197-衆-農林水産委員会-6号 平成30年11月21日 宮崎県の森林盗伐問題について質問 田村貴昭

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
宮崎県の森林盗伐問題について質問します。
去年から取り上げてきているんですけれども、きょうが三回目であります。悪質な無断伐採、盗伐が後を絶ちません。四月の私の質問に、齋藤前大臣と前林野庁長官は、警察との連携そして確認を進めていくというふうに答弁されましたけれども、これまでどういう対応を具体的にとられたか、説明をしていただけますか。


○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘ございました、宮崎県において発生をいたしました無断伐採事案でございますが、この無断伐採事案を踏まえまして、県等から収集をいたしました無断伐採に関する情報について警察庁に対しまして情報提供を行いますとともに、本年四月十九日に、警察庁に対しまして無断伐採に関する情報共有と協力の依頼を行ったところでございます。
さらに、七月と十月には、林野庁の担当職員を現場に派遣をいたしまして、現地の状況を調査いたしますとともに、関係する自治体等から被害状況や対策等についてヒアリングを行いまして現場の声についても聞かせていただいたところでございます。
林野庁といたしましては、引き続きまして無断伐採に関する情報について警察庁と共有をいたしますとともに、宮崎県で行われております関係機関と連携をいたしましたパトロール等の取組の横展開を推進するといったような取組などにつきまして、警察とも連携して対策を進めてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 しかし、被害は広がる一方なんですよ。
盗伐被害者の会が去年結成されて、私が四月のときに質問したときは四十二世帯だったんだけれども、今現在、七十二世帯にふえている。会に入らない被害者の方というのはまた水面下にたくさんおられるわけですよね。約二万本の所有林が無断伐採され盗まれているわけであります。
資料をお配りしています。私が、十月十日の日に、また盗伐に遭ったとの連絡を受けて宮崎の山林に入りました。国富町木脇の現場です。リュックを背負っているのはちなみに私であります。所有者、被害者の会の方、地元メディアの記者さんと一緒に山を歩きました。所有者の約二百本の木が切られて、カットされています。売る目的であることは、これは間違いありません。隣の森林の保有者も盗伐被害に遭って、新聞に投稿されています。
私が山を歩いていたら、この木を切ったという業者と出くわしたんですよ。そして、業者は一体何と言ったか。誤伐である、間違って切った、人間だから間違うでしょうと。盗伐した人が、被害者を前にして、謝罪の一言もないんですよ。誤伐を言い逃れとして、県内で犯罪行為がまかり通っている、これは異常な事態になっています。
写真にあるように、地籍調査の境界標、ここでは幾つも打たれているわけですよ。素人でも間違わない杉林であります。
そこで、森林のプロの林野庁にお伺いしたいと思います。
誤伐が盗伐の常套手段となっているんです。地籍調査の境界標が打たれている場所で、数百本の木を無断伐採した業者は誤伐だと言っています。こうした言い逃れを、行政、林野庁は認めていいんでしょうか。


○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
本件伐採に係る森林においては、基本的に、地籍調査が終了いたしまして、境界標も打たれていたものということで報告を受けているところでございます。
伐採に当たりましては伐採現場における事前の境界確認が重要であるということは言うまでもないことでございまして、本件はそれを怠った不適切なものであるというふうに認識をしているところでございます。
本件につきましては、警察において調査中との報告を宮崎県からも受けているところでございますけれども、今後、調査が適切に行われていくものと考えております。
林野庁といたしましては、引き続き、無断伐採事案の未然防止に向けて対策の強化を図ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 本当に誤伐だったら、所有者に謝って、対価を支払って、そして植林をしますよ。そんなことしないんですよ、やりっ放し。
写真を見ていただきたいと思います。杉の木一列だけ残してありますでしょう。この杉の木の一列の向こうには、田んぼがあって、道路があるんですよ。向こうから見えないために、目隠しのためにここだけ残しているわけですよ。
これは誤伐は絶対通用しませんよ。なぜこんな犯罪行為がまかり通るのか。それは簡単です、捕まらないからです。人の木を無断で切って、そしてそれでもうけている。それでも捕まらないからこういう事態が広がっているんですよ。
なぜ捕まらないのか。これが事件とならないからなんですよ。警察への相談件数、宮崎県から報告を受けましたけれども、一昨年が二十九件、昨年が四十件、ことしは十月末までで五十六件。年々ふえているわけです。一方で、送致件数については、昨年が四件、ことしはゼロとの報告であります。
私も、被害に遭った方々、県内をいろいろ訪ねて聞いたんですけれども、警察に被害届を持っていったんだけれども受理してくれない、どれだけこの声を聞いてきたか。齋藤前大臣にもお話ししました。
警察庁、来ておられると思うんです。警察への被害届というのは、被害者が被害届の提出の意思があるならば、犯罪捜査規範に照らして受理するのが基本ではありませんか。


○小田部政府参考人 お答えいたします。
個別具体の事案に係る被害届の受理につきましては一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、各都道府県警察におきましては、犯罪捜査規範を踏まえ、被害届の受理について、個別の事案に応じて適切に対応しているものと承知しております。
また、警察といたしましても、森林窃盗に関しましては、森林窃盗被害の発生状況等に応じまして、関係機関と連携して、厳正な取締りや合同パトロール等を行っているところでありまして、今後とも、関係機関と連携を図りながら取組を進めてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 即時に被害届を受理していただきたい。そして、今言われた取締りとパトロール、徹底強化をしていただきたいというふうに思います。
警察署に相談に行ったんだけれども示談にしてくださいと言われるんですよ。民事不介入で見過ごそうとするわけですよ。犯罪の日が特定できないからといって受理しないんですよ。
私、きょうは、これはもう本当にひどいなという事例を公の場で、国会という自分の発言に責任を負う場で皆さんに紹介して、これは本当に正してもらわなければいけない。
警察に来てもらっているので、ぜひ被害届を受理するよう、関係警察機関に指導、連絡をしていただきたい、犯罪捜査規範、この趣旨を徹底していただきたいと思うのですが、いま一度、いかがですか。


○小田部政府参考人 お答えいたします。
個別具体の事案に係る被害届の受理につきまして一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、各都道府県警察におきましては、犯罪捜査規範を踏まえて、被害届の受理について、個別の事案に応じて適切に対応しているものと承知しております。
その際、犯罪被害の届出の意思に加え、大まかな被害時期のほか、樹木の所有者や境界線など、犯罪の被害があったということについて所要の確認を行うこともあるものと承知しております。
いずれにいたしましても、警察といたしましては、被害の相談がなされた際には、被害者の方の心情に配意しつつ、個別の事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 適切でないからわざわざ質問しているんじゃないですか。
被害届を持ってこられているんですよ。相談に来られた方に、あなたは被害届を提出する意思がありますかと再確認して、そして宮崎県の各署に徹底指導してくださいよ。頼みますよ。
無断伐採した業者が、もし公金が入った補助を受けて機械を使っていたら、これはどうなるんでしょうか。写真の右下にも、私が見受けられた林業機械、見ているんですけれども、林野庁の補助を受けて導入した高性能林業機械を使っている疑いがあります。
県内にこういう事例がもし発覚したとするならば、どういう対策をしますか。


○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
林野庁といたしましては、国の補助によって導入された機械が無断伐採等に使われるということは、これはあってはならないことだというふうに考えているところでございます。
事業者に対しましては、都道府県、市町村と協力いたしまして、伐採届だけでなく、現場での区域の確認、伐採方法も含め適正な伐採を行うよう厳しく指導いたしますとともに、適正な伐採をしていくための改善策を作成、提出させることとしているところでございます。
本件の事案につきましては、先ほど御答弁ございましたように、警察において調査中ということでございます。
一般論として申し上げますと、国が補助をいたしました機械によりまして盗伐、森林法に言うところの森林窃盗ということになろうかと思いますけれども、こういったようなものが行われたといたしますれば、関係する都道府県、市町村と連携をいたしまして、補助金の交付決定の取消しも含め、対応について検討していくということになろうかと思います。


○田村(貴)委員 林野庁、現地に入って、私も逐次報告をさせて、これまで来ました。ぜひ、政務三役も、こうした盗伐の現場、一回調査に行っていただけないでしょうか。一番宮崎県に近いのは鹿児島県御出身の小里副大臣であります。
小里副大臣、今、私、こういう話をしたんですけれども、率直に御感想、そしてぜひ現地に入って対応もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○小里副大臣 こういった事案が発生し続けているということに、大変遺憾に思うところでございます。
私も、実は森林所有者の一人であります。植林から施肥、枝打ちあるいは間伐に、そしてまた境界画定のためのくい打ち作業等々、丹精込めて森林を育成をしてこられた所有者の方々の気持ちは察するに余りあるものがあります。
引き続き、しっかりと対策を徹底してまいりたいと思いますし、私もできますれば宮崎の方にもお伺いしたいと思います。


○田村(貴)委員 ぜひお願いします。
大臣にもお伺いしたいと思います。
私、この現場の切られた木の樹齢を数えたら、五十五年になりましたね。これは一本三万円から四万円の価値となるわけですよ。先祖から受け継ぎ、手塩にかけたこの杉の木です。所有者さんは、おじいちゃん、おばあちゃんが植えた木です、ここまで育って、これを退職後、この木をもって家を建てたいという念願があったんですよね。この気持ちを思ったら、もう残念でならないと思いますよ。
隣の方は地元の新聞に投書していて、二十年間、草刈り等の手入れをし大切に造林してきたので悔しいと、今副大臣がおっしゃった、その思いがあるわけですよ。これを根本から奪ってしまい、そして、何の補償もせずに、現地はそのままにしてトンズラしてしまう。そして、人の財産でもうけているわけですよね。これは徹底した摘発と取締りを要求したいというふうに思います。
そして、盗伐は許されない犯罪行為であると同時に、治山機能を奪ってしまうわけです。ここの現場の木も台風二十四号でまたなぎ倒されて、土砂がため池等に流れていると。これは次の災害のことを思ったら、大変なことになりますよね。そうした意味からも、一層の対策の強化を大臣が号令をかけてやっていただかないと、事態は改善しません。被害者はふえる一方です。いかがですか、大臣。


○吉川国務大臣 田村委員からお配りをいただきましたこの資料を拝見いたしまして、このような無断伐採において森林の破壊が起こっているということは大変遺憾であると存じております。
このような無断伐採事案の発生は、森林所有者が、今もお話にございましたように、長年かけて森林を育ててきた御苦労を思うと重大な問題であると私は認識をさせていただきました。
木を育てるのも人を育てるのも時間がかかるとよく言われておることでありまするけれども、農林水産省といたしましては、引き続き、警察庁はもちろんでありますけれども、都道府県、市町村等とも連携をしながら、この無断伐採の防止に向けて、対策の強化を含めて、どういった形でこれが対応できるのかということを更に深掘りをしながら検討してまいります。


○田村(貴)委員 大切なのはやはり摘発だと思います。違法行為を許さないというかたい決意が行政と警察には求められるというふうに思います。この取組の一層の発展を心から希望して、時間となりました、次の質問を予定していたんですけれども、次は長くなるので、きょうはここで終わりたいというふうに思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。