労働安全衛生法の一部改定案が、5月7日の衆院厚生労働委員会で自民、公明、立民、維新、国民民主などの賛成多数で可決されました。日本共産党とれいわ新選組は反対しました。
日本共産党の田村貴昭議員は討論で、危険な作業が必要となるボイラーやクレーンなどの審査・検査を民間機関に移管することは、行政職員の知識や経験の後退につながり事故発生時の原因究明に当たれないと指摘。移動式クレーンやゴンドラは、そもそも落成検査(自動制御機能や付属品の確認など)が無く、行政のチェックが入らず安全性の確保が取れないと批判しました。(動画はコチラ)
田村氏は、アスベスト被害救済のじん肺健康診断実施手法や判定を定めた、じん肺診査ハンドブックの改定案について質問。じん肺の合併症である続発性気管支炎の判定に用いられる、たんの検査「喀痰中(かくたんちゅう)好中球エラスターゼ測定」が望ましいとされる案について「検査できる施設が少なく、研究結果もばらつきがある。高額な費用も予想されアスベスト被害申請がしづらくなる」と迫りました。
福岡資麿厚労相は「あくまで総合的医学的判断は従来通りだ」として必須条件ではないと答弁しました。
田村氏は、石綿が使用されている建物の改修・解体工事に向けてアスベストの事前調査が必要な件数は、2022年度で200万件を超えると推計されるが、届け出されているのは60万から70万件程度だとして「事前調査をしておらず、違法工事が常態化されている」と指摘。「これから解体工事はピークとなり、国が石綿使用を推進してきた責任がある」として対策支援を強く求めました。(しんぶん赤旗 2025年5月8日)