○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
自然環境保全法の改正案について質問します。
今回の改正は、保全地域に沖合海底域を加えることで、沖合海底域における開発行為を規制し、生物多様性を保全するものであり、必要なことと考えます。より積極的な運用が必要という観点から質問をします。
まず、原田大臣にお伺いします。
愛知目標の、海域海洋保全区の一〇%目標というのは、来年、二〇二〇年までであります。その後の国際会議等々で目標値が上がることは十分予測できる話であります。率直に言って、一〇%目標は低いのではないか。小笠原諸島を保護区として設定するということでありますけれども、国際目標達成のための数合わせに終わらせてはいけないというふうに考えます。
原田大臣は所信で、G20議長国として、世界に対し、向かうべき未来像をしっかりお示しするためにも、引き続き、人と環境を守るという根本的な使命を果たすべく、全力を尽くしてまいりたいと述べられました。
この目標の設定について、更に大きな海洋保護区を設定すべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
○原田国務大臣 二〇一〇年に開催された生物多様性条約第十回締約国会議、COP10で、愛知目標、日本の名前のついた目標が設定されたところであります。国際的に保護区の設定が限定的だった当時の状況も踏まえて、海洋保護区の拡大に向けた当面の目標値として一〇%が採用されたものと認識をしております。
当該目標の目標年次である二〇二〇年が近づく中で、これまで、我が国の管轄権内の海域のうち、海洋保護区の設定は八・三%にとどまっております。愛知目標の達成にはまだ至っておりません。このため、自然環境保全のための保護区制度がない沖合域において海洋保護区を設定できるようにすることで、まずは確実に一〇%目標を達成し、我が国の自然環境の保全を図っていくことが重要であると思っております。
また、我が国は、COP10の議長国として愛知目標を取りまとめた経験を生かして、愛知目標のもとで進められている取組が更に発展して継続的に行われるように、来年開催されるCOP15において新たな目標の議論に積極的に貢献し、その結果も踏まえて、将来的な海洋保護区の設置については、その検討や調整を進めてまいりたいと思っております。
何とするところは、まずは一〇%目標をしっかりとまた達成する、まだ大分余地がありますので。あわせて、来年度中国で行われるCOP15におきましては、今までの国際的な目標一〇%でいいのかどうか。私どもからすれば、更にそれにつけ加える目標をやはり率先して推進していかなきゃいけないな、そういうふうに考えているところであります。
○田村(貴)委員 環境省にお尋ねします。
小笠原諸島の西之島、これはどうでしょうか。海底火山の活動によって生じた火山島であります。自然の摂理を現在進行形で確認できる貴重な海洋資源でもあります。周辺海域は海洋保護区の対象としてこれは検討されるのか、そうしたところは検討されているのか、教えてください。
○正田政府参考人 お答えいたします。
御指摘ございました西之島につきましては、海洋島における独特な生態系の形成過程を知るための貴重なケースとなり得るものであり、これを保全していくことは重要と認識をしてございます。
このため、現在のところでございますが、環境省におきましては、平成二十八年六月に西之島の保全のための上陸ルールを公表いたしまして、最小限の人員、頻度で計画することでございますとか、外来種を持ち込まないよう荷物ごと海に入った上で上陸する等の協力を呼びかけているところでございます。
また、平成二十九年五月より、生物、地質等に関する専門家による西之島の価値と保全にかかる検討委員会を立ち上げて、保全のあり方の検討を行っているところでございます。
今後、上陸による総合学術調査を今年度中に実施した上で、地元や関係行政機関との調整を図りつつ、西之島の保全方法について丁寧に検討を進めていきたいと考えております。
○田村(貴)委員 自然環境保全法における保全地域に海域として指定されているのは、西表島の崎山湾そして網取湾のみであります。海洋保護区制度における保全地域八・三%のうち六・九%、そのほとんどを占めるのは海洋水産資源開発促進法による指定海域であります。
そこで、水産庁にお尋ねします。
海洋水産資源開発促進法による指定海域によって、自然環境やそして生態系は十分これは保全されているのでしょうか。
○保科政府参考人 お答えいたします。
海洋水産資源開発促進法に基づく指定海域は、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場として効用が高く、かつ漁業生産において重要な地位を占めるものとして政府が定める海域でございまして、当該海域において海底の改変や掘削などを行おうとする者は、農林水産大臣又は都道府県知事への届出が義務づけられており、全国で三十一の海域が指定されております。
また、届出された内容により、当該海域の漁場としての効用を保全するために必要があると認めるときは、必要な勧告をすることができることとなっており、自然環境や生態系を毀損する行為に対して一定の抑止力としての機能をしていると考えております。
○田村(貴)委員 さて、その抑止力となっているかというところなんですけれども、続いて、「平成二十九年度 我が国周辺水域の漁業資源評価 第三分冊」というのが出されていますけれども、水産庁に、ここで、イカナゴ漁の、その減少と要因について記述されている部分があるので、ここで紹介していただけますか。
○保科政府参考人 瀬戸内海のイカナゴにつきましては、漁獲量が一九八〇年に過去最高の七万三千トンに達しましたが、二〇一七年には過去最低の約千三百トンまで減少しております。
御指摘のありました「平成二十九年度 我が国周辺水域の漁業資源評価」には、一九八〇年代の備讃瀬戸、これは岡山県と香川県の間の海域でございますけれども、この漁獲量の急減は、一九六〇年代から一九七〇年代にかけて急増した海砂の採取やしゅんせつによる生息場所の荒廃、減少が原因の一つとして考えられている旨の記載がございます。
つけ加えて御説明させていただきますが、二〇〇五年には海砂の採取が終了した東部でも、近年漁獲量は減少しておりまして、この原因といたしましては、イカナゴは夏の高水温時期に砂に潜る夏眠というのを行う習性がございますけれども、高水温によりまして夏眠中に多くが死滅したという可能性が考えられております。
また、最新の研究では、春から夏にかけての餌不足でイカナゴの成熟率や産卵量が顕著に減少するということが明らかにされておりまして、全ての原因が明らかになっているということではございません。
このため、水産資源調査・評価推進事業によりまして、引き続きイカナゴの資源の調査を行い、原因の解明を進めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 大激減ですよね。びっくりしましたね。七万三千トンあったものが千三百トンに減少した。その原因が海砂の採取によるものである、そして、二〇〇五年にはその採取も終了したんだけれども、海砂は掘ればなくなる性質が強いため、ここを生息の場所としているイカナゴは回復に至っていないということであります。
イカナゴは、ブリやサワラなど中型、大型の魚種の餌にもなっている。瀬戸内海の生態系を保つ上でも重要な魚種でありますけれども、こういう状況になった。
海洋水産資源開発促進法による指定海域では、人為的行為によって環境変化に歯どめがかかっていない、歯どめがかかるものとなっていないと言わざるを得ません。重要海域を抽出しながら、実際に保護区としている海域の保全がされているのか、これは環境省に今問われているところだというふうに思います。
環境省にお尋ねします。
重要海域と指定され、漁獲量減少に人為的行為が影響を与えている海域は、水産庁任せにするのではなくて、沿岸域も含めて、自然環境保全法の地区指定をもっと積極的に行うべきではありませんか。いかがですか。
○正田政府参考人 お答えいたします。
今回の改正法案の前提となりました中央環境審議会の答申におきまして、回遊する漁業対象種や海生哺乳類等の保全につきましては、関係する省庁が協力して漁業資源管理の取組や種レベルでの保全管理等を中心に行っており、今後も引き続きその保全に取り組むことが適当であるとされておるところでございまして、例えば漁獲可能量の設定等による漁業資源管理の取組が重要だと考えておるところでございます。
また、環境省におきましては、自然環境保全の観点から、地域の自然の特性やそれぞれの地域の保全の考え方があろうかと思います、こういったことに応じまして、例えば自然環境保全地域や自然公園を始めとする適切な保護区の指定でございますとか、地域に応じた多様な主体の参加するような保全の取組でございますとか、地域に応じた取組の促進というものを関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 失われたものはもう戻ってこないんですよね。ですから、新たに海洋保護区の指定が要るのではないかというふうに言っているわけであります。
この点で、漁業について確認しておきたいことがあります。
自然環境保全法の地区指定を行う際、特別地区における漁業行為については、漁業を行うため必要であれば、工作物の設置や海底の形質変更などの行為は除外されます。一方、熱帯魚等、農林水産大臣の同意を得て指定する動植物の捕獲については、事前に漁業者との調整があるということであります。
これは、特別地区以外であれば、なりわいとしての漁業行為については、調整はあっても指定に際して支障となるわけではない、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○正田政府参考人 お答えいたします。
自然環境保全基本方針、これは自然環境保全法に基づいて定めているものでございますが、この基本方針におきまして、自然環境保全地域の指定に当たっては、農林漁業等地域住民の生業の安定等の社会的諸条件にも配慮しながら指定を図るものとされておるところでございます。
具体的に申し上げますと、漁業関係団体への意見照会やパブリックコメント等を通じまして、同地域の指定や、採取、捕獲について規制を行う動植物種等について調整を行うこととしているところでございます。
なお、今回御提案してございます沖合海底自然環境保全地域につきましても、同様のプロセスによりまして、漁業との調整を図りながら同地域の指定を進めることを見込んでおるところでございます。
○田村(貴)委員 海洋保護イコール禁漁と捉えている漁業者の方もおられるわけであります。特別地区に関しては、指定を行う際に、何が規制されるのか、漁業者に丁寧に周知した上で調整を行い、積極的に沿岸域を保護していただきたいというふうに考えます。
続いて、沖縄県のジュゴンの保護に関して質問します。
先月十八日に、沖縄本島北部の今帰仁村の沖合で、ジュゴンが一頭死亡した状態で見つかりました。生存が確認されている三頭のうち一頭が死亡しました。残念でなりません。
ジュゴンは、国際自然保護連合、IUCNのレッドリストに危急種として指定されており、国内でも、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定もされています。文化財保護法の天然記念物にも指定され、水産資源保護法、鳥獣保護管理法において保護指定がされています。厳重に保護がされるべき動物であります。
そこで、環境省と防衛省に尋ねます。
沖縄の沿岸に生息するジュゴンの保護における政府の責務について、その基本的な立場について簡潔に説明をいただけますでしょうか。
○正田政府参考人 お答えいたします。
ジュゴンにつきましては、今御指摘ありましたとおり、環境省のレッドリストにおきまして、絶滅危惧1A類、すなわち、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種に選定をされております。また、鳥獣保護管理法に基づく希少鳥獣等に指定されておるところでございまして、保護を図る必要があるものとして、環境省としてもこれまでも取組を行ってきたところでございます。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
普天間飛行場代替施設建設事業、こちらは沖縄防衛局が事業者でございますけれども、この事業におきましては、事業の実施によるジュゴンへの影響を回避、低減するということを目的といたしまして、関係船舶が、ジュゴンが頻繁に確認される区域内をできる限り回避して航行することとしているほか、生息状況の把握及び工事海域への来遊の監視に努めるなど、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言をいただきながら、ジュゴンへの影響につきまして最大限配慮をして工事を進めているところでございます。
○田村(貴)委員 そこで、防衛省に質問しますけれども、ジュゴンの個体Bが死んだわけでありますね。沖縄防衛局の第十九回環境監視等委員会では、個体Bについて、委員から、工事の影響を確認する必要が指摘されたと報じられています。
古宇利島の藻場の状態や土砂運搬船の影響についてはどういうふうに認識されていますか。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
死亡が確認をされましたジュゴンの個体Bでございますけれども、これにつきましては、これまでの確認状況を踏まえますと、工事区域から遠く離れた沖縄本島の西海岸にございます古宇利島沖を主な生息域としていたものと考えてございますけれども、今後、今帰仁村が主体となりまして、関係者が立会いのもとで解剖が行われる予定と承知をいたしております。引き続き、今帰仁村などから情報を収集していきたいと考えております。
また、部外の専門家から成る環境監視等委員会の御指導等々を得ながら、個体Bのこれまでの確認状況あるいは古宇利島の海草藻場の状況、また、土砂運搬船の航行状況について整理をするなど、今後、必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○田村(貴)委員 土砂運搬船の航路とジュゴンが回遊しているところは、軌を同じくするところもあるわけですよ。埋立土砂を積んだ運搬船は、名護市の西側から東側に回るわけです、辺戸岬を回遊して。ジュゴンBは、古宇利島を離れて、辺戸岬を回っていたことも確認されています。ここにやはり因果関係があると見るのがこれは常識的な考えではありませんかね。こうしたことをしっかり踏まえて、今から、なぜ死んだのか、そして、ジュゴンの生態はこの工事によってどう影響を受けているのか、ここはしっかり検証していただきたいと思います。
重ねて防衛省にお伺いします。今度は個体Aについてです。
嘉陽沖で生息していた個体Aは、今、確認されなくなりました。はみ跡が確認されなくなったのはいつですか。藻場を利用しなくなったのはいつと捉えていますか。最後に個体Aを確認したのはいつですか。答弁してください。
○三原政府参考人 お答えいたします。
辺野古、この大浦湾の西部でございますけれども、それから嘉陽、安部の各海域における海草藻場の利用状況調査において、平成三十年十一月の十二日から十五日の調査におきまして、嘉陽海域において二十五本のはみ跡が確認をされてございましたけれども、十二月六日から九日の調査及びそれ以降の平成三十一年一月、二月、三月の調査において、ジュゴンのはみ跡は確認をされてございません。
したがいまして、平成三十年十一月十二日から十五日の調査で確認されたはみ跡につきましては、前月の十月十七日の調査完了以降に残されたものであると考えられることから、嘉陽沖が主な生息域である個体Aにつきましては、十月十八日から十二月五日の間に嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなったものであると考えてございます。
また、御指摘の生息状況につきましては、航空機による調査において、個体Aは平成三十年九月十一日に確認をされて以降、生息は確認をされておりません。
この個体Aは、嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなった時期は、工事の護岸の造成など水中音を発するような工事は実施をしておりませんで、また、嘉陽海域における海草藻場の分布状況についても、平成三十年七月から十月までの調査時から大きな変化が見られないということなどから、個体Aが確認をされず、嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなっていることについては、工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。
なお、この考え方につきましては、部外の専門家による環境監視等委員会において指導助言を受けたものでございます。
以上です。
○田村(貴)委員 恐るべき認識だと言わざるを得ませんよね。工事とは全く関係ない、言い切っていいんですか。
この時期は、先ほどおっしゃいました、防衛省も認識しているじゃないですか。去年の九月の十一日の確認が最後と。十月十八日から十二月五日の調査開始までの間に藻場を利用しなくなったと。この時期というのは、土砂埋立ての区域の護岸が建設されている途中であります。そして、十二月は沖縄防衛局が土砂投入を始めた時期であります。新基地建設工事が個体Aを唯一の安住の地から追い出す結果となった、こう見るのが自然じゃありませんか。ほかに何か要因は考えられますか。あんな大規模な工事をやっているわけですよ。
個体Aがいなくなったのは、基地建設工事の影響であります。工事を直ちに中止し、原因究明と、そして生存確認、保護に当たるべきだと思いますが、まず防衛省、いかがですか。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
嘉陽沖が主な生息域でございます個体Aが確認できなくなった時期に行っておりましたのは工事再開に伴う復旧作業に限られまして、護岸の造成など水中音を発する工事は実施をしておらなかったということから、個体Aが確認されていなかったことについては工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。
また、古宇利島沖から辺野古沖までの間を行き来するなど、いわゆる個体C、広範囲で確認されておったものでございますが、これが最後に確認をされた古宇利島沖は事業の実施区域から遠く離れておるということから、工事の影響とは言えないと考えてございます。
これらにつきましては、環境監視等委員会の指導助言を受けたものということでございます。
普天間飛行場の代替施設建設事業におけるジュゴンの保護につきましては、この環境監視等委員会の指導助言をいただいてやってきたものでございまして、引き続き、環境保全には最大限配慮をして工事を進めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 現実の問題として、真実として、個体Bは死亡した、個体Aと個体Cについては確認されていない。防衛省は、保全の義務を負っているわけですよ。辺野古の新基地建設がジュゴンの生態系に影響を与えない、これは大前提でしょう。そして、いなくなったんでしょう。
このジュゴンは、もとの、Aだったら嘉陽の藻場に戻ってきてほしくないと思っているんですか。いなくなったままでいいと思っているんですか。戻ってこないといけないんじゃないんですか。どうなんですか、そこは。このままでいいんですか。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
考え方といたしましては、嘉陽沖において個体Aが確認をされなくなったということにつきましては、先ほど申し上げたところでございますけれども、工事で水中音を発していない時期にいなくなっておるということから、工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。
この考え方は、部外の専門家の方々からの指導助言を受けた上でのものでございますので、もちろん環境保護には最大限の配慮をしていくということでございますけれども、工事の影響であるとは言えないと考えておるところでございます。
○田村(貴)委員 何と無責任な。何と無責任な態度なんでしょう。
原田大臣、今、政府は、沖縄県民の土砂埋立反対の明確な民意に反して、毎日土砂投入しているわけですよ。これ、土砂投入は水中音しますよね。そうしたら、帰ってこれなくなるじゃないですか。二十二万台のダンプカーに相当する土砂を今投じているわけなんですよ。これは、N3からN5、わずか小さなあの護岸に囲まれた区域、ここだけでもダンプカー二十二万台。これ、毎日投入して埋め立てていくわけでしょう。こんなことしたら、ジュゴンは帰ってこれませんよね。環境省、それでいいんですか、こんなことやらせておって。
少なくとも、工事をとめるべきですよ。工事をとめて検証すべきじゃないですか。観察を行うべきではないですか、経過観察。そのためには工事をとめないと観察できないじゃないですか。もとの藻場に安心して戻ってこれるかどうか。戻ってきたんだったら因果関係がはっきりするじゃないですか。今すぐ工事をとめる必要があるんじゃないですか。防衛省、いかがですか。とめないんですか。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
大変恐縮でございます、繰り返しの御答弁になりますけれども、先ほど申し上げた理由から、工事による影響とは考えておらないというところでございまして、海上工事をやめるべきではないかという御指摘については、なかなかそうは申し上げられないということでございます。
○田村(貴)委員 これは、沖縄県民も、それから多くの国民も納得するところではありませんよ。現に個体が死んだ。現に個体がいなくなって確認できていない。もう長くそこにすみ続けていた天然記念物、希少生物がいないんですよ。工事による影響に決まっているじゃないですか。
環境省、種の保護法、これで指定すべきだと我が党の塩川鉄也議員も、二〇一七年の種の保存法改正の審議のときには強く要求をいたしました。保護地域、保護区域の設定を通じて生息環境の改善、個体数の回復を図る措置を行うべきだと求めたんですけれども、他法で措置されている、環境省はそういうふうに言っています。
結局、他法で適切に保護されていないじゃないですか。死なせてしまった。他の保護法法制で担保がされていないということになったら、これは、種の保存法によって指定を行い、直ちに規制に入るべきではありませんか。いかがですか、環境省。
○正田政府参考人 お答えいたします。
ジュゴンにつきましては、国内的には鳥獣保護管理法の対象になっており、個体の捕獲、殺傷が原則禁止となってございます。また、国際的には、ワシントン条約において附属書1に掲載されており、商業目的での国際取引が禁止されております。このため、既にこれらの法令により必要な規制はなされていると考えているところでございます。
種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定等につきましては、指定による施策効果を勘案しつつ、今後、その必要性について検討してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 いなくなったらいなくなったでもうおしまい、死んだら死んだでそれでおしまい、そんな感じでいいんですか。今こそ人為的な行為を、きょうの法案の一番の大事なところでしょう、人為的な行為が環境を破壊するものであり環境を変質させるものであったら、ここをちゃんと縛っていく、これが法のたてつけじゃないんですか。それが、もうこんなことになってしまったらしようがないという立場でいいんですか。私はそれは絶対許されないことだと思いますよ。
辺野古の沿岸とか大浦湾とか、こうしたところをやはり海洋保護区として指定していくべきです。
原田大臣、一番最初にお伺いしたことなんですけれども、海底保護区、これをつくっていくのは大事なんですね。賛成です。小笠原海域も、当然なことだと思います。もっと広げていきたい。
今、やはり、イカナゴの話もしました、ジュゴンの話もしました。身に迫って環境が変異している、異質な状況に陥っている、そして生態系が激変している。こんなところは、やはり重要海域、重要海洋保護区として指定していくべきではないかと思いますけれども、お話を聞いていて、大臣、所感があれば。
○原田国務大臣 沖縄の案件につきましては、これは沖縄防衛局の方が適切に対応していただいているものと認識しているところであります。
いずれにいたしましても、これから、小笠原を含めてどこを指定するかについてはしっかり検討していかなきゃいけない、こういうふうに考えております。
○田村(貴)委員 米軍基地建設のための埋立てによって環境破壊など、言語道断と言わなければなりません。
通告していますけれども、この自然環境保全法の基本となる基礎調査、これについては充実、体制を強化していかなければならないと思いますけれども、これは純増で体制補強していくつもりなのか、最後、このことだけお聞きしたいと思います。
○正田政府参考人 お答えいたします。
自然環境保全法改正案におきましては、関係行政機関や独立行政法人等に対し、科学的知見の提供等の協力を要請することができる規定を新設するほか、三十五条の八で科学的知見の充実が国の責務とされていることを踏まえまして、自然環境保全基礎調査を始め、調査に必要な予算を環境省でも確保するように努力してまいりたいと考えております。
また、環境省の体制につきましても、本年度から、環境本省に海洋生物多様性担当ポストを設置したところでございます。
さらに、法の運用に当たりましては、関係省庁との連携をより密にいたしまして、必要に応じ、適切な体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 十分充実させて、必要なところの海洋保護区を広げていっていただきたい、そのことを強く要求して、質問を終わります。
ありがとうございました。