189-衆-総務委員会-6号 2015年03月13日 復興財源 特別交付税は不可欠 継続・拡充を求める 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員
日本共産党の田村貴昭です。

きょうは、震災復興財源のあり方について、それから外形標準課税等について質問をします。

まず、震災復興財源についてです。
東日本大震災から四年がたちました。一昨日は追悼式典が各地で行われ、私も政府主催の式典に参列しました。肉親を災害で失われた岩手、宮城、福島三県の代表の言葉に涙をいたしました。悲しみを乗り越え、一日も早い復興を願う被災者の願いに政治がしっかり応えなければならないと、私も改めて思ったところであります。

震災から十年の復興期間のうち、集中復興期間が二〇一五年度で終了いたします。復興住宅の建設、宅地等のかさ上げを初め、被災
地の復興はまさにこれからでありますけれども、竹下復興大臣が最近被災自治体に負担を求める発言を行い、被災地からは批判の声が上がっています。例えば、住宅整備など、本体事業は全額国費でやる意義はあるが、復興といってもいろいろな事業があり、復興事業全部を負担し続けるのは難しいだとか、また、全部国費というのは一番モラルハザードの原因だとまで述べています。

そこで、復興庁、復興副大臣にお伺いをいたします。竹下大臣の発言の真意について教えていただけますか。被災自治体に負担を求めるというのでしょうか。


○長島副大臣
私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

私も、一昨日、宮城県南三陸の追悼式に参加をしてまいりまして、それぞれ、国民の一人として被災地に深い思いをいたしてきたところでございます。

竹下大臣がそのような趣旨の発言をしたことは、私も承知をしております。集中復興期間後の事業のあり方として、全ての事業が十分の十でいいかどうかは議論の必要があると実は思っておりますが、まだ何か決めたということではございません。

委員御指摘のとおり、これからも被災地の声に耳を傾けながら丁寧に検討をしてまいりたいということでございますので、御理解を賜りたいと思います。


○田村(貴)委員

被災自治体に負担を求めるということは、まず一つに、復興関連事業が進まない、途絶えてしまうということであります。被災地における復旧復興関連業務がいかに膨大なものであるかは、五日の委員会でも私、述べました。自治体の投資的経費を震災前後で比較するならば、例えば岩手県の陸前高田市では四十・三倍、宮城県南三陸町では四十七・八倍、福島県の南相馬市では十二・七倍にも達しているわけであります。

だからこそ、宮城県の村井知事はこうおっしゃっています。少しでも負担が生じると、復興があっという間にとまってしまう。これはNHKの討論番組ですけれども、岩手県の達増知事も、同じ気持ちだと述べられました。

財政措置が少しでも途絶えてしまったならば、たちまち復興事業に支障を来してしまう、そのことを承知で大臣は発言されたのでしょうか。だとしたら、それは被災地の実情を顧みないものではないでしょうか。副大臣、どうでしょうか。


○長島副大臣
前段として、私の方から、復興庁として。

決して、復興事業をとめるつもりもとまらせるつもりもございません。それは、前段としてぜひ御承知おきをいただきたいと思います。

東日本大震災の復旧復興事業については、特別に財源を確保させていただいて、そして地方負担分を実質ゼロとして、今日までやってまいりました。これは、多分過去の災害の例を見ても異例中の異例だったということは委員も御承知いただけると思います。
理由は幾つかありまして、町全体が壊滅的な被害を受けてしまったということ、それぞれの市町村がこの財政負担にたえ切れるような財政状況ではないのではないかという心配があったこと、そして膨大な仕事量に対応し切るだけやはり市町村の能力を高める必要があったこと等いろいろあるために、実質負担ゼロという事業を今日までやらせていただいてまいりました。

そこで、三月十日、復興推進会議において、総理から竹下大臣に対し、集中復興期間の総括をしてほしい、そして、集中復興期間後の復興支援の枠組みについて検討を行うように指示がなされたところでございます。
地方負担のあり方についても、その検討の中で今後議論をさせていただくことになりますが、その際には、財政状況、事業の進捗状況等、被災団体の置かれている状況がさまざまであることも踏まえながら、丁寧に議論を尽くし、理解を得られるようにしてまいりたいと思います。ぜひ御理解を賜りたいと思います。


○田村(貴)委員
議論はあるかもしれませんけれども、被災自治体に負担を求めるということは、マンパワーの確保も得られない。二つ目の問題を今から述べたいと思います。
毎日新聞の三月十一日付にこういう報道があります。「「自立」に被災地困惑」「応援職員国費頼み」「被災地の自治体は「何が国費から削られるのか」と疑心
暗鬼にかられている。懸念する「負担増」の一つが、全国から派遣されている応援職員の給与だ。」「被災自治体の幹部は「多くの自治体から集中復興期間以降の派遣打ち切りを言外ににおわされている」と明かす。」こういう記事がありました。

町の三七%が浸水した宮城県山元町という自治体は、町職員百八十三人に対して、全国六十自治体や民間からの応援職員が百十三人。町役場の担当者は、「応援職員に引き揚げられると、行政サービスの低下は避けられない」こうした記事でありました。
被災自治体への応援職員の派遣について、その拡充については五日の質問でも取り上げました。二之湯副大臣は、「復興庁とも協力しながら、被災自治体の要望を伺いながら、より一層人的支援の充実に努めてまいりたいと思っております。」と答弁されました。高市大臣も、「やはり大変な復興事業を行っていく、また、住民への支援を行っていく上で、被災団体のマンパワーの確保は重要な課題であるということを認識しております。」総務委員会での総務省の答弁はこうでありました。

復興庁はどうなんでしょうか、応援職員の派遣の重要性と実態を知った上で、こうした検討が必要だとか被災自治体の負担だという言葉を持ち出してこられたんでしょうか。

財源がなくなったら、全国からの自治体への派遣応援はできません。その時点で、被災地の復興は進まないし、住民サービスの低下は必至であります。副大臣、被災自治体への負担を求めることは到底できないのではありませんか。お答えいただきたいと思います。


○長島副大臣
竹下大臣の発言から少しエスカレートした議論が一部あって、この財源がなくなるのではないか、この財源が引き揚げられてしまうのではないかという議論が少し先行しているような気がしますが、先ほど申し上げましたとおり、我々は、まだ何も決めているわけではありません。
ただし、集中復興期間終了五年後、次の五年間をどうしていくかというために、この五年間の検証、つまり、何がなされてきたのか、そして何が残っているの
か、これから何が必要なのかということをきちんとレビューをした上で、ゴールデンウイークごろには被災自治体の皆さんの不安を含めてきちんと形を示すこと
が、やはり被災自治体にとって、次の五年間、そして、それから被災自治体が将来に向かって不安を払拭できるような形で我々は検討を進めていきたい。
決して、一方的に全ての事業に一律に負担を求めるということで大臣が発言をされたことではないので、ただ、財源を確保する上で、これから何ができるのか、何が必要なのかも含めて議論をさせていただきたい、そんなふうに思っておりますので、ぜひ、我々復興庁、総務省とも検討しながら、マンパワーを引き揚げて被災地をストップさせたり減速させるようなことは決していたしませんから、そこのところは理解をいただきたい、そんなふうに思います。


○田村(貴)委員
長島副大臣はそうおっしゃいますけれども、先走りと言われましたが、ただ、大臣が、復興事業、全部負担を続けるのは難しいと言われたら、これはやはり不安が広がりますよ。当然のことだと思います。

被災者向け住宅用地の完成率は、福島県がまだ三二%、宮城県が二二%、岩手県が一三%という状況であります。

仙台市の奥山市長は、復興大臣が被災自治体に負担を求める考えを示したことに対して、こう語りました。大きな違和感だ、五年で復興が終わるわけではない、状況を抜きに、期限が来たら自助努力だというのは理不尽だというのが率直な印象。

私は、この市長の思いは当然の思いだというふうに思います。自治体の長からいろいろと懸念と不安が出されていますけれども、これはやはりしかと受けとめるべきではないでしょうか。副大臣、いかがですか。


○長島副大臣
冒頭申し上げましたとおり、何を決めているわけでもありません。ただし、これから、次の五年間をどうするかということについて、財源も含めて議論をさせていただきたいということでございます。
ですから、今、いろいろな意味で心配の声が上がっていることを受けとめながら、心配の声を払拭できるような丁寧な説明も含めてやらせていただきたい。その上で、将来、自治体として、被災者として自立できる方向を目指せるものなら目指していきたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員
もう一問。

宮城県の村井知事は、この復興財源を確保することが自立をおくらせることには決して当たらない、財務官僚でなく被災地の方を向いてほしい、九日の記者会見であります。

もちろん、被災地の方に向かなければならないのは当たり前でありますけれども、大臣は、あるいは復興副大臣は、復興庁は、どちらの方を見て仕事をされているんですか。お伺いします。


○長島副大臣

もちろん、我々に与えられた課題は、被災地の一日も早い復旧復興、自立であります。そこのところを、大臣も我々政務も一丸となって向き合って仕事をしていきたい。そのために、丁寧な説明も丁寧な議論もさせていただきたいし、何がこれから加速をすることになるのかも含めて、被災地の皆さんとより連携をさせていただきたいということでございます。


○田村(貴)委員
被災自治体への負担とか自立という議論なんかは、私は今の時点で本当に論外だというふうに思います。二〇一六年度以降も、被災地復興支援は全額国費によって賄うべきであります。この枠組みをやはり堅持すべきであります。

高市大臣にお伺いします。

高市大臣は所信表明のときにこう言われました。「閣僚全員が復興大臣であるとの意識のもと、東日本大震災の被災地の再生のために力を尽くします。」私は、そのお言葉、大変印象に残っています。全閣僚が、閣僚全員が復興大臣との意識ですね。

そもそも、震災復興特交の原点は何であるか。

「地方財務」の二〇一二年八月号で、当時の総務省黒田財政課長がこの「地方財務」の中でこう述べておられます。復旧復興事業の財源に充てるために地方債を発行し、その元利償還には地方交付税による手厚い財源措置がされるものとはいえ、償還期間は長期にわたるものであることからも、将来的な財政状況の悪化を懸念する指摘がなされているところとなった、これらを踏まえ、被災自治体の実質的な財政負担を解消する、ゼロとするという対応を講じることとした。

何であの震災復興特別交付税が創設されたのか。このような議論の上につくられたんですよね。この原点を壊していいんでしょうか。復興財源は国として全額を持つ、このことを強く求めるものでありますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。


○高市国務大臣
まず、二十七年度の対応につきましては、震災復興特別交付税、これについては精いっぱいの対応をさせていただいたつもりでございます。
そしてまた、先ほど委員が指摘されたマンパワーの確保についても、引き続き総務省として、これは力を入れてまいります。既に各地方公共団体、民間企業や公務員のOBの方々に大変な御協力をいただいているんですが、まだ、残念ながら、被災自治体から何人必要だと言われるその全ての数を充足できているわけではございません。ですから、引き続き要請も続けてまいります。

そうすると、やはり財源の心配があってはいけないということになります。二十八年度以降、集中復興期間以降の復興事業については、それまでの進捗状況を踏まえ、財源も含めてそのあり方について検討するということになって、その一つとして、地方負担のあり方についても政府全体で検討されるということになります。恐らく、震災復興特別交付税もそのうちの議題の一つではあります。

しかし、その際には、やはり被災団体の財政状況それから事業の進捗状況、よく被災団体から私どもでお伺いをして、被災地の復興に真に必要な事業の実施に支障が生じないように、またマンパワーの確保にも支障が生じないように適切に対応してまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員
自治体に負担を求めることはなく進めていただきたいというふうに思います。

時間もありませんので、次に地方税法改正案について伺います。

政府は、法人事業税の外形標準課税の割合を二年で段階的に現行の四分の一から二分の一に拡大するとしています。

総務省にお伺いします。
二月十八日の地方法人課税のあり方等に関する検討会において示された資料があります。一法人当たりの負担変動、この試算について説明をしてください。外形標準課税を二分の一に拡大した場合の黒字企業、赤字企業の税負担の増減はそれぞれどうなるんでしょうか。資本金区分ごと、一社平均の負担変動額を述べていただきたいと思います。


○平嶋政府参考人
お答えを申し上げます。
先月十八日に開催いたしました地方財政審議会の地方法人課税のあり方等に関する検討会に資料として提出いたしましたものは、平成二十五年度の課税実績の速報値をもとに、法人事業税の外形標準課税を拡大した場合の影響額を機械的に試算したものでございます。二十五年度ということでございます。
その結果によりますと、一社当たりの負担増減は、欠損法人で、一億円超十億円以下で三百万円の負担増、十億円超五十億円以下で一千五百万円の負担増、五十億円超百億円未満で二千九百万円の負担増、百億円以上で一億五千五百万円の負担増であり、全体では一千六百万円の負担増となっております。

一方、利益法人では、一社当たり、一億円超十億円以下で二百万円の負担減、十億円超五十億円以下で七百万円の負担減、五十億円超百億円未満で八百万円の負担減、百億円以上で五千九百万円の負担減であり、全体では七百万円の負担減となっております。
なお、欠損法人と利益法人を合わせた影響としましては、一億円超十億円以下で百万円の負担減、それから十億円超五十億円以下も百万円の負担減、五十億円超百億円未満で二百万円の負担増、百億円以上で六百万円の負担増でございまして、全体として増減均衡になっているということでございます。

以上でございます。


○田村(貴)委員
今述べてもらった試算結果を表にまとめたのがお手元配付の資料でございます。ごらんいただきたいと思います。

(委員会配布資料はこちら)

一目瞭然であります。利益法人、つまり黒字企業は、どの資本金区分をとっても負担減、減税となります。資本金百億円以上の黒字大企業では、何と一社平均五千九百万円もの減税となります。外形標準課税の拡大で最も恩恵を受けるのはこの部分、力を持ったところであります。一方、欠損法人、赤字企業は全て負担増となります。

黒字企業には大減税、赤字企業は大増税、これはおかしいんじゃないですか。


○平嶋政府参考人
お答えを申し上げます。

今回の、所得割の引き下げと外形標準課税の拡大を内容といたします法人事業税の改革は、法人税改革の一環として、企業の稼ぐ力を高め、法人事業税を成長志向型に変えていくことを目指して、法人実効税率の引き下げを税収中立で行うものということでございます。
今委員から御指摘がありましたが、ここにございますように、ここに出ているのは資本金一億円超の、俗に言う大企業でございます。大企業で一億円超の資本金を持っているようなところは、ずっと赤字であったらそれは倒産してしまいますので、ずっと赤字企業であるということはまず考えられないということでござい
ます。

二点目で申しますと、この赤字企業の中には、単年度の損益で見れば黒字であるけれども、過去の赤字のせいで、繰り越しのせいで赤
字になっているという企業も実はございます。そういうことを考えますと、こういった企業がいつまでも赤字のままということもないわけでございますので、そ
ういった企業に適正に負担していただくということと、むしろこの赤字企業も、黒字になれば実際はその黒字になった年は減税になるわけでございますので、ぜひこういった企業にきちんと稼いでいただいて経済を活性化していただくことを期待しているということで御理解をいただきたいと考えております。


○田村(貴)委員
稼ぐ力をつけるとか、黒字になれば減税だとか言いますけれども、では、努力したら稼げるようになるんでしょうか。そうは簡単にいかないと思いますよ。

外形標準課税は応益負担の原則でやっています。拡大して広く負担を求めるというふうに言われますけれども、税の原則はやはり応能負担ではないでしょうか。応能負担の原則はちゃんとしっかりと基本に据えていただかなければならないと思います。

担税力のある黒字大企業にこそ応分の負担を求めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。


○平嶋政府参考人

委員から、今、応能課税か応益課税かというお話がございましたけれども、応能課税も重要であるという面はありますが、地方税においては、やはり行政サービスの対価として、応益課税を重視すべきであるという原則があることはぜひ踏まえていただきたいというふうに思っております。

そういう意味で、今回の法人事業税所得割の税率の引き下げと外形標準課税の拡大というのは、今申し上げたとおり、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減することで成長につなげていくということだと思います。
一億円超の資本金を持っておられる企業というのは、基本的には稼ぐ力を底力として持っておられるということだと思います。そういう企業が赤字ぎりぎりでい
るよりも、黒字で稼いだ方が税が少なくなるということが、やはり稼ぐ力につながると思っておりますので、ぜひ、その趣旨を御理解いただければというふうに
思っております。

○田村(貴)委員
外形標準課税を拡大すれば応能負担は後退しますけれども、それは事実ですよね。いかがですか。


○平嶋政府参考人
その点は事実です。


○田村(貴)委員
そこのところは否定できなかったと思います。

総務省は、いろいろな対策をしているとおっしゃいます。しかし、激変緩和の措置、これもあるんですけれども、二年間です。それから、二年後には消費税は一〇%に上がります。物価も引き上げられると政府自身が言っています。
このような状況のもとで、二年間で稼げるようになれというのでしょうか。雇用や賃上げへの配慮もしているということでありますけれども、これも期限つきで
あります。十分とは言えません。そもそも、赤字企業へ課税することによって労働者の雇用や賃金に対して何らかの影響が出ると考えておられるからこそ、総務省としてもこういう措置を講じているのではないかなと私は思うわけであります。

なぜ、きょうこの問題を取り上げているかといいますと、中小企業への適用拡大の懸念があるわけなんです。
中小企業への外形標準課税の拡大、与党税制改正大綱、これは年末の十二月三十日、法人税改革の第二段階として行う外形標準課税のさらなる拡大について引き続き検討するとしています。そして、中小法人についても、中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人までまちまちであることから、そうした実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下を中小法人として一律に扱い、制度を適用していることの妥当性について検討を行う、中小法人についても、七割が赤字法人であり、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況があるとして、引き続き検討を行うとしています。

これは、政府としても同じ立場をとるんですか。


○高市国務大臣
全法人の九九%を占める中小法人につきましては、軽減税率が適用され、各種の政策税制もあり、欠損金の繰越控除の控除限度、外形標準課税等、多くの制度において大法人とは異なる扱いが認められております。
また、先ほど委員もおっしゃっていただきましたが、中小法人の実態、これは、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人までまちまちであると与党の税制改正大綱にありますとおり、そういったことから、中小法人課税については、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き幅広い観点から検討を行うとされておりますので、そのような観点に立って検討を行う必要はあると思います。

しかしながら、その上で、外形標準課税の適用対象法人のあり方については、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うともされておりますので、こうした方針に沿って検討していくことになると考えます。


○田村(貴)委員
まさに地域経済への影響が懸念される話なんですね。
全事業所数の九割を占め、その七割が赤字である中小企業へ外形標準課税を適用拡大すれば、地方経済や雇用に多大な影響を及ぼすことは明白であります。資本金一億円以上の税法上の線引きであるかもしれませんが、既に資本金一億円から三億円までの製造業の中小企業は、今入っているんですね、今でも外形標準課税の対象になっている中小企業があるわけなんですよ。赤字でありながら納税を余儀なくされている、こういう問題があります。

当事者である中小企業はもちろんのこと、各経済団体からも、地方の雇用や経済への影響を指摘する意見がございます。
日本経済団体連合会は、現在資本金一億円超の法人に課せられている外形標準課税の対象を資本金一億円以下の法人にまで拡大するならば、依然欠損法人が大半を占める中小企業の経営を大きく圧迫することとなり、地域経済全般にマイナスになるとの意見を表明しています。そのほか、日本商工会議所ほか経済団体から、地域の雇用を支え、労働分配率が八割にも達する中小企業への適用拡大は、赤字法人百七十五万社が増税とその影響が甚大であり、断固反対するとの声も上がっています。

この声を受けとめて、中小企業への外形標準課税の拡大はきっぱりとやめるべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。


○高市国務大臣
今後、税制改正のプロセスの中で検討されるべきことでありますけれども、きっぱりとやめるべきだとは思っておりません。
資本金一億円超といいますと、対象は全法人の一%でございます。そうなると、やはり応益課税といったことを考えますと、余りにも不公平だということ。それ
と、一概に中小法人といいましても、非常に大きな利益を上げているところもあるわけです、資本金が一億円以下であっても。これを一律に扱うことの妥当性については、きちっと検討を行っていく。

むしろ、稼ぐ力を導き出していく、そのモチベーションを上げていくということもこれからの日本の
成長にとっては必要だし、雇用を維持するためにも必要なことであるし、そしてまた、これから春闘の時期を控えておりますけれども、やはり賃上げへという流
れが出てきておりますので、とにかく公平に公正に、みんなが負担を広く薄く分かち合いながら、しっかりと成長へのモチベーションを高めていく、こういった
方向で検討されるべきだと私は考えます。


○田村(貴)委員
これはまた議論したいと思います。

通告に、軽二輪車の増税についてありました。
軽自動車は、公共交通手段が不便な地域を初め、広く日常生活の足となって使われています。二輪バイクは、所得の少ない若者の生活の足となっています。一年先送りなどというごまかしではなくて、軽自動車税の引き上げの原因となった消費税増税ともども、二輪の増税はきっぱり中止すべきだというふうに思います。

このことを強く求めて、きょうの質問を終わります。