196-衆-農林水産委員会-4号 平成30年03月22日 水産加工業守る時 「原材料購入の補助必要」 田村衆院議員が要求

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について質問します。
改正の理由にある漁獲量の減少であるとか、また、近年課題となっている漁獲物のサイズ、魚種構成の変化というのは、具体的にはどういうことを指しているのでしょうか。何が減って、何に、どういう形に変わってきているのか、簡単でいいので説明をしていただけるでしょうか。


○長谷政府参考人 水産資源、海の状況が温か目のときと冷たいときとでこれまでも変動を繰り返してきておりますが、今は、例えば、スルメイカは非常に環境状況がよくなくて減っているということでありますし、サンマにつきましては、外国船の影響もちょっとあるところですけれども、水温の分布が、沿岸の方に温かい水があってなかなか寄りにくいというような状況があって、減っているというような状況があります。
一方、サバですとかイワシについては、非常に今資源が好調というような状況でございます。


○田村(貴)委員 二〇一六年度の水産白書では、対象となる資源の状況等により、適切な資源管理を行っているとされています。
しかし、ずっときょうも議論があっていますけれども、漁獲量の減少、これは、資源管理が余りうまく機能していないということではないのでしょうか。
政府の資源管理のあり方というのは適切なのかどうか、大臣の基本的な御認識をお伺いしたいと思います。


○齋藤国務大臣 水産加工の主な原料となる、一度に大量に漁獲されるいわゆる多獲性魚種の多くは、総漁獲数量を設定するTAC制度によって現在管理されておりまして、資源状態も大部分は中位若しくは高位状態にあります。
この中で、スルメイカやサンマは、今長官からお話ありましたけれども、近年資源が減少傾向にありまして、その要因は、我が国隣接水域での外国漁船の漁獲による影響のほか、海洋環境の変動による影響も大きいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、これら魚種の適切な資源管理を実施していかなくてはいけないわけでありますが、そのためには、海洋環境のモニターや資源調査を通じた変動要因の把握と、その成果をもとに近隣諸国にも適切な資源管理を求めていくことが重要であるというふうに認識をしているところでございます。


○田村(貴)委員 適切な資源管理、そして適切な資源管理を求めるということは非常に大事なことであろうかと思います。
しかし、実際には、今お話もありましたように、イカ、サケ、サンマ、この不漁というのは大変深刻であります。加工業者にとっては、これは直撃する話であります。加えて、クロマグロそしてウナギの資源も危機的な状況にあるわけであります。
きょうはその資源管理の話はしませんけれども、こうした状況のもとで多くの水産加工業者が苦しんでおられます。長期的な不漁や原材料の高騰、大変な状況に直面しているわけであります。
特に岩手県、宮城県などの被災地では深刻でありますし、こうした業者さんが今何を求めておられるのか、水産加工業者さんが直面している課題についてどういう思いを抱いているのか。二〇一六年度の水産加工業経営実態調査で書かれていますけれども、そこの部分を御紹介していただけますか。


○齋藤国務大臣 私、大臣に就任してから改めて痛感していますことは、多くの方から、クロマグロは大丈夫なのか、スルメイカは大丈夫なのか、サンマは大丈夫なのか、サバは大丈夫なのか、さらにはウナギは大丈夫なのかということを、記者会見でも、それから一般の方々、多く聞かれるようになっていまして、ああ、これほど皆さんの関心が高いんだなと改めて痛感をしているところであります。
現在、御指摘の水産加工品は生産量が減少をしてきておりまして、これは水産物の国内消費量が減少しているということだけではなくて、原料となる魚種の国内漁業生産量が、例えば平成十八年の五百七十三万トンから平成二十八年には四百三十六万トンまで減少しているというようなことが、この水産加工品の生産量の減少に大きく寄与しているものと考えております。
将来にわたって国産原材料の安定供給を図っていくことが大事だと思っていますが、そのためには、御指摘のように、適切な資源管理の取組を通じて水産資源の維持、回復を実現していくことが重要でありますけれども、当面の対応として、輸入原材料の供給確保のための輸入割当て制度の柔軟な運用等も行っているところでありますし、水産物の消費拡大そのものもしっかりやっていかなくちゃいけないと考えております。(田村(貴)委員「違う。長官、わかりますか」と呼ぶ)


○長谷政府参考人 失礼いたしました。
平成二十八年度に水産庁が実施しました水産加工業経営実態調査を御紹介いたします。
調査によりますと、水産加工業者は、売上高や利益率の低下、これが一点です、それから二番目として、漁業生産量の減少や国際的な水産物需要の高まりによる原材料確保の難しさ、三点目として、少子高齢化の一層の進展等による従業員確保の難しさなどの課題に直面しているというふうに考えております。


○田村(貴)委員 そういうことなんですね。売上げ、利益率の低下、それから原材料確保の困難、ここ二つが非常に重要な課題になっているというふうに思います。
原材料が高騰して確保が困難になっている。岩手県の大槌町では、浜値が五倍になった、廃業が相次いでいるというような話も私聞いております。
そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、水産加工業というのは、浜ごとに立地する、まさに雇用の場であります。そして、重要な経済の軸でもあります。その大半は中小零細企業、中小零細業者であります。融資だけではなく、原材料の購入補助等の支援制度をこれから何とか工夫することが必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、そうしたことを希望されている業者さんもおられます、いかがでしょうか。


○齋藤国務大臣 漁業生産量が減少傾向が続いている中で、水産加工業にとって、国産原材料の確保ですとか価格上昇への対応、これが課題となっているのは認識をしておりまして、基本は将来にわたって国産原材料の安定的確保を図っていくということであって、そのための適切な資源管理の取組を通じて水産資源の維持、回復を実現していくことが重要だ、これが基本であるわけであります。
他方、当面の対応といたしましては、イカについて追加の輸入割当てを行うなど、輸入原材料の供給確保のための輸入割当て制度の柔軟な運用ですとか、それからセーフティーネット貸付けによる運転資金の融通ですとか、あるいは、やむを得ず原料転換を図る事業者の方々には原料転換に伴う機器整備に対して公庫資金である水産加工資金による融資、こういった対策を行っているところであります。
水産加工業の原料不足については、このような対策を積み重ねて、きめ細やかに対応してまいりたいと考えているわけでありますが、御指摘の原料購入費そのものを直接補助をするということにつきましては、運転資金について国費で支援することになる、直接支援をするということになりますので、なかなか難しいなというふうに考えておりまして、セーフティーネット貸付け等の金融支援の御活用をいただくということが重要であるというふうに認識をしているところでございます。


○田村(貴)委員 原魚がない、したがって加工する仕事がない、で、倒産、廃業に追い込まれる、こういう悪循環があるわけなんですね。ここはやはり放置できない問題だというふうに思うんです。
長官、ちょっと質問通告はしていないんですけれども、自治体においては原魚購入に対する融資等が行われているというふうにも私聞いております。
このたびの法改正ではここまでは踏み込んでいないわけなんですけれども、漁獲高が減っているということに対して何らかの工夫はできないのか。今、購入に対する補助というのはなかなか難しいというお話があったんですけれども、そういった検討は水産庁ではこれからできないものかどうか、今の時点ではどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。


○長谷政府参考人 原料確保という観点に関しましては、まずは、資源が減少している理由ですね、海洋環境の部分が相当あるというお話もしました。それと、サンマにつきましても、イカもそういう面があります、近年、周辺水域で日本と同じ資源をとっている外国漁船の操業が非常に盛んになっているというようなことがあるものですから、両面考えていかなきゃいけないと思っております。
外国船の話については、なかなか時間がかかる話でありますけれども、新しい国際機関をつくって一緒に資源管理に取り組めるような働きかけを今一生懸命やっているところでございます。
そういうことをやりつつ、時間がかかりますので、先ほど大臣からもお話しさせていただきましたように、今までなかった国からの原魚の輸入というようなものに道を開いたりとかいうこともしております。
そして、やはり、過去もそうなんですけれども、どうしても資源の栄枯盛衰がありますから、減っている資源をふやすことも大事でありますけれども、今とれる資源を上手に使っていくということも重要だと思っております。


○田村(貴)委員 今とれる資源というところで、国内産、それから、それでもだめだから輸入品と。この輸入品もなかなか手に入らないという状況もあるわけなんですよね。そして、資源管理は時間のかかる問題でもあるから、今直面している問題についてやはり打開の方向性を示していかないといけないというふうに思うわけであります。
大臣、一点確認ですけれども、水産加工業の事業所が廃業や倒産に追い込まれない、それを回避することがやはりこの問題の大事なところではないかなと思うんですけれども、そこは確認させていただけますか。


○齋藤国務大臣 当然、水産加工業のそのような現状は何としても回避をしていかなくちゃいけないと思っています。そのために、資源管理含めさまざまな対策を積極的に講じていきたいと考えております。


○田村(貴)委員 水産加工統計調査、これによりますと、食用加工品及び生鮮冷凍水産物の生産量は前年に比べて三%減少、二十五年度に比べて五%減少しているとしています。

この統計を見て私も改めて驚いたんですけれども、練り製品、冷凍食品、それから素干し品、塩蔵品、塩干品、全ての加工品の生産量が年々減少している傾向にあるわけです。この傾向については、先ほど来答弁があっていますけれども、消費量の減少、原魚の減少、そうしたところがあろうかというふうに思いますけれども、魚離れ、これも原因の一端にもあるのかなというふうに思います。
ここの打開策、これが非常に大事になってくると思います。私は、やはり水産業の発展、ひいては水産加工業の発展が非常に今求められているところだと思うんですけれども、ここの打開策について、大臣のお考えを聞きたいと思います。


○齋藤国務大臣 今御指摘のように、水産加工業の振興を図っていくためには、さまざまなことをやらなくちゃいけないわけでありますが、御指摘のように、水産物の消費拡大という視点も大変重要だと思っております。
魚をもっと食べたいという意識はあるんですけれども、できるだけ簡単に調理したいという消費者のニーズも大変強くありまして、そこに十分対応できていないといった点も私ども認識をしておりまして、このため、手軽においしく食べられる新商品の開発、供給、普及の促進ですとか、あるいは水産物の健康効果のアピールなどに積極的に取り組んでいくことが重要と考えています。
私どもも、私も参加しましたけれども、ファストフィッシュといいまして、手軽に食べられる、そういう概念でPRをするなど、これからも強化をしていきたいと思います。


○田村(貴)委員 魚は私も好きで、手軽に食べたいなという思いがあるんですけれども、東京で暮らすときはその思いは一層強くしているところであります。
いろいろな打開策を緊急に、そして具体的に示していただければというふうに思います。
今は低金利時代ということで、市中銀行の融資制度と変わらないところがあるかもわかりませんけれども、いつまでも低金利状態が続くわけでもありません。この融資制度を続けていくことについては、私は大変意義があることだというふうに思います。
問題は、沿岸の水産加工業をしっかり守っていく、倒産、廃業を回避していく、そして実効ある資源管理、これを行っていくことが大事であると思います。
資源管理のことについては今後また論議をさせていただきたいというふうに思いますけれども、水産加工業者が今大変な状況に直面している、この状況を少しでも改善できるように取組を強めていただきますよう、私の提案も含めて検討していただきますようお願いして、きょうの質問は終わります。
ありがとうございました。