論戦ハイライト 田村貴昭衆院議員が馬毛島問題で追及 米軍のため何でもありか

馬毛島問題=18日、予算委④
 
 米軍空母艦載機離着陸訓練(FCLP)施設の移転候補地とされている馬毛島(まげしま=鹿児島県西之表市)の用地買収が進められています。2月18日の衆院予算委員会での日本共産党の田村貴昭議員の質問で、国会審議を経ない「流用」で買収費用を確保し、違法開発を不問に付すなど、米軍のためなら何でもありの政府の姿勢が浮き彫りになりました。(質問動画はこちら)
 
衆院予算委 予算を流用・違法開発は不問
 
 政府は2019年11月、島の大半を所有する「タストン・エアポート社」(東京都)から約160億円で土地を買収することで合意しました。
 
田村 土地買収費用は19、20年度予算にも計上されていない。どういうことか。
 
河野太郎防衛相 予算の流用によって財源を手当てした。
 
 河野防衛相は、19年度予算に計上されていた米軍の辺野古新基地(沖縄県)建設などの事業費から財源を確保したと明らかにしました。
 

 
 政府は、地元に対して自衛隊基地をつくると強調しています。田村氏は、「自衛隊基地をつくるのに、予算計上もせず、国会にも諮らず、米軍再編経費を流用するなど認められない。財政民主主義の原則に反する」と批判しました。
 
 河野防衛相は、これまで自衛隊の新基地建設のための土地買収費用を予算流用でまかなった例はないことを認めました。田村氏は「前代未聞の異常なやり方だ」と強調しました。
 
 さらに田村氏は18年度にも流用が行われていると追及。防衛省は、土地の売買契約も締結されていないときに地元に説明しないまま、18年度の辺野古新基地建設予算を流用して約35億円の基本設計を委託していたと明らかにしました。
 
言い値で購入か
 
 防衛省が委託した馬毛島の不動産鑑定による評価額は約45億円と報道されています。田村氏は、「農林水産省が馬毛島に所有していた土地を払い下げた時の価格は1平方メートルあたり96円、島の面積で換算しても7億8000万円。45億円でも高いくらいだ」と指摘。政府の買収額160億円の積算根拠と不動産鑑定評価額を示すよう迫りましたが、河野防衛相はこれを拒みました。
 
 田村氏は、タストン社社長が雑誌インタビューで土地の造成などに150億円超を投じてきたと述べているとし、「造成費用を上乗せし、タストン社の言い値で買っているのではないか」と強調しました。
 
違法開発を放置
 
さらに田村氏は、政府が違法開発された土地を取得しようとしている問題を問いただしました。
 

 
 森林法では、1ヘクタールを超える林地開発を行う場合には都道府県知事の許可を受ける必要があります。しかし、同社は許可範囲を大幅に超える開発を行っています。
 
田村 総務省の公害等調整委員会も馬毛島の違法開発が「推認される」としている。違法開発された土地をそのまま放置するつもりか。
 
防衛相 森林法違反を理由に何らかの処分が行われたとは承知していない。
 
 処分の有無で逃げ切ろうとする防衛相に対し田村氏は、「防衛省は開発許可を受けた場所を知っており、許可範囲を超えた開発は一目瞭然だ」と追及。違法開発した土地の取得は許されないと批判しました。
 
地元無視の強行
 
 田村氏は、地元の西之表市が馬毛島の自然を生かした活用を提案し、八板俊輔市長が「馬毛島にふさわしい利用法をFCLP以外に追求する考えは一切変わっていません」と表明していることを紹介しました。
 
田村 市長の態度は明確であり、この言葉は非常に重い。菅義偉官房長官は「地元の理解と協力が極めて大事」としている。強行することはできないのではないか。
 
官房長官 防衛省において丁寧な対応を進めていく。
 
田村 政府は住民の願いよりも米国の要求を優先させるのか。基地建設強行は地元の夢と希望を押しつぶすものだ。
 
 田村氏は、ただちに交渉を打ち切り、売買契約を撤回するよう強く求めました。(しんぶん赤旗 2020年2月20日)