198-衆-農林水産委員会-3号 2019年3月14日 豚コレラ問題 貿易は政府の責任

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

最初に吉川大臣にお伺いします。
七日の所信質疑でも聞いたところなんですけれども、まず、豚コレラ対策の何といっても重要なことは、海外からウイルスを日本に持ち込ませない、検疫業務が何よりも大事だということであります。急増する来日者数に対して、防疫官が足らない、そして探知犬の数も足らない。体制が追いついていかないもとで、ウイルスが残念ながら侵入した、このことに対する政府の受けとめについて、いま一度お伺いします。
そして、空港や港でこの豚コレラウイルスの侵入を阻むというのが政府の第一義的な責任、責務ではないのですかということをお伺いしたいと思います。


○吉川国務大臣 越境性動物疾病の侵入防止につきましては、水際の検疫強化と農場の衛生管理の向上の両輪で行う必要があると考えております。
水際での検疫は、家畜伝染病予防法によりまして、国の動物検疫所と家畜防疫官が責任を持って担っているところでもございます。このため、家畜防疫官の増員ですとか検疫探知犬の増頭など、水際の体制強化を図っているところでもございます。
一方、我が国におきましては、種々の越境性動物疾病が常在するアジア地域に位置をいたしておりまして、国際的な人や物の往来が増加していることから、水際検疫のみで一〇〇%侵入防止を図ることは非常に難しいとも考えられますが、さらなる越境性動物疾病が侵入するリスクが高くなっていると認識もいたしておりますので、水際での検疫強化には更に努めてまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 やはり空港、港で豚コレラウイルスを侵入させない、ここに政府は第一義的な責任を、責務を負っているということを強く自覚していただいて業務に当たっていただきたい、体制を強化していただきたいというふうに思います。
続いて、小里副大臣に伺います。
副大臣は、何度も岐阜県、感染自治体の方に入られて、農家の方の指導にも当たってこられました。
報道によりますと、飼養衛生管理基準を守れば発生しないであるとか、飼養衛生管理基準が守られていればここまでの感染拡大はなかった、そういうふうに語ったとの報道が見受けられたんですけれども、この言葉だけをもってしてはなかなか私わからないので、ちょっと説明をしていただけますでしょうか。


○小里副大臣 まず、事実確認からさせていただければ、今お話しの、飼養衛生管理基準を守れば発生しないとは申しておりません。一方の、守られていればここまでの感染拡大はなかったと思うということは申し上げております。これは、記者団からの質問に答える形で行ったものであります。ワクチン接種について質問を受けまして、これに対して飼養衛生管理の重要性を説明した中での話であります。
残念ながら、疫学調査チームが発生農場の調査を行った結果、飼養豚への感染につながる要因として何例も挙げられております。例えば、トラクターが野生イノシシの地域を走って、そのまま消毒もせずに養豚場に入っていったという事例や、あるいはまた、決められた専用の靴とか衣服を着用していなかったとかいったような事例等が幾つかありまして、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分があると指摘をされているところであります。
こういった事例を挙げながら、私の方から、飼養衛生管理の遵守、これの重要性についてお話を申し上げたところでありまして、このことは岐阜県知事と面談した際にも申し上げたことであります。


○田村(貴)委員 疫学チームのその解析で、飼養衛生管理基準に照らして守られていなかった、そういう部分があると、今、部分という表現を使われたんですけれども、これは全部が全部そうではないですよね。一くくりにして、飼養衛生管理基準が全体的に守られていないという次元の話ではないというふうに思うわけです。
資料を配らせていただいております。「岐阜県の飼養衛生管理基準の遵守状況」、これは、家畜伝染病予防法に基づいて、生産者は管理基準に基づいて衛生管理を行う、その報告を都道府県がつかみ、そして都道府県の報告を国が掌握し、そして公表している。ですから、農水省のホームページにもあるし、それから岐阜県側のホームページにもある。これは、岐阜県のホームページで公表されている豚の部分についてピックアップしたものであります。二十六年度は書いていないんですが、二十六、二十七、二十八と、ほぼ同じ傾向であります。
まず、全農家数に対して、「指導が不要であった」、指導の必要がなかったという農場数は、大多数であります。そして、「指導を行った農場数」は、あるんだけれども、「うち、改善済」というのが平成二十七年にもあり、二十八年は、「改善指導中」もあるんだけれども、「改善済」もあるわけなんですよ。大多数のところが「指導が不要であった」と。だから、農家にしてみたら、法と飼養衛生管理基準に基づいて衛生管理に努めてきた、それをクリアしたというふうにちゃんと行政の方でまとめておられるんです。
そういう農家に対しても、飼養衛生管理基準が遵守されていないと一くくりにして言ってしまったら、農家は大変なつらい思いをするわけであります。指導中はなしといったところもあるわけなんです。
私は、個々の農家にとっては、管理基準を守って、そして問題が指摘されても改善されているといったことをここで指摘させていただきたいというふうに思っています。
岐阜県の養豚農家全戸に対する調査が行われたわけなんですね。二回にわたって行われ、二回目の二月は、国も入って、国の立会いのもとに行われた。
その農家の検査での状況を聞いたところによりますと、こういう例があったと。例えば、消毒槽が入り口正面に置いてあったんだけれども、国の担当の方が、左にずらした方がいいのではないか、そういう指摘があったと。それから、防護ネットについても、すき間と認識できないところでも、これはすき間ですよねと言われたと。
つまり、大臣、副大臣、極めて微細な指摘があった、微細な指摘にとどまった、そういう二月の立入検査であったということを私は伺いました。
極めて微細な指摘であるということは、ずさんな衛生管理がいわゆる放置されていた、全体にわたって放置されていたということではないんですよ。ですから、これは、法と基準に基づいてちゃんと取りまとめて、そして公表されているこの結果からいっても、私は言えるのではないかなと思います。
ですから、一くくりにして、飼養衛生管理基準が守られていないから感染が防げないという立場に立つのは、これはやはり農家にとっては立つ瀬がない、そして間違った言い方になるというふうに考えますけれども、改めて、小里副大臣、いかがでしょうか。


○小里副大臣 微細な指摘かどうかというところは、いろいろな評価の仕方があろうと思います。
疫学調査チームの調査によりますと、先ほど申し上げたように、トラクターが野生イノシシのエリアを走って、そのまま消毒もせずに農場内に戻ってきたという事例、あるいはまた、柵につきましても、出入り口そのものが閉鎖されていなかったというような事例等も報告をされているところであります。その辺は評価の仕方があろうと思います。
ただ、私の思いとしては、過去の経験から、飼養衛生管理をしっかり守っていく、これがやはり本道であろうなと思っているところであります。
例えば、ちょっと話が長くなって恐縮でありますけれども、私の地元の出水市、日本一の野生の鶴の渡来地であります。そこに隣接をして日本一の養鶏団地があるわけなんですね。その野生の鶴が、ほぼ二年に一度のペースで鳥インフルエンザにかかっております。特に、十年ほど前は、それが養鶏農家に及んで、一戸だけですね、一農場だけこれに感染いたしましたが、そこで私は、その状況を火薬庫の上で火花が散っているということで表現して、防疫措置、飼養衛生管理基準の遵守の徹底を促したわけでありましたけれども、地域一体となって被害を最小限度にとどめて、その後も家畜における発生はないわけであります。
そういった経験に照らして、飼養衛生管理基準の遵守の徹底を訴えたいと思ったわけであります。


○田村(貴)委員 飼養衛生管理基準の遵守は当然のことであります。これは物すごく大事なことであります。しかし、制度に基づいて、農家はチェックシートに基づいて指導も受けてやってきた。そして、検査に入ったときに問題なしと言われている農家もこの中に入っているわけなんですよ。それをひっくるめて管理基準が守られていないと言ってしまうのは、これは間違いではないかと言っているんです。全部が全部そうじゃないでしょう、トラクターの話にしても。そういうことをやってしまうと、農家は立つ瀬がないと言っているんです。
農家だけの責任にされてしまってはたまらないと私は所信質疑のときにも大臣に申し上げましたけれども、やはりそういう気持ちにさせてはいけないと思います。法と飼養衛生管理基準の規則に基づいてやっていることについてはちゃんと認めてあげないといけない。それを超えてウイルスが感染していることが問題ではないのですか。そこが一番今問われているというふうに思うわけなんです。
大臣にお伺いしますけれども、発症と感染拡大を今をもってしても防ぎ切れていないというのは、私は今の飼養衛生管理基準を超えたところに問題があるのではないかというふうに思っているわけであります。発生から半年たっています。感染の原因が特定されていないというのはどこにあるというふうに農水省は考えておられますか。


○吉川国務大臣 豚コレラの発生拡大を防ぐためには、今も議論の中心になっておりますけれども、飼養衛生管理基準の遵守が最も私は重要であると考えております。
このため、岐阜県等の養豚場に対しまして、国が主導して飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善の指導も進めているところでもございます。これは岐阜県のみではありませんで、愛知県ももちろんでございます。
また、野生イノシシによるウイルスの拡散防止を徹底することが必要だと考えておりまして、防護柵の設置ですとか、わなを用いた捕獲に加えまして、我が国史上初の野生イノシシ用経口ワクチンの散布も開始することといたしております。
これらにより、感染イノシシの数の減少に努めることといたしておりまするけれども、豚コレラにつきましては、極めて今重大な局面を迎えていると認識をいたしておりますので、更に国が主導いたしまして、各府省、都道府県と一層緊密に連携をとりながら対策に取り組んでまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 飼養衛生管理基準というのは国が定めているものであります。それに基づいて指導も受けながら農家は対策を講じている。そういう仕事は、仕事として毎年終わっているわけなんです。そうやって報告されているんですよ。それを国はちゃんと報告を受けて認めているわけですから、そこで全てが管理基準が守られていないとくくってしまったら、これはだめですよ。だめですよ、絶対。それは経営再開の意欲を失ってしまいますよ、これだけ頑張っているのに。そこを超えてまだ解明できていないんですよ。
そういう解決策を先に、やはり展望を持って語るのが農水省の役割ではないかということを指摘させていただきたいと思います。
最後に、水際での感染防止対策ですけれども、国際郵便物、きょうも議論がなされていましたけれども、川崎東、東京国際等々、六つの郵便局に国際郵便物が届いてきますけれども、探知犬は川崎東郵便局と、あと一部の空港というところの体制にとどまっています。多くの空港や港というところの郵便物がノーチェックにある。また、膨大な国際宅配物、これについても探知犬を充てることはまだされていません。
こうしたものについてはどのように対処されていくのか、これについてお伺いしたいと思います。


○小川政府参考人 今御指摘ございました郵便物あるいは宅配便についてお答え申し上げます。
郵便物としての輸入につきましては、家畜伝染病予防法第四十三条におきまして、日本郵便株式会社が、通関手続が行われる事業所において、検疫を受けなければいけないものが包有し、又は包有されているという疑いのある小形包装物あるいは小形郵便物の送付を受けたときは、遅滞なくその旨を動物検疫所に通知しなければならず、家畜防疫官は、その通知があったときは、小形包装物又は小形郵便物の検査を行うことになってございます。
御指摘のとおり、これに基づきまして、川崎東郵便局を含む計六カ所の国際郵便局で対応しているところでございます。
動物検疫所におきましては、この家畜伝染病予防法が定めております日本郵便からの通知を受けた場合だけでなく、その他の郵便物につきましても、川崎東郵便局、さらに、御指摘ありましたとおり、昨年十二月からは中部国際郵便局におきまして検疫探知犬を活用し、また、その他の郵便局では、税関と連携して、家畜防疫官が検査を行っているところでございます。
日本郵便はもとより、検疫探知犬の活用あるいは税関との連携も含め、水際検査の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、国際宅配便につきましては、郵便物ではなく、貨物として輸入検査を実施しております。商業貨物も扱っております通関業者からの申請を受け、全ての貨物について輸入検査を行っているところでございます。また、税関におきましても、関税法に基づきまして貨物の検査を行っているのは御承知のとおりでございまして、両者相まって、すり抜けがないように取り組んでいるところでございます。


○田村(貴)委員 時間が参りました。質問を終わります。ありがとうございました。