○田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。(拍手)
反対する理由は、本法案が、大量伐採によって森林資源を枯渇させ、輸入の自由化と相まって、林業の衰退を招いた戦後林政の失敗を繰り返すものだからであります。
昨年成立した森林経営管理法の審議の際、政府は、森林を長く大事に守っていきたいと考える森林所有者を、意欲と能力がないと断じ、民有林の経営管理権を取り上げ、伐採業者に与える法律を押し通しました。
今度は、そうした伐採業者に対して、国有林まで長期、大ロットで差し出し、五十年という短期で、対象区画を全てとってしまう皆伐を行おうとしています。
法案は、樹齢と樹種のそろった人工林を、五十年を標準伐期とし、大規模に皆伐することを前提としています。政府はとりどきと強調しますが、科学的根拠はありません。
皆伐のために、高性能林業機械が通る大きな林道を設けて、土砂崩れなどの問題を今も各地で引き起こしています。短伐期皆伐方式は、森林の生物多様性を損ない、表土を流出させて、河川、海洋の自然環境を壊します。林業の衰退、国土の崩壊で、次世代に負の遺産を残すだけであります。
また、法案は、皆伐をする伐採業者だけが、長期にわたって国有林を独占するものとなっています。間伐を続けながら長期間森を維持しようと考える林業家、すなわち自伐型の林業家は、事実上、排除されます。しかも、最長で五十年の樹木採取権を与える伐採業者に、植林と育林の義務を課していません。伐採業者は、再造林のコスト負担ゼロで、国有林を独占して伐採し、もうけることができるのです。植林と育林のコストは税金、すなわち国民の負担となるのです。
伐採業者だけが優遇されることによって、材木の価格は押し下げられ、みずから民有林を所有して経営する林業家はますます経営が困難になることは明らかではありませんか。
これほど多くの弊害があるにもかかわらず、バイオマス発電など、安い木材を大量に欲しがる産業の要求に応えて、なし崩し的に伐採を拡大していくことが、なぜ林業の成長産業化になるのでしょうか。どんどんとって輸出を拡大しようというのは、森林の持続可能性を目指し、伐採を控えようとする世界の流れに逆行するものであります。
以上、日本の森林・林業全体の崩壊を招く法案に強く反対し、討論を終わります。(拍手)