○田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、包括的・先進的TPP協定、TPP11に断固反対の立場から討論を行います。(拍手)
私は、何よりもまず、今国会における審議のあり方に厳しく抗議をするものです。
外務委員会における審議時間はわずか六時間にも満たず、食の安全、国民の命と暮らしを脅かす危険、投資家の利益を優先させるISDS条項、国内の農林水産業や雇用に対する影響など、本協定が抱える重大な問題について、いまだ審議は尽くされていません。内閣委員会で審議中の関連法案と一体に徹底審議すべきであり、採決するなど論外であります。
もともとTPPは、二年前の国会で、圧倒的国民の厳しい批判にさらされ、国会審議のさなかにアメリカが離脱したにもかかわらず、与党が採決を強行したものです。その後、日本政府は、米国に対して盛んにTPPへの復帰を働きかけてきました。TPPを丸ごと組み込むとしているTPP11は、国会決議に真っ向から反するものであり、断じて認めることはできません。
たび重なる国会決議は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要五項目を関税撤廃の交渉から除外することを明確にしてきました。にもかかわらず、TPPでは、重要五項目のうち三割の品目で関税を撤廃、牛肉・豚肉では七割の品目で関税が撤廃されます。国会決議違反のこうした内容に対して、TPP11では凍結要求することさえ一切行われていないのであります。
そもそもTPPは、国境を越えてもうけを追求する多国籍企業の活動を後押しするものです。関税を撤廃し、食品の安全基準を低めるなどの規制緩和を行おうとするその本質はそのまま維持されているのであります。米国がTPPに復帰しなくても、米国や日本の多国籍企業によるもうけ最優先の身勝手な活動を更に後押しするものにほかなりません。
だからこそ、四月の日米首脳会談で、日米の新たな経済協議の枠組みをつくるとしたことで合意したことは、極めて重大なのであります。
TPP交渉で譲歩をした線をスタートとして、日米FTA交渉で際限のない譲歩を迫られ、米国第一を掲げるトランプ政権の身勝手な対日要求の受皿とされる危険は明らかであります。米側は、USTRの外国貿易障壁報告書をもとに強力な取引を進め、牛肉や米、乳製品を含む農産物など、TPP以上の要求を突きつけてくることは明白であり、断じて容認できません。
今求められるのは、各国の食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を発展させる道に進むことだということを強く主張し、反対討論を終わります。(拍手)