○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、加計学園の獣医学部創設をめぐって愛媛県が作成した文書、農林水産省にも渡されていたのではないかという件についてお尋ねをいたします。
その文書、今省内で探しておられるというふうに先ほど礒崎副大臣から御答弁がありました。総理の国会答弁との整合性も問われた極めて重要な文書でもあります。一刻も早く探し出して、公表していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、お尋ねしたいのは、きのう愛媛県の中村県知事が記者会見でこのように述べておられます。
私や職員は当時、文部科学省や農林水産省、内閣府に説明に伺っていた、その際、四月の会議ではこのような状況だったので、ぜひよろしくと、熱意を伝えるための資料として渡していたと思う、こういうふうに述べておられるわけですよね。
つまり、農林水産省、この愛媛県の課長、今治市の課長、それから加計学園の事務局長が当時の内閣府地方創生推進室次長、藤原次長と安倍総理の柳瀬秘書官と会った面談記録、これを持って、熱意を伝えるために回っていたと言われているんです。
熱意を伝えられて、届けられたんですか。その文書は手渡されたんですか。そのことだけ確認したいと思います。どうですか。
〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕
○礒崎副大臣 そういう経緯も含めて、今、その愛媛県文書については鋭意調査を行っているところでございますので、調査が終わった段階できちんと報告をさせていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 時間のかかる問題ではないと思いますよね。
十五回の特区の申請があって、農林水産省は獣医師が足りているという立場ですよ。そんじょそこらの陳情じゃなかったと思います。この案件というのは、農林水産省にとっても重大マターであったと思います。そうやって首相案件とされる文書が手渡されたら、これは誰の記憶にもとどまるはずですよ。そして、この文書は保管されて当然であります。それを、捜索中とか、それも含めて経緯が今申し上げられないというのでは、これは国民は納得しない話だというふうに思います。
内閣府、農水省、文科省を回って手渡したと言っているんですから、手渡されたのかどうか、ちゃんとお答えいただきたいと思いますけれども、このことについて、私でもいいですけれども、委員会でもいいですけれども、ちゃんと御報告いただけますか。
○礒崎副大臣 先ほど大臣から、副大臣時代を通じて記憶がないという御答弁をさせていただきました。私も、もう副大臣を二年務めておりますけれども、その文書は見たことはありません。
そうした中で、どういうことがあったのかということは、今ちょっと鋭意調査をしておりますので、そんなに時間はかからないと思います、できるだけ早い段階で御報告できるよう努力したいと思います。
○田村(貴)委員 柳瀬秘書官は、まさにこの獣医学部の創設がどうしたらいいのか、どうしたらできるのかについて指南しているような記述がうかがえます。自治体等が熱意を見せて仕方ないと思わせるようにするがいいとか、それから、本件はもう首相案件となっているとか、それから、国家戦略特区の方が勢いがあるからとか、もう完全に指南していますよね。そして、チャンスがあるというふうに藤原次長は言っておられるわけであります。加計ありきじゃないですか。
そして、総理がこの獣医学部新設を知った時期は、これは皆さん、もう余りにも有名な話ですけれども、去年の一月の二十日である。しかし、二〇一五年、三年前の四月にはもう、総理とそれから当時の文科大臣の下村文科大臣、そして加計学園理事長が一緒に会って、そして獣医学部創設についての話もしていたというくだりまで言われて、そしてメモされているわけですよ。
これは、愛媛県とか今治市の職員にとってみたら、もう喜び勇んで書いた文書だというふうに思いますよ。そういうふうに記憶にとどめておきたい文書だからお渡しされたんじゃないかなと思います。一日も早く真実を語っていただきたいというふうに思います。
それでは、森林経営管理法案について質問をしたいと思います。
資料をお配りしています。
1は、法案説明の際に林野庁から出された資料であります。恐らく全ての議員さんのもとにも出された資料だというふうに思います。
この中で、左下でありますけれども、先ほどから議論があっています、森林所有者の経営意識は高いとして、意欲が高いというのが一六%、意欲が低いというのが八四%、高いが一六%、低いが八四%というふうにあります。この数字の根拠について示していただけますか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
御指摘のこの平成二十七年の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査でございます。森林の保有面積、雇用人数、機械台数等の経営規模につきまして、一つは、経営規模を拡大したい、それから、現状を維持したい、また、経営規模を縮小したい等の選択肢を示しまして、森林所有者の意向を調査したものでございます。
これらの選択肢のうち、経営規模を拡大したいと回答いたしました者につきましては、森林経営意欲が高い者といたしまして、また、経営規模を縮小したい又は現状を維持したいと回答した者、これは九十七人、先ほどのものが十八名でございますけれども、こうしたものについて八四%ということで、森林経営意欲が低い者として集計したものでございます。
○田村(貴)委員 この数字は極めて恣意的につくられた数字だということを言わざるを得ません。
お配りしている資料の2をごらんいただきたいと思います。
今長官が説明されたものを私が書きました。一の林業者モニターというのが、これが所有者に配られてとったアンケートの結果であります。
その下であります。森林経営規模に対する意向というのは、拡大したい、縮小したい、現状維持、経営をやめたい、こういう回答でありますが、素直に読み取れます。ここに、意欲という言葉はないわけなんであります。
それを、総回答数からやめたいとする人を引いた百十五名をまず分母とした、これがbであります。そして、拡大したい、このaの割合、わずか一六%を経営の意欲が高いとしたわけです。そして、残り八四%を意欲が低いというふうにしたのであります。
この見方はかなり一方的ではありませんか。このアンケートの結果にありますように、現状を維持したいという方が一番多くて、七一・五%であります。今後五年間は今の規模でやっていきますよという人を経営意欲がないというふうに決めつけていいのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林経営管理法案では、経営管理が不十分な森林について経営管理の集積、集約化を図ることとしておりますが、経営管理が十分に行われていない森林について誰に経営管理を担ってもらうかということを考えた場合には、やはり生産量の増加など、経営規模の拡大を志向する者が重要な担い手であることから、この者を意欲と能力のある林業経営者と整理しているところでございます。
このため、本集計においても、経営規模を拡大したいとする者を意欲が高い者として、現状を維持したい者は意欲が低い者と取り扱ったところでございます。
○田村(貴)委員 その見方は本当に一方的だというふうに思います。
それから、議員に配られたこのグラフですね、円グラフ、意欲が低いとする人のうち主伐の意向なし、七一%。この根拠についても教えてください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
先ほどの調査結果で林業経営意欲が低いとしました者に対しまして、今後五年間の主伐に関する意向について、一つは、みずから主伐をするつもりである、それから、伐採業者等に委託するなどして主伐をするつもりである、また、伐期に達した山林はあるが、主伐を実施する予定はない、もう一つは、伐期に達した山林がない等の選択肢を示して、森林所有者の意向を調査したものでございます。
これらの選択肢のうち、伐期に達した山林はあるが、主伐を実施する予定はないと回答した者、それから伐期に達した森林がないと回答した者の合計、回答者の七一%を主伐の意思、意向がないとしたものでございます。
○田村(貴)委員 それもおかしな話であります。
この主伐に対する意向、回答は四つであります。これは素直に読み取れますよね。それをわざわざ、経営規模を拡大するとした十八人を引いて九十七人の分母をつくって、主伐予定なしの六十九人を分子として、その割合を七一%としたわけであります。アンケートの結果は六〇%なのに対して、ここでは説明なしに七一%と、数字が膨らんでいるわけであります。
お伺いしますけれども、経営意欲が高いと林野庁が決めつけた、そういうふうな経営規模拡大の意思を示している十八人においても、主伐をしないと答えた人はいますよね。経営規模拡大を望むとしている人でも、主伐をしないと答えた人はいますよね。確認です。
○沖政府参考人 お答えいたします。
経営規模を拡大したいと言った者のうちの、主伐をすると言った方でございますね。(田村(貴)委員「しない」と呼ぶ)しないと言った方でございますね、失礼いたしました。ございます。経営規模を拡大したいと言った中で、伐期に達した森林があるが、主伐を実施する予定はないと言った者、それから、伐期に達した山林がないと言った者はございます。
○田村(貴)委員 どうしてこういう恣意的な数字の操作をするんですか。役所の仕事としては、本当にこれは私はずさんだと思いますよ。
大臣にお伺いしたいと思います。
こういう重要な法案の審査のときには、ありのままのアンケートとか調査結果を出してもらって、それを私たちは素直に読み取ってやるわけなんですよね。そこに手心を加えて、意欲という言葉もなくて、山林所有者が答えるものに対して、勝手に意欲なしと決めつけられたら、山林所有者は怒りますよ。いけませんよ、こういうことをしたら。法案審議の大前提が崩れているのではないかなというふうに私は思うわけです。
経営意欲が低い、八四%。それから、主伐の意向なし、七一%。議員に配られたこの円グラフと表ですね、この数字について撤回を求めたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○齋藤国務大臣 わかりにくいところもあったのかもしれませんが、今回の法案では、経営管理が現に不十分な森林について、どなたかに経営管理を行っていただくということになるわけでありますので、経営規模を拡大したいという人にそこを担ってもらうという可能性が高いわけであります。
ですから、そういう意味で、経営規模の拡大を志向する者がこの法案において意欲と能力のある経営者だというふうに考えて、こういう分類をしたんだろうと思いますけれども、確かにわかりにくいところがあったのではないかというふうには思います。
○田村(貴)委員 重ねて、この数字の撤回を要求したいというふうに思います。そして、やはりありのままのデータを出して審議に臨むという、基本に立ち返っていただきたいというふうに思います。猛省を促したいと思います。
それで、大臣、この森林経営管理法、森林システムの新たな構築、大きなさま変わりを見せるというふうに、たくさんの問題点があります。今後、機会がありますので質疑させていただきたいと思うんですけれども、出どころはどこなのかということについてお尋ねしたいと思います。
未来投資戦略二〇一七の素案、二〇一七年五月三十日、去年の五月三十日で、森林の管理経営を意欲ある持続的な林業経営者に集積、集約する、できないところは市町村へと。ここが出発点ではなかったかなというふうに思うんですけれども、これは、山林所有者とか林業産業者から要求として出発したのではないのではないかな、官邸の方から出てきたものではないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
我が国の森林は、国土の保全、それから水源の涵養、温暖化防止などの公益的機能を有しております。このほか、資源が充実し主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要がございます。(田村(貴)委員「出どころ」と呼ぶ)はい、わかりました。
この法案の出どころでございますけれども、この新たな森林管理システムといったシステムの創設に当たりましては、昨年五月十七日の自民党で取りまとめられました「今後の森林・林業・木材産業の展開方向について」においてこの方針が示されてございます。
また、その後、昨年六月九日に閣議決定されました未来投資戦略二〇一七においても、同様の見解が示されたものと理解しております。
○田村(貴)委員 どうも、川下の成長戦略に重きがとられているようにうかがえるわけなんですけれども、やはり林業とか森林のあり方という基本は、災害防止であるとか、水の涵養であるとか、それから温暖化防止、こういう基本中の基本があるわけですね。
説明に来ていただいたときに、そういった話は全くないわけなんですよ。森林所有者の経営意欲がない、そして、主伐させないといけない、木が余っている、そして成長戦略だと。
これは何か順序が逆じゃないかと、私、この法案の初めの説明を聞いたときから思っているんですけれども、一番大事なところはやはり大事なところとして位置づけるべきではありませんか。大臣、お答えいただきたいと思います。
○伊東委員長 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
○齋藤国務大臣 この議論は、私が自民党農林部会長の最初の年だったと思いますのでもう四年以上前になると思うんですけれども、そのときに、もう既に地球温暖化のための森林吸収源対策の安定的な財源がないですとか、森林が荒れているですとか、そういう議論をスタートして、そして、自民党の税制改正大綱にそこを何とかしなくちゃいけないというところから私自身はずっと関与してきたので、私自身の頭はそういう出発点でやってきておりまして、その後、未来投資会議の提案もありましたけれども、私の頭の中ではそういう一貫した流れの中で今日に至っているというふうに理解をしております。
○田村(貴)委員 誰の利益のためになっていくのかという話については、次回また論議をさせていただきたいと思います。
終わります。