「夫はトイレに行くにも呼吸困難になり、こんな思いをするくらいなら殺してくれと何度も言われた」―。日本共産党の田村貴昭議員は5月15日の衆院環境委員会で、アスベスト(石綿)の健康被害で夫を亡くした女性の手記を読み上げ、石綿の飛散防止対策を強化するはずの大気汚染防止法改正案が極めて不十分だと批判し、実効性ある規制を求めました。(質問動画はこちら)
田村氏は、解体など工事の際、石綿飛散防止に不可欠で現行法でも設置が定められている前室(石綿を洗い流すエアシャワーなどを備えたもの)について、鹿児島市の百貨店で未設置のまま工事がなされ、施工者の大成建設が書類送検されたと指摘。環境省水・大気環境局の小野洋局長は「前室を設置しない場合は直接罰の対象になりうる」と述べました。田村氏は「そうであるなら法文に設置義務を記載するべきだ」と主張しました。
田村氏はさらに、成形板などのレベル3建材を新たに規制対象とするのに、隔離養生、集じん・排気装置の設置などは義務付けず、手作業での解体や散水だけで良いとしているとして「政府の考えは甘すぎる。諸外国では飛散防止策をとっている」と批判しました。
同法案は同日、共産党以外の賛成多数で可決。田村氏は、実効性ある規制とするため、レベル3建材にも飛散防止策を義務付け、防止対策費用を支援するなどの修正案を提案しました。(しんぶん赤旗 2020年5月18日)