196-衆-農林水産委員会-13号 平成30年05月10日 噴火に伴う河川汚染 霧島連山など深刻 早急な対応を 田村衆院議員

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
霧島連山・硫黄山の火山噴火に伴う河川汚濁、そして農業被害について、きょうは質問をします。
四月十九日、硫黄山が噴火し、活発な火山活動が続いています。そして、宮崎県えびの市内を流れる赤子川、長江川、鹿児島県に通じる川内川では、砒素など環境基準を超える有害物質が検出され、農業用水が取水できない事態となっています。
お手元配付の資料をごらんいただきたいと思います。
上流の方から並べていますけれども、1は赤子川、水が真っ白になっています。そして2は、その下流にある長江川の大原橋付近から私が撮影したものでございます。それから3、長江川が川内川と合流するところですね、川の色の違いがお見取れいただけるんじゃないかと思います。それから4です、宮路議員の配付資料でもありましたように、魚が死んでしまう、ぷかぷか浮いてしまうというところは、あちこちで報告されてきたところであります。
川からの水を取水する農業地域では、ことしの稲作はできないと判断し、断腸の思いで田植を断念しています。
そこで、大臣にお伺いします。
宮崎県えびの市で四百六十ヘクタール、六百五十戸、鹿児島県湧水町、伊佐市で六百二十ヘクタール、七百五十戸、計千八十ヘクタール、千四百戸が今の時点で稲作を断念していると聞いています。今後も見通しが立たないとなったら、営農意欲を失う、ひいては離農をもたらしていく。既に離農の声も上がっているところです。
宮崎、鹿児島の両県知事とももう面談されたと伺っておりますけれども、齋藤大臣の受けとめと支援への決意をまずお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕


○齋藤国務大臣 えびの高原の硫黄山の噴火に伴います周辺河川の水質への影響を踏まえまして、現在、宮崎県えびの市では、赤子川、長江川及び長江川合流地点より下流の川内川、これを水源とします河川からの取水は行わない、それから、鹿児島県の伊佐市及び湧水町では、川内川からの取水は行わない、また、同河川から取水する水田において水稲作付を行わないという方針を決められているということはお聞きしております。
農林水産省としては、水稲作付が困難な地域、これが広がってきているということについては深刻に受けとめておりまして、こういった地域での大豆や飼料作物といった他の品目への転換を進めることによりまして、何とか農業者の営農そのものが継続できないか、このことが重要であると今考えております。
また、そのほかにも、今御指摘ありましたように、おととい宮崎県、鹿児島県の両知事ともお目にかかりましたし、それから、きょう、えびの市、伊佐市、湧水町の首長さんとも、これは国会が終わって夕方になりますけれども、夕方じゃないかな、終わってからお目にかかることになっておりますので、よく皆さんの御意見を聞きながら、農業者の皆さんが営農を継続するためにどのような対応が必要か、この点について早急に検討してまいりたいと考えています。


○田村(貴)委員 六月の田植に向けて、まさに準備をしている、準備に入るといったところでありました。稲作農家の思いに、今、思いをはせないといけないと思っております。
水稲の共済はどうなっていくでしょうか。移植期における制度についての説明をお願いします。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
水稲の作付の準備をしていたものの、水稲共済の責任期間である移植期におきまして、噴火に伴う河川水の汚染被害が継続し、作付できなかった場合は、共済金の支払い対象となります。
この場合、共済金は経営コストを勘案して通常の半分を支払う仕組みとなっておりますが、多くの方が加入している一筆方式七割補償の場合は、耕地ごとの平均収量の三・五割に相当する共済金が支払われるということになります。
このことにつきましては、農業者向けのチラシを作成し、農業共済団体を通じて、今週中を目途に農業者に周知してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 三・五割の補償になることは確認させていただきました。
それで、転作等における支援措置についてであります。
宮崎、鹿児島両県知事からは、水田活用の直接支払交付金の確保、種子代、農業用機械導入等の支援、代替水源の確保のための調査を始め、切実ないろいろな要望が出されています。これに対する農林水産省の受けとめはいかがでしょうか。


○柄澤政府参考人 お答えいたします。
農水省といたしましては、水稲作付が困難な地域においては、大豆や飼料作物といった他の品目への転換を進めることによりまして、農業者の皆様の営農を継続していくことが重要だと考えております。
その際、例えば大豆ですとか飼料作物の作付を行った方に対しましては、水田活用の直接支払交付金、これは十アール当たり三万五千円でございますが、これが支払われることになります。
また、大豆の作付を行った場合には、認定農業者等の要件に合致する場合に、いわゆるゲタ対策、畑作物の直接支払交付金による面積払い、これは十アール当たり二万円でございますし、更に数量払いが支払われることになります。
このほか、御指摘ございましたような種子代ですとか機械導入、代替水源調査などの御要望をいただいているところでございますので、今後、宮崎県、鹿児島県、また関係市町村等とも連携しながら、農業者の方々が営農を継続するためにどのような対応が必要か、早急に検討してまいりたいと存じます。
〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕


○田村(貴)委員 両県知事の要望は、現行制度にもありますし、ハードルの高い要求ではないというふうに思います。最低限度の今やってほしい措置、対策だというふうに思いますので、これに加えてどれだけの検討ができるのかといったところを詰めていただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。
それで、上流の赤子川、私行ってまいりまして、1の写真ですけれども、強酸性だというので、ちょっと私も手をつけるのもいかがなものかなと思いました。不思議なことに、硫黄臭はかすかにしたんですけれども、鼻をつまむようなにおいではなかった。どこに行ってもそういう状況ではないんですけれども、中にある、川の中の成分については基準値を何十倍上回るものが出てきたのと、下流域まで行っていることに大変驚きました。硫黄山から二十キロ以上も離れた川内川でも基準を上回る砒素が検出されたということであります。
こうした私たちにとって有害な重金属類の河川への流出原因についてはこれから解明を待たなければいけませんけれども、今の時点でどうしてこういう状況になっているのか、環境省、お答えいただけるでしょうか。


○江口政府参考人 お答え申し上げます。
気象庁が五月一日に発表した資料によりますと、硫黄山周辺で泥水の噴出が見られており、硫黄山周辺の沢で灰色の泥水が流れていることを確認したとされてございます。
また、環境基準を超える砒素などが周辺の河川で検出されている点につきましては、火山の専門家の見解といたしまして、硫黄山の地中には砒素などの有害物質も硫化物として多く堆積しており、これらの硫化物を含む泥水が噴出し、河川に溶け出したとしているとの報道を承知してございます。


○田村(貴)委員 活発な火山活動が続いていますので、やはり発生源対策を考えていかなければいけない。これは霧島連山にかかわる話ではないわけですね。火山大国日本ですから、こうした現象というのはどこでも起こりかねないということだというふうに思います。
現地は、ぜひ聞いていただきたいんですけれども、わからないんですよ、なぜこうなっているのか。そして、専門家とかそれから国の知見を寄せてほしい、ぜひ私たちではわからないことを教えていただきたいと言っておられますので、私は、やはり知見の導入が求められるというふうに思います。このメカニズムについての解明を急いでいただきたいと思います。
そして、えびの市が沈殿池を数カ所つくるというふうにも伺っております。非常災害なので、国立公園内における造作等についてはクリアできると考えていますけれども、自然公園法との関係で説明をいただけるでしょうか。


○米谷政府参考人 国立公園の特別地域内において工作物の新築等を行う際には、通常、自然公園法に基づく環境大臣の許可が必要となりますが、非常災害のために必要な応急措置として行う場合には、その行為をした日から起算して十四日以内に環境大臣にその旨を届け出る必要はありますが、事前の許可は不要となります。
なお、この件につきましては、五月七日にえびの市から相談を受けまして、この旨を伝達しておるところでございます。


○田村(貴)委員 原因をできれば取り除く、これができれば河川汚濁の問題を解決することができるわけです。
内閣府から山下政務官にお越しいただいております。
そこで、質問をさせていただきたいんですけれども、活動火山対策特別措置法、この第二十八条ではこういう規定があります。「国及び地方公共団体は、火山の爆発に伴い河川の流水の水質の汚濁が著しくなり、人の健康又は農林漁業等に係る被害が生ずるおそれがある事態が生じたときは、速やかに当該河川の水質の汚濁を防止し、又は軽減するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」まさに今度の事例がこの条文に当てはまるというふうに考えます。
発生源対策をしなければ解決できない。そして、鹿児島県の知事も、上流域における恒久対策を国に求めているところであります。河川の汚濁防止、軽減に政府としてどういう措置が考えられるのか、内閣府防災としてこれからどうされるのか、お伺いしたいと思います。


○山下(雄)大臣政務官 お答えいたします。
河川の汚濁防止、軽減については、水質等の状況を把握した上で、どのような対策が可能かということを検討する必要があるというふうに考えております。
鹿児島県におかれましては、昨日、対策本部会議が開かれて、これまでの経緯や現状などについて議論がなされたと承知しております。また、宮崎県についても同様の議論がなされているというふうに伺っております。
内閣府としては、これらの現地の取組を支援するために、昨日ですけれども、関係省庁の連絡会議を開いて、まずは情報の共有を図ったところであります。引き続き、農林水産省や環境省など関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 えびの市の沈殿池をつくるとかいろいろな対策については、国も一緒にやっていくというスタンスでよろしいですか。


○山下(雄)大臣政務官 関係自治体の話をよく伺った上で、我々としても、各省庁と連携して、何が対策としてとり得るかを検討していきたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 各省庁連携の話が出てまいりました。そこで、最後に、齋藤大臣にもその連携のイニシアチブを内閣の一員としてお願いしたいと思います。
えびの市で農業生産法人で働く方に、連休中でありましたけれども集まっていただきました。伺えば本当にお気の毒で、去年に仲間で会社を立ち上げた、そして稲作をやっていると。
きょう宮路議員からもお話ありましたように、えびのとか湧水、それから伊佐市、日本の名立たる米どころで、おかずが要らずにお米が食べられる、非常においしいお米ができるところです。農家の落胆というのは本当に想像にかたくないところであります。
借金をして機械も購入した、収入がなければ払う当てもなくなっていく、肥料をまき、種もみの準備にも入っていただけに残念である、ことしは諦めたけれども、来年は作付ができるのであろうかと。ここの思いにやはり行政が、国がしっかりと応えていかなければならないというふうに思います。
きょうは私は発生源対策の方も質問をしましたけれども、これにおいては、農林水産省の所管を出てしまうところもあります。しかし、大臣、この問題解決に省庁間の連携、ぜひともイニシアチブを発揮していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


○齋藤国務大臣 今回の硫黄山の噴火により一番影響を受けていますのは農業者であります。したがって、農業用水を確保し、営農を継続するためには、御指摘の発生源対策というのは重要であるというふうに認識をしています。
このため、河川への有害物質の流入防止対策を行うように、関係府省に対して、農業を所管する大臣として、積極的に働きかけてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 被災者、被災農家に寄り添った対策と支援を心から求めまして、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。