193-衆-総務委員会 任用空白の解消を 自治体の臨時職員待遇 田村貴氏

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 地方公務員法の改正案が、参議院先議で、間もなく衆議院でも、本委員会でも審議が始まろうとしています。
 きょうは、これに先立ちまして、地方自治体で働く臨時、非常勤職員の待遇問題についてお伺いをいたします。
 まず最初に、任用の空白について伺います。
 意味もなく、そして法的根拠もない任用の空白問題については、国会でも何度も指摘をされてまいりました。臨時、非常勤職員にとっては、仕事自体はあるにもかかわらず首が切られる、非常に理不尽なものであります。
 先日、私は、福岡県のある自治体で、臨時の保育士さんの実態についてお話を伺ってまいりました。例えば、六カ月が任期で、一回更新して一年間雇われた後に、二カ月の空白を設定しているところもありました。全国の実態はどうなっているでしょうか。
 総務省に伺います。
 臨時、非常勤職員の実態調査が公表されています。ここでは保育士について伺います。臨時、非常勤の保育士を任用している地方自治体のうち、空白期間を設けている自治体の割合はどの程度でしょうか。


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 平成二十八年四月の総務省実態調査によりますと、保育所保育士について任用実績のある自治体に対する空白期間を設定している自治体の割合は、指定都市では、特別職非常勤職員を任用しているところで八・三%、一般職非常勤職員のところで五〇・〇%、臨時的任用職員のところは六八・八%でございます。市区では、特別職非常勤職員が八・七%、一般職非常勤職員が一七・二%、臨時的任用職員が五二・四%でございます。町村におきましては、特別職非常勤職員を任用している団体で九・三%、一般職非常勤職員で九・一%、臨時的任用職員で三〇・九%という状況でございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 多くの自治体で空白を採用しているということであります。
 この空白の設定がありますと、いろいろ支障が生じてまいります。例えば、一日から数日の短期間であっても、保険や交通費等の支給の基準日に係ってまいります。交通費が支給されなかったり、社会保険から一旦抜けなくてはならないといった不利益が生じてまいります。また、一カ月、二カ月など長期になれば、別の仕事を探さなければいけない。これが任用の空白の大きな問題であります。
 それでは、なぜ地方自治体は、かたくなにこの空白を設定しているんでしょうか。保育士について、直近の調査、先ほどの調査でいいですけれども、その最も多い理由を挙げて説明していただきたいと思います。


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 平成二十八年四月の実態調査によりますと、保育所保育士の任用に際し、空白期間を設定している主な理由といたしましては、「空白期間を設けることにより、継続した任用と見られないようにするため」「恒常的な業務を担う正規職員との区分を明確にし、臨時・非常勤職員の職であることを明確にするため」「業務の遂行に必要のない期間であるため」などが挙げられる一方で、「退職手当や社会保険料等の財政的な負担を避けるため」としている団体も見受けられるところでございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 きょう、資料をお配りしています。空白期間を設定しているその理由について、政令市と市区とそれから町村別の三枚物でありますけれども、二枚目の市区の方を見てまいります。
 これを見ますと、特別職であっても一般職であっても臨時任用であっても、一番大きな理由は「空白期間を設けることにより、継続した任用と見られないようにするため」、これはトップであります。大体自治体はそういう回答が多いわけでありますけれども、恒常的な業務を担っている正規職員と区別するため、これが理由なんですよね。
 これは、総務省、裏を返して言わせていただければ、本来ならば継続して雇う必要のあるその職業を、臨時的非常勤が担っているということではありませんか。正規職員の臨時、非常勤への置きかえが相当広がっているというふうに見受けられますけれども、いかがでしょうか。

(配布資料はこちら)


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 私どもの調査でも、総数ベースでいきましても、臨時、非常勤職員の増加数を上回って正規職員が減少しているという実態がございますので、これらから見ても、臨時、非常勤職員が正規職員の代替となっているのではないかという指摘があるのは事実だろうかと思います。
 ただ、職員の任用につきましては、つけようとする職務の内容、勤務形態等に応じて、任期の定めのない常勤職員、任期つき職員、臨時、非常勤職員のいずれが適当か、基本的には各地方団体において適切に判断されるべきものであろうかと思っております。
 その際、総務省といたしましては、臨時、非常勤職員についての業務の内容や業務に伴う責任の程度は、任期の定めのない常勤職員と異なる設定とされるべきものであることに留意すべきであるというふうに助言をしているところでございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 恒常的な仕事を担うのであれば、これは正規職員にちゃんと置きかえるべきでありますよ。
 福岡の二カ月の空白を設定している保育士さん、正規の職員の方と一緒にクラスを持つこともあります。人手が必要なのに、わざわざ働くことができない期間を設ける、仕事がなくなるというこの矛盾はどう考えますか。おかしいじゃないですか。子供たちにとってみたら、なれ親しんだ先生がこの空白の前にぱっとおられなくなってしまう。これは決していい環境ではないというふうに思うわけであります。
 だからこそ、総務省もこれをよしとしないということで、自治体に対して、例えば二〇一四年のいわゆる七四通達、これを出してきたわけですよね。
 私も、ことしの二月二十一日、この空白の問題を取り上げさせていただきました。政令指定都市における学校の常勤職員の空白について、不利益をこうむっているという問題を取り上げました。総務省からの回答については、この空白設定を求める法的根拠はないということでありました。
 今明らかになりましたように、答弁もありましたように、正規職員が本来行わなければいけない恒常的な任務を臨時、非常勤に置きかえられている。これは、総務省のこの実態調査でも明らかになりました。即刻、是正、改善が必要になってくると思います。
 そこで、また伺います。
 この空白期間の見直しについて、今後、地方自治体はどうしていく、この意向についても説明をしていただきたい。見直すのか、見直さないのか、それぞれ割合について御説明いただけるでしょうか。
 〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 平成二十八年四月の実態調査によりますと、いわゆる空白期間の設定の見直しについて、対応済み等の団体は全体の五四・三%、検討中の団体は全体の六・八%、予定なしの団体は全体の三八・八%となっております。
 この結果については、平成二十六年総務省通知を受けて一定の改善が見られるものの、限定的であると理解をしております。
 このため、平成二十八年十二月の総務省研究会報告書においても、任期の設定等について、立法的な対応等の提案をいただいたところでございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 見直しの予定はなしとするところが多いわけですよ。政令市の全体の回答では二八・三%、市区では三四・二%、そして町村では四四・九%。半分は見直さない、見直すことができない。これは後で言いますけれども、そういう状況であります。
 これだけ問題になっている、そして法的根拠もない、そして恒常的な仕事が臨時に置きかえられているという問題が明らかになっているにもかかわらず、どうして改善が進んでいかないのか。この中には、業務上必要のない空白設定もたくさん含まれておるはずであります。
 もう一度伺います。
 今後どうされていくんですか。目に見えて改善、これはちゃんと実現していかなくちゃいけないじゃないですか。どうされますか。


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 臨時、非常勤職員の任期につきましては、基本的には、各地方公共団体において適切に判断されるべきものでございます。
 しかしながら、退職手当や社会保険料等の負担を回避するために空白期間を設けることは適切ではございません。
 また、任用されていない者を事実上業務に従事させた場合、公務上重大な問題を生じるおそれもございます。
 このため、今国会に提出しております地方公務員法等の改正法案においては、会計年度任用職員について、国の期間業務職員についての人事院規則も参考とし、各地方公共団体が任期を定める際に、「職務の遂行に必要かつ十分な任期を定めるもの」とする配慮規定を明確に規定し、いわゆる空白期間の適正化を図ることとしております。
 総務省としては、今後、任期の設定が適切に行われ、不適切な空白期間の是正が図られますよう、地方公共団体に対して助言等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 今度の地公法の法改正がどれだけ有効であるかはよくわかりません。これはまた、法案審議で私はただしていきたいというふうに思います。
意味のない、そして法的根拠のない空白の期間の設定についてはやめて、その分はしっかりと正規雇用に置きかえていただきたい、そのことを強く要望したいと思います。
 非正規職員の処遇改善は、ほかにもいっぱいあるわけであります。
 例えば、正規職員が少なくて、そして日雇いの形のようで、仕事に当たる、そういう保育士さんの話も私は伺ってまいりました。
 この自治体での保育所は、月十日程度勤務する臨時保育士さんの方が大勢います。これは正規の職員さんが少ないためであります。労働日数が少なく抑えられて、面接時には、あなた、働いていただきますけれども、年休はありませんと言われる、そういった不利益な待遇に置かれているところもあるわけであります。
 そこで、この年休の問題について、厚労省にお伺いしたいと思います。
 次のケースについてお尋ねします。
 日々雇い入れられている契約で、同一の使用者のもと、同一の事業場で六カ月を超えて継続勤務し月十日の所定労働日の八割以上を出勤した者については、年次有給休暇の権利は発生すると考えますか。いかがでしょうか。


○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのありました日々雇いの方の年次有給休暇につきましては、まず、労働基準法第三十九条第一項におきまして、使用者は、その雇い入れの日から起算して六カ月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対しては、有給休暇を与えなければならないというふうにしておりまして、日々雇いの方でありましても、実質的に判断して同一の使用者に引き続き使用されていると認められる場合には、この規定の継続勤務に該当するというふうに考えております。
 なお、この場合の年次有給休暇の付与日数は、通常の労働者との比較におきまして、一週間または一年間の所定労働日数の比率を考慮して定められているところでございます。


○田村(貴)委員 ということは、私が今例を出したこの状況にある労働者については、年次有給休暇の権利は発生するということでよろしいですね。


○土屋政府参考人 個別の事案についての御回答という意味では差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的には、先ほどおっしゃったようなケースであれば継続勤務に該当するというふうに考えるということでございます。


○田村(貴)委員 もう一つ、お尋ねします。
今言われた労働基準法第三十九条でありますけれども、この規定は地方公務員にも適用されますよね。そして、臨時、非常勤職員についても適用がありますね。確認します。


○土屋政府参考人 労働基準法三十九条第一項の規定は、地方公務員にも適用されまして、非常勤であるかどうかということを問わず適用されるということでございます。


○田村(貴)委員 空白によって雇いどめになってしまうとか、それから、年休も制度上あるのにとらせてもらえないとか、こういった状況があるわけなんですよ。
 私が紹介した福岡のある自治体の事例なんですけれども、正規の保育士さんが本当に少ない。ある保育所は、子供の数における保育士の配置基準でいくと二十人なんです。実際おられる正規の保育士さんは二十四名しかいない。これは本当に少ないんです。育児休業とか、それから通勤緩和であるとか、病休とか、こうした予備率を考慮するならばもっと多くの正規の保育士さんがいなければならないんだけれども、そうはなっていない。職員が年休をとろうとすると、その都度かわりの臨時の職員さんを入れないと保育所の運営がまかりならない、そうした状況にあるわけなんです。
 こうした状況というのは、子供たちにとってみても、先生方にとっても余りふさわしい環境とは言えないというふうに思います。子供たちにとって、そして保護者にとっても安心できる保育所であるためには、やはり常勤の正規保育士さんをちゃんと中心に据えなければいけないと思いますけれども、厚生労働省、いかがでしょうか。


○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
 保育園の人員配置に関しましては基準を設けておりまして、児童の身体的、精神的、社会的な発達のために必要な生活水準を確保するための最低基準ということで、保育現場における質の確保を図る役割を果たしているところでございます。
 一方で、職員配置の充実を図っていくということは質の担保のために非常に重要な課題だというふうに考えておりまして、私ども、公定価格の基本分単価におきましては、職員の休暇などの場合の代替要員の確保の費用を盛り込んでいるといったところでございます。
 さらに、平成二十七年度から子ども・子育ての新制度がスタートしておりますけれども、消費税財源を活用いたしまして、三歳児に対する保育士配置につきましては二十対一ということになっておりますが、これを十五対一に引き上げる保育園に対する公定価格上の加算を設けているというところでございます。


○田村(貴)委員 保育所というのは、子供たちの毎日の生活の場なんですよね。そして、臨時の職員の方たちは、やはり毎日の子供たちの成長を見て感じたときに喜びを感じている。そして、子供たちが自分を必要としてくれることを本当の喜びとしている。生きがいとそして専門職としてのやりがいを感じながら、悪い条件だけれども頑張って働いておられるわけですよね。
 そういう毎日の生活の場であり、恒常的な仕事であるにもかかわらず、こうした状況に置かれている。この処遇というのは、やはり改善されていかなければいけないと思います。
 厚労省におかれては、こうした保育所がいっぱいあるということをぜひ調査して、改善のために動いていただきたいと思います。
 なぜこの任期のない非常勤の職員を中心とした状況が進んでいるのか、その理由は、先ほどの臨時、非常勤職員の実態調査によっても明らかになっています。ここでは、ほとんどの項目では、人件費を削減するため、その理由がトップに入ってきているわけであります。つまり、財政上の理由で臨時、非常勤職員を置かざるを得ないといったところが大きな理由となっているわけです。
 だとするならば、やはり今後、財政措置をしっかりと総務省は努力していかなければいけないというふうに思いますけれども、時間がありません、ちょっと質問を進ませていただきたいと思います。
 最後に、高市大臣にお伺いをいたします。
 きょう、るる述べてまいりましたけれども、正規職員の数を抑えて、そして臨時職員で行政需要を埋めるという方法は、もはや無理が来ているのではないかと思います。とりわけ、その矛盾は臨時、非常勤職員の待遇に大変大きな不利益をもたらしているわけであります。
 恒常的な職務については正規職員をちゃんと位置づけしていく、そして同時に非常勤職員の待遇を改善する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。


○高市国務大臣 地方公共団体の運営においては、公務の中立性の確保、職員の長期育成を基礎とし、職員が職務に精励することを確保することを通じて、能率性を追求し、地方行政の質を担保するといった観点から、国家公務員と同様、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営という原則は、今後とも維持されるべきものだと考えております。
 また、一般職の常勤職員につきましては、近年は防災部門などを中心に増加傾向にあります。一般職員の採用者数も増加傾向にございます。
 各地方公共団体におかれましては、行政需要の変化に対応した職員の採用やめり張りのある人員配置など、自主的に適正な定員管理に取り組むことが重要だと考えています。
 臨時、非常勤職員の適正な勤務条件の確保につきましては、今国会に地方公務員法等の改正法案を提出させていただきました。この改正法案の内容としては、会計年度任用職員制度を創設することなどにより、任用、服務などの適正化を図るということとともに、あわせて、給与に係る勤務条件の適正化として、会計年度任用職員に対して、これまでは認められていなかった期末手当の支給を可能とするものでございます。
 また、勤務時間などに係る勤務条件の適正化として、改正法案を成立させていただいた暁にでございますけれども、原則全ての団体で会計年度任用職員制度を導入していただく必要があり、その際には、適正な休暇、育児休業等の制度の整備についても確実に進めていただくよう、ことしの夏を目途に作成するマニュアルなどに記載して、各地方公共団体に対して助言をしてまいります。


○田村(貴)委員 処遇改善に全力で当たっていただきたいと思います。法案審査でまた議論させていただきます。
終わります。