○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
先日に引き続き、気候変動適応法案について質問をします。
毎日新聞四月五日付が、都道府県と政令市を対象に行った調査を報道しています。適応計画を策定、実行する上で不足している要素として、一番多かったのが影響予測や対応に関する科学的な情報。これが、三四%、専門的な職員は二八%。気候変動適応計画の策定と実施に当たっても、まず人からの対策が求められるという結果でありました。
さらには、適応策の策定、それから実施をしていくための予算措置も必要であります。
中川大臣、こうした地方自治体に対して、どのような支援策をこれから進めていかれるんでしょうか。
○中川国務大臣 気候変動の影響は、地域の気候や社会経済状況により異なり、また、適応策は地域の防災や農業等の施策と連携しながら進めていくことが重要でございます。
このため、本法案では、地方公共団体が地域気候変動適応計画の策定に努める旨規定いたしております。
先生御指摘のとおり、地方公共団体が適応策を推進するに当たりましては、情報や知見の提供や対応する職員の確保、予算面、財政面等が重要な課題になるものと考えております。
このため、環境省は、これまで地域適応コンソーシアム事業として、農林水産省、国土交通省と連携いたしまして、地域における気候変動影響の将来予測に関する調査や科学的知見に基づく適応策の検討を進めることなどによりまして、地方公共団体の取組を支援してまいりました。引き続き、このような支援を行ってまいりたいと考えております。
そして、計画策定マニュアルの作成、提供、本法案の規定に基づく国立環境研究所による技術的サポート、地域協議会を通じた地域の関係者によるすぐれた取組の共有を推進してまいります。
また、環境省としても積極的に各地域に足を運び、本法案の内容や適応策の重要性について地方公共団体に理解を深めていただくことで、地域における気候変動への適応に関する知見を有する人材の確保を後押ししてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 わかりました。
都道府県や政令指定都市においてもこれだけの要求があって、課題がある。ましてや、小さな市町村にとってみて、地域気候変動適応計画、ここからつくるというのはなかなか大変な作業であるというふうに思うんですけれども、この地域気候変動適応計画というのは全ての市町村においてつくらなければいけないんでしょうか。それとも、ある一定の地域であれば同じ課題であるので、県と一緒にやるとか、あるいは複数の自治体でつくっていくとか、そういうことは可能なんでしょうか。
○森下政府参考人 御質問のありました、複数の市町村でつくることができるかということは、これは可能でございます。この法案の中に、そういった旨の規定を置かせていただいております。連携をしながら取り組んでいくということも効果的な、効率的なやり方だというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 何といっても、大事な法律になろうとしています。私もるる申し上げましたけれども、緩和策が何よりも大前提である、緩和策がないと適応も進んでいかないということであります。そして、何よりも、緩和策というのは、温室効果ガスを削減していく、日本においては、石炭火力発電所、こうしたものが大きな比重を占めているので、やはりここに対する規制を強めていかなければならないということであります。
このことを基本にして、適応化政策、対策を積極的に進めていただきたい。そして、自治体に対する、要望には正面から、そして全面的に応えていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。
続いて、原子力発電所の安全問題について質問をします。
お配りしている資料は、九州電力がつい先日までホームページにアップをしていたものであります。そして、このリーフレットは、玄海原子力発電所の立地周辺自治体に配られてきたものであります。
私は、これを一目見たときから、すごいことが書いてあるなと思っていたわけなんですけれども、「「福島第一原子力発電所のような事故は決して起こさない」という固い決意のもと、」「取り組んでまいりました。」「その結果、「世界で最も厳しい水準にある新規制基準」に適合し、安全対策の有効性が確認され、万が一の事故の際においても、放射性物質の放出量は、福島第一原子力発電所事故時の約二千分の一の「四・五テラベクレル」であることが確認されました。」というふうに主張しているわけです。またしても安全神話が出てきたわけであります。
こうして九州電力が述べていることに対して、原子力規制委員会の更田委員長は、二月十一日、玄海原子力発電所に関する地元関係者及び事業者との意見交換の会談において、次のように述べておられます。「これ以上の規模の事故はありませんというのを申し上げるのは、これはゼロリスクと同じことであって、私たちが到底申し上げていいことではないと思っています。」と、更田委員長はこのように発言されました。
今もそうだというふうに思いますけれども、改めてお伺いいたします。
九州電力が、こうした宣伝をホームページにおいて、そして、玄海原発のある地元で七千五百世帯においてこのリーフレットを配布して宣伝してきたことについて、どうお考えになりますか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
事業者が、みずからが運用する原子力施設の安全について、主体的にみずからの言葉で発信することには意義があり、リーフレットの配布ですとかホームページの作成そのものについては、原子力規制委員会が申し上げることではないと思っています。
その上で、先生も御指摘になりました部分ですけれども、その記述は、不正確なものであり、不適切なものであるというふうに考えております。
○田村(貴)委員 わかりました。
更田委員長は、一月二十九日の衆議院予算委員会で、「一〇〇%の安全であるとかリスクはゼロであるとかといったようなものは、いわゆる神話への後戻りを示すものであり、」というふうにも述べられました。
安全神話の復活は絶対に許してはならないんですよ。これが福島原発事故の最大の教訓なんですよね。こういう安全神話づくりをしている現実があるわけなんです。
経済産業省にお伺いしますけれども、安全神話づくりの復活を認めない、経産省も同じ立場ですか。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
経済産業省、資源エネルギー庁といたしましても、いわゆる安全神話、一〇〇%安全とかゼロリスクといった、そういったことに陥らない、そういったことはあってはならないというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 私たちは、何度もこの九州電力のリーフレットの撤去を求めてきました。佐賀県の市民団体の方と一緒に、昨年七月二十六日、経済産業省にも要請をいたしました。覚えておられると思います。そのときに、原子力立地政策室の方は、不安を与えたことは大変申しわけない、不安を与えないように丁寧に説明するよう指導する、これは会社に対して指導するというふうに述べたわけであります。
しかし、あの七月から半年以上にわたって、九州電力は、その後も改めなかったのであります。原発周辺の住民の不安は与えられたまま、そして、丁寧な説明もないままでありました。
経産省は、私たちは主張しました、要請もしました、しかし安全神話の発信を九州電力はずっと続けてきました、なぜ容認してきたんですか。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
昨年七月二十六日に、田村先生を始めとした皆様から要請を受けまして、その翌日に、資源エネルギー庁の担当部局から九州電力に対して、今先生からも御指摘ございましたけれども、住民に不安を与えないような丁寧な理解活動の実施、そういった形をするようにという指導は行ってございます。
その上で、九州電力が策定したリーフレットでございますけれども、できる限り平易な言葉やデータを活用することで、地域の皆様にできる限りわかりやすくしたいという思いで策定したものというように考えてございます。
今先生からいただいた資料もございますし、リーフレット全体を私も今確認をしているわけでございますけれども、例えば、先生にお示ししていただいた資料の後半のところには、「今後とも、安全性向上の取り組みに終わりがないことを肝に銘じ、」ということで、引き続き安全性向上に取り組んでいく、そういったことも記載がございますし、別のところには、安全に終わりはありません、地域の皆様のお声もお聞きし、自主的、継続的な活動を積み重ねることで、絶えず安全性向上に取り組んでいきたいという趣旨のことも記載がございます。
いずれにいたしましても、九州電力を始め、電力事業者においては、安全性向上の取組については、これは不断の努力が必要でございますし、地元の皆様に対しては、不安を与えないように、できる限りわかりやすく丁寧な情報発信に心がけていくことが重要というふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 私どもが要請した翌日に九州電力に対して連絡をされて、そして丁寧な説明と。経済産業省のその指導的な連絡にもかかわらず、九州電力は言うことを聞かなかったということなんですよ。
今お話があったように、「安全性向上の取り組みに終わりがないことを肝に銘じ、」これが重要なんですよ。これだけ書いておけばいいんですよ。二千分の一の放射能の放出量であることが確認されたと。これを受け取った住民はどう捉えますか。びっくりしますよね。
ことしの三月に、佐賀県議会で、我が党、日本共産党の県会議員がこのリーフレットのことを取り上げて、山口・県知事が、安全神話につながるような考え方というのは決してあってはならないと答弁されました。これは、その前にあった更田委員長との懇談で更田委員長がおっしゃったことを踏まえての発言だというふうに私は見ております。
佐賀県がその後九州電力に申し入れて、このリーフレットの活用はなくなりました。ホームページからも削除されました。しかし、結果として削除、中止となったわけなんですけれども、本来ならば、これは国が、経済産業省が、率先して正すべきことではなかったのかと思うわけです。
反省点はありませんか。経産省、いかがですか。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたが、先生から要請を受けて、その次の日に九州電力に対して指導をしてございます。また、我々としても、原子力事業者が安全神話に陥ることはあってはならないというふうに考えてございます。したがいまして、安全対策をしっかりと継続してやっていただくこと、それから、やはりその地元の住民の皆様に対しては丁寧な情報発信を心がけていくこと、それもできる限りわかりやすくということだと思いますので、引き続き、そういった面でしっかりと対応してもらうように、今後とも指導してまいりたいというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 今後のことについて伺います。
今後、九州電力に限らず、原発事業者によるこうした安全神話づくり、拡散があった場合に、どうしていくおつもりですか。まず更田委員長にお伺いしたいと思います。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
原子力の利用に当たって、安全の確保に一義的責任を負う原子力事業者は、みずからの運用する施設についてきちんと語れるようになることが重要だと思っています。安全神話の復活につながるような説明ないしは宣伝をしてしまうことは、ひいては、その事業者の信用そのものを損ねることになるだろうというふうに考えております。
規制委員会は、個別の宣伝、個別の広報活動に対して、これを手とり足とり口を出す立場にはありませんけれども、規制委員会は、安全神話の復活を許さないという強い決意のもとで、私たちの考えをきちんと発信していくこと、これがまた重要であろうというふうに考えております。
○田村(貴)委員 経済産業省にもお伺いしたいんですけれども、ちょっと時間がありません。
続いて、この安全神話に続いて、安全軽視の姿勢についても触れておきたいというふうに思います。
このリーフレットの問題の直後の三月三十日、玄海原発三号機で、配管から蒸気が漏れるという重大事故が発生しております。この事故自体が問題なんですけれども、その後の対応がまた問題です。運転員が蒸気漏れを確認したのは午後七時ごろ。しかし、佐賀県への報告は二時間後の八時五十九分。玄海町が九時三十七分。最も遅く連絡が入った伊万里市は十時九分と、異常確認から三時間も経過をしていたわけであります。
佐賀県は、空振りでも結構なので、日ごろと違う状況がある段階で本県に連絡をしてほしいと要請した。当然の要求だというふうに思います。
経産省にお伺いします。原発異常時の自治体への連絡というのは、やはり速やかに行うよう、いま一度徹底すべきではありませんか。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
原子力でトラブルが発生した際に、立地自治体など関係者に速やかにその状況をお伝えするということは非常に大事であるというように認識してございます。
今回の玄海三号機、四号機でトラブルが発生した際、我々の方から、九州電力にもその都度しっかりとした情報提供、通報、連絡を行うよう指導してございますけれども、今後とも、引き続きそういった指導を行ってまいりたいというふうに思ってございます。
○田村(貴)委員 この件について、三号機の蒸気漏れについて、自治体への連絡がおくれたことについては、経産省から九州電力に何らかの指導とか、あるいは連絡、要請をしましたか。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の、三月の玄海三号機のトラブルが発生した案件がございましたですけれども、その後、資源エネルギー庁の担当部局の方から九州電力に対しまして、しっかりとした高い緊張感を持って臨むように、徹底した原因調査を行うように、そういったことの指導を行っております。
○田村(貴)委員 地域の防災計画とか、いろいろこれから改善していかなければならない。課題は山積だというふうに思います。
福島原発事故の最大の教訓は、原発は事故を起こさないとした安全神話でありました。九州電力は、安全神話を拡散し、原発を再稼働させています。少なくない自治体、住民の反対の声を聞かずにであります。しかも、再稼働のわずか七日後には、今度は蒸気漏れ事故を起こして、自治体から連絡が遅いと言われる始末であります。事業者としての適格性が問われているのではありませんか。
三号機は停止させ、四号機の再稼働は行わないことを強く求めて、本日の質問を終わります。
ありがとうございました。