○田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、昨年十一月、福岡市の地下鉄七隈線の延伸工事によって生じました博多駅前道路陥没事故について質問をしたいと思います。
この事故の原因調査に当たっていた国の、国土交通省の第三者委員会は、三月三十日に最終報告書を提出いたしました。この事故の原因について簡単に報告していただけますでしょうか。陥没のメカニズムについては結構ですので。お願いします。
○五道政府参考人 お答えいたします。
御指摘の博多駅前の道路陥没事故につきましては、福岡市からの要請を受け、土木研究所において検討委員会を設置し、三回の委員会の審議を経て、先月三十日に、原因や工事再開に当たっての留意事項等が取りまとめられたところでございます。
取りまとめでは、今回の事故の要因は必ずしも一つではなく、さまざまな要因が複合的に作用し陥没に至ったと考えられ、その中でも、トンネル上部の難透水性風化岩層の強度や厚さ、地下水圧の影響の二つの要因について、陥没の原因になった可能性が高いものと推定されています。
さらに、トンネル断面形状の変更や補助工法の施工方法の変更は、通常の地質状況では要因となる可能性は低いものの、今回のような厳しい地質条件下においては、その影響度合いを強めることとなり、結果的に事故発生の副次的な要因となった可能性が高いと推定されております。
○田村(貴)分科員 主要因と副次的な要因について御説明がありました。
この第三者委員会の報告の後に、地元の報道では、こういった報道です。市、JVの責任示さず、責任所在示さずなどの報道がありました。ここに今、市民の注目が集まっているところであります。
なぜ、福岡市やジョイントベンチャーの責任所在が明示されていないんでしょうか。
○五道政府参考人 お答えいたします。
本来、このような工事中の事故に関する原因究明につきましては、当事者により行われるものと考えております。
今回の検討委員会は、事業者である福岡市長からの要請を受けて土木研究所に設置したものです。今回の委員会の設置に当たり、福岡市からは、道路陥没事故の原因を明らかにし、その原因を踏まえた事故の再発防止策を提案することを要請されております。
これを踏まえて、今回の検討委員会の目的は、陥没の発生原因の把握や再発防止策等について専門的見地から検討することとしたものであり、事故の責任を明らかにするという趣旨ではないと承知しております。
○田村(貴)分科員 それはなかなか納得できない話であります。
今度の陥没事故は三回目でありました。過去二回の事故では原因究明に至りませんでした。そして、前回の事故では、福岡市が出した報告書では、この原因については明らかになりませんでした。だからこそ、今回は国が究明の任務を担ったということではないんですか。
事故原因についてはわかったんだけれども、では、どういうことが責任として問われなければいけないのか、そこが明示されていないと、市民的には納得できない話であります。
例えば、原因として、トンネル上部の岩盤の強度を十分に考慮せずに設計や施工をしたことが挙げられています。だとするならば、岩盤調査とか設計上の問題ですので、福岡市の責任に属する範囲ではないかなと思います。
それから、トンネルの岩盤へ打ち込んだ鋼管と補強についても言及が行われています。ならば、予定よりも鋼管を短くしたJVの仕事がストレートに問われてくるのではないでしょうか。
大臣もお聞きいただきたいと思うんですけれども、これは天災ではございません。責任の所在というのはおのずと明らかになっていると思います。しかとそこを明示しないと、今後の工事の再開に当たっての改善策に結びつかないのではありませんか。この設計、この工法、行政と施工者との仕事の判断でどこが悪かったのか、ここを明らかにしないと次につながらないと思うんですけれども、いかがですか。
○五道政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、今回の検討委員会は、陥没の発生原因の把握や再発防止策等について専門的見地から検討するものでございます。
このため、今回の検討委員会の取りまとめでは、事故原因の推定を踏まえて、福岡市が地下鉄工事を再開するに当たっての主な留意点として、事故後に実施されたボーリング調査結果を踏まえるとともに、陥没箇所の埋め戻しなどの事故後の措置も考慮しつつ、再度、地質、地下水の状況を把握する必要があること、また、トンネル坑内の水抜きや土砂撤去に当たっては、地下水等の計測を行うことにより、周辺への影響が生じないようにする必要があること、再掘削の工法選定に当たっては、都市NATMのほかに、シールド工法などの他の工法や新技術の活用も含め、安全性を重視して行う必要があることが示されております。
この委員会の取りまとめを受け、福岡市長からは、福岡市として真摯に受けとめるとともに、その御意見を踏まえて、今後、万全な再発防止対策を講じ、安全を最優先に取り組むとのコメントが出されております。今後、福岡市において再発防止に向けた具体的な検討が進められるとともに、事故の責任についても福岡市や関係者の間で協議されるものと認識しております。
○田村(貴)分科員 そういった処方箋まで出しているんだったら、原因とそして責任の所在というのは明らかじゃないですかと言っているわけです。これは私だけが言っているんじゃないんですよ。
西日本新聞の三月三十一日付に、谷本親伯大阪大学名誉教授が厳しくこの報告書についてコメントされています。紹介します。「地盤のもろさなど第三者委員会が指摘したことは専門家であれば知っているような内容ばかり。原因究明というなら、もろかった地点など特殊事情を明らかにするべきなのに、一般論に終始している印象だ。着工前に十分に把握しておけば起きなかった事故だと言わざるを得ず、第三者委としての役割を果たしたとは言えない。原因が具体的に示されなければ、工事再開に必要な具体策を考えることもできないのではないか。」トンネル工学の専門家がこういう指摘をしているわけであります。
大臣にお伺いします。
過去二回の陥没事故があって、それで、福岡市から、今度は国の方で原因究明を求められたわけであります。そして、今回の陥没の事故の前に、トンネルの天端高を引き下げる重要な設計変更も行われていました。しかし、国土交通省は、その福岡市からの変更届を事後でよしとしたわけであります。こうした点もやはり改める必要があるんじゃないですか。
再発はもう許されません。これからは、鉄道建設の許可権者として、国土交通省は、事故原因の検証を委ねられた者としてしっかりと技術支援をしていくべきであると思います。それから、今後の調査、設計、施工の各段階ごとにチェックを果たしていくべきだと私は考えますけれども、石井大臣、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 福岡市交通局の地下鉄七隈線延伸工事で発生をいたしました今回の道路陥没につきまして、福岡市はこれまで二回の道路陥没を発生させており、市自身が原因究明することについて市民の納得を得ることはできないのではないかとの懸念があり、第三者による原因究明を国土交通省にお願いしたいとの意向が市長より直接国土交通省に示されたところであります。
これを受けて、国土交通省所管の土木研究所におきまして、原因究明や再発防止対策検討のための委員会が設置をされ、調査検討が行われたところであります。
今後は、工事再開に向けた手順等の検討が行われることになります。当該検討については、基本的には当事者である福岡市において行われるものと考えておりますが、福岡市から検討における協力の要請等があれば、引き続き協力してまいりたいと存じます。
また、工事再開に当たりましては、福岡市から検討結果の報告を受け、その内容等をしっかりと確認をしたいと思っております。
○田村(貴)分科員 陥没によって損害を受けた方々から不満の声は上がっています。ある飲食店の店長は、新聞のインタビューにこういうふうに答えています。発生一週間で復旧したことがよい話として語られているが、当時はいつまで休業が続くか不安だった、補償交渉も長引いており、事故の責任は明確にされなければいけない。この責任を市民は求めているわけなんですよね。
第三者委員会の検証は終わりましたけれども、工事再開のめどは立っておりません。国交省が引き続き、事故原因の究明と、二度とトンネル事故、陥没事故を起こさないために力を尽くすことを求めて、次の質問に入りたいと思います。
九州新幹線についてお伺いします。
長崎新幹線は、全線フル規格ではなく、新鳥栖―武雄温泉間の在来線をフリーゲージトレーン、軌道可変電車で運行させる計画であります。しかし、この肝心のフリーゲージトレーンが完成されていません。
フリーゲージトレーンを使った長崎新幹線の開業予定時期は二〇二二年、平成三十四年春とされていましたけれども、二〇一四年の耐久走行試験でふぐあいが生じ、二〇一五年十二月、国土交通省は開業に間に合わない見解を出しました。
そこで、お伺いします。
今後の再評価、耐久走行試験、そして量産化と開業予定時期についての見通しについてお伺いします。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
フリーゲージトレーンの技術開発につきましては、車軸の摩耗対策等を検証するための検証走行試験がことしの三月二十六日に終了いたしまして、現在、台車の分解調査等を実施するとともに、コスト削減策などの経済性の検討を実施いたしております。
今後は、ことし初夏を目途に、台車の分解調査でありますとか経済性の検討の結果などを学識経験者で構成されます軌間可変技術評価委員会に報告をいたしまして、耐久走行試験の再開に向けた評価を受けることといたしております。
この評価委員会における評価を経て、耐久走行試験の再開、さらには営業車両の設計、製作へと進み、先行車の導入については平成三十四年度、量産車の導入は平成三十六年度末になる見通しとなっております。
なお、開業見込みについては、現在のところ、平成三十四年度ということで変わっておりません。
○田村(貴)分科員 いずれにしても不透明な話で、今から再評価していく、耐久走行試験をやっていく。耐久走行試験は二年半もかかりますね。それからいろいろな手順を踏んで、量産化が平成三十六年と、大変先の長い話であります。
大臣に率直にお伺いします。
六十万キロ走行の耐久試験に合格して、量産化、そして営業できる、この年度で営業できるという保証はあるんでしょうか。
○石井国務大臣 今局長が答弁をしたところでありますが、フリーゲージトレーンにつきましては、平成二十六年十一月に、耐久走行試験中に車軸の摩耗等が確認されたことから、試験を一旦中断し、原因の究明や対策の検討をしてまいりました。
その後、昨年十一月の軌間可変技術評価委員会において対策案が了承され、昨年十二月より車軸の摩耗対策等を検証するための検証走行試験を開始し、約三万キロメートルを走行した後、三月二十六日に終了しました。
現在、台車の分解調査等を実施するとともに、引き続き、コスト削減策などの経済性の検討を実施しております。
国土交通省といたしましては、本年初夏をめどにこれらの結果を取りまとめて、改めて軌間可変技術評価委員会を開くこととしておりまして、引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携をしながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
○田村(貴)分科員 お伺いしたのは、フリーゲージトレーンの開発が成功して、量産化できる、営業ができるという保証はどこにありますかという質問なんです。お答えいただきたいと思います。
○石井国務大臣 今お答えしたとおりでありまして、引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携をしながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでいく、こういう段階でございます。
○田村(貴)分科員 頑張るけれども、量産化、営業できる保証というのは示されませんでした。そういうことなんです。
完成は五里霧中であります。車両の見込みもない新幹線計画が動き出しています。フル規格部分の建設はどんどんと進んでいます。橋脚ができ、そして線路を敷き、おかしな話だというふうに思います。
フリーゲージトレーンの開発に要している時間と費用、そしてその原資について説明していただけるでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
フリーゲージトレーンにつきましては、平成九年度より必要な技術開発に着手をいたしまして、安全に軌間を変換するための技術、新幹線区間において時速二百七十キロで高速走行するための技術、在来線区間において時速百三十キロで走行するための技術等について、おのおの開発をしてまいりました。
このフリーゲージトレーンの技術開発に要する費用につきましては、整備新幹線建設推進高度化等事業費において、平成九年度から平成二十八年度までの二十年間で総額約四百九十億円を支出しているところでございます。
○田村(貴)分科員 二十年間で総額四百九十億円の国民の税金が費やされているにもかかわらず、車両は完成していないということでありました。フリーゲージトレーンを使った新幹線の計画そのものが無理ということではないんでしょうか。
JR九州の青柳社長は、昨年十二月二十日、フリーゲージトレーンの開発がおくれるなら、長崎ルートのフル規格を導入することも検討するよう国に働きかけていく考えを明らかにしたと報道されています。
国土交通省は、九州新幹線長崎ルートについて、フル規格を選択肢に入れておられるんですか。お答えください。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十二月二十日のJR九州の社長定例会見において、その前月に開催をされました技術評価委員会の結果を踏まえ、社長より、安全性は十分に確認できるレベルではなく、保全性、経済性も事業者として受けられる状況ではなく、当社も協力して一刻も早く経済性がクリアすることを希望している、フリーゲージの方向性が示されていない中でフル規格の話をするのは適切でない等の発言があったというふうに承知をいたしております。
この定例会見におけますこれらの発言につきましては、JR九州より、九州新幹線西九州ルートの営業主体として、フリーゲージトレーンの開発について、今後、安全面、コスト面の課題についてさらに検討を進めていく必要がある旨を発言したものというふうに聞いております。
いずれにいたしましても、九州新幹線西九州ルートの整備につきましては、国土交通省といたしましては、「フリーゲージトレインの技術開発を推進し、完成・開業時期を平成三十四年度から可能な限り前倒しする。」との平成二十七年一月の政府・与党申し合わせに基づき整備を進めているところでございます。
引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携しながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでいくとともに、武雄温泉―長崎間の工事を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村(貴)分科員 それはそうでしょうね。フル規格にするというんだったら、佐賀県の負担はふえる一方でありますし、この整備新幹線計画そのものを長崎ルートは白紙に戻さなければならないということであります。
石井大臣にお伺いします。
フル規格は不可能である、そしてフリーゲージトレーンは暗礁に乗り上げている、これは完全に行き詰まっているのではありませんか。見通しのない事業に対して公金をこれだけ注ぎ込むやり方について、私は国民の理解は得られないと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 九州新幹線西九州ルートにつきましては、平成二十七年の政府・与党申し合わせ等に基づき、フリーゲージトレーンを導入することを前提に、武雄温泉―長崎間の工事を進めてきているところであります。
しかしながら、その後、フリーゲージトレーンの開発のおくれが生じたという状況を踏まえ、平成三十四年度の開業のあり方については、関係者間での丁寧な議論を経て、武雄温泉駅での対面乗りかえ方式とすることで昨年三月に関係者間の合意を得たところであります。
国土交通省といたしましては、この対面乗りかえ方式による整備は、武雄温泉―長崎間の新幹線施設を活用して平成三十四年度に開業するための最善の方式であると考えており、政府・与党申し合わせ及びこの合意を踏まえ、九州新幹線西九州ルートの着実な整備を進めてまいりたいと存じます。
○田村(貴)分科員 びっくりする話ですよね。
平成三十四年に対面乗りかえ方式、これはリレー方式ですよね。フル規格の新幹線は武雄温泉駅と長崎間は走る、その他の部分は在来線の特急を走らせる、それをリレーでつなぐというだけでしょう。これは新幹線計画とは言いませんよね。こういうのを世の中では見切り発車と言います。
フリーゲージトレーンが実用化しなかった場合は、二十年間で約五百億円かけたというこの巨費は水泡に帰すわけなんですよ。私は、こんな無駄遣いが許されていいと思いません。わずか六十七キロのフル規格の部分、時間にしてわずか二十七分から二十八分、ここだけを新幹線を走らせる、そのために今から幾らかけるんですか。
このフル規格の部分、総工費と、それからこれまで支出した費用について教えてください。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
九州新幹線長崎ルートの総工事費は約五千億円でございます。また、これまでにかかった建設費につきましては、平成二十八年度までの予算ベースで千九百七十一億円となってございます。
○田村(貴)分科員 飛行場で言うならば、飛行機が完成していないのに滑走路をつくっているような話ですよ。
もしこのフリーゲージトレーンが完成したとしても、どういう走行になっていくのか。軌間変換区間については、接続線で時速十キロメートルまでスピードを落とさなければならないんです。そして、車軸、幅を広げる、あるいは狭める、このやり方をやらなければ、軌道敷が違う、幅が違うところでフリーゲージトレーンというのは走ることができないんです。一千四百三十五ミリと千六十七ミリ、これを入れかえるわけなんですよね。この装置を新鳥栖と武雄温泉駅にそれぞれ設置するわけで、博多から長崎の利用客はいずれこの操作に二回立ち会うということを経なければ、新幹線は全線走らないという仕組みになっています。減速二回、加速二回、時間を要しますよね。
現在の長崎線を利用した場合、「かもめ」とかの特急を利用した場合は、博多から長崎までは一時間四十八分で移動できます。このリレー方式、在来線特急を使うというやり方は、乗りかえ時間を五分と仮定しても一時間三十五分、これはほとんど変わらないんですよ。
このリレー方式、ほとんど変わらないのに、それを新幹線と言っていいのか。平成三十四年、このリレー方式をやる意味はどこにあるんでしょうか。この意味合いについて教えてください。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
武雄温泉駅におけます対面乗りかえ方式での開業によりまして、博多―長崎間の所要時間は約一時間二十六分となりまして、現行の再速達特急の所要時間の約一時間四十八分より二十二分早くなるものと想定をいたしております。
昨年三月の「九州新幹線(西九州ルート)の開業のあり方に係る合意」によれば、平成三十四年度の開業のあり方については、平成三十四年度には武雄温泉―長崎間の新幹線施設が完成することや、地元自治体やJR九州からの開業効果の早期発現を求める御意見等を踏まえた上で、関係者の間での丁寧な議論を経まして、武雄温泉駅での対面乗りかえ方式とすることとされたところでございます。
したがいまして、国土交通省といたしましては、この対面乗りかえ方式による整備により平成三十四年度に開業することは、博多―長崎間の時間短縮効果や、その沿線地域における開業効果を早期に発現させる観点から最善の方式であると考えておりまして、政府・与党申し合わせ及びこの合意を踏まえ、九州新幹線西九州ルートの着実な整備を進めてまいります。
○田村(貴)分科員 それは納得できませんよ。
今も言いましたね、現在の長崎線の特急を利用したら、最速で一時間四十八分です。局長は長崎線の特急に乗られるか、乗られたか私は知りませんけれども、私はしょっちゅう乗っています。もう何十回、何百回乗りました。一時間四十八分ぐらいで行きます。
これにかわるリレー方式というのは、乗りかえ時間を五分と仮定しても一時間三十五分です。全然変わらないじゃないですか。これをどうして時間短縮と言えるんでしょうか。リレー方式をやる意味が私はないと思うんです。時間短縮にはならないということは考えていないんですか。お認めにならないんですか。
○奥田政府参考人 先ほど申し上げましたように、対面乗りかえ方式での開業と現行の最速達特急の所要時間との比較、約二十二分早くなるというふうに申し上げましたが、これはそれなりの時間短縮効果を発現しているというふうに考えております。
○田村(貴)分科員 それはやってみないとわかりませんよね。接続の時間がどれぐらいかかるかもわからないし、また、いろいろなふぐあいが起こってくるかもわからない。しかし、今報道も、民間からの指摘も含めて、これは大した時間差にはならないというふうに指摘されているわけであります。
もう一つは、新鳥栖―武雄温泉駅間というのは八十一・九キロあるわけであります。これは、計画区間の五五%、半分以上であります。半分以上を在来線の特急が走る。そして、長崎県を中心とする部分だけをフル規格の新幹線で走らせていく。このリレー方式というのをそれでも新幹線と言っていいんでしょうか。どうなんですか。
○奥田政府参考人 それにつきましては、累次の経緯によりまして、そういった方式で新幹線として整備をするということとされておりますので、さよう理解していいものと理解しております。
○田村(貴)分科員 そのリレー方式であっても、長崎新幹線開通、営業開始というふうに言われるんでしょうか。
○奥田政府参考人 平成三十四年度、九州新幹線西九州ルートの開業ということかと思います。
○田村(貴)分科員 それはむちゃくちゃな話ですよ。
もう一問聞きます。
リレー方式を始めたら、今の長崎線の特急というのはどうなっていくんでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
現在、JR長崎本線におきましては、博多から佐賀、肥前山口、肥前鹿島、諫早を経由いたしまして長崎に至る特急「かもめ」号が運行されております。
このうち、長崎本線肥前山口―諫早間の取り扱いにつきましては、平成二十年三月の九州新幹線武雄温泉―諫早間の着工に先立ち、佐賀県、長崎県及び九州新幹線の三者は、平成十九年十二月の基本合意等によりまして、JR九州は、長崎本線肥前山口―諫早間について、経営分離せず、上下分離方式により運行することとし、新幹線開業後二十年間運行を維持する、さらに、博多―肥前鹿島間の特急列車については、片道五本程度運行させるということとしておりました。
その後、フリーゲージトレーンの開発状況を踏まえまして、昨年三月の対面乗りかえ方式による開業に係る関係者間の合意には、長崎本線肥前山口―諫早間の取り扱いについても、あわせて盛り込まれております。
具体的には、JR九州は、博多―肥前鹿島間の特急列車については、平成三十四年度の新幹線開業時点から三年間は片道七本程度、その後は片道五本程度運行するとともに、当該開業後二十三年間は運行を維持するとされたところでございます。
平成三十四年度の九州新幹線西九州ルート武雄温泉―長崎間の開業後における長崎本線の特急列車については、この合意に基づき運行されるものと考えております。
○田村(貴)分科員 いずれにしても、市民、県民、国民が利用している今の長崎線の特急は、縮小の方向あるいはなくなっていくという状況にあります。それも全て、フリーゲージトレーンが開発される、そして営業されるという前提のもとでの話ではないですか。今完全に行き詰まっている中で、こういう事態がリレー方式で生まれていったらどうなっていくのか。厳しく指摘したいと思います。
フリーゲージトレーンがもし仮に実用化されたところで、これは最大速度二百七十キロであります。山陽新幹線の時速は三百キロであります。山陽新幹線への乗り入れは困難ではありませんか。JR西日本は難色を示しているというふうに聞いていますけれども、実際どうなんでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
フリーゲージトレーンの山陽新幹線への乗り入れが難しい旨の新聞報道があったことは承知しておりますが、それについて、JR西日本から私ども国土交通省に対してそのような意向が伝えられたことはありません。
いずれにいたしましても、具体的な鉄道ネットワークの中でどのようにフリーゲージトレーンを活用するかについては、今後、ダイヤ設定など、基本的には関係する事業者間で調整されるべきものというふうに考えております。
○田村(貴)分科員 乗り入れの見込みはないということです。
これまでのいろいろ世論調査があったんですけれども、九州新幹線長崎ルートについては反対が賛成を上回っています。「かもめ」でいいじゃないかと言っている県民、市民が多いわけなんですよ。そして、フリーゲージトレーンが完成されても、行き詰まっても、リレー方式であっても、この時間差というのは余り変わらないわけなんですよね。今からでも見直しは遅くないというふうに私は思っているわけです。
フリーゲージトレーンが、今のフル規格の新幹線の車両建設費よりもコストが二・五倍から三倍にかかるということも指摘されているじゃないですか。本当にこれから五里霧中の中で、こうしたやり方に、どんどん税金をフル規格の部分もフリーゲージトレーンにも使っていくことに、私は、国民の理解は得られないというふうに思うわけであります。
今からでも遅くはないと思います。長崎新幹線の計画は白紙撤回することを強く求めて、私の質問を終わります。