○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きょうはたくさんの質問が出ているんですけれども、プラスチックごみについて、私の方からも質問をします。
廃プラスチックによる環境汚染が、海洋汚染が深刻な問題になっています。世界のプラスチック生産量は、十年足らずで一億トンもふえて、最近では四億七百トンに上るというふうにも言われています。二〇五〇年には、海の魚の量と海に流入したプラスチック廃棄物の累積数が同じになるだろうとも言われています。
日本のプラスチック廃棄物の量は、アメリカ、中国に次いで第三位であります。単に、スリーR、削減、再使用、そしてリサイクルを促進しましょうと呼びかけるだけではだめであります。期限とそして数値目標を持った取組が大変重要になってきていると思います。
そこで、お伺いします。
ことしの六月、カナダで行われたG7サミットで、海洋プラスチック憲章が採択されました。プラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだこの憲章に対して、日本はアメリカとともに署名を拒否しました。
なぜ、大臣、署名をしなかったんでしょうか。先ほど局長の答弁はお伺いしましたので、中川前大臣の答弁と原田大臣は同じ考えかというところも含めてお答えいただきたいと思います。
○原田国務大臣 この海洋プラスチックごみによる汚染が、人類の責任として防止しなければならない、こういうことについては、私ども、かたく決意しておるところであります。G7のような先進国のみならず、プラスチックごみを多く排出する途上国も含めた世界全体の取組が不可欠である、こういうふうに思っているところであります。
G7サミットで議論された憲章につきましては、そうした観点から、全世界がトータルで同じ意識で取り組むべきだという意味では、途上国を含めた多くの国々が参加可能で実効性のある枠組みを目指すべきだという観点から、参加を見送ったわけでございます。
他方で、我が国は、スリーRの考え方に基づき、国内の法制度を整え、技術を磨き、循環型社会を築いてきました。今後策定する資源循環戦略におきまして、海洋プラスチックの憲章を包含し、それを乗り越える、そういうような先進的な対策を考えております。現在、その手続も進めているところでございます。
同時に、重要なことは、我が国のこのような経験と技術を、アジアの近隣国を始め世界各国と共有することであります。廃棄物処理インフラの導入支援など、実効性のある国際協力を推進し、海洋の汚染防止という目的の実現に向けた国際的取組を主導していきたい、こういうふうに考えております。
○田村(貴)委員 原田大臣、確認なんですけれども、中川前大臣は、G7のプラスチック憲章について、同憲章が目指す方向性を共有しつつもというふうに言われたんですよね。共有しつつというところは一緒でよろしいんでしょうか。
○原田国務大臣 それはもう、当然それを含み、かつ、それを乗り越える、それぞれの分野について乗り越えることを私どもの資源戦略の中で考えておるところであります。
○田村(貴)委員 環境省は、十月の十九日、プラスチック資源循環戦略の素案を中央環境審議会小委員会に提示しました。プラスチック資源循環戦略は、海洋プラスチック憲章の目標に照らして、どういう位置づけにあるんでしょうか。
○山本政府参考人 お尋ねがありました、海洋プラスチック憲章と、今、プラスチック資源循環戦略案の内容で比較したものでございますが、まず、海洋プラスチック憲章にない我が国独自のものといたしまして、二つの項目を設定しております。具体的には、リデュース、排出抑制、それからバイオマスプラスチックの導入、こちらの二項目は、海洋プラスチック憲章にはない項目として設定をしております。
また、憲章に掲げております期限の前倒しあるいは数値の上乗せについては、四つの項目を設定しております。具体的には、プラスチック容器包装や製品をデザインとしてまずリユース、リサイクル可能なものにするという点。それから、実際の容器包装のリユースやリサイクルの点。それから、熱回収を含めた資源有効利用という点。それから、再生材、いわゆるリサイクル素材を利用する。この四項目については期限の前倒しなり数値の上乗せをしてございます。
このような形で、海洋プラスチック憲章の目標に対して、基本的にそれを上回る野心的なマイルストーンを設定しているところでございます。
○田村(貴)委員 憲章を上回る野心的な目標というふうに言われました。
そこで、お尋ねをしていきたいというふうに思うんですけれども、G7憲章では、二〇三〇年までに一〇〇%のプラスチックがリユース、リサイクル、又は有効な選択肢がない場合は回収可能となるよう産業界と協力するとあります。一方で、日本の循環戦略では、政府、地方自治体始め国民各界各層の理解と連携、協働の促進により、二〇三〇年までにプラスチックの再生利用の倍増を目指すというふうにあるわけであります。
なぜG7憲章のように一〇〇%としないんでしょうか。もう一つ、なぜ産業界に日本政府は協力を求めないという案になっているんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
一つは、プラスチック資源循環戦略案、この検討に当たりましては、現在中央環境審議会で行っておりますが、こちら、産業界の代表にも入っていただいて、もちろん産業界の御協力を得ながらしっかりやっていくと。特に、今回、野心的な目標、マイルストーンを達成していくためには、使う側、特に国民の意識の改革、ライフスタイルを変えるということも含めて重要でございますので、産業界の協力はもちろんのこと、それを全体としてしっかりと、国民各界各層を含めた取組としてマイルストーンを達成するということを掲げているというところでございます。
それから、一〇〇%というところにつきましては、こちらは、リサイクルの処理に関しましては、プラスチック資源循環戦略の案の中でも、二〇三〇年までにはプラスチック容器包装の六割をリサイクル、リユース、そして二〇三五年までには使用済みプラスチックを熱回収を含めて一〇〇%有効利用するというような目標を掲げておるところでございます。
○田村(貴)委員 原田大臣、今局長の方から、小委員会には産業界も出席していて、もちろん協力を求めていくと言われました。
この問題を考えるときに、やはり、プラスチックの製造をふやしていったんだったら、現状維持だったら解決できないということですよ。削減しないとまずいけないんですよね。削減するに当たっては、製造元、産業界にこのことをしっかりと協力を求めて要請していく。
私は、今そういう立場だったんだったら、この戦略が成案となるときには、産業界にもしっかりと要請していくという一文が入って当然だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○原田国務大臣 田村委員のおっしゃるとおりだと思います。
当然、プラスチックというのは、まずは、極めて私ども人類にとって有用な資源、また物でございます。当然のことながら、現在、それをつくっている方、流通している方、そして小売で販売している方、そして当然のことながらそれを使用している側、ですから、おっしゃるようにたくさんの関係者がおりますから、最終的には、当然そういう生産者、流通業者にも、またあわせて消費者の皆さんにもしっかりとこの流れが理解していただけるように、当然のことながら調整していかなきゃいけない、こう思っております。
○田村(貴)委員 回収、管理システムについて、プラスチック憲章では、産業界及び中央政府、地方自治体の協力のもととし、政府や企業の責任を明確にしています。一方、プラスチック資源循環戦略、日本政府の方は、国民各界各層との連携、協働によりというふうにしているわけでありますので、ここはちゃんと言葉を明確にされていった方がいいかというふうに思います。
資料をお配りしています。配付資料は、日本の廃プラスチックの処理状況をグラフにしたものであります。
改めてグラフにして私もびっくりしたんですけれども、やはり総量も多いし、その処理方法についてもたくさんの問題が現状ではあるな、ここを解決せずして海洋プラスチックごみの解決はできないというふうに感じたところであります。
まず、熱回収についてお伺いいたします。
プラスチック資源循環戦略で、熱回収というのは含まれているのでしょうか。
○山本政府参考人 御指摘の熱回収につきましては、有効利用の中に含まれてございます。
○田村(貴)委員 一方、G7のプラスチック憲章には、熱回収と書かれたところはあるんでしょうか。
○山本政府参考人 先ほど御指摘のありました、特に製品デザインのところで、一〇〇%のプラスチックが再使用可能、リサイクル可能又は実行可能な云々というところに、熱回収可能となるようということで、熱回収についての引用がございます。
それから、リサイクル、処理のところでは、二〇四〇年までには全てのプラスチックを一〇〇%熱回収するというようなことが憲章の中にはございます。
○田村(貴)委員 最終的な手段として熱回収を利用するのか、はなから熱回収に依存していくのか、この違いが今やはり問われているというふうに思います。
G7の憲章には熱回収というふうには書かれていない。これは識者の見立てであります。
原田大臣、率直に感想をお聞かせいただきたいと私は思うんです、難しいことは言いません。日本のプラごみの発生量は、二〇一六年で約九百万トン、ここでは八百九十九万トンと記しています。実に、その五七%、この赤い部分でありますけれども、これを熱回収、サーマルリサイクルに頼っているわけであります。
資源循環戦略では、八四%、この下の表の上のマテリアルリサイクル、再生利用の六%から、下のサーマルリサイクル、熱回収、一七、三一、九と書いていますけれども、ここの部分、八四%として有効利用としているわけであります。じゃ、これは果たして有効利用と言えるのか。
きのうもWWFジャパン主催の海洋プラスチック問題の緊急会合というのが院内で開かれ、私も参加をさせていただいたんですけれども、それは違うよねというふうに、多くの市民、国民の方がやはり疑問を持っているわけなんです。この熱回収にメスを入れないといけないというふうに思います。
欧州では、サーマルリサイクル、熱回収をリサイクルとはみなしておりません。プラスチック憲章の方向性と、大臣、共有するのであれば、やはり数値目標を持って熱回収を、このグラフ、もう半数を超えていますね、これをやはり減らすという方向にかじを切っていくことが当然だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○原田国務大臣 熱回収というのは、燃やして、ただその熱を無駄にしないということでございます。お話のように、どういうプロポーション、あれを目指すかというのはこれから大事なところでございます。
中環審の中間整理いただきましたこの間の循環戦略でも、循環型社会形成推進基本法に基づき、基本原則においてスリーRを徹底した上で、熱回収によるエネルギー利用を図るということとされております。要は、熱回収というのは、スリーRできない場合の次善の手段であるという認識は私どもしっかり持っておかなきゃいけないな、こう思っております。
○田村(貴)委員 ここにしっかり切り込んでいっていただきたいというふうに思います。
まず、この熱回収は、地球温暖化の対策にも逆行します。環境審の小委員会では、サーマルリサイクルは二酸化炭素を排出するため安易に焼却しないように明示すべきだ、こういう意見が相次いだそうではありませんか。この熱回収に頼ってふやしていくことは、温暖化に逆行しますよね。ここは確認したいと思います。いかがですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、化石資源を原料とするプラスチックを焼却することで、温室効果ガスである二酸化炭素が排出されるということは事実でございます。このため、資源循環戦略案については、まずはスリーRを徹底する、その上で、単純に焼却するのではなく、熱回収により有効にすることを基本的な考え方としております。
さらに、可燃ごみ用の指定収集袋など、一義的に燃やさざるを得ないプラスチックについては、カーボンニュートラルである、追加的にCO2を排出しない植物由来のバイオマスプラスチックを最大限使用して、かつ確実に熱回収する、こういったことも位置づけているところでございます。
○田村(貴)委員 そこで、戦略にある、リデュース、二五%減の目標について質問します。
リデュース、削減について、戦略では、今後の展開として二五%排出抑制を目指すとしています。二五%を減らすというんですけれども、いつを基準年として目指すのか、そして、この削減に向けた取組について質問したいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
資源循環戦略案で盛り込まれたマイルストーンの中ででございますが、特に使い捨てプラスチックのリデュースの問題につきましては、取組が古くから行われているようなレジ袋、あるいは最近話題になっているプラスチック製ストローまで、幅広い関係主体が排出抑制の努力を行っている。このワンウエー、使用済みのもの、使い捨てのものを、すべからく全体を捉まえた指標ということでありますので、こうした関係者の時点の違う努力を適正に評価する観点からも、一律の基準年を設定することはなじまないと考えてございます。
○田村(貴)委員 製造者等々に任せていてはやはりいけないというふうに思いますよ。基準年がないというのは、この達成についても曖昧であるということをみずから認めているわけであります。二五%の根拠がないと言われても仕方がない話ですから、いろいろな考え方があるでしょう、しかし、基準年というのはしっかりと明示すべきであることを申し上げておきたいと思います。
それから、もう一つ。このグラフに戻るんですけれども、先ほども輸出の話が議論されておりました。日本は多くを輸出で処理することに頼っています。その多くは中国でありました。その中国が輸入を取りやめました。日本の廃プラは東南アジアに回りました。それも規制されてまいりました。
お伺いしたいのは、もう輸出依存ではだめだよね、輸出に頼れない現状がある、この輸出依存から、国内でしっかりと処理をしていく方向にかじを切らねばいかないという次元に立っていますが、その認識はございますか。
○山本政府参考人 プラスチックの輸出に関しましては、今委員御指摘のとおりのような状況だと考えております。
ということを受けまして、国内体制を、国内で処理、リサイクルできるという体制をしっかり整備するということが重要と考えておりまして、先ほど答弁申し上げましたように、そのための支援のための予算も確保して、さまざま国内体制の整備のための施策に取り組んでまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 中国等が輸入を打ち切ったということに対して、日本の自治体は影響がないかと環境省の方が調査をされた。そのアンケートの回答が出ているんですけれども、回答の四分の一の自治体で廃プラが増加している、そして、五つの自治体では処理業者が保管できる上限を超えている、こういう状況が生まれていますよね。こうしたところに対する支援等も含めて、対策を今から講じていかれますね、いかれますね。はい、確認しました。
いろいろと申し上げてきましたけれども、大事なのは、やはり発生源、生産というのを抑制して削減していく。そうしないと、ごみの量はふえる一方であります。もう一つは、輸出をしない、自国で完結する。そして、海に流さない方法をしっかり持っていく。そして、焼却手段というのは最終手段とする。日本の技術があったらできるというところをぜひ聞かせていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣に再度お尋ねしたいのは、減らせないものは再利用、やるべきことはまず削減、そして、燃やすことは最後の手段とすべきでというふうに私は考えております。
循環の戦略案が今出されて、そして、いろいろな御意見を今聞いているというふうにお伺いしましたけれども、政府の戦略案に対する私の提案は以上でございます。生産を削減する、廃プラを輸出していかない、焼却は最終手段とする位置づけを、この環境省が今提起をしているプラスチック資源循環戦略、この成案に当たってぜひ取り入れていただきたい。また、それをしなければこの問題は解決していかないというふうに思っております。大臣、いかがでしょうか。
○原田国務大臣 田村委員御指摘のとおり、今の優先順位はそのとおりだろうと私は思っております。循環戦略案におきましても、スリーRの優先順位につきまして、まず、無駄に使われる資源を徹底的に減らす、リデュースであります、第二に再生材や再生可能資源に適切に切りかえた上で、第三にリサイクル等の循環利用を図るということでありまして、その上で、エネルギー利用を含めた有効利用を図るということにしております。
先ほど申し上げましたように、焼却等、熱回収等は、スリーRが尽きたときにやむを得ずやるというようなぐらいの認識が必要ではないか、こう思っております。
○田村(貴)委員 大臣の決意を聞かせていただきました。確認もさせていただきました。
ぜひ、環境省ですから、産業界に遠慮されることなく、また、燃焼処理技術を海外に輸出する、これもとんでもない話でありますね、そうしたこともやめるという方向性で取り組んでいただきたいというふうに思います。
残りの時間で、この機会にカネミ油症対策について質問をしたいというふうに思います。
カネミ油症、私、北九州であります。福岡、長崎等々で、カネミ油症患者さん、そして被害者の方が長く苦しんでおられます。発症からことしで五十年であります。今なお、多くの症状で、患者さんが、そしてその子供さんが苦しんでおられる、このことについての国の受けとめというのは、今どうでしょうか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
カネミ油症事件は、昭和四十三年十月に、カネミ倉庫が製造した米ぬか油の中に化学物質PCB類が混入したことによって発生した食中毒事件でございまして、委員御指摘のとおり、本年で発生から五十周年になるものでございます。
厚生労働省といたしましては、平成二十四年に議員立法として成立いたしましたカネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律、いわゆるカネミ油症総合支援法に基づきまして、カネミ油症の診断や治療法の確立のため、認定患者に対する健康実態調査、カネミ油症研究班による診断、治療の調査研究の支援等を行っているところでございます。
厚生労働省としては、引き続き、カネミ油症の被害に遭われた患者の皆様方の支援に関する施策の実施に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○田村(貴)委員 厚生労働省から資料もいただきました。
私もやはり、今もって驚くのは、五十年たっても、自分は患者として認められない、補償が受けられないから救済してほしいと願う人がおられるわけですよね。
検診を受診する方が、六年間の資料をもらっていますけれども、平成二十四年度からいいますと、二百五十二人、百四十八人、百四十七人、百十五人、百三十三人、百二十三人が検診を受けて、救済を求めておられます。この結果、認定された方はどれほどおられるのか。六年間の合計で、検診を受けた方が九百十八人、うち認定を受けた方が三十六人、率にして三・九%。なかなか敷居が高いんですよ、被害認定を受けるまでに。
なぜこんなに厳しいかというと、やはり血液中の成分、この検査にこだわる余りだということであります。
一方で、今お答えになったように、カネミ油症患者に関する総合的な推進に関する法律、この中で、当時、カネミ油を食べた、ライスオイルを食した、そういう方と同居していた家族に対する認定制度というのがあるわけですね。これを見ますと、六年間で三百二十二人の方が同居家族認定の申請をしている、このうち認定とされたのは三百二十人。ほぼ認定されるわけですよ。
ここの中でお伺いしたいのは、この同居の家族認定というのは、PCDF血液濃度も加味して判定されているんでしょうか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
認定の状況につきましては、委員御指摘のとおりでございます。
同居家族認定につきましては、診断基準の追補によりまして、「油症発生当時に、油症患者と同居し、カネミ倉庫製の、PCB等が混入していた当時の米ぬか油を摂取した者で、現在、心身の症状を有し、治療その他の健康管理を継続的に要する場合には、油症患者とみなす。」こととされているものでございます。
このため、同居家族認定に当たりましては、血中のダイオキシン類濃度につきましては特段の条件とはされていないところでございます。
○田村(貴)委員 まさに、ここはやはり行政と政治の判断でそうなってきたんだろうというふうに思いますよ。
一つ言えるのは、今お答えあったように、九州の福岡、長崎、それから西日本各地に、カネミのライスオイル、油が出回った、それで、その地域にその当時いた、そして油を食べたという方が認められるんだったら、その家族が認められるんだったら、家族と言わないでも、その地域にいた、油を食べたというのであって、そして心身のいろいろな支障を訴えられる方がおったら、これはあまねくやはり救済すべきではないかなというふうに思うんですけれども、そこはなぜできないんでしょうか。その家族とその患者さんはいいんだけれども、同じように、例えばお隣に暮らしていて、あるいはその地域で暮らしていて、間違いなくその当時油を食べた、油で調理したものを摂取したという方がおられたら、そういう今の判断基準で認めてもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省といたしましては、カネミ油症患者の認定につきましては、診断基準を踏まえて、症状、所見と摂取した米ぬか油との間に科学的関係が明らかになることが原則であると考えているところでございます。
カネミ油症の診断基準につきましては、最新の科学的知見やカネミ油症総合支援法に基づく同居家族への特別な配慮などを踏まえて、昭和四十三年の策定以降、これまで五回の見直しが行われているところでございます。
現在の診断基準を超えて認定を行うということは困難であると考えているところではありますが、いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、引き続き、カネミ油症総合支援法に基づきまして、認定患者に対する健康実態調査、油症治療研究班によります診断、治療の調査研究の支援に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○田村(貴)委員 時間がなくなってまいりました。この問題は、また別の機会に質問させていただきたいと思います。
五十年たっても、被害を訴え、救済を多くの被害者の方が求めておられます。そして、現に血液濃度によらない救済方法もあるんだったら、あまねく救済すべきだというふうに私は考えます。
患者の救済には政治判断が必要であります。認定基準が本当に厳しい。この基準を変えるべきであります。五十年の節目に、全ての被害者、患者の救済に政府として踏み切ることを求めて、きょうの質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。