○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、地球温暖化と感染症について質問します。
大臣にお伺いします。
新型コロナウイルスの感染拡大の中で、地球温暖化と感染症についての指摘が専門家から出されています。例えば、温暖化によって熱帯地域における感染症が地球を北上する、また、人間による自然破壊によって野生動物が人の住む町に近づいて人獣共通感染症が生まれるなどであります。
環境省が二〇〇九年に発表したパンフレット、「地球温暖化と感染症」でも、温度が上がることによって人が直接受ける影響、熱中症や循環器系、呼吸器疾患、死亡率の変化が書かれてありました。また、気候変動により雨量がふえたり気温が上昇すれば、蚊の発生や自然宿主の数がふえて、冬季に死滅する蚊が越冬するということも考えられる、人への病原体の感染環境がつくられる可能性についても記述がされていました。
大臣にお伺いしたいんですけれども、気候変動と感染症の拡大というのは非常に重要な関係にあります。人への感染症を惹起し、そして拡大させないためにも、地球温暖化対策が喫緊の課題になっていると思います。その御認識についてお伺いをしたいというのが一点。
だからこそ、二〇三〇年度までの政府の温暖化削減目標、これは二六%削減をもっと引き上げるべきではないかということを、まず最初に質問します。
○小泉国務大臣 田村先生には、気候変動に注力していただいて、感謝申し上げます。
今、気候変動と感染症の関係ということで、一問目、御指摘をいただきましたが、今、現時点で、気候変動とコロナの関係については知見が得られているところではありませんが、一般的に感染症ということで気候変動との関係を申し上げると、先生からも御指摘あった、蚊を媒介する、例えばデング熱、これはヒトスジシマカでありますが、七十年前、一九五〇年には北限は関東地方周辺でした。それが今では青森県まで北上して、これから北海道までそれは行くだろうというふうにも思われますので、まさにそういったリスク、これは気候変動に伴って増してくることを抑えるためにも、この気候変動の影響をどうやって回避、軽減をする、適応するのか、非常に大事だと思います。
私も、国際社会でいろいろ意見交換しますと、日本が、気候変動適応法という適応に対して特化をしている法律を持っていることは非常に評価されます。そして、ことし、環境省は気候変動影響評価報告書を取りまとめることにしております。この影響評価を踏まえて、来年、気候変動適応計画の見直しを行います。この計画の中に、気候変動による感染症への影響についての評価結果を踏まえた必要な施策についても盛り込んでいく予定です。
二点目に、先生からNDCの関係がありました。まさにこのNDCをこの前提出した中に込めた意図というのは、二六%の削減努力にとどまらない、野心ある、そういった数値を目指していく、その努力を追求するということが示されたのがポイントでもありますし、そのことは、国連気候変動枠組み条約のエスピノーザ事務局長からも、日本のそういった意図に対して感謝をする、そういったことが示されているとおりであります。こういったことをしっかりと、今、温対計画の見直し作業を政府全体でやっていますので、まさにこれを積み上げて、二六%にとどまらない、そういった努力の追求を続けていきたいと考えております。
〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○田村(貴)委員 早く削減目標を数字として明らかにしていただきたいと思います。
そして、今コロナ禍の中で世界の経済が停滞しています。ですから、温室効果ガス、この排出は一時的に減っているかもわかりません。しかし、収束後に急速に拡大する可能性もあります。抑制と対応を含めて、強く目標値の引下げを求めたいというふうに思います。
次に、大気汚染防止法の改正案について質問します。前回の一般質問に続いて質問します。
我が党として修正案を提出しています。大気汚染防止法改正案は、大気汚染濃度の測定、それからレベル3建材の工事実施届、この義務づけ、自治体への支援等々、これらが反映されていません。残念なことです。極めて不十分な法改正にとどまっているから、改正案を提出いたしました。
法改正でアスベスト飛散を本気で防止することができるのか。
委員の皆さん、配付資料をぜひごらんいただきたいと思います。そして、議員会館で院内テレビをごらんの皆さん、ぜひこのパネルに御注目をいただきたいというふうに思います。
この工事現場は、私が住んでいる福岡県北九州市の小倉北区の解体現場であります。二年前に撮られた写真であります。北九州市小倉の一等地、中心地、一日乗降客が五千人を超えるJR西小倉駅から百数十メートルのところであります。私もよく通ります。
二つのビルの解体ですけれども、一見してわかる吹きつけアスベスト、それから、石綿含有建築物が何の防御対策もとらずに一気に解体されています。工事現場はシートで囲まれることすらありませんでした。歩道、車道、そして近隣の住民、商業施設、通行者が暴露していてもおかしくない開放工事であります。大臣、いかがでしょうか。ここの横を通ることはできませんよね。まして、子供さんの手を引いて通行すること、これは本当にはばかられる状況であります。
福岡県建設労働組合の役員の方々から情報を寄せていただきました。毎日建設現場と向き合っている組合員の役員さんも、この光景には驚いたということであります。行政機関にも問合せをしたんですけれども、現地の確認すら行われなかったということであります。正確な事前調査、そして工事届がなされていたのか、その報告に基づいて行政のチェックはちゃんと働いていたのか、ここが問われる事案であります。
こうしたずさんな解体工事が全国至るところで起こっている。それだからこそ、今回の法改正というのは実効あるものに、そうした制度をつくっていかなければならないわけであります。
環境省にお伺いします。
無届けの解体というのは年間どのぐらいあるんでしょうか。把握されていますか。教えてください。
〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○小野政府参考人 お答えいたします。
無届けの解体でございますけれども、無届けということで、なかなか、直接的に把握することは、全てを把握することは難しいと考えておりますけれども、都道府県等が立入検査などで検査した中で指導を行ったという事例がございまして、その中には届出が適切に行われていなかったという事例もあると承知しております。
○田村(貴)委員 大事なことは、つかみ切れていないんですよ。氷山の一角なんですよ。
前回の委員会では鹿児島県の山形屋デパートの違法工事について紹介しましたけれども、こうした工事が一件でもあるということは、それはすなわち、アスベスト飛散があっているということなんです。働く人たち、近隣住民に暴露の可能性があるということなんですよ。後年、深刻な肺疾患を患い、死に至ることもあるんです。その原因をつくり出している、これは重大だと思いませんか。
第三者による事前調査、ここがやはり大事ではないでしょうか。調査における石綿隠しを見逃さないためにも、調査と完了確認を第三者が行うことは大変有効になると思います。含有の有無とその中身を正確につかんで行政機関に届ける、この初動を誤れば悲惨な飛散事故につながってまいります。
今、一度にできないかもわかりません。大臣、副大臣、答弁がずっと続いているんですけれども、今一気にすることはできないかもわかりませんけれども、解体のピークを八年後に迎えるわけですよね。だったら、開始すべきではありませんか。
諸外国では、イギリスではプロジェクト監視制度というのがあります。事前調査から施工段階、完了検査まで、大気濃度測定まで行います。ドイツでも有資格者、石綿鑑定士が監視に当たっています。この監視が決定的に欠落しているのが日本の現状だと言わなければなりません。強く要望しておきたいと思います。
大気濃度測定についても、改正案にはありません。これは多くの期待が寄せられた分野であります。違法を見逃さないために、大気濃度測定は決定的に重要であります。石綿の飛散の有無を客観的に検証するのが大気濃度測定であります。今回の法改正に向けて最重要課題でありました。こうした大気濃度測定が義務づけられていたら、施主、施工者にとっての抑止力になったはずであります。こうしたずさんな工事は生まれなかった、私はそういうふうに思うわけであります。
諸外国ではこれも当たり前になっています。日本の自治体だってやっているじゃないですか。環境省の資料によっても、東京都、大阪府、横浜市、さいたま市、ここでは一リットルに一本の石綿などの基準を持って既に行っている、全ての作業において実施している市もあります。技術的に困難だと大臣はせんだっての私の質問に答えられた。しかし、技術的に困難との理由は国の怠慢を覆い隠すものでしかないと考えます。
大臣、やるべきじゃないですか。せめて、立国社さんの修正要求にもありました大気濃度の測定、やれるところから国がやはり音頭をとってやらないとこの問題は解決できないと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○小泉国務大臣 きょう何度か、大気濃度測定の義務づけということで御指摘をいただいております。
これは小委員会においても議論がされましたが、双方、立場の異なる御意見もあって、結果としては、測定の制度化には困難な課題が残っているため、関係者が協力して課題解決に取り組み、今後、制度化について検討する必要があるというふうにされました。
環境省としては、今後、答申を踏まえて、石綿濃度を迅速に測定する方法など、引き続き、残された課題について検討をしっかりと進めてまいります。
そして、仮に、きょう、御審議いただき、法律が改正をされるということになれば、改正後の制度の施行状況を踏まえまして、大気濃度測定の制度化について検討を進めて、必要に応じて中央環境審議会に審議をお願いしたいと考えております。
○田村(貴)委員 環境省、第三者による事前調査、完了確認、これはやれるところはやっていったらどうですか。こうした悲惨な現場を生まないためにも、正確にアスベストの含有を調査する、第三者の目によって。やるべきじゃないですか、いかがですか。
○小野政府参考人 お答えいたします。
これまで、現行法におきましては、事前調査を行う者の要件、あるいは作業後の確認義務は法令上定められていなかったわけでございますけれども、今般の制度改正で、石綿含有建材に係る専門的知識の講習を受講し、筆記試験による修了考査を合格した者による事前調査の実施や、一定の知見を有する者による作業後の確認を義務づけるということにしております。
その結果、自社であっても、あるいは第三者であっても、事前調査等を的確に行うことができる能力については十分確保できるものと考えております。
先生御指摘の第三者の活用でございますけれども、より客観的に事前調査等を行う観点からは有効といった、中環審の議論の中でも指摘がございました。ただ、第三者による実施を義務づけるためには、全国の工事に対して一定の知見を有する者を迅速に派遣できる、対応できる体制が必要でございます。現在、第三者機関の立場で事前調査を行っております日本アスベスト調査診断協会の会員数は百五十名ということでございまして、膨大な工事件数に比べると著しく体制が不十分だということでございます。
こういったことから、現時点での義務づけは現実的ではないと考えております。
なお一方で、事前調査の結果の報告、記録の保存の義務づけ、さらに、それに基づく都道府県等の立入検査によって確認というようなことを行いまして、都道府県という客観的な立場からしっかりと指導監督をしていくということでございます。
○田村(貴)委員 しっかり指導監督するためにこういう担保が要るということで、一切やらないんじゃなくて、有効だとおっしゃるんだったら、できるところからやっていったらどうですか。強く要請します。
前回取り上げました鹿児島県の山形屋デパートの石綿除去の無届け工事について質問します。
大防法で定められた前室が設置されていませんでした。前室は、作業員が作業現場に出入りする際にアスベストを洗い流すためのエアシャワーや更衣室などを備えた部屋であります。百貨店は営業中だったために、多数の来客者や従業員が暴露しています。鹿児島県の労働基準監督署は、施工者の大成建設を労働安全衛生法違反の疑いで鹿児島地方検察庁に書類送検しました。
極めて悪質な事件であると思いますけれども、政府、環境省の認識はどうなっていますか。悪質ですよね、これ。
○小野政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘ございました事案でございますけれども……(田村(貴)委員「一言でいいですよ」と呼ぶ)はい。悪質だというふうに認識しております。
○田村(貴)委員 悪質な事案なんですよ。
前室をしなかった場合、前回の質疑で佐藤副大臣はこう答弁されたんです。集じん・排気装置の管理が悪いといった場合、規定されている措置を適切に行っていないとみなしまして、このように御答弁されたんですね。みなす、みなさない、そんなあやふやなことではないだろうと思います。
前室というのは隔離養生の必須条件であります。前室を設置しないということは、ずばり、隔離が完成されていないということではありませんか。つまり、集じん・排気装置と前室はセットでなければならない。セットでなければいけませんよね、どうなんですか、環境省。
○小野政府参考人 お答えいたします。
前室を設置せずに、作業員が作業場から出入りする際に石綿の飛散を防止できないというような不十分な隔離の場合には、これは当然ながら隔離したということにならないわけでございまして、今回創設いたします直接罰の対象になり得ると考えております。
○田村(貴)委員 そうなんですよ。直接罰の対象になる。なるんですよ。だったら、改正案の条項に前室は明記すべきだと思いますよ。
前室という言葉がどこに出てくるかというと、大気汚染防止法施行規則の別表七の一のイ、ここまで探さないと出てこないんですよ。ここで初めて前室という言葉、「作業場の出入口に前室を設置すること。」と書いてあるわけです。この別表の説明自体もわかりづらいところがあるわけです。
これは、条項の中に、集じん・排気装置を使用し、前室を設置する方法とすれば済む話なんですよね。なぜしないんですか。前室を設けなければ、佐藤副大臣、直接罰を下すんですよね。そうおっしゃった。だとするならば、こうしたことをしなければ罰せられますよとちゃんと規定にしていかなかったら、これは罪刑法定主義に違反することになってしまいませんか。
鹿児島県のこの事案については悪質だと環境省は認識されました。これを教訓とするならば、誰もがわかる条項にすべきと思いますが、答弁を求めます。
○小野政府参考人 お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げましたように、前室が設置されておらずに、作業員の出入りの際に石綿が飛散するということであれば、これは隔離したということには当たらないということで、法案の条文で違反であることは明確だと考えております。
なお、法律の条文の中に、さまざまなその他の技術的な事項もあると思いますけれども、罰則の適用が想定される全ての行為を明記するというのは現実的ではないのかなと考えております。
一方で、先生がおっしゃいましたような誤解を事業者等が抱かぬように、念のため、法律上で義務づける措置と並行して、省令で定める従来の作業基準について、今後、省令の表現を明確にするということで、前室の設置が隔離に必須であるということについて明確化を検討してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 除去方法の周知が徹底できるのかということですよ。やはり、こうしたら罰せられるよということについて、重要な法改正であるならば、誰の目にも明らかにするようにすべきであります。
次に、レベル3建材について質問します。
なぜ、レベル3建材を作業届の対象外としたのか。私たちが修正案を提出した最大の理由はここにあります。
資料をごらんください。パネルにもしました。国土交通省の「目で見るアスベスト建材」です。鉄筋コンクリートでも戸建てでも、ありとあらゆるところに、アスベスト含有建材が使われています。輸入石材の八割が建築材料に使われて、そのうちの七割がレベル3建材であります。圧倒的多数はレベル3建材なんです。木造、戸建てを中心に三千三百万棟、吹きつけ二百八十万棟の十一倍であります。
このアスベスト含有レベル3建材を乱暴にぶち壊したりすれば、よくリフォームの映像なんかで、があんと壊してしまうというイメージがあると思うんですけれども、そうしたら、その瞬間にアスベストが飛散してしまいます。地震や水害などの災害で家屋が倒壊したときも、その対処においても飛散の可能性が十分に予測されるわけであります。
レベル3建材の不適切な除去で石綿が飛散している、この事実があるからこそ、環境省はこの理由において今度の法改正に至ったのではありませんか。これを届出をしなかったら、問題は解決できるんですか。手ばらしと湿潤化でやってください、これは要請にとどめるようなものですよ、義務づけても。手ばらしと湿潤化、これをやることによって全部できますか。本気で飛散なく処理されると考えておられますか。いかがですか。
○小野政府参考人 お答えいたします。
いわゆるレベル3建材につきましては、原形で取り外すこと、また、これが難しい場合には、飛散性が相対的に低いということで湿潤化するということで、通常の解体等工事を行う事業者が対応可能な措置で対応できると考えております。
届出がなぜ不要なのかというところまで申し上げますと、このような状況で、届出で一々都道府県が施工状況をチェックするという要素が少ない、あるいは、その作業の件数がこれまでの規制対象の五倍から二十倍増加するということで、自治体の対応、体制が十分整備できないというようなことで、今回、届出対象とはいたしませんけれども、新設する事前調査の結果の報告制度により、解体等工事現場を網羅的に把握いたしまして、立入検査などをしっかり重点的に行うことによって適正を確保してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 政府、環境省、考え方が甘過ぎますよ。石綿暴露防止対策検討委員会ワーキンググループの会議の中でも、レベル3の現場から石綿が飛んでくることが多い、ビル内の作業など、レベル3であっても養生すべきではないか、こういう意見が出ています。何でも破砕しないというのは現実的ではない、養生して集じん・排気装置を併用すべきではないか、こういう意見が出ているじゃないですか。
アメリカでも、イギリスでも、ドイツでも、韓国でも、届出は必要とされている。調査室の資料にもちゃんと書かれています。どうして世界から学ぼうとしないんですか。日本は世界から大きくおくれをとっていますよ。しかも、二周、三周、周回おくれです。レベル3建材にかかわる作業、除去作業などで作業員はマスクをすることが厚労省の指示によって求められています。それは、レベル3建材であっても作業者にリスクを伴うからなんです。
厚労省、来られていますので、一つお伺いします。珪酸カルシウム板、これは、労働安全衛生法石綿規則ではどのようにするのが望ましいとされているんですか。
○村山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員から御指摘のございました、私どもで行いました検討会におきまして、いわゆるレベル3建材に関しましては、先ほど委員から御紹介のあったような、さまざまな現場に精通された委員からの意見をいただいたところでございます。
検討会において……(田村(貴)委員「珪酸カルシウムだけでいいです」と呼ぶ)失礼しました。珪酸カルシウム板一種についてでございますけれども、具体的に、さまざまな建材について、破砕した場合に、どの程度、気中濃度が、繊維が飛散するかを実験的に実測されたデーターについて、その濃度が健康に影響を及ぼす程度はどうかについて、それに基づいて措置を検討した結果、珪酸カルシウム板一種に関しましては、レベル3建材の中におきましても、湿潤化を行った場合も、一定の濃度での繊維の飛散は認められたものの、健康に影響を及ぼす程度を上回る濃度の飛散が認められたのは珪酸カルシウム板一種のみであったということでございます。
こうした実証データを踏まえた議論を経まして、珪酸カルシウム板一種をやむを得ず破砕する場合につきましては、湿潤な状態にすることに加えて、作業場所の周囲を隔離することとされたところでございまして、これに基づいて対応してまいりたい、このように考えております。
○田村(貴)委員 今答弁出ましたよね、この珪酸カルシウム板一種、これはレベル2と同様の飛散状況にある、したがって隔離養生が必要であると。
環境省、この珪酸カルシウム板一種、これはレベル3建材ですよね。おかしいじゃないですか。矛盾しているじゃないですか。片方では、レベル2と同じく、飛散性があり隔離養生が必要だとしている。一方では、レベル3で、飛散性が低いから手ばらしと湿潤化でええと。これ、現場は混乱しますよ。どうしますか。
○小野政府参考人 御指摘の点でございますけれども、今後、作業基準を省令で策定してまいります。その中で、飛散性の程度に応じて適切な基準を設定してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 現場の混乱は必至であります。こうしたレベル3建材について矛盾もある、こういう状況を放置したまま、対策を練らずして改正案が出てきているんですよ。だから、じっくり議論した方がいいと言っているんです。
自治体への財政措置をしっかり行っていただきたい、小泉大臣、ちょっと時間がないので、強く要望したいと思います。
そして、レベル3建材は確かに手間がかかるんです。手間がかかって時間がかかるから、それは厄介なことなんです。だからこそ、その工事作業者、施工者に対してはインセンティブを私はつくった方がいいと思うんです。後押しをして、手ばらしをした、それが推奨されるような制度にしないと前に進んでいかないと思います。これもじっくり検討していただきたいと思います。
アスベストは死に至る病を引き起こします。私の手元に、夫を中皮腫で五十三歳の若さで失った女性の方からの手記が届いています。ちょっと紹介したいと思います。
手術は十三時間にも及びました。臓器を摘出したために体にうまく血液や酸素が回らなくて、トイレに行くにも心肺が乱れ、呼吸困難になり、こんな思いをするくらいなら殺してくれと何度も言われました。モルヒネをどんなにふやしてもとれない痛み、これまで一緒に出かけたり踊ったりすることが普通にできていたのに、横断歩道を渡るのに時間内で渡り切れるか、恐怖を感じながらリハビリを続けました。その後、腹膜に再発が見つかって手術ができない、そして余命幾ばくかで命を落とされたということであります。
安価で加工しやすいために人の命よりもうけを優先した国と企業の責任は重大です。ただ懸命に仕事をしただけの人が普通に暮らすことを奪われました。二度と私たちのような被害に遭う人が出ないようにすることが、亡くなった人への償いだし、国と企業の本当の謝罪になると思います。そうでなければ夫の死は無駄になってしまう。
そのとおりだと思います。今瞬間に暴露し、私も吸っているかもわからない、いつか発病するかもわからない。小倉のこういう解体現場、きょう紹介しました。
大臣、やはり不十分なところは、運用の面においても、それから、あしたからでも改善できるところはいっぱいあるんですよね。いろいろきょう私は問題点を提起しました。修正提案もさせていただきました。できるところからやはり着手していく、そうじゃないと、このアスベスト飛散と人の命を奪うという問題は解決できない。しっかり取り組んでいただきたい。どうですか。
○小泉国務大臣 まさに、この法律改正の目的は、今回の法律を改正して、今まで対象ではなかったレベル3建材も規制の対象にするなどして、飛散の防止を更に推進をしていく、そのことによって国民の生命、そして健康、これを守っていく、こういったことにつながると我々は思いながら、この法律を皆さんに御審議をいただいているところであります。
ぜひ、丁寧な御審議をきょういただきましたが、引き続き御理解をいただけるように全力を尽くしてまいります。
○田村(貴)委員 石綿の一つも飛ばさない、現場に求められます。この対処を強く要求して、私の質問を終わります。