御相談をさせていただいて情報交換させていただいているということでございますので、その内容について確認をさせていただいて、しかるべき手を打つことができるものについては、できることは全てやる、その姿勢で対応させていただきたいと思います。


○田村(貴)委員 機敏に対応していただきたいと思います。
 次に、住む家の問題について質問をします。
 熊本に行きますといまだにブルーシートの家が多く、被災者はつらい思いをしながら厳冬の暮らしの中にいます。これはお隣の大分県の被災地でも同じであります。
 熊本市が昨年十二月に公表した熊本地震に係るアンケート調査の一部を御紹介しましょう。住宅の再建のめどが立っていないが四二%です。その理由は、経済的理由が六三%です。そして、行政への希望は、財政支援が六五%に上っています。
 非常にリアルな現状があらわれたというふうに思いますけれども、この数字にあらわれた被災者の現状について、被災者の願望について大臣はどのように認識されているでしょうか。


○松本国務大臣 御指摘の熊本市のアンケート調査でございますね。この調査結果は拝見させていただいたところでございます。
 この中で、住宅再建のめどが立っていないとされている約四一%の内訳を見ますと、再建について計画中あるいは今後考えると回答されている方も含まれており、六つの選択肢の中で住宅再建についてめどが立たないを選ばれた方は約一二%となっております。
 また、お示しいただいた、資金不足などといったことを理由とする方の割合の約六四%は今申し上げた一二%の方の中に占める割合であると承知をしておりまして、いずれにいたしましても、住宅の再建について今もなお御苦労されていらっしゃる方が見てとれるわけでございます。
 今後必要な支援については、公的支援金等の充実と回答された方は約六五%でありますが、それ以外にも、相談窓口、公営住宅の提供を望む割合も高い状況にある結果となっております。政府、自治体がしっかりと連携して対応させていただきたいと思います。


○田村(貴)委員 非常に苦しい状況にあるわけなんです。
 熊本県内での住家被害は、全壊、半壊、一部損壊合わせて十八万三千五百二十二棟であります。そのうち一部損壊は十四万二千百六十三棟、七七%を占める。一部損壊が多いのが熊本地震の大きな特徴であります。しかし、国の支援策がないわけなんです。
 先日、熊本市の被災者宅を私は訪問しました。これまで何度も訪問してきて、委員会等でもお話ししてきたんですけれども、ぜひ大臣、委員の皆さん、お配りしている資料をごらんになっていただきたいと思います。
 Aさん宅の写真を載せているんですけれども、風呂場の写真を載せています。実は、このAさん宅は屋根も破損しています。雨漏りがあっています。二階のひずみがひどくて、押し入れのかもいを突っ張って持ち上げないとふすまの開閉ができないと言うんですけれども、一番ひどいところはこのお風呂場だと言うんですね。窓下の壁は大きくひずんでおります。内側に張り出して、タイルも大きくひび割れているところです。今度地震があったら落下するのではないか、冷や冷やしながら入浴をする毎日だと。充填剤を入れて、このように苦労して御主人がされているんですけれども、お風呂に入るたびに悲しい気持ちになると奥さんが言われていました。よかったら麻生大臣も、熊本の被災者のこの写真を見ていただきたいと思います。
 同じく、Bさん宅の状況なんですけれども、屋根が破損して雨漏りしています。ブルーシートは被災の一週間後にかぶせたということです。その後は交換できないままになっています。雨が繰り返し降るうちに天井裏に水がたまり、天井板が腐食しています。居間から天井を見上げると、すき間からブルーシートが見えるという家でありました。次の梅雨が来たら、その前に引っ越ししたいんだけれども、お金がないのでできないというふうに居住者の方はその思いを私に打ち明けていただきました。
 ごらんになってわかるように、一部損壊といっても、これは一部ではないんですね。屋根が破損したら、これはやはり百万円台から数百万円の補修費が必要になってくるというわけであります。
 十カ月たってもブルーシートさえかえられない、こういう状況にあることは今見てとれると思うんですけれども、どうでしょう、こういう状況にあることを、松本大臣、御認識されているでしょうか。


○松本国務大臣 熊本市の実施したアンケート調査によりますと、一部損壊の世帯のうち住宅再建についてめどが立っていないと回答している世帯は七・五%おられ、いまだ改修工事等に踏み切れていない方がいらっしゃることは認識をしているところでございます。
 一方、このアンケート結果では、一部損壊世帯のうち、被害が小さく、住宅再建の必要がない世帯が四八%、住宅再建が完了した世帯が一三%など、七割強は既に再建のめどが立っていると回答しておられます。
 また、一部損壊世帯の住宅再建費用の平均金額を見ますと六十八万円となっているところでございます。
 一部損壊の被害を受けた方に対する国の支援としては独立行政法人住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等があり、地方自治体によっては、地域や災害の実情、財政事情などに応じて独自の支援措置が実施されているところでございます。
 今後とも、国レベルでの融資等の支援スキームと被災県、市町村の独自制度を組み合わせることによって、一体となってきめ細かい支援を行ってまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 結局、国の方は何も支援をしないに等しいですよ、今の答弁は。
 被害程度の小さいと言われますけれども、私はこれまで、この写真以外の五世帯の写真も国会の委員会審議で提出してまいりました。もっとお金のかかる被災者の方はたくさんおられます。
 それで、今大臣は言われた、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援があると。借金でしょう。借金しか制度がないということなんですよ。屋根を直せば百万円、数百万円かかるんです。一部損壊といっても、屋根だけではないんです。床もお風呂場も壁も、直さなくちゃいけないところはたくさんあるんです。先ほど何か数字を細かくとるように言われたんですけれども、私は、再建のめどが立っていない方が数%であっても、それは一〇%であっても、これは非常に今大事ではないかなと思っています。お金のない方は本当に途方に暮れているわけですよ。
 なぜ、今こういう状況にあるのに支援をしないんですか。東日本大震災のときから、この制度は動いていないじゃないですか。一部損壊世帯が十四万棟を超えている、そして歩けばこういう被災者に出くわすわけですよ。国は何もしないんですか。なぜ支援しないんですか。お答えいただきたいと思います。


○松本国務大臣 今のきめ細かい支援をしていくということについては、これは当然必要なことで、対応の必要性があると思いますが、被災者一人一人の事情が異なるということから、例えば市町村の相談窓口で状況をしっかりと聞き取る、丁寧に伺うということ、こういったことによりまして被災者のニーズを受けとめ、それに応じた支援制度を紹介するなどの取り組みをするということを促進させてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 政府の取り組みを私は全否定しているつもりはありません。復興基金五百億円、これも有効に熊本県と自治体は使われるだろうというふうに思っています。
 この復興基金は、液状化とか崖崩れであるとか宅地の復旧、これは物すごくお金がかかります、それとか公共施設の復旧、地域コミュニティー施設、公民館ですね、こうした施設の復旧に充てていこう、これは妥当な考え方だというふうに私は思っております。
 一部損壊に対して自治体が支援をやっています、始めたところもあります。数えてみますと、熊本では県内十一の市町村が、厳しい財政状況の中でも独自の支援策をとっているわけであります。これは、目の前の被災者を見るに見かねての対応だというふうに私は捉えました。金額で最も多い自治体は、それでも二十万円なんですよ。瓦が破損して、屋根をやりかえるにはなかなかほど遠い金額であります。
 自治体のこうした支援制度というのは本当にありがたい、だけれどもこれは追いついていかない、全ての自治体がやっているわけではない、だからこそ、この問題の解決は政府の決断にあるというふうに私は考えております。
 地方自治体の努力では限界があるという認識に、大臣、立っていただけますか。


○松本国務大臣 この被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に限って支援の対象とし、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によって対応するものでございます。
 このような制度の被災者生活再建支援金の支援対象の拡大につきましては、東日本大震災を初め過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えております。


○田村(貴)委員 大臣、生活基盤に著しい被害を受けた方が被災者再建支援法の対象になっていると。著しい被害を受けてこの寒空のもとで本当に寒い思いをして、いつタイルが崩れてくるんだろうか、雨漏りが起きて、梅雨どきになったら暮らしていけないと、まさに暮らしていけないという状況があるんですよ。だから、今こそ政治決断が要るんじゃないですかと私はずっと申し上げてきているんです。
 被害を受けた方の被害が小さいという認識はこの際捨てていただきたい。十四万棟ある。それは、程度の小さいところから半壊と変わらないところまで、いろいろあるわけです。しかし、絶対数として物すごく多いわけですよ。一度歩いていかれてください。ブルーシートがかかったままですよ。ノックして、お宅をちょっと見せてくださいと言ったら、ああ、こんな状況かという家はいっぱいあります。ここに政治が心を砕かずして復興はあり得ません。
 一つお願いしたいことがあります。私もかねてから言ってきているんですけれども、なかなかこの一部損壊世帯というのは家の外からわからない状況があります。半壊とか大規模半壊とか全壊の指定を受けたら自治体は掌握できます。しかし、一部損壊というのは、支援の制度がありませんから、言ってみれば掌握し切れないところにあるわけです。それが物すごくあるわけですね。そこの状況をつかむということは、これは行政がやるべきことであろうというふうに私は思うわけです。
 そこで、実態調査をぜひ、政府も自治体と協力して取り組んでいただきたいと思います。被災者がどういう状況にあり、どんな要求を抱えているのか、家の程度、破損の状況を掌握するのはなかなか難しいんですけれども、これを自治体と一緒に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 冒頭紹介したように、震災関連死がかなり多いわけです。それは、一度助かった命なんだけれども、その後、ストレスを抱える、そして心神が耗弱して病気にかかっていく、体を悪くして亡くなっていく方が、これは毎日の弔慰金の支給の認定で認められているんですよ、毎日数字が変わってきている。震災関連死がふえていくんです、今からもずっと。そうならないためには、やはり心身ともに穏やかな生活、家と生活の再建に希望が持てるようにしなければならない。そのためには、被災者の状況をつかむことが何より大切ではないでしょうか。
 まずは、実態調査に国が乗り出していく。自治体の報告を待つんじゃなくて、自治体に対して、一緒に調べましょうや、どういう状況になっているのか、ここをつかむことが大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。


○加藤政府参考人 お答えいたします。
 被災者生活再建支援金等の支給等に当たりまして、支給された方等にお話を伺ったりしておりまして、そういう機会も通じながら、それから公共団体の方にもお声を聞きながら、実態を把握してまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 被災者の声を聞きながらということの御答弁がありましたけれども、大臣も同じお考えでしょうか。イニシアチブを発揮していただけるでしょうか。確認したいと思います。


○松本国務大臣 今お答えにもありましたように、災害国として今までたくさんのいろいろな知見があるわけでありますが、その一つ一つを重ねていくということは極めて重要でありまして、今般の熊本の地震についても、その状況をしっかり把握していくということは当然重要であります。
 また、市町村におかれましても、職員が足りないため、手がないために調べ切れない、動き切れないというような状況もあり、こういったことについては、今現在も、職員を派遣して対応するなど連携をとる方法については、常にできることをやるという姿勢で進めさせていただいているところでございまして、引き続き努力をさせていただきたいと思います。


○田村(貴)委員 この項の最後に、麻生財務大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 麻生大臣も、九州、熊本にお知り合いの方がたくさんおられると思います。その被災者の方で、寒空のもとで毎日悲しい思いをされている方もいるわけであります。安心して暮らしていくことができてこそ一億総活躍ではないかなと思うわけですけれども、被災者生活再建支援制度の改正を初め被災者支援に対してもっと財政支援を強めていくべきだ、いただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○麻生国務大臣 田村先生も福岡出身だから、隣の県だし、いろいろ思い入れがあるのはわからぬわけではありませんけれども、少なくとも、こういうものに関して、ここは補正三回ですからね。熊本の場合は補正を三回していますでしょう。東北やらほかのところから見たら、何で熊本だけ三回やと言われかねぬほど、ここはちょっと事情が事情だったこともあったのでいろいろしてあるということは御存じでしょうね。(田村(貴)委員「補正は知っています」と呼ぶ)ああ、そう。
 その使い方に問題があるなら、これはちょっと地方自治体の話になりますからね。使い方に問題があるんだというんだったら、これまた話は別の話でありますが、少なくとも、これは最初のときから……(田村(貴)委員「私はそんなことを言っていない」と呼ぶ)使い方に問題があるんじゃないかという意味でいろいろなことを言って、現実はそういうことでしょうが。それを国が一軒一軒全部調べろみたいな話はとても無理です、幾らなんだって。だから、地方自治体と組まない限りはできませんでしょう、地方自治体に人がいるんだから、そこの市役所の人とかね。
だから、財政支援は、今までも言っていたけれども、一番やっていますよというのをまず認めてもらわぬとちょっと私どもとしては悲しいですな、正直なことを言って。
 その上で、少なくとも、住宅がいわゆる必要不可欠な生活基盤であるという点に着目して、居住不能または居住困難となった場合に限って、私有財産への公的支援ということは問題じゃないかというのが随分あった中で、例外的制度として、過日、被災者生活再建支援制度金というものができたんですよね。だから、そういった点をよく考えてもらって、これは財産の損失を補填するものではなくて見舞金的な性格のものだった、先ほど、これをふやしてくれという点を位置づけられていることがまず第一点。
 それから、災害等々の被災者に関しては、先ほど松本大臣からお話があっておりましたように、保険の加入など自助によって対処すべきではないか、これは昔から言われている意見です。そして、東日本大震災等々の過去の災害の被災者との公平性というのも考えないかぬ。
 いろいろなことを考えて、国としては全体をやらねばならないわけで、熊本だけというわけにいきませんので、そういった点については、我々としては三次の補正を組みまして、三次目にも熊本というのを入れて、三次補正もやっていますし、熊本からは、野田先生初めいろいろこの地域に関して御関心のある方、益城町やら熊本市やらいろいろありますからね、そういった方々がやって、それは結構それなりに対応しているというので、熊本だけ何もしていないみたいに聞こえるような話を聞くというのは少々悲しいと思いますな。


○田村(貴)委員 私は先ほど言いましたね、復興基金のことについては評価していると。それで、その復興基金については熊本県でいろいろ考えて今使途が決められているという中で、しかし、一部損壊の支援までは回らないという状況があることを前提にお話ししているんです。私は何も間違いだとは一言も言っていないことは、この場で申し上げておきたいというふうに思います。
 時間がありませんので、最後、下関北九州道路について質問したいと思います。
 石井国土交通大臣、大臣は、二十日の日の衆議院予算委員会で、二〇〇八年に凍結された全国六つの海峡横断プロジェクトの一つである下関北九州道路について、技術面や予算面から必要な支援について検討したいと答弁されましたね。これに先立つ一月の北九州市会議員選挙で応援に入られた石井大臣は、冷凍庫から出して解凍中、公明党の市議がいればこそプロジェクトは進みますと訴えたことが報じられています。
 大臣、凍結した事業を冷凍庫から取り出して、今解凍しているということなんでしょうか。


○石井国務大臣 下関北九州道路を含めました六つの海峡横断プロジェクトにつきましては、平成二十年の三月に、個別プロジェクトに関する調査は行わないことといたしまして、それ以降、国において調査は行っていない状況でございます。
 一方、下関北九州道路につきましては、東日本大震災や熊本地震における代替路の重要性を踏まえまして、昨年十一月十六日の衆議院国土交通委員会における質疑において、既につながっている道路、関門海峡トンネルとか関門海峡大橋がございます、既につながっている道路のバイパス機能の確保など、他の海峡横断プロジェクトとの違いを踏まえ、地域で検討していただき、海峡横断プロジェクトとしてではなく、ゼロベースで必要性を再整理することとしたところでございます。
 これを受けまして、昨年十二月十八日に地域で取りまとめていただいた地域提言の内容から、もう既につながっている道路のバイパス機能の確保にかかわる課題や、PFI、有料としての整備の可能性が示されており、さらなる検討が必要と考えていたところでございます。
これを踏まえ、二月二十日の衆議院予算委員会において、今後、地域で実施する調査に対して、国土交通省としても、技術面や予算面からの必要な支援を検討する旨お答えをしたところでございます。
 なお、北九州に先月伺った際、解凍と比喩で申し上げたところでありますが、これは、下関北九州道路について、海峡横断プロジェクトとしてではなく、ゼロベースで必要性を再整理することを、そういった表現を用いたところでございます。


○田村(貴)委員 大臣が予算面から必要な支援について検討したいと言われたことは、これは地方が行う調査活動に対して国が国費を設けて支援をするということでよろしいんでしょうか。


○石井国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、昨年十二月十八日に地域で取りまとめていただいた地域提言、私の方にいただきましたが、既存道路ネットワークにかかわる課題やPFIを含めた整備手法など、実現に向けて多くの検討課題があるものと認識をしております。
 このため、地域で実施する調査を支援するため、今後、地域で開催する検討会等に国の職員が参画して技術的な助言を行うことや、地域で実施する調査の費用に対して国が補助することなどが想定をされるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後の地域からの調査に係る要望を踏まえ、具体的な支援内容を検討することとしておりまして、現時点で具体的な支援内容が決まっているわけではございません。


○田村(貴)委員 二〇〇八年三月十二日の衆議院国土交通委員会で、当時、凍結を決めた冬柴大臣が、こういう候補路線を格上げするようなことが将来起こった場合には、国会にお諮りしなければならないというふうに答弁されているんです。
 今度の経済的な財政支出について、これは予算は上がっていませんよね。国会に諮っていませんよね。それなのに、下関北九州道路については国会に諮ることもせず国費を投入するというのは、そういう判断を下したというのは、実に乱暴なやり方だと言わざるを得ません。
 予算も計上しないで執行する、これは過去の大臣答弁に反する国会軽視じゃないですか。


○石井国務大臣 海峡横断プロジェクトにつきましては、当時の国会における御議論を踏まえ、平成二十年三月二十八日に、海峡横断プロジェクトについて整理をし、記者発表を行っております。
 この記者発表におきましては、整備段階に格上げを検討する場合であっても、国会の場で個別路線ごとに議論するような手続を経ることとしておりますとしておりまして、整備段階における手続を示しているものでございます。
 一方、下関北九州道路につきましては、昨年十一月十六日の衆議院国土交通委員会や二月二十日の衆議院予算委員会における議論等を踏まえ、海峡横断プロジェクトとしてではなく、ゼロベースで必要性を再整理した上で、今後、地域で実施する調査に対して、国土交通省としても、技術面あるいは予算面からの必要な支援を検討する旨お答えをしたところでございます。
 いずれにいたしましても、一般的に、バイパス等の道路は、計画段階評価や都市計画手続、環境アセスメント、新規事業採択時評価といった段階を整備までに経ることとしております。
 これらの段階の中で地域の方々の御意見を伺うとともに厳格な評価を実施した上で、整備について判断することとなるわけでございます。


○田村(貴)委員 事業費二千億円と言われているプロジェクトを解凍するんですか。国と地方の借金が一千兆円を超えて、一方で、この国会でも国税、地方税の減収が大問題になっているじゃないですか。一円もそんな無駄遣いを許してはいけないと私は思います。
 凍結している事業をわざわざ解凍して、国会にも諮らず財政支出をすることを国会で答弁される。一方で、天井を見上げたら……


○浜田委員長 時間が来ております。まとめてください。


○田村(貴)委員 ブルーシートの被災者が寒い思いで暮らしているわけなんですよ。