192-衆-国土交通委員会 博多道路陥没 設計変更 国把握せず 田村貴昭氏追及 国交省「届け出なし」

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 十一月八日に起こった博多駅前の道路陥没事故について質問します。
 今回の事故は、地下鉄七隈線のトンネル工事に伴って起きました。あってはならない事故であります。奇跡的に犠牲者が出なかったものの、大惨事につながっていたかもわかりません。
 石井大臣は、この事故の重大性についていかに受けとめておられるでしょうか。


○石井国務大臣 今回の道路陥没は先月八日午前五時十五分ごろに発生をいたしましたが、陥没の五分前には道路を通行規制していたこと、また、陥没が早朝に発生したこともあり、幸い犠牲者が出なかったということでございます。
 一方、今回の道路陥没につきましては、福岡市では地下鉄七隈線の工事においてこれまでにも二回道路陥没を発生させていること、幅約二十七メーター、長さ約三十メーター、深さ約十五メーター、陥没した土砂量が約六千二百立米と極めて規模が大きかったこと、ライフラインの損傷や、周辺の銀行、コンビニエンスストアが営業を見合わせる等の被害が発生しており、市民生活に重大な影響が生じていることから、国土交通省としては、今後、徹底的な原因究明が行われ、再発防止策が講じられていくべき事案であると認識をしております。


○田村(貴)委員 大臣から答弁がありましたように、三度目の陥没事故であります。二回目の二〇一四年のときには、九州運輸局から警告書が出されて、行政指導がされていました。にもかかわらず、また事故が起きました。教訓が生かされていないのではないでしょうか。
 国土交通省は、今回の陥没事故に際して、過去の教訓が生かされていると考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。


○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
 七隈線の延伸工事では、平成二十六年十月二十七日に、延伸工事に支障する雨水管を移設する工事におきまして、道路陥没する事象が発生いたしました。
 これを受けまして、九州運輸局から福岡市交通局に対して、原因を究明し、再発防止措置を講じて、二度とこのような事象を発生させることがないよう指導するとともに、こうした措置等についての文書での報告を求めたところでございます。
 この報告によれば、陥没の原因は、雨水管移設のための立て坑を開削工法で掘削する際に、地盤改良した箇所の一部で改良不良が生じ、当該箇所から周辺の土砂が流入したためとされました。また、再発防止策として、地盤調査システムを導入し、地盤改良の状況をより多くの箇所で確認する措置等を行うこととされたところでございます。
 一方、今回の陥没は、岩盤層をNATM工法で掘削する際に発生したものでありまして、平成二十六年の道路陥没における工事とは地層や工法等が異なっているものと考えております。
 いずれにしましても、今後行われる原因究明と再発防止策の検討を踏まえ、今回のような事案についても、再び発生しないよう、しっかり再発防止対策が講じられることが重要であるというふうに考えております。


○田村(貴)委員 二〇一四年の運輸局の行政指導、警告に対して、事故原因が究明されなければいけない、それを求めていたにもかかわらず、福岡市の報告書は原因究明に至らなかったんですよ。私も読みましたけれども、結局、何が原因であるか特定されていないんですよね。これは事実であります。
 結局、国は、二回目の事故の警告に際して、確かな原因究明が図られていなかった。これは事実であります。是認をしてきたということであります。ですから、今回の事故に伴っては、確実に原因究明を行う、再発防止策を確立することが何よりも大事であると思います。
 さらに指摘しなければならないのは、今回の事故の二カ月前の八月末に、トンネル工事の施工者であるJV、共同企業体は、トンネルが崩壊するリスクに備えて設計変更を行っていたという事実があります。
 それは、まず、トンネルの天端の位置を一メートル下げる、それから、先受け鋼管を短縮した、それから、先進導坑を設けるというようなものでありますけれども、国土交通省に福岡市からの設計変更の届け出はされているのでしょうか。


○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、鉄道事業者は、鉄道事業法に基づきまして、鉄道施設に係る工事計画を変更する場合、その変更内容に応じ、認可申請または届け出を行う必要がございます。
 今回のトンネル断面の変更に伴う工事計画の変更につきましては、九州運輸局は、福岡市交通局から、鉄道事業法に基づく手続について相談を受けていたところでございまして、その際に、九州運輸局は、当該工事計画の変更については事後届け出の手続に該当する旨を伝達したということであります。
 そのような経緯から、九州運輸局は、今回の道路陥没が発生する前に計画変更については承知しておったところでございますが、今回行われたトンネル断面の変更に伴います工事計画の変更につきましては、福岡市交通局が鉄道事業法に基づきます認定事業者制度により特定認定鉄道事業者に認定されていること、それから、断面の変更が行われるトンネルにつきましては、類似設計による寸法の変更であり、変更後の長さが二百メートル未満であることから、事後届け出の手続に該当いたします。
 実際の設計変更は十月に行われたところでございまして、福岡市交通局は届け出の準備をしていたということでございますが、その過程で今回の事案が発生したため、現時点ではまだ届け出は行われておりません。


○田村(貴)委員 結局、話は聞いていたけれども、重要な設計変更の届け出を受けていない、そしてそれを確かめていないということであります。
 資料をお配りしています。二の方の資料なんですけれども、これは、あの博多駅前の大陥没の陥没と、それから地下鉄トンネルの位置関係をあらわした国交省提出の資料であります。かたい岩盤、頁岩ですね、この上部に砂質土、それから砂れきが位置しています。

(委員会提出資料はコチラ)

 トンネルの中に大量の水や土砂が今流れ込んだんですけれども、だとするならば、このトンネル工事の位置関係というのはこれでよかったのか、あるいは、トンネルの周囲の岩盤が非常に安定しているということを前提にして進めるNATM工法という工法でよかったのか、さまざまな疑問が出てまいります。
 つまり、今回JVが行った設計変更というのは、トンネルの上端、この緑色の上端ですね、ここからトンネルの上の地層、いわゆる土かぶりに非常に問題がある、だから下げる、離そうといったところの証左でもあったわけなんです。
 この陥没を起こしたところのトンネルの位置関係あるいは工法については、事故原因究明の重要なポイントになるというふうに私は確信するものでありますけれども、国交省はいかに捉えておられますか。


○五道政府参考人 お答えいたします。
 十一月二十九日に福岡市で開催した第三者委員会では、当該事故に関する原因究明及び再発防止に関し、設計や施工の経緯等について、設計変更も含めて、福岡市及び関係者によりヒアリングを行ったところでございます。原因究明に当たっては、その設計変更についても考慮して検討が行われるものと考えております。


○田村(貴)委員 もう一度質問しますね。
 ここのトンネルの設計変更したところの位置関係、それから工法については、ちゃんと検証していかなければいけない、設計変更したんだから。ここの部分はかなり重要なポイントだと思いますけれども、国交省はどう捉えていますかと聞いているんですよ。


○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
 今回のトンネル断面の変更については、鉄道事業法に規定された認定事業者制度に基づきまして、事後届け出とされておるところでございます。
 この認定事業者制度は、鉄道事業者の有する技術力に応じた技術関係規制の合理化を図るために平成十二年に創設された制度でございまして、鉄道施設等の設計に関する業務の能力が国土交通省令で定める基準に適合することについて、事業者の事務所ごとに認定を行うものでございます。
 当該認定を受けた鉄道事業者が、例えば、今回のようなトンネル断面の変更に伴う工事計画の変更を行う際に、通算して十年以上の実務の経験を有する者であることなどの要件を満たす設計管理者が当該鉄道施設を設計し、鉄道に関する技術上の基準を定める省令、いわゆる技術基準省令で定める規定に適合することを確認した場合には、その変更が技術基準に適合するものとし、簡略化した手続によることができる、そういう制度になっておるということでございます。


○田村(貴)委員 委員長、お聞きになったと思うんです。全然質問に答えられていないですよね。
 これは、第三者委員会、検討委員会の西村委員長はこう言っていますよ、事故現場上部の岩盤付近が原因究明のポイントになると。まさにここはコアとなる部分なんですよ。ここの部分の解明が今から待たれるわけなんですよ。その認識について聞いているんですけれども、これは重要なポイントじゃないんですか。一言で答えてください。


○五道政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、今回の設計の中身において、土かぶりの厚、そういうものが検討の重要なポイントであるというふうに考えております。


○田村(貴)委員 端的にお答えいただきたいと思います。
 事故現場の付近の地盤は、当初、薬剤注入で改良する方針だった。しかし、JVからの提案を受けて、福岡市は、落盤防止用の屋根の鋼板を二倍にしたということも、きょう地元紙で伝えられています。いろいろな変更が行われていたんですよ。それほどやはりデリケートな地層であった、工事をするには非常に細心の注意を払わなければいけない、そういう環境にあったということが読み取れるわけであります。
 結果として、国はこの工事部分の難所を甘く見ていたんじゃないですか。見逃していたんじゃないですか。設計変更もちゃんと受け取らなかったんだから、求めなかったんだから。その辺についてはどうですか。


○奥田政府参考人 お答えをいたします。
 御質問が、国が今回の事故が起こることを見逃していたのではないか、こういうこと……(田村(貴)委員「難所」と呼ぶ)難所であるということを見逃していたのではないかということにつきましては、制度上、事後届け出ということではありますが、先ほど申し上げましたような制度のたてつけによりまして、そういったものの基準適合性というものが担保されていたというふうに考えております。


○田村(貴)委員 再度確認しますけれども、福岡市から九州運輸局に対して、国交省に対して、設計変更届は出されているのですか、今の時点で。


○奥田政府参考人 お答えいたします。
 先ほどもちょっとお答え申し上げたかと思いますが、実際の設計変更が十月に行われたところであります。福岡市交通局は届け出の準備をしておりましたが、その過程で今回の事案が発生し、現時点ではまだ届け出は行われていないということでございます。


○田村(貴)委員 やはり、トンネルの天端、この高さを一メートル下げる、工法についても重要な変更があった、そのほかの変更も行われていたにもかかわらず、その事実をちゃんと聞き取って、そして検証していく、この作業が国交省に求められていたのではないかなと私は思うんですけれども、それをスルーしたというのが事実であります。今に至るも出されていない。これは驚きであります。
 鉄道事業の許認可権者は国土交通省ですよね。そして、福岡市交通局が行うこの地下鉄七隈線の工事に対して、国交省はこれまで二十二億円もの補助金を出しています。国の責任は重大ではありませんか。
 この間の経過を見れば、国の行政指導責任が十分果たされていなかったことは明らかであります。第三者委員会、検討委員会に丸投げするのではなくて、監督官庁として国交省はしっかりと対処すべきであるということを主張させていただきたいと思います。
大臣にお伺いしたいと思います。
 今度立ち上げられた検討委員会なんですけれども、これは、唯一、この事故の検討をしていく、検証していく第三者委員会であります。ほかにこのことを検証する機関やそういう部署はありません。その検討委員会の責任は非常に重いものがあるというふうに思いますけれども、石井大臣はどういうふうに受けとめておられるでしょうか。


○石井国務大臣 福岡市からの依頼を受けまして十一月二十九日に設置された第三者委員会には、学識経験者等の知見を生かして今回の事故の徹底的な原因究明と再発防止策を検討いただくこととしておりまして、その責務をしっかりと果たしてもらいたいと考えております。
 国土交通省としても、この第三者委員会に対しまして、全面的に支援をしてまいる考えでございます。


○田村(貴)委員 先ほどから述べていますように、福岡市交通局からの設計変更を受けていないと。このデリケートな部分については、今の時点でももっと検証が図られてよかったのに、今まで図られてよかったにもかかわらず、事故が起こってしまったという中で、この検討委員会のメンバー、十二人挙げられています。そのうち、国交省と国交省関連の機関からの委員が五人おられるわけなんですよね。これで第三者的な位置づけとなっていくんでしょうか。
 本当にこの事故が原因究明されて、そして再発防止策が確立されていくのか、ここはしっかりとした検証が必要だと思いますけれども、どうでしょうか、第三者委員会。


○五道政府参考人 お答えいたします。
 本来、このような工事中の事故に関する原因究明につきましては、当事者により行われるものというふうに考えております。
 今回設置した第三者委員会は、福岡市長から、事故を起こした側が調査するということは市民の皆様から納得がいただけないし、国の最高の知見をもって徹底的に原因究明をしていただきたいとの要請を受けて、国土交通省所管の土木研究所に設置することとしたものでございます。
 委員につきましては、大学等の学識者や鉄道事業者等のほか、国の研究機関である国土技術政策総合研究所や土木研究所、そして、建設技術や鉄道関係施設の安全を所掌する国土交通省の担当者から選定しているところでございます。
 このように、国の最高の知見をもってという福岡市長からの要請を踏まえておりまして、委員の選定におきましても第三者性は確保されているものというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 石井大臣、私は福岡県民であります。この博多駅の博多駅前通りについても、本当によく通るところであります。あの時間帯がもし通勤時間帯にずれていたならば、あるいは水漏れに気がつかずに交通規制線が張られなかったら、あの五時という時間帯でも大惨事になっていたということで、本当にぞっとする事故であります。
 そこで、福岡県民も、全国の国民が知るところになったこの大陥没の事故について、二度と起こしてはならない、そして再発防止策と事故原因の究明をみんなが望んでいるところであります。その国民の期待、福岡県民の期待に、大臣、しっかり応えていただけるでしょうか。


○石井国務大臣 福岡市交通局七隈線につきましては、これまでも二回の道路陥没が発生しておりまして、同様の事象を防止するためには、原因究明や再発防止対策の検討を徹底的に行う必要があると考えております。
 本来、このような原因究明等は当事者により行われるものでございますけれども、福岡市から、市自身が原因究明することについて市民の納得を得ることができないのではないかとの懸念があり、第三者による原因究明を国土交通省にお願いしたいとの要請がございました。
 これを受けまして、国土交通省所管の土木研究所におきまして、原因究明や再発防止対策検討のための第三者委員会を設置いたしまして、第一回の委員会が先月二十九日に開催されたところでございます。
 福岡市には、二度とこのような事象が発生することのないよう、第三者委員会で得られた知見や教訓を生かし、万全の再発防止対策を講じていただきたいと考えております。


○田村(貴)委員 責任の所在と追及が曖昧にされてはいけないと思います。博多駅前通りの早期復旧のみが誇張されて、そして、ややもすれば美談として解決される向きもあります。しかし、あの大陥没事故は、犠牲者が出なかったからよかった、一週間で復旧したからよくやったで済まされる問題ではありません。大臣も同じ思いかと思いますけれども、だからこそ、緊張感を持って対処していくことが必要だと思います。原因究明と再発防止に国交省が責任を持って取り組んでいくこと、このことを強く求めたいと思います。
 一週間で復旧したからよくやった、犠牲者が出なかったからよかったで済まされないと私は思いますけれども、大臣、大臣の思いを最後に聞いて、質問を終えたいと思います。


○石井国務大臣 今回の道路陥没につきましては、陥没後、二十四時間体制で復旧作業が行われまして、一週間後の十五日の五時に道路開放され、避難勧告も解除されたところでございます。そのこと自体は、地元の建設業者さん、あるいはライフラインの管理者さんが懸命に復旧作業に取り組まれたということについては、私は敬意を表したところでございます。
 一方、福岡市におきましては、今回の事案について、先ほど申し上げたように、三回目の陥没事案であること、陥没規模が極めて大きかったこと、ライフラインの損傷等の被害により市民生活に重大な影響が生じたことなどから、重く受けとめていただきたいと思います。
 その上で、第三者検討委員会における原因究明等を踏まえ、緊張感を持って、再発防止対策や、安全かつ確実な工事の実施に努めていただきたいと考えております。


○田村(貴)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。