193-衆-地方創生に関する特別委 農業特区に外国人派遣労働者 田村貴昭氏「制度ずさん」 衆院地方創生特

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 農業支援外国人受け入れ制度について、きょうは質問をします。
 既に、日本においては多くの外国人が農業に従事していますが、その一つが技能実習制度であります。しかし、この技能実習制度においては、これまで、監理団体そして実施機関等による多くの不正行為が行われてまいりました。技能実習生の人権を侵害してまいりました。
 まず、法務省にお伺いします。技能実習制度における不正行為の機関数の推移について説明をしてください。


佐々木(聖)政府参考人 お答えいたします。
 外国人の研修、技能実習の適正な実施を妨げる不正行為を行ったと認められる旨を通知した受け入れ機関の数は、平成二十四年百九十七機関、平成二十五年二百三十機関、平成二十六年二百四十一機関、平成二十七年二百七十三機関、そして平成二十八年二百三十九機関となっております。


田村(貴)委員 法務省からの資料を私も読ませていただきました。これは年々ふえていますよね。そして、平成二十八年においても二百三十九件と二百台を維持している、そういう状況にあるわけなんですね。
 お手元に資料を配付させていただきました。これは類型別の不正行為の件数であります。この類型別の不正行為の件数においても、年間三百件台にある。平成二十八年は三百八十三件の総計になっています。
 この中で、類型で一番多いのは、悪質な人権侵害行為等に分類されたところであります。平成二十六年から二十八年の数字が書かれているんですけれども、二十八年では総計で百四十三件にあるわけです。そして、この中には、暴行、脅迫、監禁といったような行為が平成二十七年度で記されており、あるいは、旅券、これはパスポートですね、それから在留カードの取り上げ、あってはならないような行為ですよね、それから、人権を著しく侵害する行為、これが毎年毎年繰り返されているように起こっているわけなんです。
 一番ひどいのは、賃金等の不払いというところでありまして、平成二十六年から二十八年、百四十二件、百三十八件、百二十一件と全然直らないという状況にもあるわけなんですね。これは氷山の一角かもわかりません。表に出て、法務省が、入国管理局が統計をとったうちの数でありますので、隠れている不法行為もあろうかというふうに思うわけであります。まさに驚くべき状況が技能実習生において行われてまいりました。
 こうした状況があって、多くの技能実習生が失踪しています、失踪しました。この失踪者の状況については、法務省、カウントされていますか。

 

(配布資料はこちら)


佐々木(聖)政府参考人 近年、技能実習生の失踪事案が急増していることに鑑みまして、入国管理局では、昨年九月以降失踪した技能実習生が従事していた職種についての調査を行っております。
これを御報告いたしますと、昨年九月から十二月までの集計によりまして、失踪者総数千八百九名のうち、最も多いのが建設関係で五百七十七名、次いで農業関係が三百七十二名、その次が機械・金属関係で百八十九名となっております。


田村(貴)委員 この数も多いですよね。その中で二番目に多かったのが農業関係者だという話でありました。三百七十二人の失踪者が生まれたということであります。
 技能実習の第一号を終えて技能実習第二号に行きますと、専門に分かれてまいります。平成二十八年で農業者は八千七百八十七人というふうに報告されていますので、単純に見て、農業では四・二三%、百人に約四人の割合で農業実習生が失踪しているというふうになっているわけであります。この割合は、食品や繊維など、ほかの職種よりもかなり高い割合になっています。
 こうした経過がありまして、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、いわゆる保護法が制定されました。そして、本年十一月に施行されます。
 この保護法の制定の目的、技能実習生の保護規定を中心に解説していただけるでしょうか。


佐々木(聖)政府参考人 御指摘の技能実習法の目的は、第一条に規定をしてございますけれども、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進するということを目的としてございます。
 そこで、この技能実習法におきまして、特に技能実習生の保護を図る観点から規定をしたものについて御説明を申し上げます。
一つは、新設する外国人技能実習機構に、法的根拠を持って実習実施者及び監理団体を実地に検査する等の指導監督を行わせるとともに、技能実習生に対する相談、援助を行わせること、二つ目、実習実施者等が、主務大臣に対して技能実習生が問題点等の申告を行ったことに対して、それを行ったことを理由として不利益な取り扱いを行うことを禁止するもの、そして、先ほども御指摘がありましたように、旅券の取り上げ等の人権侵害行為に対して罰則を定めることなどを規定してございます。


田村(貴)委員 技能実習生の人権を守り、そしてそれを保護するためのさまざまな施策がこの中に込められているという話でありました。
 今度の特区の法案で出されている農業支援外国人受け入れ制度において、こうした人権侵害とか不正行為が起こらないのであるか、それをちゃんと妨げる法律の定めになっているのかといったところについて、今からお伺いしていきたいというふうに思います。
 本法案では、農業支援外国人受け入れのシステム、これは労働者派遣法のスキームで行われるというふうに聞いております。派遣といってもいろいろなやり方があるわけなんですけれども、まずお伺いしたいのは、これは有期雇用なのか無期雇用なのか、あるいは派遣は登録型なのか常用型なのか、これについて説明をお願いします。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 今回の受け入れスキームにおきましては、受け入れ農業者には年間を通じた作業があるわけではなくて、収穫等の農繁期を中心とした雇用ニーズが多い、また、農業の現場において、自然条件等の変化による作業工程の変更に柔軟に対応するために、現場で外国人に作業指示を行う必要があるということから、複数の農業者に派遣する枠組みとする方向で検討しているところでございます。この場合、特定機関における雇用の形態としては、常用型の派遣となるというふうに考えているところでございます。
 なお、在留期間を設けることとしておりますので、この期間を超えない範囲内で帰国、再度の入国を可能とする方向でございます。雇用期間は、この範囲内で有期となるというふうに考えているところでございます。


田村(貴)委員 全て常用型ということでよろしいんでしょうか。登録型は入らないという理解でよろしいんでしょうか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 今回のスキームにおきましては、常用型の派遣というふうに考えているところでございます。


田村(貴)委員 農業支援外国人は、何らかの事情によって特定機関を移ることは許されるのでしょうか、可能となるんでしょうか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 今御指摘のとおり、特定機関に起因する理由によりまして雇用の継続ができなかった、本人の責めによらないということでございます、そういった場合に本人が引き続き本事業による在留を希望するときには、特区で既に措置されている家事支援外国人受け入れ事業も参考といたしまして、新たな特定機関を確保する等の措置を講ずる方向で関係府省と調整してまいりたいというふうに考えているところでございます。


田村(貴)委員 特定機関を、本人の責めによらないところであれば移ることができるというお話でありましたけれども、ならば、次の特定機関に移るまでの生活はどうやっていくのかという疑問も出てくるわけであります。
次の質問に行きます。
 提案者である自治体からは、雇用保険や厚生年金等の適用除外、派遣法の一部適用除外などが要望されております。今後、法改正など何らかの措置を講じる予定はございますか。


大西政府参考人 農業支援外国人受け入れ事業における外国人材につきましては、日本で働く労働者と同等に関係法令が適用されるものとしておるところでございますので、関係法令の改正をすることは考えておりません。


田村(貴)委員 考えていないということですね。
 国民年金それから厚生年金というのは、加入していなければ障害者年金の受給権が得られないということであります。
それから、特定機関の移動が、先ほど御答弁ありましたけれども、可能ならば、次に移るまでの生活を保障していく、こうした対策も必要になってくるわけであります。
 答弁ではっきりしましたけれども、適用除外を軽々に認めてはいけないと思いますけれども、要望があっています。これはどうされますか。


大西政府参考人 先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。外国人材につきましては、日本で働く労働者と同等に関係法令が適用されるということとしておりますので、そういった改正は考えておらないところでございます。


田村(貴)委員 ということで、この要望は認められないということになりますよね。
 派遣というのは、この日本においても大きな問題がずっと続いてまいりました。国会でも何度も何度も、派遣のあり方、派遣のスキーム、そして、今度の国会に至るまでは法改正、法改悪もありました。
この派遣というやり方はさまざまな問題を生んでまいります。何といっても、雇用主と使用者が分離しているといったところであります。複雑な形態を持っているところであります。
 今度の場合は、特定機関と、それから就業先、ここが離れる場合がありますよね。町中に農地はありません。ですから、働く場所というのは遠いところにあるといったところから考えても、派遣の形態というのはどういう形になっていくんだろうかと、これはしっかり見ていかなければいけないと思います。
 労働者保護がなかなか難しく、そして、給料の不払いが防げるという説明があって派遣にしたというふうにも聞いているんです けれども、では、派遣先が料金を支払わなかった、先ほどありましたよね、技能実習者に対する賃金の不払いというような問題ですよね。いわゆるここで言うところの料金を支払わなかったといった場合なんかは、これはどうしていくということでしょう。一つの事例ですけれども、料金が支払われなかったといった場合は、どういうふうに措置をするんでしょうか。


大西政府参考人 労働基準監督機関におきましては、こういう、今回受け入れる外国人材に対する賃金不払い等がありました場合には、これは厳正に対処させていただくということで考えておるところでございます。


田村(貴)委員 済みません、厳正に対処というのは、どういう対処のことを言うんでしょうか。


大西政府参考人 賃金の支払いは派遣元の事業主にしていただくことになっておりますので、そういったところでしっかり適正に賃金を支払っていただくよう、監督署がしっかり指導するということでございます。


田村(貴)委員 次の質問に移ります。
 特定機関及び農業経営体に対する監督体制というのは、この制度ではどうなっているんでしょうか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 特定機関及び派遣先の農業経営体に対する監督につきましては、関係自治体それから国の関係行政機関で構成されます適正受け入れ管理協議会を管理監督体制の核とする方向で検討しているところでございます。
 具体的には、本協議会におきまして、特定機関が基準に適合しているか、そういったことを確認するとともに、必要な報告を求め、監査や巡回指導を行うほか、派遣先農業経営体に対しても、必要に応じて現地調査を行うなどによりまして、本事業の適正な運営が確保されるよう措置を講ずる方向で検討してまいりたいと考えているところでございます。


田村(貴)委員 一応、関係自治体と国の出先がそろって、そして適正受け入れ管理協議会なるものをつくるという立派な構図にはなっています。しかし、これで本当に大丈夫なんだろうかという疑念もあるわけです。
 今御説明がありましたように、例えば、この管理協議会が特定機関に対して巡回指導、監査を行う、派遣先に対しては現地調査を行っていくということでありますと、これは仕事であります。仕事がふえるということになります。仕事がふえるんだったら、自治体それから農政局、それから、長崎だったら長崎、愛知だったら愛知の労働局などの地方機関は、監督のための人員をふやしていくということを考えているんでしょうか。厚労省と農水省、それぞれにお伺いします。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま御指摘がございましたように、本協議会には地方農政局も参画するということで検討を進めているところでございます。
 協議会の構成員となります地方農政局の体制につきましては、今後の特区の指定状況ですとか、あるいは本事業の実際の利用状況を見ながら、必要に応じて対応を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。


大西政府参考人 厚生労働省といたしましても、同様に、都道府県労働局等の人員につきましては、特区の指定状況あるいは本事業の利用状況を踏まえまして、必要な対応をしてまいりたいと考えております。


田村(貴)委員 人員をふやすと明言されませんよね。そこが心配なんですよ。
 人権侵害や労働法等の法令違反があった場合に、農業支援外国人は、どこに苦情を申し立てたり、あるいはどこに相談に行ったらいいんでしょうか。この制度はどうなっていますか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 今御指摘のとおり、本事業の実施に当たりましては、受け入れた外国人の保護が適切に図られるよう措置する必要があるものと考えております。
 このため、外国人材から苦情、相談を受ける窓口、まずは特定機関に設けていく。例えば派遣先の農業経営体に問題があるというようなこともございますので、特定機関に設けることに加えまして、関係自治体及び国の行政機関が参画します適正受け入れ管理協議会にも窓口を設ける、直接受けるような窓口も設けまして、特定機関に対して必要な監督が行えるようにする方向で今検討しているところでございます。


田村(貴)委員 特定機関に設けると。
 特定機関とのトラブルが起こって相談したい場合はどうするのかというたら、国の出先とか、そして、県が申請しているんだったら県庁ということになるわけですね。非常に大ざっぱだと思いますよ。
 例えば、私は九州ですけれども、長崎県から提案があっている。長崎県の提案を見れば、この受け入れ機関はJA島原雲仙というふうになっています。土地カン、わかるでしょうか。かなり離れていますよ、島原雲仙というのは。ここは半島ですから、しかも鉄路のない地域もあります。そこから、農業支援の外国人の方が働く、そして、受け入れ機関との間で何らかのトラブルが起こる、そして、相談に来たいけれども、どこに行ったらいいんだろうと。
 今のお話だったら、県庁に行くか、あるいは長崎だったら長崎労働局。これも長崎市、県庁所在地ですよね。それから入管。これにしても長崎市内ですよね。ものすごい遠いところなんですよね。
 こういうことで、しっかりと相談やあるいは苦情を受けるような体制になるんだろうかというふうに思われるんですが、まず、土地の距離感の問題についてはいかがお考えですか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 窓口につきましては、その両者に設ける方向でございますけれども、そういった中で、例えば外国人が入ってきた段階におきまして、いろいろな研修を特定機関にはしていただく。その中には、当然ながら、苦情、相談の申し出先、電話を含めて、いろいろな形で、申し出先ということも明らかにするようなことも含めて、検討しているところでございます。


田村(貴)委員 具体的にはなかなかわからない話ですよね。
 電話も含めて申し出ることができると。電話は誰が受けるのか。言葉がわかる方がちゃっと出てこられるんですかね。
 ちょっと、言語による意思疎通が妨げられないのかという問題についてお伺いしたいというふうに思います。
あらゆる国から農業支援の外国人の方が入ってこられるということであります。これは、国籍は指定しない制度ですよね。どこの国からでも受け入れられるという制度ですよね。
 特定機関、協議会の相談窓口、それから労基署、労働局、これらの行政機関の窓口の通訳、この配置というのはどうなっていくんでしょうか。どのようにお考えですか。


山北政府参考人 お答えをいたします。
 本事業で受け入れる外国人材につきましては、現在、政府部内において検討しているところでございますけれども、経営者の作業指示を理解するのに必要な程度の日本語能力を有していること等を検討しているところでございます。
 このため、特定機関ですとか適正受け入れ協議会に寄せられた各種相談等においても、一定程度対応が可能と考えておりますけれども、必要に応じまして、協議会の構成員であります都道府県の労働局ですとかあるいは地方入国管理局とも連携いたしまして、対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。


田村(貴)委員 それは非常に甘いですよ、甘い。
 なぜならば、私、聞きました。特区を提案している自治体側の方の認識なんですけれども、ある自治体です。ある程度日本語がわかるから、通訳は要らないと思っていると。
 日常会話はいいですよ。家で過ごす、作業場で暮らす、そのときの日常会話ぐらいはいいですよ。しかし、やはり先ほどの技能実習生のトラブルも含めて、非常に入り込んだ派遣制度の中でトラブルを抱えてしまう。そして、母国語が通用するところがない、非常に不安になっていく。どうしたらいいのかわからない、行くところも遠い。そして、言葉が通じなかったらもうどうにもならないと。これは先読みして対応しなければいけないんだけれども、ずっと聞いてきても、その明確な対応が措置されているかというと、なっていないわけなんです。
 ここから先、大臣も聞いていただきたいと思うんですけれども、労働基準法にしても労働者派遣法にしても、これは日常会話だけでは到底成り立つ世界ではありません。御存じですよね。よくわかりますよね、専門ですから。だから、どういう保護規定があって、先ほどは法務省の方から、新しい保護制度が、保護法が実習生にはできたけれども、今度の農業支援の外国人の受け入れ事業については、細かなこういう対策が本当にできるのかといったところが問題だと思うわけです。
 窓口にたどり着いたときにうまく伝えることができなかったら、これはどうにもならない話であります。多言語対応の問題です、大臣。多くの外国に行かれているので、大臣は御存じだと思うんですけれども。
 私は、今度のこの問題で、技能実習生の支援に当たっている方にお話を聞きました。そうしたら、一番今、日本にやってこられるのは中国国籍の方、次いでベトナム国籍の方であると。そのベトナム国籍の方が中国を抜いてしまうのではないかなというふうにも言われているわけです。これは対応できますか、ベトナム語。さらに、中国、ベトナムに次いでフィリピン、インドネシアが多い。今後はネパール、ミャンマー、カンボジアの国籍の方がふえてくるのではないかと。カンボジアのクメール語とか、これは対応できますか、全ての特区の地方の出先の先において。実習生だって、この受け入れ事業の対象にもなるわけですよね。これは対応できますかね。
 今ずっと議論してきたんですけれども、やはりこれだけ多くの技能実習生のトラブルがあって、そして不法行為があって、それはカウントされている、新法までつくらざるを得なくなってきた。今度の特区は余りにも仕組みが雑であるなという感じを受けるんですけれども、外国人の十分な相談や苦情に対応できるのか甚だ疑問なんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。


山本(幸)国務大臣 今回の制度は、まさに、技能実習制度のいろいろな問題点を踏まえて、そういうことが一切ないようにしようということがポイントであります。
 その意味で、国と自治体が合同で適正受け入れ協議会を設置して、国、自治体がみずから特定機関を直接管理するほか、派遣先の農業経営体に対して現地調査を実施するなど、労働時間や賃金等の労働条件等を適切に管理する仕組みを導入する予定でございます。
 また、仮に問題が生じた場合は、外国人材を適切に保護できるよう、苦情、相談を直接受け入れる窓口を協議会に設置する予定であります。その際には、言語対応ということも、言語の相談、電話等によることもあると思いますけれども、そういうことも考えていかなきゃなりません。
 しかし、いずれもそういうことは、協議会がその機能を十分に果たせるということを前提とした仕組みでありますので、協議会を構成する各機関がそれぞれ責任を持って十分な体制を確保することは当然のことと理解しているところであります。
 なお、万が一協議会の体制が不十分だというような場合には、改めて区域会議や特区ワーキンググループ等において課題と解決策を検討し、適切な体制となるよう取り組んでまいらなきゃならないと考えております。


田村(貴)委員 そのワーキンググループで適切な対策を考えている時点ではもう遅いということになるわけです。
 外国人の方が来た、そして地方の農業地において仕事をするときにトラブルが起こったときに、そして相談があったときに身近に対応できるか、多言語に対応できるか、これは明確にお答えできますか。どうですか。


山北政府参考人 今回、受け入れ協議会におきまして、実際に外国人と雇用契約を結ぶ特定機関につきましても一定の基準を設けて対応していきたいというふうに思っています。
 そういう中で、適正にその事業を行えるかどうかということを含めて、そういった苦情対応を含めまして、そういう体制をつくっていくように今後検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。


田村(貴)委員 あと数点お伺いしたいこともあるんですけれども、適正受け入れ管理団体が、特定機関、派遣会社に対して基準適合性の確認をするというふうにしているんですけれども、その基準適合性というのは一体何のことでしょうか。


山北政府参考人 お答えいたします。
 特定機関の基準につきましては、政令におきまして、内閣総理大臣が作成する指針に定める措置を講じること、また、労働者派遣法に基づく派遣事業者として許可を受けた者であること、あるいは、入管法や労働関係法令を遵守していること等を定めるとともに、また、指針におきましては、報酬において、同等の農業支援活動に日本人が従事する場合と同等以上にするようにすること、あるいは、過重労働とならないよう、年間等の総労働時間の規制を導入すること等を定める方向で関係府省と調整をしているところでございます。


田村(貴)委員 山本大臣、今、指針とか、それから政令で定めるというふうに言われたんですよ。全てがこのスキームはそこにあるんですよね。
 例えば、適正受け入れ管理協議会は、派遣先に対して現地調査を行うと。現地調査を行うというんだから、厳正にするんじゃないかなと思うんだけれども、その現地調査の項目は何ですか、いつ、どういうふうに調べるんですか、これも後で指針を作成するというような話なんですよ。
 ですから、私は、やはり仕組みが雑だと思います。ずさんだというふうに思います。何もかもこれから決めるというような状況の中で、本当に、冒頭申しましたように、技能実習生が受けてきた、人権が脅かされるさまざまな行為、そして、今度は新しい特区の中で、この制度も非常にあやふやだというふうな状況があるわけなんです。
 保護規定も、適正受け入れ管理協議会の位置づけも、その役割も、権限についても極めて曖昧な状況にあるという中で、本当に就労者の人権を守っていくことができるんでしょうか。大臣、いかがですか。


山本(幸)国務大臣 それは、まさに先ほどもお話し申し上げましたように、今回、極めて大事な観点だと思っておりまして、私どもも、その適正受け入れ管理協議会の体制の充実、それについては責任を持ってやっていかなきゃいけないし、関係機関と十分打ち合わせをしていきたい。万一それがだめな場合には、先ほど申し上げましたように、区域会議や特区ワーキンググループできちっとまた改めて対策をとっていくというようにして、万全を期したいというふうに思っております。


田村(貴)委員 今度の特区を提案した自治体側からのその理由は、農業者の高齢化、そして後継者不足というんですけれども、担うことのできない農業にしてしまったその責任というのは一体どこにあるんでしょうか。
 農産物の輸入自由化とか、市場開放を推し進めるとか、小規模農家を淘汰して、いわゆる財界の望みに応じて農地を自由に集積する、そうしたこれまでのやはり政府・自民党の農業政策を改めない限りは、この後継者不足、農業就業者不足の問題は解決できませんよ。絶対できませんよ。
 ですから、私たちは何度も言います。食料自給率を五〇%に引き上げること、これを当面の目標に据える。そして、地方創生を語るのであれば、価格保障、所得補償、後継者支援、生産者と消費者との連携、さまざまな施策をまずやはり手を打っていかなければいけない。農業、漁業の振興に国を挙げて取り組んでいくことが急務であります。
 そうしたことが基本にあることを指摘して、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。