「行政がカネでゆがめられたのではないか」―。日本共産党の田村貴昭議員は2月10日の衆院予算委員会で、大手鶏卵業者側から賄賂を受け取った吉川貴盛元農林水産相の贈収賄事件を取り上げ、国内の養鶏業界に有利な政策が行われた疑いをただしました。
田村氏は、国際獣疫事務局が2018年9月、「アニマルウェルフェア(AW=動物福祉)」に基づき、養鶏場での飼い方に規制を設ける基準案を出したことに対し、規制に反対する養鶏業界の強い要求が背景にあると指摘。賄賂によって政府のAWに関する政策がゆがめられていく経過を時系列で示しながら追及しました。
アキタフーズの秋田善祺代表(当時)による吉川農水相(当時)や農水省幹部への接待、吉川氏への現金供与の直後、AWを議論する農水省の協議会に秋田氏の息子が臨時メンバーに入ったとして、養鶏業界の意向に沿って審議が進められた疑いがあると強調。同協議会メンバーの天笠啓祐・日本消費者連盟共同代表が、審議の様子を「『出来レース』だった」と指摘していること、事件発覚後に天笠氏が審議のやり直しを求めていたにもかかわらず、無視されたことも指摘し、「なぜ無視したのか」と追及しました。
農水省の水田正和生産局長は「(審議やり直しの)指摘があったことは事実」と回答。野上浩太郎農水相は「詳細な報告は受けていない」と言いながら、「政策決定は妥当だ」と開き直りました。
田村氏は、吉川氏ら関係者の証人喚問、協議会議事録の公開を求めました。(しんぶん赤旗 2021年2月11日)