日本共産党の田村貴昭議員が3月4日の衆院本会議で行った2025年度政府予算案に対する討論(要旨)は次の通りです。
25年度予算案に求められるのは、自民党政治の下での経済の停滞と衰退、物価高騰による暮らしの困難の打開です。ところが暮らしの予算は物価上昇にも追いつかない実質マイナスです。国民の暮らしにきわめて冷酷な予算です。
本予算の最大の問題は、軍事費だけが前年度比9・4%増の8・7兆円と異常に突出していることです。5年間で43兆円もの大軍拡計画のもとで、軍事費は3年間で3・3兆円も増えています。その内容は長距離ミサイルなど違憲の「敵基地攻撃能力」態勢を進めるものです。軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせ、戦争の危険を増大させます。米軍辺野古新基地建設は中止、馬毛島基地建設などの基地強化予算は削除すべきです。
石破茂首相がトランプ米大統領との日米首脳会談で27年度以降も「抜本的に防衛力を強化していく」と約束し、軍事費が「GDP(国内総生産)比2%を超えることはある」と答弁したことは極めて重大です。日米同盟強化のための大軍拡推進は到底許されません。
もう一つの重大な問題は、大企業への優遇税制と異常なバラマキ政策を進めていることです。法人税率の引き下げや、大企業への優遇税制による減税額は、11・1兆円にまで膨れ上がっています。大企業優遇税制にメスを入れ、研究開発減税などを廃止・縮減すべきです。大企業に応分の負担を求めるべきです。半導体企業ラピダスに今後、巨額資金を注ぎ込むなど個別大企業への異常なバラマキ予算はやめるべきです。
暮らしに冷たい政権の姿勢を端的に示したのが高額療養費制度の改悪です。日本臨床腫瘍学会や日本癌(がん)学会などが「医療費の負担が原因で経済的困窮に陥ることは、患者本人だけでなく家族を含む生活全般に深刻な影響を及ぼすことが懸念される」と指摘しています。負担引き上げの強行は断じて許されません。
自民・公明・維新の3党合意は、国民医療費の「年間最低4兆円削減」や「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」を明記しています。医療崩壊をもたらす深刻な内容であり、撤回を求めます。与党修正案は基礎控除額の適正性を何ら問うこともない、予算成立ありきの政党間合意によるご都合主義です。(しんぶん赤旗 2025年3月5日)