197-衆-災害対策特別委員会-3号 平成30年12月06日 災害復興 住宅再建の問題について質問 田村貴昭

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
ことしは災害が相次いでいます。北陸などの大雪被害、そして大阪北部地震、西日本豪雨水害、北海道胆振東部地震、台風二十一号、二十四号など、連続して大きな災害が発生しています。被災者の方は、避難所で、そして仮設住宅の中で大変な努力と苦労をされています。そして今、被災者生活支援制度というのは、大きな問題と矛盾も抱えています。その改善は喫緊の課題であります。
まず、住宅再建の問題についてお伺いしたいと思います。
被災者生活再建支援法というのは、災害のたびに被災者や被災自治体からその改善を求められてまいりました。十一月九日に、全国知事会が被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言を出しました。お手元に資料をお配りしています。一枚目であります。「被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること。」四項目、大きく述べられています。
まず、内閣府にお尋ねします。
この全国知事会の提言を受けて、内閣府としては実務的にはどういう対応をされていくんでしょうか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の被災者生活再建支援制度でございますが、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合、全壊や大規模半壊などの重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助と国の財政支援により支援金を支給するものでございます。
先月、全国知事会から、この制度について、支給対象の半壊までの拡大、基金の追加拠出に当たっての財政措置等について御提言をいただいたところでございます。
支給対象の半壊までの拡大や適用地域の拡大等については、過去の災害の被災者との公平性や、国、都道府県の財政負担等の課題もありますが、全国知事会との間で、提言の趣旨や考え方を伺うとともに、現在、意見交換を行っているところでございます。


○田村(貴)委員 ぜひ実りのある意見交換を行っていただきたい、そして知事会の要請に応えていただきたいと思います。
各論に入る前に、山本大臣、知事会の提言というのは、やはり被災者、被災自治体からの要求から始まったものであり、非常に重たいものがあると思います。大臣の受けとめ、中身はいいです、受けとめ、どうでしょうか。


○山本国務大臣 おっしゃるように、全国知事会のもとに設けられた見直し検討ワーキンググループで検討結果の報告があって、先月の全国知事会で決議されたというふうに聞き及んでおりまして、その後、私の方にも大勢の知事さんがお越しになられて、そのことについての要望をされておるところでございます。
安倍総理の方から、内閣府でしっかりと協議をしろというような指示をいただき、これは御案内のとおりでございますけれども、支給対象の半壊世帯への拡充や適用地域の拡大については、国や都道府県の財政負担、基金を積みますから、その課題もございますけれども、そういった経緯がございますので、我が方といたしましても、全国知事会としっかりと意見交換を重ねていきたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員 それで、支援法の半壊への適用拡大の件なんですけれども、知事会の被災者生活再建支援制度の見直し検討結果報告、ここには、半壊世帯の損害を算出すると一千万円程度の損害が発生している状況にある、データに制約があるものの、少なくとも二百万円から三百万円の修繕費等がかかっている実態があるというふうに述べられています。
半壊世帯は生活基盤に著しい被害を受けているということでありますけれども、私もいろいろな災害を見てきましたけれども、半壊世帯の負担というのは非常に重いものがあります。政府もそういう認識に立っておられるでしょうか。海堀総括官、いかがですか。


○海堀政府参考人 現在、知事会と意見交換をする中で、そういったデータについて十分意見交換をさせていただいて、今後、その内容について検討していきたいというふうに思っているところでございます。


○田村(貴)委員 お尋ねしたのは、著しい被害を受けている、経済的損失を抱えているということなんですけれども、後でまたおっしゃってください。
数百万円のやはり負担が生じていくわけですよ。例えば、地震で瓦が落ちた。瓦全部をやりかえないといけないわけなんです。ですから、熊本地震でも、一部損壊の家でも、私が回って行ったら、二百万、三百万円かかるといったところはざらでありました。
実際、半壊世帯というのは住めなくなった被災者も多いわけでありまして、これは東日本大震災でもその後の災害でも、半壊の涙というのが被災地でささやかれ、そして広がってきたということであります。
大臣、総括官にも聞いたんですけれども、やはり経済的な負担は非常に重いものがある、ここは思い切って支援法の見直しにかじを切っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


○山本国務大臣 被災者生活再建支援制度というのは、これは御案内のとおり、一定の規模以上の自然災害が発生した場合に、都道府県との相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するというようなものでございまして、この規模に達した場合と達しない場合とで若干差が出てくるというのも悩ましいところでございます。
しかしながら、その規模に達しない場合でも、地方公共団体の判断で、必要に応じて支援を行うということができるわけでございまして、そういった観点から、例えば、都道府県が条例で支援法と同様の支援を行えば、支給額の二分の一を特別交付税で措置するというふうにしているところももう既に十八府県数えているところでございますから、そういった意味において、国と地方公共団体、適切な役割分担のもとに、被災者の生活再建を支援してまいりたい。
今現在、海堀さんもおっしゃったように、国とそれから自治体、知事会議とでしっかりとした議論を進めている最中でございますので、そのことをしっかり重く受けとめていきたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員 前向きな協議を要請したいと思います。
それから、大臣が言われた地方自治体の交付税措置については、これは後で申しますけれども、その自治体によってばらばらであります。適用もいろいろあります。そうした問題もあります。
続いて、知事会の提言の中には、一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象にするということを求めているわけであります。
そこで、大阪地震の例を出したいと思うんですけれども、大阪北部地震での全壊被害、茨木市は三棟、豊中市は三棟、枚方市は一棟、全壊世帯がありながら、対象とはならなかったわけであります。高槻市は、十一棟があって対象となっているわけであります。
同じ地域の同じ災害でありながら、支援法が適用される自治体とされない自治体がある、これははっきり言って不平等じゃないですか。災害の規模によるのではなくて住家の損壊に対して平等に行われる、これがあるべき姿と思うわけでありますけれども、内閣府、いかがでしょうか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
ここも国と地方の役割分担の話でございます。
一定規模以上の被害、全壊被害が今十戸との基準を設けさせていただいていますが、それを超えた場合には、都道府県の相互扶助と国による財政支援による支援金を支給する、それ未満の場合には、各地方公共団体で、これは先ほど先生がいろいろなケースがあるというふうなお話ありましたが、その都道府県の条例で支援をしていただければ国の方で一定額の交付税を措置するということで、役割分担を行って、現在は対応しているところでございます。


○田村(貴)委員 その役割分担も公平じゃないんですよ、平等じゃないんですよ。
それで、高槻市の全壊世帯というのは、支援法で最大三百万円ですよね、全壊ですから。そして、大阪府からの義援金、全壊では百万円というふうになっています。ですから、たてつけ上は全壊世帯は四百万円なんですよ。でも、お隣の自治体では、義援金の百万円どまりなんですよ。これが現実なんですよ。この格差が大阪府としては問題だとして、この改善を今やろうとしているわけです。この不平等感が住民、被災者に広がっていることは問題ではありませんか。
支援法と同じ措置を都道府県がとって、支給額の二分の一程度の交付税措置という話も先ほどありました。
資料の二枚目をごらんいただきたいと思うんです。台風二十四号で大きな被害を受けた鹿児島県、離島に被害も集中しました。これは徳之島の伊仙町の被災家屋であります。強風で屋根がこれだけ吹き飛ばされました。被災判定は全壊であります。全壊判定でありますけれども、支援法の適用はないわけなんですよね。
資料の三枚目をごらんいただくと、これは内閣府が出していただいた資料なんですけれども、都道府県独自の被災者生活再建支援制度。鹿児島県は三十二番目、県内で支援法が適用された災害に対してこういう制度がありますよと。支援法は適用になっていないんですね。もしなったとしても、全壊世帯への支援額は二十万円と書かれているわけです。自治体によって、やはり、今ある努力をしてもこういう状況にあるということは基本に据えないといけないわけであります。
そこで、この伊仙町の屋根が飛んで全壊被害を受けた方なんですけれども、どうなっているのかということであります。町からの見舞金が五万円、これだけなんですよ。
災害が発生して、家がなくなった、流された、燃えてしまった、そういうときに、自治体と合わせて数百万円の支援が受けられる場合もあれば、何もなくて見舞金しかない、これはやはり不平等じゃないですか。市町村で十世帯以上の全壊がないと支援法の対象にしないといけない、そういう縛りがあるからこういう問題になる。これはやはり見直していく、知事会の言うとおりに変えていかなければならないというふうに私は思うわけであります。
大臣にお伺いしたいと思います。
災害で家を失った人の悲しみ、苦しみというのは、どんな災害であったとしても同じであります。災害が大きくても小さくても、家を失った、家が破損したという方のこの悲しみというのは同じではないかなと思うわけであります。地域によって差がある、災害によって差別される、これはやはりおかしい、変えていかなければいけない、不平等であると思います。
災害規模の大小での線引きはやめて、災害によって住家被害を受けた被災者に対してちゃんと等しく支援することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。


○山本国務大臣 おっしゃるとおり、一市町村において全壊十世帯以上の被害がないと支援対象にならないというところから始まって、いろいろな制約がありますし、また、激甚指定をされたところとされていないところというのでそういう問題が生じているところもございます。
家をなくするということは、それは命をなくすことに次いで本当に苦しい話でありますし、その地域で生きていくということでありますから、ぜひそこでもう一回家を建て直したい、そういう要望はたくさんあると思います。
ただ、これは、もちろん財政負担を伴うことでありますから、全国知事会の方でのお話、要望もございます、今ほどずっと申し上げているとおりでございますけれども、我々としっかり検討をし合って、そして適正な答えが出るべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員 私、今、徳之島の伊仙町の話をしたんですけれども、鹿児島県の直近の住家被害の報告によりますと、伊仙町の全壊は四十棟というふうにカウントされています。内閣府のホームページを見たら、二十四号の支援法はまだ適用になっていませんよね。精査がされているんだかわかりませんけれども、四十とカウントされているんだったら、これはやはり支援法の適用があってしかるべきだというふうに思います。
海堀統括官、検討されているということですよね。何かあれば、どうぞ。


○海堀政府参考人 現在、手元に被害報告がありませんので、地元公共団体、都道府県を通じて、伊仙町の方にも確認をさせていただきたいというふうに思います。


○田村(貴)委員 同一被害同一支援というこの考え方は、ぜひこれから生かしていただかなければいけないと思います。
十一月十一日付西日本新聞、私の地元でありますけれども、全壊支援金に地域差、同一災害なのになぜという記事がありまして、九州各県でも差があることが指摘されているわけであります。
一部損壊への支援についても言及したいと思います。
熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震でも、住宅被害の圧倒的多数は一部損壊でありました。しかし、この一部損壊について、支援策というのはほとんどないという状況であります。
半壊と一部損壊では、修理の自己負担で逆転現象も生じている。応急修理代も出ないわけですよ。そうなると、同じ程度の被害で、一部損壊世帯の方が被災度合いは低いのに自己負担が大きくなるという逆転現象も起きているわけであります。これはやはり何らかの支援が講じられてしかるべきだというふうに思いますけれども、きょうは要望にとどめておきたいというふうに思います。
次に、公費解体、被災家屋の公費解体についてお伺いしたいと思います。
環境省に尋ねます。きょうは環境省菅家政務官にもお越しいただいております。
たびたびこの問題を私は取り上げてまいりました。そして、政務官、前の九州北部水害のときに、伊藤前副大臣が大変このことを気にかけていただいて、動いていただいたということでもあります。そして、半壊世帯への適用をこの間模索されてきて、今私が冒頭申し上げた大きな被害については適用してきたんじゃないかというふうに思っているわけであります。
住むことができずに、そして解体撤去を望まれるというならば、支援法の関係では、これは全壊相当になって、支援が受けられるわけですね。それで、その家をどうするかといったら、全壊は全壊で解体撤去、しかし半壊はそのままということになっちゃうわけなんです。福岡県の朝倉市などでは、こうした状況で取り残されている家というのは結構あるわけなんですね。
北海道のむかわ町、全額支援をすることになりました。厚真町と安平町は半額を補助することになりました。被災自治体、必ずしも財政力が豊かでない、財政規模も小さい、こうした町がやはり被災者をおもんぱかって、解体撤去しなければいけないねと、公費で支出するという措置になった。
この判断について、政府の受けとめはいかがでしょうか。やむにやまれぬ努力、政務官、いかがお考えでしょうか。


○菅家大臣政務官 お答えを申し上げます。
環境省といたしましては、被災した住民の皆様に一日も早く日常生活を取り戻していただけるように、被災市町村の実施した災害廃棄物の収集、運搬及び処分、これに対しましては、災害等廃棄物処理事業費補助金、これによる財政措置を行っているわけでございます。
本補助金は、家屋の解体撤去については、生活環境保全の観点から、明らかに廃棄物と観念できる全壊家屋を補助対象としているわけでございます。
今回、半壊家屋等の解体費用について、北海道の被災自治体が公的支援を行うこととしておりますので、本補助金においても、半壊家屋を解体した場合に発生する廃材の運搬、処理費用については補助の対象にしているわけでございまして、これを支援している現状であります。
環境省といたしましては、このように、現在の補助制度、これを最大限効果的に活用することによりまして、円滑、迅速な処理に向け、必要となる支援を実施してまいりたい、このように考えているところであります。


○田村(貴)委員 災害のたびにこの問題は生じてくるわけなんですよね。
そして、これは被災自治体が、この家はもう所有者の方が住むことができない、そして撤去、解体を求めておられるんだったら、それはやはり、今までの西日本豪雨や、あるいは熊本地震とか、そういった経験を踏まえて、同じように適用していただきたい、このことを強く要望しておきたいというふうに思います。
時間がなくなってまいりましたので、農水についても、農水省、きょうは濱村政務官、お越しいただいております。
まず、政務官に、通告していないんですけれども、災害による農業被害というのは、まず何といっても、被災農家の方が営農意欲を失わないこと、そして離農を生み出さないこと、これが基本であると思うんです。
大臣には農水委員会で私も尋ねてきたんですけれども、まず離農者を出していかない、一人も出さない、この姿勢が求められると思うんですけれども、政務官はいかがお感じでしょうか。


○濱村大臣政務官 お答えいたします。
離農者を出さない、これが非常に重要であるということは、委員の御指摘のとおりでございます。
そのためにも、これまでもそうでしたけれども、農業におきましては、農業共済の仕組みがございます。こうしたものを通じて、離農を出さないということについて、今後も取り組んでまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 わかりました。
そこで、被災者向けの経営体育成支援事業について質問をします。
資料の最後、四ページでありますけれども、これは、私の方で集計いたしました、これまでの大きな災害の中で、被災者向けの経営体育成支援事業が発動されたときの状況であります。これも災害によってばらばらなんですよ。発動したときもあれば、発動していないときもある。
この発動の基準というのは何ですか。簡単に説明していただけますか。


○上田政府参考人 お答え申し上げます。
被災農業者向け経営体育成支援事業は、過去に例のないような甚大な気象災害等が発生し、国として特に緊急に対応する必要がある場合に限って発動することとしております。
発動に当たっての基準となる被害額等は明確に定めてはおりませんが、例えば、委員から今配付されておりますが、ことし、被災農業者向け経営体育成事業を発動した七月豪雨では、事業対象の施設である農業用ハウスの被害額は約百四十四億円、北海道胆振東部地震及び台風二十一号では約二百四十億円となっているところでございます。


○田村(貴)委員 額が決まっていないわけなんですよね。
これをよく見てみますと、例えば、二〇一六年の台風災害というのは、これは五つの災害を一まとめにして発動しているというふうになっているわけであります。少しでも多くの災害を対象にしようとしたところの跡は認められます。
私は、この制度が、被災者の方に、被災農家の方に大変喜ばれて、歓迎された。そして、大雨が降ったというときに、農家の方は、あそこの災害で適用された支援制度がこの災害でも使われるのか、そこを物すごく心配されるんですよね。私たちもたくさんの相談を受けました。
ですから、こうした制度をやはり恒久的な制度にしていっていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、政務官、一人の離農者も出さないといったところの決意、みんなそうだと思うんですよ。
それで、この被災農家の施設復旧に恒常的な施策はないし、被災者向けの経営体育成支援でなければ離農者が出てしまう、こういう状況にあるわけです。ここは政治判断するしかないわけなんですよね。
先ほどの基準というのも、何かあってないような感じなので、被災農家にとってみたら、ハウスが倒壊した、そして次の営農に生かしていきたいといったときには、このメニューが、やはりことごとく当てはめていただく必要があると思うんです。
恒久的な制度とするべきではないかと思いますが、いかがですか。


○濱村大臣政務官 先ほども申し上げたところではありますけれども、まずは、自然災害における農業用ハウス等の被害につきましては、農業共済等の農業保険で対応していくことが基本、大前提であろうというふうに思っております。
いわばこの共済自体が恒常的な仕組みと言えるとも考えておるわけでございますが、しかしながら、このたびのような災害の場合には、過去に例のない甚大な災害の発生もあることから、農水省といたしまして、それぞれの災害の被害状況等を踏まえて、個別の災害ごとに具体的な支援内容を決定してきているところでございます。
災害への備えに対するこれまでの農業者の努力を損なわないことも大変重要でございますし、そしてまた、自然災害に対する支援対策については、恒常的な制度を措置するということよりも、個別の災害ごとに措置する方が望ましい、このように考えているところでございます。


○田村(貴)委員 きょうはいろいろな質問をさせていただきましたけれども、災害の規模によって分け隔てするのではなくて、被災者の状況に応じて、そして被災者に寄り添って支援策をしっかりと講じていく、これが私、ことし幾つかあった災害、そして今までの支援法の中での問題と、改善しなければいけない点だというふうに思っております。
こうしたところを一歩でも二歩でも前進していただくことを、取組を強化していただくことを求めて、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。