衆院農林水産委員会は11月26日、政府提出の漁業法改悪案についての参考人質疑を行いました。参考人から「企業の利益を上げるもので改定する必要はない」「地域漁民の生業(なりわい)が保障されるのか」などの意見が上がり、法案の問題点が改めて浮き彫りになりました。日本共産党から田村貴昭議員が質問に立ちました。
(質問動画はコチラ)(議事録)
帝京大学経済学部地域経済学科の加瀬和俊教授は、漁業法の目的を漁業生産力の発展に限る改悪に懸念を示し「地元の自然資源を漁業者が優先的に利用できる原則を外し、事実上企業優先に変更するのは戦前のシステムに後戻りすることになる」と指摘。「就労機会の乏しい漁村で地元資源に依拠し生活を成り立たせてきた沿岸漁業者から漁業権を奪わないでほしい」と訴えました。
鹿児島大学水産学部の佐野雅昭教授は、知事が漁業権を企業に付与できるようになる点について「地域の定住者の持続的な生業を保障することが前提だが、知事にそうした権限が委ねられているところが不安だ。どうなるのか見えてこない」と懸念を示しました。
田村氏は、「法案は審議に入ったばかりですでに採決の話も出ている。『70年ぶりの抜本改正』というなら漁民、漁協を交えた国民的議論が必要だ」と強調し、政府・与党側による拙速審議の受け止めを質問しました。佐野氏は「今の制度でも問題はない」と発言。加瀬氏は「現場の反対が大きくなる前に通してしまおうという魂胆だ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2018年11月27日)