作付け強制 離農促す 田村貴昭氏 「有事」想定の食料困難 農林水産委

5月8日 農水委 日本共産党の田村貴昭衆院議員は5月8日の農林水産委員会で、「有事」を想定して農家に生産拡大の指示や罰則を通じて食料を確保する食料供給困難事態対策法案について、「いつでも立ち入り検査をして圧力をかけることもできる。生産者に作付けを強制するものに他ならない」と批判しました。(質問動画はコチラ)
 
 田村氏は、野村哲郎元農水相が昨年5月の記者会見で「芋を植えろとか言っても、農家は絶対聞いてくれないから、法律によって縛りをかけないといけない」などと発言したことを指摘。「こうした考えで法案を出したのか」とただしました。坂本哲志農水相は「強制ではない」と繰り返しました。
 
 法案は、特定の食料が不足する場合に農家に増産を要請。食料供給困難事態と判断されれば増産計画の提出を指示します。拒んだ場合は罰金が科され、増産計画の通りに生産しなかった生産者は公表されます。
 
 田村氏は、増産の要請や指示の対象者や、ペナルティーを免れる場合について質問しましたが、農水省の杉中淳総括審議官は「その時々の状況に応じて決定する」「事前に判断基準を示すことは困難」などと答えるだけ。田村氏は「罪刑法定主義に反する」と指摘し、「時の行政の裁量に委ねられるということでは、農家の方は不安で仕方がない」と強調しました。
 
 この間に重ねた九州・沖縄地区の生産者との対話から「政府に命令されて作付けはしたくない」「罰金まで科されて強制されるのなら、農業をやめて他の仕事に就く」という意見があったと紹介。「本法案が離農の引き金になる」と強い懸念を表明しました。(しんぶん赤旗 2024年5月9日)