198-衆-国土交通委員会-15号 2019年5月29日 JR九州日田彦山線の災害復旧について/下関北九州道路 予備的調査について

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。よろしくお願いします。

最初に、下関北九州道路について一点質問します。
五月十七日、下関北九州道路に関する予備的調査を野党共同で院に要請をいたしました。衆議院規則に基づく要請であります。
四月に、国土交通副大臣が、統一地方選挙のさなかに、安倍総理と麻生副総理にそんたくしたとの発言がありました。行政がゆがめられたのではないか、国民の疑念が広がっています。それを解明するのが国土交通委員会の使命でもあり、その解明に向けて、もととなるのが私たちが要請した予備的資料であります。なぜ、下関北九州道路だけが復活をしたのか、財政措置が講じられたのか、その国土交通省の石井大臣の意思形成過程における大事な文書であります。
国交省、しっかりと受けとめていただいたでしょうか、この資料の提出についてはどうなるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。


○池田政府参考人 下関北九州道路に関する予備的調査につきまして、五月二十二日、衆議院国土交通委員会から調査局長に対し、調査が命じられたと承知をしております。
国交省といたしましては、今後、衆議院調査局からの要請に応じまして、調査の実施には誠実に対応してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 ぜひ、速やかにこれらの文書、資料が提出されるよう、委員長においてもお計らいをいただきますように要請をさせていただきたいというふうに思います。


○谷委員長 委員長の方からは、調査局に既に命じてあります。


○田村(貴)委員 JR九州の日田彦山線の災害復旧について質問します。
二〇一七年の七月、九州北部を襲った豪雨水害によって、福岡県、大分県では甚大な被害が生じました。北九州市と大分県日田市をつなぐJRの日田彦山線、この日田彦山線が、福岡県の添田駅、そして大分県の夜明駅、この間で、約二十九キロ間、線路が寸断されるなどの被害を受けて、いまだに復旧に至っておりません。
この豪雨では、日田彦山線と交差をする久大線、この久大線も十七億円の被害を受けたところでありますけれども、発災後から復旧工事が始まり、当初は復旧に三年かかると言われていましたけれども、一年で復旧されました。また、二〇一六年の熊本地震では豊肥線が四十八億円の被害に遭い、二〇一七年の台風十八号の被害では、日豊線が、三十一億円の被害が生まれました。JRは、いずれの災害被害に対しても、JRの独自の力をもって復旧しています。
お伺いしたいのは、なぜJR九州は日田彦山線に限って復旧をしていないんでしょうか。国交省、お考えを聞きたいと思います。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
JR九州によれば、日田彦山線は、他の被災路線と比べまして、復旧費用が多額であること、また輸送人員が大きく減少していることから、一定の収支改善効果がなされなければ復旧後の継続的な運行が困難であると聞いておりまして、その点に関しましての検討が必要だというふうに承知しているところでございます。


○田村(貴)委員 いやいや、それはおかしいですよ。今から述べていきますけれども、災害ですよ、災害だったら直ちに復旧する、これが基本じゃないんですか。
二〇一五年、この国土交通委員会でJR九州の完全民営化法案が審議されました。私もこの場で質問に立ちました。ちょうど答弁席には、参考人としてJR九州の青柳社長が答弁されたことは、ここにおられる委員の皆さんも御承知かというふうに思います。
その国会審議の際に、JR九州の青柳社長は、九州の鉄道ネットワークの維持、ローカル線の廃線、また鉄道の災害復旧について、どういうふうに答弁されたのでしょうか。説明をしていただきたいと思います。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
JR九州の青柳社長は、JR九州完全民営化のための二〇一五年のJR会社法改正時の国会審議の際、それぞれの項目につきまして次のように述べております。
まず、九州の鉄道ネットワークの維持につきましては、鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核とする当社にとって重要な役割であることは再々申し上げておりますが、上場によりその役割が変わるものではないと考えておりますと述べております。
また、ローカル線の廃線につきましては、三セク化又は廃止ということは検討しておりませんと述べております。
鉄道の災害復旧に関しましては、これまで二十八年間、種々の災害をこうむりましたが、これまでのところその復旧を果たしてきたわけでございますので、今後とも復旧に努めるよう努力をいたしますと述べていると承知しておるところでございます。


○田村(貴)委員 上場をもって、完全民営化をもって合理化をしない、鉄道ネットワークはちゃんと維持していきますよと言ったのが、四年前の青柳社長のこの国交委員会での答弁だったんですよね。これはしっかり守ってもらわなくちゃいけないんですよ。
にもかかわらず、JR九州は、今、福岡県、大分県、沿線自治体に対してどういうことを言っているか。バス案を提示している、また、バス専用道を入れたBRT案を提案している、さらに、鉄道を維持していくというのならば、年間一億六千万円の収支改善を自治体に求める、こういう三つの提案をしているわけであります。
鉄道ネットワークは、今答弁ありましたように、JR九州は、維持していく、完全民営化によっても、重要であり、上場によってその役割は変わらないと言われたじゃないですか。なぜこれが守られないんでしょうか。あのときの、この衆議院国土交通委員会での議論は何だったのか。株式上場、完全民営化をしても、路線の廃止はしないよねと各党の議員さんが確認の質問をしたんです。そして、今答弁があったように、明確な回答があったわけなんです。今、この約束が覆されようとしていることは重大であります。国土交通省の的確な指導を求めるところであります。
先ほどの答弁で、日田彦山線の被害が多額であるといったところの話でありますけれども、これは、国の支援、行政の支援によって大幅に圧縮されることについて尋ねたいと思います。
鉄道軌道法に基づく災害復旧事業費は、超党派の議員提出法の改正で、全会一致で昨年成立しました。黒字の鉄道会社においても適用されることになりました。地方と国が被災額の四分の一ずつの補助金を出す、鉄道会社の負担を二分の一にするというものであります。
資料をお配りしています。そのスキームが一の資料であります。黒字会社の赤字路線も対象にというところの項目で、要件が三つほど書かれています。この要件を受けるためには、大規模災害であること、被災路線が過去三年間赤字であること、復旧費用が路線の年間の収入を超えること、こうした約束事があるんですけれども、一、二、三の要件に照らして、日田彦山線は適用可能なんでしょうか。いかがですか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
昨年六月の通常国会におきまして鉄軌道整備法が議員立法により改正され、黒字の鉄道事業者も支援が可能となったところでございますが、そのためには、今お話のありましたように、激甚災害その他これに準ずる特に大規模の災害であること、被害を受けた路線が過去三年間赤字であること、復旧費用が被害を受けた路線の年間収入額以上であることの要件を満たすことがまず必要となります。
その上で、日田彦山線につきましては、これらの要件を満たすものと考えますが、財政支援を行う上では、このほかに、本制度が黒字事業者の赤字路線に対する特別な追加的な支援制度であることから、その支援の効果を担保するために長期的な運行の担保に関します計画が必要であり、これらの点も含めて日田彦山線復旧会議において関係者で検討が進められていると承知しているところでございます。


○田村(貴)委員 黒字の鉄道会社であっても、災害が多発しているから、これは国と行政の方で支援をしましょうと、全会一致で改正鉄道軌道法が可決されたんですよね。そして、このスキームが受けられることが今の答弁でもはっきりいたしました。
お伺いしますけれども、この改正鉄道軌道法は、バスをもって復旧すると、対象とされるんでしょうか。適用となるんでしょうか。しないとなるならば、その理由について教えてください。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
鉄道軌道整備法に基づく助成措置は、同法第一条、目的規定におきまして「鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。」と規定されているところでございます。
また、助成の対象につきましては、同法三条第一項第四号におきまして「洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模の災害を受けた鉄道であつて、すみやかに災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの」と規定されております。
したがいまして、鉄道事業ではないバスに関しましては、鉄軌道整備法による補助対象にはならないというふうに承知しております。


○田村(貴)委員 確認しました。バスではこの支援が受けられないということであります。
更に支援は深まるのではないでしょうか。
当初七十八億円の被災だというふうに言われました。うち、今福岡県が橋梁改修事業などで、既に二十二億円の支援措置が図られています。ですから、今、五十六億円の被災額になっています。この後、さらに、第二彦山川橋梁の改修が修繕で済むならば、修繕費は圧縮されます。さらに、第三彦山川橋梁の復旧に国の支援が得られるならば、この復旧費用は三十四億二千万円程度にまで圧縮されると沿線の自治体の長から私は伺いました。今、五十六億円と言われていますけれども、国の支援が適用されるならば、三十四億二千万円、ここまで復旧費用が縮小される。その二分の一ですから、JRの負担は十七億円であります。
冒頭、私が述べましたように、地震や台風被害でこの額を超える復旧を、JR九州は改正鉄道軌道法が成立される前にちゃんと復旧しているわけですよ。そして、ちゃんとその費用も持ってやってきたと四年前の質疑で社長は述べていたわけなのであります。七十八億円と当初喧伝されたJR九州の負担額は、十七億数千万円まで縮小される見込みがあります。
私は、鉄道軌道法の支援を受けて、直ちに鉄道による再建、復旧を行うべきだというふうに考えます。JR九州にとっては非常に好機だというふうに思うわけです。そういう好機を捉えて、国土交通省は指導すべきではありませんか。
また、災害路線の復旧に当たっては、やはり沿線住民の交通権を守る、これが第一義的な課題であります。交通事業者の責務だというふうに思います。まずは、被災したんだから被災鉄道を復旧する、そして、この支援措置については、こういういい制度ができ上がったんだから適用して、そしてその方向で国土交通省はJR九州にちゃんと指導していただきたいと思いますけれども、いかがですか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から御指摘のありましたように、日田彦山線の復旧費につきましては、当初約七十億円と想定されていたものが、福岡県と大分県の河川の災害復旧事業によりまして、約五十六億円までに低減しているというふうに見込まれていることは承知しております。
いずれにいたしましても、日田彦山線の復旧方針等につきましては、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議におきまして検討がなされているところと承知しております。
本年四月には、JR九州から、交通ネットワークを維持するための案として、従来から提示している、年一・六億円の収支改善を前提とした鉄道による復旧、運行主体をJR九州とする一部区間を専用道化するBRTによる復旧、運行主体をJR九州とするバスによる復旧の三案が示されております。
現在、これらの案につきまして、沿線自治体が一旦持ち帰りまして、地域の方の御意見を伺うこととなったと承知しているところでございます。
JR九州に対しましては、地域に対する丁寧な説明、議論を行うよう、引き続き必要な指導を行ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 国土交通省の鉄道局はそういう認識かもわかりません。しかし、福岡県庁は、できるなら鉄道で再建をしていただきたいと言っていますよ。
それから、被災自治体、この日田彦山線というのは、北九州市から大分県の日田市まで、長い区間なんですけれども、被災路線というのは一部区間なんですよね。一番財政力が厳しいところ、小さな町、村を襲った被害なんです。被災自治体の首長さんはこう言っています。天災で被災した自治体と住民に新たな負担を強いる理不尽な案に憤りを感じていると。三案出された、そして、鉄道ならば年間一億六千万円、この負担を自治体に持ってくることは憤りを感じていると自治体の長は言っているんですよ、この復興会議の中で。参加はしていますけれども、私は直接こういう意見を聞きました。
まさにこの三つの案は、JR九州にとってみたら日田彦山線の廃止、廃線の意図が透けて見えるものであると指摘せざるを得ないというふうに思います。
私は、やはり、被災路線の復旧に当たっては、無条件でまず被災を復旧する、その後の経営維持については自治体の側からもちゃんと意見を出す、アイデアも出す。私もアイデアを出したいと思います、この沿線に住んでいるので。そういう手順を踏むのがやはり真っ当なやり方ではないでしょうか。
先ほども、五十六億円まで被害額は圧縮されたといったところは確認できました。先ほど私が述べたところの第二彦山川橋梁、第三彦山川橋梁、ここの部分について、修理でおさまるならば更に補修費は圧縮されるし、国がその支援をするならば五十六億円というお金も減るのではないか。この見込みについては、局長、いかがですか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
復旧費用の具体的な中身に関しましては、我々も非常に関心を持っているところでございますので、今後の推移に関しましてはしっかりと注視してまいりたいと思います。
よろしくお願いします。


○田村(貴)委員 確認ですけれども、今の第二、第三彦山橋梁の修繕とか改修、これは国の方でぜひお願いしますと被災自治体の方は要望しているわけですけれども、それは検討に値するということでよろしいでしょうか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
地元自治体の方でそのような御希望があるということは承知いたしました。
鉄道局としてやれることは限られておりますが、関係部局もございますので、部内で検討してみたいと思っております。


○田村(貴)委員 今、五十六億円という復旧費用は確認されましたが、これが更に縮減、圧縮される見込みもあるということも確認しました。ぜひそういう方向に動いていただきたい。そうすれば、鉄道軌道法の支援によって、JR九州、自社の負担は十七億円ぐらいまでいくじゃないか、だからできるじゃないか、沿線住民も沿線自治体もこのことを強く主張していることをぜひ聞きとめていただきたいというふうに思います。
さらに、この復旧費用のことについてお伺いをしたいというふうに思いますが、別の角度からの質問であります。
国鉄の分割・民営化によって、北海道、四国、九州、この三つのJR会社には経営安定基金が設置されました。JR九州に設置された経営安定基金は三千八百七十七億円でありました。お配りした資料二ですけれども、この三千八百七十七億円の使途については、国土交通省からの、九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令で定められているところであります。この三というところには、「鉄道網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための費用」というふうに定められています。
これは、平たく言うと、国交省の担当者の方にも聞きましたが、鉄道ネットワークの維持向上のために車両や鉄道施設に使うものであるというふうに説明を受けたところであります。車両や鉄道施設に使うことができるという定めであります。
鉄道資産のためのこの費用、当初八百億円だったというふうに伺っていますけれども、現在、残高は幾らになっているか教えていただけますか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
JR九州の経営安定基金の取崩しに伴い、鉄道網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための費用として振りかえられました八百七十二億円につきましては、平成二十九年度末におきまして約四百六億円残っているものと承知しております。
以上でございます。


○田村(貴)委員 四百六億円残があるということであります。だったら、その費用の中から、マックス五十六億、ミニマム十七億、私、今言いました、充てる資金というのはあるじゃないですか。
鉄道ネットワークの維持向上のために車両や鉄道施設に使うものですよね。この基金の三に書かれている費用について、これは鉄道の被災復旧に充ててはいけないとはこの省令に書いていませんけれども、充ててはいけないんですか、充てることもできるんですか。いかがですか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
経営安定基金につきましては、JR九州の完全民営化に際しまして、同社の経営の自主性を確保するとともに、鉄道ネットワークを維持していくという経営安定基金が果たしていた機能も実質的に確保するとの考えのもと、鉄道ネットワークの維持向上に資する資産への設備投資に振りかえることとしたものであります。
このため、経営安定基金を振りかえた資産の活用方法につきましては、JR九州の経営の自主性を尊重し、同社においてまずは判断されるべきものと考えております。
以上でございます。


○田村(貴)委員 鉄道事業者の判断ということなんですね。ですから、鉄道のネットワークの維持向上のために、被災路線のために、その被災した路線の復旧のために、その施設のために使ってはならない、そういうことではない、使うこともできるんだ、それは事業者の判断であることは今確認しました。そういうふうにちゃんとJR九州にサジェスチョンしていただきたいんですよ。
鉄道軌道法の改正で、二分の一、ちゃんと行政が支えますよというスキームもできたんでしょう。更にそれも下がっていく。そして、赤字だからということで、わざわざ三島特例で経営安定基金、JR九州には三千八百七十七億円、これを渡した。そして、この被災路線にも充てることができる残金が四百六億円残っているということもこの場で明らかになりました。
直ちに、そういう方向もあるということで、BRTとか、あるいは自治体に負担を求めるとか、そういうことではなくて、ちゃんと復旧に当たるべき、ストレートに当たっていくべき、こういうふうにJR九州と話合いをしていただきたいというふうに思いますけれども、局長、いかがですか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
鉄道を含めました地域の公共交通は、地域の経済社会活動の基盤でございます。その確保は重要な課題であると認識しているところでございます。また、当然ながら、交通事業者におきましても、地域の公共交通の確保に重要な役割を果たすべきものと考えておるところでございます。
また一方で、地域の公共交通につきましては、地域のニーズや課題を踏まえ、交通事業者のみならず、自治体等の地域の関係者が検討を行い、各交通機関の特性に応じまして、当該地域にとって最適な公共交通体系を構築していくことが重要であると考えているところでございます。
日田彦山線の復旧方針等につきましては、現在、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議において検討がなされております。引き続き、地域の関係者におきまして十分に議論していただくことが重要であると考えているところでございます。


○田村(貴)委員 その議論のあり方が、被災自治体とそれから沿線住民、沿線自治体の思いとは離れたものになっているということをきょうわざわざ言っているわけです。
一つ確認しておきますけれども、JR九州の鉄道部門での経営状況について、今、二十九年度二百八十二億円の黒字というふうに伺って、三十年度も大体そういう推移でいくのではないかというふうに聞いているんですけれども、鉄道事業も黒字経営でありますか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
完全民営化後のJR九州の鉄道部門の営業損益につきましては、平成二十九年度は二百八十二億円の黒字、平成三十年度は二百六十七億円の黒字となっているところでございます。


○田村(貴)委員 会社も単年度で黒字を出している、そして、復旧に充てる、そういう見込みも展望もあるということです。
最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、災害で不通になった道路や橋が復旧されないことはありません。鉄道は災害が廃止のきっかけとなっているんです。地方創生が安倍政権のもとで声高に叫ばれていますけれども、大都市と地方の格差拡大に拍車をかける鉄道路線の廃止は、まさに逆行するものではありませんか。
石井大臣、ローカル線の存続の議論ではないんです、これは。災害によって被災した地域の大事な住民の足をいかに早く復旧させるかというところが議論なんです。ここが一番大事なところです。被災路線を復旧させるために、大臣も国土交通省もその立場に立ってJR九州を指導していただきたいと重ねて要求しますけれども、大臣、御所見を聞かせてください。


○石井国務大臣 日田彦山線につきましては、平成二十九年七月に被災して以降、添田—夜明間で運休が続いており、沿線自治体の方々から鉄道による早期復旧を強く求める声があることは承知をしております。
日田彦山線の復旧方針等につきましては、現在、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議において検討がなされているところであり、国土交通省といたしましては、引き続き、地域の関係者において、これらの点について十分に議論していただくことが重要と考えております。
その際、JR九州におきましては、被災した日田彦山線の沿線の皆様のお考えを真摯に伺いながら、丁寧な説明、議論を行うべきと考えておりまして、国土交通省といたしましても、地域において円滑に議論が進むよう、日田彦山線復旧会議への参加等を通じて必要な対応を行うとともに、引き続きJR九州に対して必要な指導を行ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 その復興会議ですけれども、九州運輸局は参加していますよね。どういう立場で参加しているかというと、アドバイザーとして参加されているわけですよ。そのアドバイスの方向が、沿線住民と被災自治体の思いと乖離しているんです。
私は、福岡県の添田町の町長さん、東峰村の村長さん、沿線住民の皆さんから意見も聞いてきた、代行バスにも全部乗って沿線を調査してきた、その上に立ってきょうは質問させていただきました。ぜひ、その復興会議の中で、アドバイザーとして九州運輸局がいるんだったら、私がきょう示した方向でしかこの問題は解決しないという方向でアドバイスをしていただきたい、指導していただきたいと思います。
最後に、資料三をお配りしています。これは昨日の西日本新聞の記事でありますけれども、JR九州の大株主であるアメリカの投資ファンド、ファーツリー・パートナーズの投資責任者への直接インタビューの記事であります。
ファーツリーから今後、赤字路線廃止や列車減便など、鉄道事業に関する懸念がされているところなんです。そこで、西日本新聞が直接、投資責任者に確認したところ、こういう回答だったという記事であります。今も、これからも、鉄道事業に干渉するつもりはないと大株主は明言している。将来にわたって鉄道事業について提案などするつもりはないと明確に答えているわけであります。
ですから、JR九州にとってみれば、懸念材料もなくなったわけです。大株主の意向に振り回されなくても、ちゃんとこれまでどおり被災した鉄道はすぐに復旧する、この方針でいくことが可能なんですよ。
四年前に青柳社長がこの委員会で約束したことをしっかり履行していただきたいとJR九州にも強く要望したいと思います。そして、政府はしっかりと被災者、沿線住民の立場に立ってJR九州と向き合っていただきたい。そのことを強く要求して、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。