○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きのうに続き、愛媛県が作成した文書についてお伺いします。
加計学園の獣医学部の創設というのは、国家戦略特区、この制度を使って実現したものであります。この間の経緯を見てみますと、やはりターニングポイントとなったのは三年前、二〇一五年の四月の二日、官邸での面談であったというふうに思うわけであります。したがって、農林水産省等に提出された愛媛県側からの四月三日付の文書というのは、加計学園の疑惑解明を進める上でも、大変重要な文書となっているということであります。
ところが、農水省は余りこの文書を重要視されていない、重要な受けとめをされていないと私は思うわけであります。
この四月の二日、四月の三日、前後して、国家戦略特区のワーキンググループのヒアリングが頻繁に行われています。
そこで、お伺いします。
四月二日の官邸面談の以前に開かれた獣医師系のワーキンググループで、農林水産省が出席した会議は何回、いつ行われたのか。あわせて、この会議の議題、議事は何となっているか、どの部署のどの役職の方が出席されたのか。御答弁ください。
○池田政府参考人 お答えいたします。
獣医師養成系大学、学部の新設に係る国家戦略特区ワーキンググループには、平成二十六年八月五日から平成二十七年四月二日までの間に四回出席してございます。
一回目が二十六年八月五日、二回目が二十六年八月の十九日、三回目が二十七年の一月の九日、四回目が二十七年の二月の三日でございます。
それぞれ、ヒアリングの事項といたしましては、獣医師養成系大学、学部の新設、あるいは獣医師養成系大学、学部の新設の解禁、こういったヒアリング事項で参加をしているところでございます。
参加をいたしましたのは、獣医師法を担当する課の課長あるいは課長補佐でございます。
○田村(貴)委員 それで、獣医学部の創設の是非をめぐる議論が行われているわけですよ。獣医師数については、全国的に、基本的に満たされている、農水省の方はそういう考え方を何回も半年にわたって説明されてきたわけですよね。それは、畜水産安全課の課長と課長補佐が出て、ワーキンググループのヒアリングで行ってきたわけなんです。
その職業柄、今治市が、その何年も前にさかのぼって、ずっと構造改革特区に獣医学部を設置したいと提案してきたことも当然知っているわけなんですよね。この当然知っている課長や課長補佐が、この二カ月後の四月の二日に愛媛県側から来た文書を課長補佐が受け取った。これは首相案件とも書いてあるわけです。だから、課にとっても、これは局にとっても省にとっても重大事案ではなかったのか、なぜそういうふうに受けとめないのかなと私は思うわけなんです。
愛媛文書を受け取ったのは畜水産安全課の課長補佐ですよね。その二カ月前までにワーキンググループで説明していたんですよね。こういう愛媛県側からの文書が来た、私たちの立場と違う方向で今から進むんじゃないかということで、重大事案としてなぜ捉えなかったのか、私は非常に不思議でならないわけなんです。
大臣、そう思われませんか。
○齋藤国務大臣 私どもが行ったヒアリング調査の結果につきましては、従来からお話をしているとおりであります。
それで、それを不思議に当時の人は思ったか思わなかったかという質問であります。私も、霞が関で二十三年働き、その中で県にも二年弱おられたので、いろいろな推測はできますよ。推測はできますが、その推測を、何通りか推測できますけれども、それをここでお話しするのは適当ではないと思いますので、私どもが調査で判明した事実をもってお答えとさせていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 私は、これは重大案件だというふうに恐らく農水省は認識したはずだと思います。それは、課じゃなくて、局も省も情報は共有する、そして文書としては共有保管したというふうに見るのが自然であります。そして、東京新聞が報道したように、次の日に、どういったことになっていたのかと農水省の方から説明を求めたというふうに考えるのがやはり自然ではないかなと思うわけであります。
再調査が必要だというふうに思います。愛媛県の文書の件、それから、それに付随する文書はなかったのか、報告を受けた人はほかにはいなかったのか、愛媛県側から農水省に対してどういう報告、伺いがなされたのか、こうしたことをちゃんと説明していただかないと、農林水産省は独自の疑念がここでまた生じるということになります。再調査を含めて徹底した情報開示をしていただきたいと思います。答弁は変わらないと思いますから、これは強く要望させていただきたいと思います。
次に、盗伐問題について伺います。
資料をお配りしています。もう本当にひどいことになっています、宮崎県で。きょうはこのことについてお話をしたいと思います。
私は、昨年十二月十二日の委員会で、宮崎県の盗伐の問題を質問しました。対策と調査を求めましたけれども、齋藤大臣は二月六日の記者会見で、無断伐採にかかわる盗伐の調査を指示されました。
今回、調査結果がまとまっておられたと聞いたので、きょうお配りしています。説明をしていただけますか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
宮崎県における盗伐事案を踏まえまして、林野庁では、本年一月に、全都道府県に対しまして無断伐採の全国的な調査を実施したところでございます。
この結果、無断伐採に関する情報や相談が市町村や都道府県に寄せられた件数は、平成二十九年四月から平成三十年一月までの間でございますけれども、六十二件ございました。また、このうち、無断伐採が故意に行われた疑いがあるものにつきましては十一件あると確認されたところでございます。
○田村(貴)委員 この調査はどうやって集計されましたか。都道府県への聞き取り調査でしょうか、現地などへの調査に行かれたんでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
これにつきましては、我々から現地へ赴いたのではなくて、聞き取りでございます。県を通じて聞き取ったものでございます。
○田村(貴)委員 それでも、全国の都道府県に照会をかけて、そしてこの数字が集まったというのは、一歩前進ではないかなというふうに思います。
ただ、長官、ここに集計されている数字、桁違いの被害が宮崎県だけでも起きているということです。しかも、この数字、昨年度だけなんですね。もうちょっとさかのぼって調査もする必要があります。
被害者の家族が、宮崎の盗伐被害に遭った方が集まって、会も今回結成されて、今、その会員さんは四十二家族に上ったというふうにも伺いました。
宮崎県が、素材生産組合などの団体に対する無断伐採に関する相談件数が六十六件というふうに発表したんですけれども、被害者の会の家族にこれらの相談をされたというようなものはないわけなんです。ということは、公式な発表の中に被害者の会の被害が入っていない。その総数は百件を超えるのではないかなというふうに見ております。
資料の1、一番表にあるんですけれども、こんなひどい無断伐採をされてしまいました。後から草が生えているわけですよね。
このように、無断伐採というのは、伐採届に虚偽の報告をする。この方は、亡くなったお父さんの名前が勝手に書かれて、勝手に署名をされて、事に及んだということです。また、ほかの手口では、適法な伐採届を出しておきながら、後は誤伐、間違ったということで、広大な範囲を切り取っていく。こうしたやり方、手口が横行しているわけであります。
私、先般、ある森林組合に行ったら、森林のプロというのは、一つの筋でも、一本の木でも、間違ったらそれは恥ずかしいことなんだと。今は、伐採するにもGPSを使いますので、こうした誤伐などはなかなか起こらないというふうに見るわけであります。大胆不敵にも、こうした盗伐がたくさん行われているわけであります。
写真の2をごらんいただきたいと思います。
ここは、日南市の飫肥杉の人工林であります。長年、所有者が大事に世話をされてきたんですけれども、谷筋に沿って何千本も切られているわけであります。切られた後に、大きな岩や土砂、捨てられた枝などが散乱している、滑り落ちて堆積している。ダムをつくっている形になります。ここに大雨が降ればどんなことになるのか。
下にグーグルの航空写真を添付しているんですけれども、これを見てみますと、この右上の方の、はげ山と化したところから、もし濁流が、鉄砲水が下に落ちていたら、ここには福祉施設もあれば学校もある、これは大変なことになってしまうわけです。
多くの被害者の方は泣き寝入りをするだけだということであります。この調査はもうちょっと精密に、そして正確に拡充していかなければならないと思うわけであります。
こうした被害に遭っている方々は、市の窓口に行っても何のアクションもなかった、それから、県は把握しているんだけれども、一年以上放置されている。そして、多くの家族の方が言われるんですけれども、警察に被害届を持っていっても被害届を受理してもらえない。
私、ここに四十二家族の被害の一覧をいただきましたので、ずっと見てみますと、宮崎県内全ての地域に盗伐が行われて、その数九千百八十三本。被害に遭った木が九千百八十三本、約一万本ですよね。そして、ほとんどが被害届不受理になっています。
不受理の仕組みはこうなんですよ。無断伐採しているところに立ち会うわけです。保有者がいて、無断伐採しているところで、何切っているんだということで警察に電話します。そうしたら、すぐに警官が来ます。そうしたら、警官は、民事不介入ということで、当事者間で解決してくださいとなるわけですね。そうすると、なけなしのお金を渡す人もおれば、あるいは、植林をします、原状復帰しますと口約束をして、そして、もう後は知らぬ存ぜぬで今に至るというようなケースなんです。すごく多くの方が泣き寝入りしているわけなんですよね。
これは、私、行政の怠慢もあると思うんですよ。政府はしっかりと監督の目をはせていただきたいと思うんですけれども、こういう被害に遭った方は一体どうすればいいんでしょうか。林野庁、お答えいただけますか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
まずは、宮崎県の盗伐、無断伐採等の事案が発生しておりますことにつきましては大変遺憾であると思っております。
このような状況を踏まえまして、宮崎県でございますけれども、県、市町村、森林組合や関係団体と県警本部が協定を締結いたしまして、誤伐、盗伐対策に連携して取り組むという体制をまずつくりました。
また、それとともに、県内の市町村に対しまして、伐採届、木を切るときは伐採届を出すんですけれども、伐採届を届出する際に森林所有者であることの確認を徹底していただくなどの再発防止の取組をまずは進めるということをしてございます。
そうした効果もあって、昨今、発生件数自体は減少の傾向にあると県からお聞きをしてございます。
また、委員御指摘ございました、この検挙された人でございますけれども、これは、三月二十日には、森林法違反、これは森林窃盗、及び有印私文書偽造という形で罪に問われて、有罪判決があったと承知してございます。
農林水産省といたしましては、今回の調査結果を森林・林業関係者等に周知いたしますとともに、このような問題を注視して、注意深く、注意を喚起するということをまず行っておりますし、また、宮崎県などの盗伐、無断伐採などに関する取組事例を、他県等にこういうふうにやっていますよという紹介をいたしております。このほか、伐採届出制度の適切な運用を徹底するように市町村等に依頼をしてございます。
こうした対策を、警察等の関係機関とも連携して進めていくこととしております。
○田村(貴)委員 長官、二つ、ちょっと事実誤認があります。
一つは、県がどう言ったかわからないけれども、盗伐が減る傾向にある。これは、しっかり調べないとわかりませんよ、毎日起こっているわけですから。
もう一つは、違法な伐採をした方が検挙された。これはブローカーなんですけれども、そこでとどまっているわけなんです。ほかにも盗伐の事実を認めた業者はいっぱいいるわけですよ。それは森林保有者が確認しているわけです。で、なけなしの金を持ってきた業者がいっぱいいるわけですから、切った人はわかっているわけなんですね。そこをやはり検挙しないといけないんですよ、この事案は。盗伐は犯罪なんですから。そうですよね。
だから、厳正なる対処と対策と、それから調査をしなければいけないと思います。今の対応については私は否定するものではありませんけれども、もっと踏み込んでいくところがあるんじゃないかと思います。
そこで、大臣、今ずっと私、現場、この写真も取り寄せて、きょうは委員の皆さんにも見ていただきました。そして、被害者の会の方もきょうは傍聴に来ておられます。
この事態は、もう猶予は許されない状況であります。きのうまで森林の論議をしておって、そして山の保有者の大事な資産を守っていこうという議論をしている中で、こんなモラルハザードが毎日のように起こっている。報道によったら、全国で行われている。ただ取りですよ、木の。それを利益にするのは許されない話であります。
大臣にお伺いしたいのは、大臣が二月六日の会見で、再発防止の取組を進めたいとおっしゃいました。私はそのお言葉に期待しています。だけれども、再発が毎日進んでいるならば、やはり手だてを打たなければいけません。
緊急の手だてを打っていただくこと、そして、今まさに、林野庁、国が宮崎の盗伐の現場、全国の盗伐の現場に入って自治体を指導してもらわなければいけない、捜査機関も指導してもらわなければいけない、そういう状況にあると私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 まず、宮崎県始め全国的に無断伐採事案の発生が認められたことについては、まことに遺憾だと思っております。
そして、今写真も見せていただいてお話を伺って、私、改めて深刻な事態だなというふうに実感をいたしました。
特に、委員が御紹介された、現場で警察を呼んでも民事不介入だということで手を打ってくれないとか、被害届が受理をされないとか、そういう問題、これは、やはり警察当局の力というものも非常に大きいのではないかと思っております。
私自身、ちょっとその点を、どうなっているのか確認をさせていただいて、何が前進できるか、ちょっと考えてみたいと思っております。
○田村(貴)委員 踏み込んだ大臣の答弁もいただきました。
対策に期待をするものでありますけれども、せんだって、毎日新聞、二月二日付の報道の中で、宮崎市が新たに四件告発したということであります。
ブローカーにおける盗伐が中心なんですけれども、ブローカーが提出した書類が約百枚ほどある。こうしたところで、まだまだ解明を進めていかなければならないというふうに思うわけであります。
森林資源というのは、本当に大事なものであります。参考人の御意見も聞いて、三回この委員会で森林の経営のあり方、管理のあり方を論議してまいりました。委託を受けた業者が相当な経営努力をして、森林所有者に利益を還元することも想定されると、きのうですよ、私の質問に対して長官はお答えになりましたよね。森林所有者に利益を還元することが、法改正によって想定されると。
しかし、現実はこんなモラルハザードが起きているわけなんです。盗伐対策、今すぐ手を打っていただきたい。
そして、大臣、お忙しいかもわかりませんけれども、やはり政府三役を含めて現地に飛んでいただきたい。林野庁、事務方はもうすぐに現地に行っていただいて、自治体から生の声を確認していただきたい。
どうも私は行政絡みで黙認されているんじゃないかなという疑念を持っていますので、この疑念に応えていただく行動をとっていただくことをお願いして、きょうは終わります。
ありがとうございました。