197-衆-農林水産委員会-11号 平成30年12月05日 除草剤2・4・5Tの埋設問題について質問 田村貴昭

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
除草剤2・4・5Tの埋設問題について質問をします。
ベトナム戦争で米軍が使用した枯れ葉剤の成分2・4・5Tが、日本の全国の山林等に埋められています。2・4・5Tは、日本において、一九七一年に使用中止になるまで、除草剤として広く使われてきました。林野庁は、同年十一月五日、2・4・5Tを地中に埋設するよう、全国の営林局長に通知しました。
資料をお配りしています。二枚目に一覧表があります。林野庁の資料によれば、2・4・5T除草剤は、五十四カ所で地中に埋設されました。うち、民地だった八カ所は撤去されましたが、現在に至るも、全国四十六カ所に埋設されています。その量は、撤去分を差し引いて、液体状乳剤が千四百四十五・五リットル、固形状粒剤が二万四千六百八十六キログラムとされています。
繰り返しの説明は要りません。林野庁、間違いありませんか。


○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
現時点における埋設箇所は四十六カ所でございまして、埋設量につきましては、御指摘のとおり、乳剤については一千四百四十五・五リットル、粒剤につきましては二万四千六百八十六キログラムでございます。


○田村(貴)委員 2・4・5Tは、合成過程でダイオキシンを生成します。ベトナム戦争では、猛毒ダイオキシンによって二重胎児、奇形、無脳症などの出産異常を引き起こしたことは記憶に新しいところであります。
環境省にお伺いいたします。
このような埋設2・4・5Tをダイオキシンを出さずに処理するためには、無害化するためには、どういうやり方があるんでしょうか。


○松澤政府参考人 2・4・5T剤及びそれに含有されるダイオキシン類につきましては、千百度前後の高温で焼却する方式、あるいは千三百度前後で溶融をする方式、こういった方法によって分解することができると、専門家に確認をさせていただいております。


○田村(貴)委員 今のやり方でいうと、溶融で無害化していくやり方があると。そういう施設が国内にあるというふうにも伺っております。
全国四十六カ所に埋設されている2・4・5Tは、七一年の林野庁長官通知で指示されているように、コンクリートで固められ埋設されているんでしょうか。写真など、それを証明するものはありますか。


○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
2・4・5T除草剤につきましては、御指摘ございましたように、基本的にはセメント等と混合した形でコンクリート塊として埋設したところでございますけれども、一部につきましては、コンクリートの容器に密閉するなどの形で埋設しているものもあるところでございます。
埋設方法につきましては、写真等は撮っていないところでございますけれども、昭和五十九年時点で埋設に携わった職員等に聞き取り調査を実施をいたしまして確認をしたところでございます。


○田村(貴)委員 さあ、どういう形状で入っているかがわからないんですよね。実際にはずさんな埋設が行われていました。愛媛県宇和島市、当時津島町でしょうか、ここの山では、缶に入った枯れ葉剤をビニール袋で包んだだけで放置されていたためにダイオキシンが大量に流出し、大問題となりました。これは一九八四年のことであります。
先日、佐賀県の吉野ケ里町の埋設地に行ってまいりました。福岡と佐賀の県境近くの国有林であります。九州自然歩道の坂本峠付近の山の上にあるんですけれども、市街地から車ですぐに行けるところにあります。
資料の一ページ、写真をお配りしています。
どこでも、この2・4・5Tの埋設地には、このような看板があるわけです。これはちょっとびっくりしますね。この囲いの中には2・4・5T剤を埋没してありますので囲いの中の立入りや土砂等の採取をしないでください、この表示、驚きました。ここに猛毒がありますよと教えてやっているようなものじゃないですか。
掘って取り出されたら、これはどうするんですか、林野庁。


○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
この2・4・5Tの除草剤につきましては、御指摘ございましたように、昭和四十六年に埋設をしたところでございます。その後、これも御指摘ございましたように、昭和五十九年でございますけれども、専門家による検討会を設置いたしまして、その後も、平成元年、六年、十一年と継続して埋設処理に関する検討を行った結果といたしまして、検討委員会の最終判断でございますけれども、埋設箇所におきまして、周辺部の土壌調査の結果、埋設除草剤に含まれているダイオキシンが地域住民生活へ及ぼす影響がないということが確認されますとともに、埋設箇所の立入り及び土壌攪乱行為の禁止措置等を引き続き実施をして、適切に保全していくことというような報告がなされたところでございます。
このことを受けまして、農林水産省といたしましては、現在、埋設箇所におきまして、御指摘ございましたように、周囲を柵等で囲みまして、立入禁止の標識を設置しております。また、年二回の定期的な点検、また、豪雨のときなどにつきましては臨時点検を行うということによりまして、適切な保全管理に努めているところでございます。
したがいまして、現在のところでは、地中で安定した状態のまま保全管理しているということが適切であると考えているところでございます。


○田村(貴)委員 いや、私が聞いたのは、これをとって、掘って持っていったらどうするのかと聞いているんですよ。これは、フェンスがあるでしょう。これは、人の背丈の高さもないですよ。簡単に中に入れますよ。
そして、七一年当時のコンクリート塊で埋めるのは、数メートルも掘っているんじゃないですよ、一メートルぐらいでしょう。だから、簡単に、とろうと思ったら、これはとれるんですよ。これはどうするんですか、とられたら。


○牧元政府参考人 この吉野ケ里の地区につきましては、コンクリートの塊がどういう形状で埋められているかといいますと、これは、二メートル四方かつ高さも二メートルという、非常に大きなコンクリートの塊の状態で埋められているものでございまして、今御指摘のような形で簡単に持ち去るということはできないものと承知をしております。


○田村(貴)委員 その形状を、写真もないわけですよ、実際に見たというその記録もないわけなんですよ。今に伝わるものがないんですよ。だから、周辺住民の人も自治体も心配しているんです。
資料の三枚目、ごらんいただきたいと思います。
福岡市、今は市になりましたけれども、那珂川町、福岡地区と春日那珂川水道企業団が要望書を毎年林野庁に提出していますよね。水道水源に近いところから、「重大な関心を抱いている」というふうに表記されています。
そして、ここが大事なところですよ。「数十年に一度発生すると言われている記録的な豪雨が全国各地で多発している状況であり、当該埋設箇所におきましても今後、想定外の事象が発生することが予想されます。」「水源汚染に対する不安を払拭するために、埋設物の安全対策の徹底や、埋設除草剤の移設又は無害化処理していただくことを要望いたします。」と書いてあるわけですよ。
自治体が抜本的な解決を要請しているではありませんか。何で四十年間こういう状況を放置しているんですか。


○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
仮にこの埋設処理をいたしました2・4・5T除草剤を掘削して処理をしようとした場合には、コンクリートの破損等によりまして、2・4・5Tあるいはダイオキシンが飛散をするというリスクがあるところでございます。
そのようなリスクを考えますと、現時点におきましては、地中で安定した状態のまま保全管理することが適切であると考えているところでございます。


○田村(貴)委員 今、私が読み上げたでしょう。未曽有の災害が起こっておるんですよ。熊本地震で地割れが起こった、山崩れがあった。吉川大臣、北海道の厚真の山もすごかったですよね。想定外の災害が起こって、山崩れとか地割れとかこういう現象が起こったときに、コンクリートは壊れるじゃないですか。そういうことを聞いているんですよ。だから、今日の時点に立ってこれは解決しなければいけない問題なんですよ。
先ほど林野庁は、半年に一遍調査とか言われましたね。しかし、福岡県知事が県議会で答弁しているんですけれども、月二回点検を行っている。心配だから月二回に変わっているんでしょう。もうちょっと事態を深刻に受けとめた方がいいんじゃないですか。
小里副大臣、資料の写真をごらんいただきたいんですけれども。一枚目であります。この一番大きな看板は、副大臣の地元の鹿児島県湧水町の写真でございます。ここは、幅七メートルから八メートル、長さが二百五十メートルから三百メートルのエリアの中のどこかに埋設しているということなんですよ。非常に曖昧な埋設であります。
そして、鹿児島県全体では、小里副大臣、この表にもありますように、五つの自治体に六カ所、しかも、自然遺産の屋久島には三千八百二十五キログラムが埋められているということです。九州はとりわけ多くて、九州の議員の皆さん、物すごく多いんです、十九カ所埋設されています。
副大臣、私、行ってみて大変心配になりました。どう受けとめておられるでしょうか。災害リスク一つとっても、この先、このままの状態ではよくないというふうに考えますけれども、副大臣、いかがでしょうか。


○小里副大臣 埋設状況につきましては、改めて今認識をしたところでございます。
一方で、説明にありましたとおり、この検討委員会の見解に基づきまして、周辺を柵等で囲んで標識を立てる、あるいは年二回の定期的な点検、豪雨時等の臨時点検を行うなど、保全管理に努めているところであります。
また、御指摘をいただいて環境省が答えましたように、高温焼却などによる方法はあるということでありますけれども、ただ、その前にどうしても掘り起こさないといけないわけであります。この掘削にリスクがあるということでありまして、そういった中で、安定した状態のまま保全管理することが適切であると現段階での考えに至っているわけであります。


○田村(貴)委員 私は安全でないと思いますので、ぜひ今からしっかり検討して対応を進めていただきたいと思います。
環境省勝俣政務官においでいただいております。
先ほど私が説明しました佐賀の吉野ケ里の埋設地は、九州自然歩道沿いにあるわけであります。この自然歩道というのは、環境省が計画、整備して広く国民に利用を呼びかけているところであります。自然保護に対する理解を深める場で環境への影響が懸念されているわけであります。
環境省の直接の管轄でないかもわかりませんが、これは農水省と一緒に、今後、調査とそれから対策に当たっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○勝俣大臣政務官 御質問のありました吉野ケ里の埋設地につきましては、基本的に、埋設箇所の土地所有者であります農水省が調査、対策に当たるものと認識をしております。
また、先生御指摘の九州自然歩道の環境影響という観点でございますが、この歩道は環境省で路線計画を策定しておりますが、一般的に、国立公園を除く区間については、整備とその後の維持管理を各県等が実施しているところでございます。
今般御指摘の埋設地近辺の区間につきましては、基本的には佐賀県となっております。このため、九州自然歩道の環境影響の対応につきましては、佐賀県において適切に対処されているものと考えております。


○田村(貴)委員 私、きょうで議論は終わらせたくなくて、また今後もこのことはしっかりと追及していきたいと思っていますけれども。
一ページ、右上の写真をごらんいただきたいと思います。フェンスの中の、ササの葉とかあるんですけれども、ここの埋設地で茂っている木と隣の木の生育の度合いが違うんですよね。この問題を研究されている方がいみじくもおっしゃっているんですけれども、埋設地の木々の成長がとまっている、あるいは枯れている、こういった状況にあるわけなんです。見て、ごらんのとおりであります。
地震や大雨による地割れ、崖崩れ、これは後を絶たないわけです。今日的な問題なんですよ。ダイオキシンを発生させないための技術と処理方法もあるということであります。災害から猛毒物質を漏出させないためにも、やはり抜本的な対策が必要になってくると思います。
最後、吉川大臣、お話を聞いていただきました。いかがでしょうか。


○吉川国務大臣 さまざまな御指摘を頂戴いたしました。安全性の確保の観点に立ちまして、技術の進展も注視しながら、環境省とも引き続き相談をしながら、適切な管理を図ってまいらなければならないと存じます。


○田村(貴)委員 時間が参りました。まずは、どういう形状で埋設されているのかを確認し、そして安全性を更に確認し、そして無害化処理を今日的な方法で行うことを強く求めて、質問を終わります。