エッセイ

水曜随想 「参院選へ汗かく覚悟」

 

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「避難所で食事と寝具の差別がある」「仮設入居に半壊家屋の解体を条件とするのは国の方針とも違う。熊本県を是正指導すべき」――おとといの「いのちとくらしを守る熊本ネットワーク」の政府交渉。地方議員や被災者から現場を踏まえた意見が相次いだ。

 

 長引く避難所での暮らし。国が熊本県に出した生活環境の改善の通知と、現実とのギャップが大きいことを、私も国会で再三再四とりあげてきた。「弁当などただ一度も出たことがない」。被災者のつぶやきをそのまま国会質問でぶつけたら、政府から食事の改善通知が出された。ようやく熊本市の避難所の夕食に弁当が提供されるようになった。

 

 そして「指定避難所」とそうでないところでの差別については、政府交渉後、内閣府が市に連絡して「弁当を出す。電子レンジも設置する」との確認も得られた。あの被災者の喜ぶ顔が見える。一歩一歩であるが、被災者の要求をかなえて、一日も早い住まいの確保へとつなげてゆきたい。

 

 「やっぱり最初に来てくれたのは共産党だった。頼りになるばい」。発災直後に現地でかけられた言葉に発奮した。国会質問も7回を数えたが、生活と生業の再建と復興には、この何倍もの質問と調査が必用だ。

 

 1月4日から始まった通常国会は今日で閉会する。憲法を踏みにじり、国民の声を聞かない安倍政権。一方、この半年で立憲主義の復活を目指す野党共闘は一段と進化し、市民との共同は統一候補擁立という最高の形に発展した。その中で光る日本共産党の存在感と役割。さあ、参議院選挙だ。この夏かく汗は、きっとさわやかな結果をもたらすと確信する。平和と暮らしと復興を心の底から訴えよう。

またひとヤマ越えよう

P3220506 やれやれ終わったかと思ったら、秘書が「すぐにもうひとヤマきますよ」

 

 そう、私はいま質問戦の渦中にいる。所属する総務委員会と地方創生特別委員会の審議が同時にすすみ、質問が次から次へやってくる。4日連続で質問に立つこともあった。すでに今国会は10のヤマを登った。

 

 

 1月下旬、寒波で長崎の露地ビワが「凍死」の大打撃を受けて、現地に飛んだ。「寒冷対策にはビニールハウスの導入が有効」。生産者から対応策を伺い、農水省とかけあった。「補償もなく落ち込んでいる生産者にハウスの支援策を」。国会質問に結びつけたら、寒害被害対策として、国が半分負担する制度が新設された。

 

 これを受けて長崎県議会では、堀江ひとみ議員が県の上乗せ支援を求めて質問。前向きの答弁が得られた。これでビワ農家の負担をかなり減らす展望が見えてきた。地方と国会を結んで、政治を前に進めることができてうれしい。

 

 質問づくりは正直大変だ。時には五里霧中の中からのスタートもある。でも、切実な国民の声を政府にぶつけるためにここにきたのだ。躍進をかちとって、質問回数も時間も増えたことを喜びとし、最大限活用しなければ。

 

 昨日、演説会に参加した方から「田村さん、インターネットで質問見てるよ」「いい指摘でした」等々の意見をいただいた。

 

 質問を終えると、心地よい疲労感に包まれる。それは、ヤマを登ったときの爽快感と似ている。だからやめられない。さあ、またひとヤマ越えよう。今日も質問だ。

(しんぶん赤旗 2016年3月23日)

水曜随想 「度胸も知識もつけ精進」

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 先週末、予算委員会の質問通告を各省にしている最中だった。ニュース速報で桜島噴火の映像が飛び込んできた。もしかしたら、討議・推敲を重ねてきた質問は、災害対策に切り替わるかも。質問に至る噴火災害は起こらなかったが、議会質問は瞬発性、柔軟性も求められる。

 

 かつて私の質問をみたという飲食店の主人から言われた。「田村さん、次から次によく言葉が出てきますよね」。そりゃそうだ、黙っていたら質問にならない。

 

 「緊張しないの?」。それは新人でもベテランでもしますよ。

 

 正直、緊張で心臓バクバクになることも。そんな時は自分に言い聞かせる。緊張しているのはやる気がある証拠。試合前のフィギュアスケートや体操の選手に比べたら、どうってことないだろう、なんて。

 

 かくして月曜日。予算委員会で国が地方交付税を削減しようとしている問題を取り上げた。「地方創生」を掲げる一方で、行革をこれでもかと押しつけ、歳出削減を迫る政府。学校給食は直営方式が半数以上なのに、経費水準は民間委託とする改悪案に切り込んだ。子どもの体と健康づくりを行革の対象にしてはならないぞ。

 

 「しんぶん赤旗」の「西日本のページ」が今日もFAXされてきた。国政課題ひしめく九州・沖縄。切実な住民の願い実現へとがんばる人たちの姿が目に浮かぶ。これもとりあげなければ、あれもやらねば・・・さっそく次の準備へとりかかる。

 

 「質問づくりほど楽しいことはない。私の最大のストレス解消法」と言ってのけた地方議員の先輩がいる。私はまだその境地にはいたらない。度胸も知識もつけて精進せねば。

(しんぶん赤旗 2016年2月10日)

2016年新年の抱負 (福岡民報に寄稿)

2016年、新しい年がスタートしました。今年もよろしくお願いします。

 

国会に送っていただいて丸一年。金曜ないし土曜に九州にもどり、月曜ないし火曜日に上京――めまぐるしい日々でありましたが、ようやくこの生活にも慣れてきました。が、息つく間もなく通常国会が始まり、いまその準備に追われています。

 

言うまでもなく今度の国会は、反立憲主義・独裁の安倍政権を終わらせるためのたたかいになります。憲法違反の戦争法が強行されましたが、立憲主義を守れとの世論と国民運動は大きく広がっています。日本共産党が呼びかける戦争法廃止の国民連合政府構想は、その運動を励まし、牽引しています。

 

「民主主義ってなんだ?」「これだ!」――シールズをはじめ、全国の若者が叫びました。歴史に残るコールに敬意を表し、私はこれを発展させたい。即ち、国民連合政府を樹立させ、戦争法を廃止させたあかつきに、国会で叫ぶのです。

 

「立憲主義って何だ?」「これだ!」。

 

ミドルズも大志を抱いてがんばる決意です。そのためには参院選で大躍進をとげなければなりません。いせだ良子さん、しばた雅子さんを必ず国会へ迎える。自・公に変わる議席を全国で獲得する。野党との団結、国民との共同を広げ、全力でたたかいます。

 

議員会館の窓から見える高層ビル群。夜中になってもその灯りが消えることはありません。過労死寸前の長時間労働、サービス残業が頭をよぎり、安倍内閣が提唱する「一億総活躍社会」が「身を粉にして働け」に聞こえます。

 

連続3ヶ月勤務。タイムカードなし、会社には休みをとった形にして報告――北九州地区労連に寄せられた労働相談に、あ然としました。もの言えば、左遷、解雇・・・この瞬間にも、全国でどれだけ多くの労働者が悩んでいることか。

 

「アベノミクスで景気回復の実感なし」。地方に行けば行くほどその声を強く聞きます。先日、TPP調査で宮崎県の酪農・畜産農家と懇談をしましたが、「将来が全く見えず不安」と口々におっしゃっていました。

 

こうした問題を国会質問でただしてゆきます。私は衆議院の総務委員会と地方創生特別委員会に所属していますが、所属にとらわれないで、多くのテーマを取り上げてきました。水俣病完全救済、JR九州の完全民営化問題、有明海再生と諫早湾開門はその一例です。今年は、格差と貧困、ムダな公共事業、ブラック企業、農業、教育、原発、軍事問題など、新しい分野での質問にも果敢に挑戦したいです。

 

抱負はまたまだたくさんあります。

・適度に運動し、体型を維持し、健康第一に過ごす。

・たまには、芸術、文化に親しむ。

・捨てられない、片付けられない症候群からの脱出【必須】

・親孝行、家族サービスも

 

一年前に今日の状況を予測できませんでした。一年後にどうなっているかもわかりません。政治の反動化もそれを許さぬ民主主義の台頭もすごい勢いです。立憲主義回復、国民の声がとおる政権をめざして、やり甲斐のある1年です。ともにがんばりましょう。

 

政治変革の語り部として、実践者として、私も大きく飛躍します。ご支援をよろしくお願いします。

 

(福岡民報 2015年1月)

水曜随想 「住民の思い尊重してこそ」 田村貴昭衆院議員

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写真は7月5日の現地調査

 口永良部島の避難指示が今月解除される。爆発的噴火で全島避難から半年あまり、島の人たちはどれほど帰島を待ち望んでいることだろう。

 

この先噴火の可能性がないわけではない。先週、桜島観測所で京都大学の井口正人先生から、あと10~20年で大正噴火水準のマグマがたまることを伺った。楼島で大きな噴火が迫っているということだ。だからといって、住民はその土地を離れるわけではない。

 

自然の脅威と直面しながらも「住み慣れたところだから」「ふるさとを離れたくない」…その声を被災地で幾度も聞いた。豪雪地帯でも、洪水多発地域でも、いつまた津波が襲ってくるかもしれない沿岸部でも、共通の思いだ。

 

しかし、災害対策一つとっても、国は地域の願いにまだまだこたえていない。

 

「選択と集中」という行政手法が幅をきかせている。たとえば「コンパクトシティー」の名で行政や商業機能等を中心部に集中させたりする。その外の集落住民はどうなるのか。まさに切り捨てに他ならない。首都圏の高齢者移住構想もその流れだ。

 

国土の保全も、離島における監視活動も人の手によってなされる。そこに人が住んでいる。それが大事であって、行政が「どこかに移り住みなさい」などと指図することはあってはならない。

 

口永良部島も桜島も太古の普から人の営みがあり、火山とつきあってきた。災害から命を守る、不幸にして被害が起こったら最大限の支援を尽くす。災害の有無を問わず、地域を愛し、そこに住んでいる人の思いを尊重する。それが政治だ。それと逆行するやり方に、しつかり目を光らせてゆかねば。(しんぶん赤旗 2015年12月2日)