198-衆-農林水産委員会-8号 2019年4月18日 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案の反対討論

○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に反対し、ただいま提案のありました立憲民主党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。

原案に反対する理由の第一は、農地中間管理機構自体、必要がないからです。
機構の実績の多くが、農家を始め市町村、農業委員会、JAの努力によるものであり、本来なら市町村の段階で完結していたものです。都道府県の配分計画を除くことにし、配分計画の縦覧や利用状況報告の義務づけを廃止するのであれば、機構を介する必要はありません。
第二は、農家の代表であり、農地の番人だった農業委員会を機構の下請のように扱うものだからです。
現行法は、農業委員会から許可権限を奪い、農地利用配分計画策定の際、農業委員会の意見を聞くことも必須条件から外しました。二〇一七年には、農業委員会法を改正して公選制を廃止しました。
本法案は、農業委員会に情報の提供や地域協議への参加を義務づけましたが、下請化を一層進めるものと言わざるを得ません。
第三は、本法案が安倍政権の規模拡大路線を推進するものだからです。
もともと機構は、輸入自由化による農産物価格の下落を農地集積、大規模化によるコスト削減で切り抜けようと、産業競争力会議、規制改革会議の主導のもとで導入されたものです。
そして、この路線のもと、政府は、機構を利用して規模拡大した場合だけを支援し、小規模・家族農業を切り捨ててきました。そのため、機構が導入されてからも、農地の荒廃化は全くとまっていません。
日本再興戦略で定めた、農地の八割を担い手に集積するというKPIは、分母である全農地が減少することが前提となっています。農地を守ることよりKPI達成を重視する姿勢は、本末転倒と言わざるを得ません。
農地が荒廃する根本の原因は、世界的に見ても異常な食料の輸入偏重にあります。政府は、これを改めるどころか、日米FTAで一層推進しつつ、表面的な改善で農家に大規模化とコストカットを強いる仕組みを続けようとしています。これでは、今後、この国の食料確保さえ危うくしかねません。
以上の理由により、機構を廃止する修正案には賛成し、原案には反対することを申し上げ、討論とします。(拍手)