196-衆-環境委員会-10号 平成30年06月08日 海洋汚染対策求める プラスチック規制を 田村衆院議員

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
大事な修正提案であるというふうに思います。
そこで、提出者の方に伺います。
今回の法改正で、漂流ごみを位置づけたこと、また、ごみとなっている廃プラスチックの排出抑制、再生利用など適正処理、マイクロプラスチックの製品への使用抑制が位置づけられたことの意義等々について述べていただければというふうに思います。


○北川委員 ただいま田村委員から御質問のありました今回の法改正におけるそれぞれの位置づけでありますが、まず、漂流ごみの位置づけにつきましては、船舶の航行の障害や漁業環境の支障となる漂流ごみや海底ごみについてはその対策の必要性が認識されており、政府においても海岸漂着物の発生の抑制の観点から補助金の対象にはしていたものの、現行法上には明確に位置づけられていなかったところであります。
そこで、今般の改正では、漂流ごみ等を海岸漂着物対策の対象に加えるとともに、その円滑な処理の推進について規定を設けることといたしております。これにより、現行の諸施策の対象に漂流ごみ等が含まれることが明らかとなり、漂流ごみの一層の処理が図られるものと期待をいたしております。
次に、マイクロプラスチック製品への使用抑制が位置づけられた意義についてでありますが、近年、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響等が懸念されており、世界的な課題となっていることから、今般の改正では、マイクロプラスチックの発生を抑制するための基本理念を定めるとともに、事業者の責務を明らかにすることといたしております。
プラスチックごみの減量やその円滑な処理は、マイクロプラスチックの中でも二次的マイクロプラスチック、従来のプラスチックが破砕をされて微細になる、こういう二次的マイクロプラスチックの発生抑制にも資するものであると考えております。
他方、マイクロビーズ等の一次的マイクロプラスチックについては、一たび環境中に排出されるとその回収、処理が困難であることから、製品への使用を抑制することが重要であるという認識のもと、マイクロビーズについては、現在、業界団体が自主規制を呼びかけ、代替素材への切りかえが進んでいると承知をいたしております。
今般の改正により、こうした産業界の取組が更により一層推進、促進されることになると考えているところであります。
なお、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響等については現時点では科学的知見が必ずしも十分ではないところであり、今般の改正では、政府は、最新の科学的知見及び国際的動向を勘案し、海域におけるマイクロプラスチックの抑制のための施策のあり方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨を附則に規定をしているところであります。
ぜひ御理解をいただきたいと思います。


○田村(貴)委員 再度提出者にお伺いしたいと思います。
マイクロプラスチックを含む廃プラスチックに関してでありますけれども、諸外国ではプラスチック製品の製造、流通、使用の規制がされております。今回の法改正ではこれらの規制にまでは触れていません。それはなぜでしょうか。時間が余りありませんので、簡単に。


○江田(康)委員 田村委員の御指摘のとおり、諸外国におきましては、海洋におけるプラスチックのごみの問題を踏まえまして、プラスチック製品の規制についてさまざまな検討や提案がなされているところと承知しております。
我が国におきましては、循環型社会形成推進基本法を始めとして、廃棄物処理法や各種リサイクル法によって、プラスチックごみの排出が抑制されるとともに、その適正処理が推進されておりまして、まずはこれらを徹底することが重要であると考えております。
この観点から、今般の改正では、循環型社会の形成、すなわちスリーRの推進等によって、海岸漂着物等の発生を抑制する旨を明記することとしたところでございます。
プラスチック製品は我々の生活において広く用いられておるところでございまして、そうした現状や国民生活に与える影響に鑑みれば、いきなり規制するというのではなく、対応のあり方について、科学的知見を踏まえて、代替製品の開発の可否も含めて丁寧に検討されるべきものと認識しております。
今般の改正においては、今北川議員から答弁なされたように、マイクロプラスチックの発生を抑制するための基本理念や事業者の責務を規定したところでありまして、一定の成果が期待できると考えております。


○田村(貴)委員 ありがとうございました。
そこで、私も、今度の法改正を機に、マイクロプラスチック対策は、本気で地球規模で進めていかなければならないと思いました。
資料をお配りしています。東京農工大学の高田秀重教授が東京湾で釣ったカタクチイワシを分析したものであります。見て驚いたんですけれども、六十四尾中四十九尾からマイクロプラスチックが検出されたと。まさに、この問題は身近なところで起きているという調査であります。
法改正に当たって、実効ある対策、そして取組が求められますけれども、環境省にお伺いをいたします。
今、この問題で世界的に注目が集まっているのはレジ袋でありますね。レジ袋の扱いについて、これも資料を配っていますけれども、アメリカ、カナダ、アフリカ、アジアの多くの国々で、レジ袋の生産の禁止、有料化を含む使用抑制に踏み切っているわけであります。
日本において、レジ袋というのは年間三百億枚、国民一人当たり、ざっと年間三百枚というような状況になっています。この製造と使用の抑制をどのように図っていかれますか。


○山本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のレジ袋の問題は大変重要だと認識しておりまして、実は、今月閣議決定をすべく、第四次の循環基本計画案を今検討しておりますが、その中で、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略を策定するということが盛り込まれてございます。
この戦略の策定という中で、委員御指摘のレジ袋の有料化の問題を含めて、レジ袋を始めとした使い捨て容器包装のリデュースをどうやって進めていくか、その施策のあり方についてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 住民がごみとなるものを買わない、使わない、出さない、分別を徹底していく、こうした基本が大事であるというふうに考えます。レジ袋や使い捨て容器の製造や使用を諸外国に見られるように減少させていく、禁止させていく、こうした取組を国が主導して行っていくことが非常に大事であることを指摘させていただきたいと思います。
最後に、海岸漂着物地域対策推進事業、いわゆる海ごみ補助金についてお伺いをします。
現場からは大変喜ばれている制度でありますけれども、予算も限られています。一例を挙げさせていただきたいんですけれども、長崎県の離島、五島市に海ごみの状況を伺いました。観光地である鐙瀬溶岩海岸では、六月から十月の間に二回の清掃を行っている。一回は事業費でやって、二回目はボランティアでやると。しかし、すぐにもとに戻ってしまう、海岸がごみでいっぱいになってしまう、この期間に十回は回収をしなければきれいな海岸は維持できない、せっかく訪れた観光客はごみを見に来ているようなものだというような指摘もされているところがあります。
そこで、予算がないがために回収をしたくてもできないところがあります。今度の法改正におきまして、海底ごみ、海岸の漂流ごみも明確な対象となりました。そして、海ごみを放置しておけば、マイクロプラスチックを生み出していくことも明らかであります。より積極的に対策を行えば、自治体の仕事はふえてまいります。自治体の状況に応じて予算増を含む措置を検討されていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。


○早水政府参考人 お答えいたします。
環境省では、海岸漂着物等地域対策推進事業におきまして、地方自治体による海岸漂着物等の回収、処理等を支援しておりまして、平成二十九年度補正予算で約二十七・一億円、平成三十年度予算で四億円を計上しております。
補助率につきましては、原則十分の七とし、過疎地等は十分の八、離島等は十分の九にかさ上げするとともに、残りの地方負担分の八割が特別交付税により措置され、自治体の実質的な負担軽減に配慮した制度としております。
本事業は、海岸漂着物等の回収、処理を推進していく上で非常に重要な事業であると認識しておりまして、地方自治体の要望も踏まえながら、できる限りの予算確保に取り組んできたところでございます。
環境省といたしましては、地方自治体によります海岸漂着物等の回収、処理が円滑に進むよう、必要な財源の確保に最大限努めてまいります。
○田村(貴)委員 地方自治体の実情に即した予算の確保について、進めていただきたいというふうに思います。
時間が参りました。終わります。ありがとうございました。