196-衆-農林水産委員会-14号 平成30年05月15日 農産物開放許されない 田村衆院議員が日米経済対話ただす 衆院農水委

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
土地改良法の一部改正案について質問をします。
法案では、所有者から耕作者へ資格交代する場合の農業委員会の承認制を廃止して届出制にするとか、理事の定数の五分の三以上は耕作者たる組合員にするとか、准組合員の創設など、組合員資格にかかわる制度改正を盛り込んでいます。
土地改良区の業務運営に耕作者の意向が反映されなければならないのは、これは当然のことであると思いますけれども、現場では一体どういう問題が起こっているのでしょうか。こうした制度改変をしなければならない具体的な事象について、お聞かせをいただければと思います。


○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
るる御議論あったところでございますけれども、組合員の高齢化それから農地の利用集積の進展に伴いまして、このままですと組合員につきまして土地持ち非農家が増加していくということが見込まれるわけでございますけれども、土地改良施設の維持管理、更新になかなかその土地持ち非農家の方は関心を持っていただきにくいということで、このまま放置しますと、土地改良施設の維持管理になかなか、将来にわたって支障が生ずることがあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
また、土地改良区の運営につきましても、理事の大半の方を土地持ち非農家が占められた場合には、土地改良区の業務執行ですとか、そういう点で、耕作者、実際に営農されておられます耕作者の意向が適切に反映されなくなるのではないかというおそれがあるわけでございます。
さらに、農業用水の配分などでも、制度発足当初は均一の自作農が大量に存在したという実態にあったわけですけれども、昨今、経営規模の拡大ですとか作付品種の多様化などで、耕作者の方の水需要も大きく変化してきているというような実態変化があるわけでございます。
そういう中で、今般、従来は組合員になっておられない方々についても准組合員として土地改良区の運営に参画をしていただくことが必要ではないかとか、あるいは、現行の理事要件のままですと担い手の意向の反映に支障が出てくるのではないか、そういうところは見直すべきではないか、あるいは、先ほど申しました水需要の変化に対応した農業用水の配分を行うべきだといったような御意見を頂戴したところでございまして、今般、これらに応えるものといたしまして、准組合員制度の創設をし、理事の資格要件について耕作者要件を課す、あるいは利水調整規程を総会で決めていただくといったようなことを提案させていただいたところでございます。


○田村(貴)委員 耕作者がどういうふうに感じてどういう意見を持っておられるのか、そうしたことまでちょっと述べていただきたかったんですけれども。
次の質問です。総会設置要件についてであります。
組合員数二百人超から百人超に引き下げ、総代会の定数を一律三十人以上と改めることにしています。
これまで、組合員千人未満なら総代は三十人以上、千人から五千人は四十人以上、五千人から一万人なら六十人以上、一万人以上なら八十人以上と規定していたのですけれども、このように総代の人員が組合員数に応じて決まって運営されてきたのは、どういう趣旨であったのでしょうか。


○荒川政府参考人 現行制度の総代の定数につきましては、今先生から御紹介がございましたような制度になっておるわけでございますが、これは、法制定当時、均一規模の自作農の方が多数いらっしゃるという中で、地域の代表である総代の方々をきちんと選んでいくという意味で、組合員数に応じて一定の割り振りを行えばいいのではないかということから、組合員数に応じて三十人、四十人、六十人、八十人以上というふうに定められているというふうに承知をしております。


○田村(貴)委員 組合員数に応じた民主的な運営というのが基本になっているというふうに思うんですけれども、とすれば、大きなところの土地改良区、例えば日本で一番大きなのは香川用水だというふうにお伺いしましたけれども、五万八千人の組合員さんがおられる。こうした大きなところの土地改良区もある中で、総代が三十人というのは、細かな意見の反映とか民主的な運営に、ある意味支障を来す状況も生まれるのではないかな、そういう懸念についてはいかがお考えでしょうか。


○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、高齢化の進展ですとか農地集積の進展によりまして組合員数自体が減少してくるという中で、組合員の皆様の経営規模の大小というものも随分広がりが出てきたところでございまして、組合員数に応じて段階的に総代定数の下限を設けるということが、必ずしも法制定当時の趣旨である地域の農業者の意見を代表しているということはどうも言いにくくなってきているのではないかなと考えております。
このため、今度の改正では、必要最低限の人数は法定をさせていただいた上で、現実には、地域の実態、実情に応じまして、あるいは組合員数に応じてということもあるかもしれませんけれども、その土地改良区でお考えいただき、御判断いただいて、その土地改良区の総代の定数というものを定款なりで定めていただくということにしたところでございます。
最終的には、土地改良区が地域の実情、御自分のところの事情を十分踏まえて適切と考える人数にしていただくということが大事でございまして、今回、私ども、法定最低限を三十人としたことをもって、直ちにどの土地改良区も三十人まで下げていただくというような必要は全くないわけでございまして、地域の実態に応じて御判断をいただければというふうに考えております。


○田村(貴)委員 財務会計制度の見直しについて、今まで議論、質問はもうたくさん出されてきたとは思いますけれども、複式簿記の導入は、確かに、会計処理の透明性を高めていくという意味においては必要な面があるというふうに思います。
しかし、今答弁るるありましたように、高齢化の進行の中で、専従職員もいない、パソコンにさわったこともないといった状況の中で、対応が難しいのではないかなというふうに思います。
どういう支援を今考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。


○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
貸借対照表の作成に当たりまして、まず一番難しい、大事なことは、土地改良施設の資産評価をきちんと行うということだと考えています。
したがいまして、まずは国が資産評価を行うためのマニュアルというものを整備いたしたいと考えております。その上で、このマニュアルを使いまして、土地改良施設を造成した主体、国営であれば国、県営であれば県などがこの資産評価をきちんと行って、それを土地改良区に提供するという形で、土地改良区の負担をできるだけ小さくしていきたいというふうに考えておるところでございます。
あわせて、我々国は、地方公共団体とも協力いたしまして、土地改良事業団体連合会などとも連携をいたしまして、土地改良区さん、実際に貸借対照表を作成していただく土地改良区さんの研修など、しっかりした支援を行っていきたいと思っております。
その上で、さらに、難しいということであれば、先ほど来御紹介をさせていただいておりますが、土地改良区連合を設立して、土地改良区連合として体制を整備していただくですとか、あるいは、各県にございます都道府県土地改良事業団体連合会に事務委託をするといったようなことも可能性としてはあろうかと思っております。
いずれにいたしましても、経過期間の三年間の終了時までにしっかりバランスシートを作成していただけるよう、万全を期してまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 予算措置については今のところは考えておられないというふうに思うんですけれども、そこも含めてしっかりやっていただきたいと思います。
きょうは法案の審議ですけれども、土地改良区については以上で一旦とめさせていただいて、TPPのことについてお伺いしたいと思います。
四月十七日に、TPP協定案が衆議院で審議入りしました。そのときに、私、本会議質問に立ったわけでありますけれども、河野外務大臣それから茂木担当大臣の答弁について、きょうは改めて質問をしたいというふうに思います。外務省から堀井政務官にお越しいただいております。答弁よろしくお願いいたします。
日米経済対話に関して、河野大臣は、農業分野に関する日米双方が関心を有する分野について対話を行うと答弁しました。アメリカの関心事項というのは、一体何なんでしょうか。日本じゅうの農家、農業団体、関係者が今ここに注目をしています。政務官、教えていただけないでしょうか。


○堀井(学)大臣政務官 日米経済対話では、貿易・投資のルール、課題に関する共通戦略、経済及び構造政策分野における協力、分野別協力の三つの柱に沿って、有意義かつ建設的な議論を実施しているところであります。
昨年十月の第二回会合においては、農業分野において、日米双方の関心事項について建設的な議論ができ、柿、バレイショで成果を得られているところであります。
このうち、日本産柿生果実の輸入解禁については、日米両国は、米国政府が平成二十九年九月十二日付で規則を改正し、日本産柿生果実の米国への輸出が可能となったことを確認したところでございます。
また、アイダホ州産バレイショの輸入再開については、日米両国は、日本国政府が平成二十九年九月十二日付で規則を改正し、アイダホ州産バレイショの日本への輸入が可能となったことを確認したところでございます。


○田村(貴)委員 できるだけそういう交渉、会議における情報は開示していただきたいと思うんですけれども、わからないことだらけであります。
本会議でも指摘をしましたけれども、アメリカは、TPP復帰に向けた再交渉の可能性をちらつかせながらも、農業分野で一層の対日要求をぶつけているところです。
安倍総理は、昨年二月の訪米で、通商問題議論のために日米経済対話をみずから提案しました。これは結局米国との二国間交渉重視の姿勢に迎合しているのではないかと私は質問しましたけれども、河野大臣は、米国の一方的な主張にはしかるべく反論したと胸を張られました。
では、具体的に、どんな一方的な主張に対してどういう反論を行ったのでしょうか。答弁をお願いします。


○堀井(学)大臣政務官 日米経済対話では、既に二回の会合が開催をされております。農業分野や自動車分野を含む日米双方が関心を有する分野について、相互的な成果を得るべく対話を行ってきたところでございます。
議論の詳細については、外交上のやりとりであり、その詳細についてはお答えは差し控えたいと思いますが、例えば、冷凍牛肉の関税緊急措置については、麻生副総理からも制度導入の経緯等について説明されるなど、米国側の一方的な主張にはしかるべく反論をしてきたところでございます。
いずれにせよ、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意をするつもりはなく、同対話が対日要求の実現の場になっているという御指摘には当たりません。
以上でございます。


○田村(貴)委員 政務官、冷凍牛肉のほかにはどういう話があって、どういう反撃をされたんでしょうか。


○堀井(学)大臣政務官 日米経済対話第二回会合においては、麻生副総理から、冷凍牛肉の関税緊急措置の制度導入の経緯等について、丁寧に説明をされたところであります。


○田村(貴)委員 質問にお答えになっていないんですけれども、時間がありません。
その麻生副総理とペンス副大統領のもとで新たな経済対話の枠組みを立ち上げるというふうに、これは総理から話があったんですね、こういうふうに答弁されたんですよね。私は、これは非常に重大だと思います。
なぜ総理の方から提案したのか、なぜ、わざわざ向こうからきつい要求を突きつけられることがわかっているにもかかわらず、こちら側からその場を用意するのか。これは交渉のすべとしては非常に不利ではないかなと思いますけれども、いかがですか。


○堀井(学)大臣政務官 二〇一七年二月十日の日米首脳会談において、安倍総理とトランプ大統領は、自由で公正な貿易ルールに基づいて、日米両国間及び地域における経済関係を強化することに、引き続き完全にコミットしているところを確認したところでございます。
こうした共通認識のもと、今後、日米経済関係を更に大きく飛躍させ、日米両国、アジア太平洋地域、ひいては世界の力強い経済成長をリードしていくため、今般、麻生副総理とペンス副大統領のもとで日米経済対話を立ち上げることとしたところでございます。


○田村(貴)委員 ちょっと私の質問に、全然かみ合っていないということで、これはまだ引き続き議論させていただきたいんですけれども。
最後に大臣、情報が全然わかりません。日米間の経済対話というのは、TPPに行く、戻る含めて、それからFTAに突き進むにしても、非常に大事なコアの部分となる話であります。ここのところの情報が何もわからないでは、これはやはり農家の不安、疑念というのは広がる一方であります。こうやって協定案を審議してほしい、関連法案を審議してほしいといっても、土台のところの情報がなかったら、審議のしようがない、私はそう考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。


○伊東委員長 時間が来ておりますので、齋藤大臣、簡潔に御答弁をお願いします。


○齋藤国務大臣 通商交渉といいますか、経済交渉一般の話になると思いますけれども、それぞれお互いの国が腹の探り合いをしながら交渉する中で、相手がこう言って自分たちがこう言ったということを全部公表することについては、むしろ日本の国益を追求する上で好ましい結果をもたらさないという経験もありますし、私は、情報公開は大事だと思いますけれども、一方で、国益をしっかりと交渉の中で追求していくということも大事でありますので、そのバランスのとり方は非常に難しい問題があろうかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、交渉においては、その結果についてきちんと皆さんに御評価をいただくということで対応していきたい、それが筋じゃないかというふうに思っております。


○田村(貴)委員 審議の土台の情報は提供していただきたい、そのことを要求して、きょうの質問を終わります。