○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
浄化槽法の一部改正案について質問します。
浄化槽の維持管理、これは非常に大事であります。そして、単独浄化槽から合併浄化槽への転換を図ることも、これも非常に重要だと私も我が党も受けとめております。
そこで、お尋ねしていきたいと思いますけれども、単独浄化槽から合併浄化槽への転換にはどのぐらいの費用がかかるのでしょうか。単独浄化槽の撤去について、生活雑排水を浄化槽に引き入れる宅内配管工事について、合併浄化槽本体の購入と設置工事費、それぞれについて教えてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に要する費用、仮に五人槽の浄化槽を転換する場合のモデルケースについて申し上げますと、まず、単独処理浄化槽を撤去する費用として約九万円、それから合併処理浄化槽本体を設置する費用に約九十万円、それから雑排水などの配管工事費用に約四十万円ということで、合計で約百四十万円の費用がかかるものと試算されます。
○田村(貴)委員 五人槽の浄化槽を新たに設置する場合には百四十万円ぐらいの費用がかかるということでありました。
単独浄化槽の撤去について、また宅内配管については、ほぼ満額の補助があるというふうに伺っています。
では、合併浄化槽本体の購入それから設置工事費の自己負担というのは、どの程度のものになるんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
個人設置型の浄化槽設置整備事業における公費の負担割合につきましては、生活雑排水の処理に係る、除去に係る費用のうちを考慮いたしまして、定率四割として国庫助成の基準額が算定されております。
したがいまして、先ほどのモデルケースで申し上げますと、本体の工事費九十万円に対しまして個人負担分六割の五十四万円が個人負担となるということでございます。
○田村(貴)委員 個人の合併浄化槽を設置する場合に四割の補助がある。市町村設置型では九割ですよね。ところが、個人の場合は四割の補助である。これは一つの大きな問題になっているわけなんですね。ですから、合併浄化槽を入れたいんだけれども、お金の負担の問題があって、しかも、五人槽の場合だったら五十四万円も自己負担が生じる、ここが合併浄化槽への転換が図られない大きな要因になっているというふうに私は考えるものであります。
そこで、この法案なんですけれども、個人の合併浄化槽の本体購入費用と設置の費用に対する新たな支援の拡充というのは盛り込まれているんでしょうか。提案者にお伺いしたいと思います。
○小林(鷹)委員 お答え申し上げます。
現行の浄化槽法におきましては、第五十一条に、「国又は地方公共団体は、浄化槽の設置について、必要があると認める場合には、所要の援助その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」というふうに規定をされております。この規定に基づきまして、現在の予算措置におきましては、浄化槽設置整備事業に係る個人の合併浄化槽設置につきましては、その工事に係る費用の六割を自己負担として、残りの四割が助成の対象とされているところであります。
政府におきましては、今年度から、単独浄化槽から合併浄化槽への転換に附帯する宅内配管工事に対する補助制度が創設されて、自己負担の軽減が図られたところであります。今後、この法改正に伴いまして、政府において自己負担分のさらなる軽減のため、資金のあっせん等の措置が行われ、合併浄化槽への転換が進むことが期待されるところであります。
○田村(貴)委員 提案者にお尋ねします。
確認なんですけれども、この改正案の中で、個人の合併浄化槽の本体購入費用、それから設置に対する新たな支援は盛り込まれているのですかと私は聞いているんです。
○小林(鷹)委員 お尋ねありがとうございます。
その点につきましては、新たに何か今回の法改正で規定を設けるというわけではありません。
ただ、繰り返しになりますけれども、今申し上げましたもともとの現行法の五十一条におきまして、国、地方公共団体に対して合併浄化槽の設置、援助の努力義務というものが既に課されているわけでございますので、今回の法改正の趣旨にのっとって、国、地方自治体に対して相応の対応をしていただくことを期待しているところであります。
○田村(貴)委員 改正によって期待されるということなんですよね。ですから、一番自己負担で大きなものになっている合併浄化槽の本体部分、ここに対する支援がやはり問われる。ここを、道を前に進めていかないと問題が解決しないと思います。
環境省にお伺いしますけれども、いわゆる六割の自己負担、四割の補助という部分は、ここは変わらないんですか。
○山本政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、今年度内容を見直した部分につきましては、宅内配管工事についての上乗せということでございますので、本体工事の部分については変更ございません。
○田村(貴)委員 期待される本体部分の上乗せ、拡充についてはなされないということでありました。
二〇一九年度予算では、宅内配管工事への助成が三十万円、上限三十万円で新設されました。そして、百人以内の共同浄化槽に対して、また、個々の家との接続に対しても助成対象とされました。これは前進であります。これらの政府の予算措置というのは、本改正案とは関係なく執行されるものと理解してよろしいでしょうか。
○山本政府参考人 御指摘いただきました宅内配管工事への助成、それから共同浄化槽への助成は、今年度の予算から措置されておりますので、今年度の予算として執行することが可能でございます。
ただ、今般の浄化槽法改正が実現された場合には、予算と制度が相まって、更に単独処理浄化槽の転換、あるいは共同浄化槽を含めた市町村設置事業の実施が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。
〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○田村(貴)委員 法改正があってもなくても政府予算というのは執行されるということでありました。これも確認しておきます。
本改正案の問題点の一つに、罰則規定がございます。負担がかかるとの理由で、転換したくともできない人がいます。今も申し上げました。その人にも、都道府県が転換の命令、勧告を行い、罰則、三十万円以下の罰金を科すというふうになっています。
罰則規定というのが附則についていて、私たちもちょっと驚いたわけなんですけれども、この罰則規定をもって、経済的理由によって合併浄化槽への転換が図られない、そういった人々を追い込むようなことは僕は絶対してはいけないというふうに感じております。
こうした人たちに対する配慮がやはり求められると思いますけれども、そこはいかがでしょうか。
○小林(鷹)委員 お答えいたします。
今回の法改正におきましては、附則の十一条三項という規定がございます。もう先生ごらんになっているかと思いますが。そこの規定におきましては、勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、合併浄化槽への転換命令を行うことができる旨を規定しているところでございます。
お尋ねのございました財政負担の理由で転換したくてもできない場合につきましては、転換の勧告に係る措置をとらない正当な理由があるものと解されると考えております。そのため、転換命令が出されることはなく、命令違反の罰則が科されることもないものと承知をしております。
なお、財政上の理由で合併浄化槽への転換が困難な場合につきましては、合併浄化槽への転換や附帯する宅内配管工事について、先ほども出てきましたけれども、適切な費用助成が行われますとともに、転換のために適切な指導助言が行われることが期待をされるところであります。
○田村(貴)委員 今お答えありましたように、この改正案の附則十一条の三、必要な措置をとるよう勧告を受けた者が、正当な理由がなくてとらなかった者に対して罰則がある。そして、経済的な理由、ここについては、負担の問題、ある人については、この正当な理由ととることができるというふうな回答だったというふうに思います。
環境省、そういう理解で進めていくんですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
法案が成立すれば、その立法府の意思を踏まえて、しっかりと運用していきたいと考えております。
○田村(貴)委員 であるならば、正当な理由であるというのは、経済的理由であるとか、そうしたところをやはり付していただきたかった、挿入していただきたかったというふうに思うわけであります。
単独浄化槽、全国三百九十一万基あって、この合併浄化槽への転換が進んでこなかったその理由は何かとずっと今質問してきたわけなんですけれども、単独で既にトイレの水洗化ができたので、生活排水への浄化は進まないといったところの理由も挙げられていました。
しかし、やはり生活していく上で、高齢者世帯が多い、その高齢者世帯は合併浄化槽への経済的な負担がやはり重過ぎる、ここが挙げられると思うんです。それが合併浄化槽への転換が図られなかった大きな理由であると思いますけれども、環境省いかがですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
確かに、今御指摘ありましたようなところが大きな理由だと考えております。
特に、私ども、大きな理由の一つとしては、宅内配管工事の負担、これが、トイレの水洗化が実現してしまっているがゆえに、個人にとっては、新たに台所の水などの処理をするというのは、公共のためであって個人の便益につながらないというところが最大の要因かと考えておりまして、今回、その宅内配管工事に踏み込む補助を認めていただいたということでございます。
これを、本年度からでございますので、しっかり運用をしてみて、また、市町村とも意見交換をしながら、よりよい制度を目指して努めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 その政府の措置は異議を唱えるものではありません。ただ、やはり、合併浄化槽を設置する場合に大きな費用となるのは、本体、そして設置費用であります。これは、単独浄化槽の設置者である方が高齢化しているという現状から見たら、やはり六割負担というのはかなり厳しい。ここに着手しないと解決していかないというふうに考えます。
そうした意味で、合併浄化槽への転換を図るために、合併浄化槽本体の購入、設置におけるやはり政府の支援というのは、行政の支援というのは速やかに、可及的に行っていかなければならないと思うんですけれども、残念ながら、この法案には入っていなかった。しかし、その必要性はあるんじゃないですか。提案者、いかがでしょうか。
○小林(鷹)委員 ありがとうございます。
先ほど申し上げましたとおり、この法案、今回の法改正自体に書き込まれていないそのものもありますけれども、先ほど申し上げました規定の、本法律の第五十一条に、しっかりと、国、地方自治体については、この浄化槽法の趣旨にのっとって、しっかりとした相応な支援をしていただきたい、そのことを期待するところであります。
○田村(貴)委員 議論してまいりました。
今回の改正案においては、費用負担の改善を行うものとはなっておりません。その一方で、転換を行わない所有者に対しては、罰則をもって勧告、命令を行うこととなっているわけであります。ここは問題であります。こうした問題があり、賛成できないということを申し上げて、質疑を終わります。