エッセイ

水曜随想 「写経共闘」の力発揮 衆議院議員 田村貴昭

写経共闘 「これ何て読むの?」「『型枠施工』だと思いますよ」。他党の議員に教えたり、教えられたりして、転記作業を進めます。
 
 外国人技能実習生への聞き取り調査は、国会が求めたにもかかわらず、法務省は聴取票のコピーを認めません。安倍政権は実習生の実態を知らされたくないのです。そこで野党は分担して2870枚の調査票を書き写すことに。「写経共闘」です。
 
 私も数十枚分担しました。フルタイムで働いても月収数万円、1日16時間労働、そんな事例がたくさん。転記の作業場では連帯感がひろがります。
 
 「ひどい実態だ、これで外国人労働を拡大したら大変だ」「早く集計して、国会審議に生かそう」
 
 かくして、67%の実習生が最低賃金以下で働かされていた事実が明らかに。名野党共闘の力で入管法改定の土台を崩壊に追いこみました。
 
 漁協を退け、企業に漁業権付与の仕組みをつくる漁業法の大改悪。野党が十分な審議時間を求めたにもかかわらず、自民党は審議入りする前に採決日を言い出しました。前代未聞のやり方に、衆議院農水委員会の4野党は共同してたたかいました。
 
 宮城県の漁業者への聞き取り調査、国会での共同会見、共同ヒアリングも行い、いっそう結束が深まりました。
 
 安倍政権が強権政治を重ねれば、重ねるほどに、国民との矛盾は広がり、野党共闘は発展するのです。
 
 改憲の策動を打ち破り、実りも多かった臨時国会。来年は共闘をさらに広げ、論戦で追い込み、選挙で自公退場の審判を。正念場のたたかいです。(しんぶん赤旗 2018年12月12日)

水曜随想 「米軍基地拡大化にノー」 衆議院議員 田村貴昭

10800875728_IMG_1133 とんでもない計画が打ち出された。防衛省は24日、航空自衛隊築城(ついき)基地(福岡県)、新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)に、米軍の緊急時使用のための施設整備を行うことを発表した。
 
 両基地ともに12機程度の戦闘機、1機程度の輸送機、200人程度の軍人を受け入れ、弾薬庫、駐機場、燃料タンクなどを整備。築城基地は滑走路を延長し、米軍隊舎もつくる。当然、周辺自治体、住民からは「寝耳に水」「米軍基地化されてしまうのでは」など驚きと怒りの声が上がっている。
 
 防衛省に聞いた。
 
――緊急時の期限はあるのか。「それは米軍の判断」
 
――軍用機は、F35(ステルス戦闘機)やオスプレイも含まれるのか。「機種は限定しない」
 
 要するに、米軍が「緊急」と判断すれば、自衛隊基地を好きなように使えるというもの。
 
――緊急時とは日本に対する他国からの武力攻撃事態か。「それも含まれる」
 
――基地を使用する部隊は。「すべての米軍が範囲」
 
 アメリカの対戦国からの標的となるのは明らかである。
 
 普天間基地の代替機能を持たせるのが理由だが、そもそも普天間基地に弾薬庫はない。
 
 安倍政権がいう「基地負担の軽減」のトリックに惑わされてはいけない。沖縄でも本土でも基地機能は拡大の一途にある。
 
 平穏な住民生活、生命財産を脅かす米国言いなりを許してなるものか。この間題の唯一の解決策は、普天間基地の無条件返還である。「辺野古新基地ノー」。玉城デニー県政を樹立した沖縄県民と連帯して、九州でも世論と運動を広げよう。(しんぶん赤旗 2018年10月31日)

水曜随想 「全道停電の教訓生かせ」 衆議院議員 田村貴昭

1219 北海道地震での、道内全域に及ぶ停電「ブラックアウト」に驚いた。
 
 道内の電力需要の半分を担う厚真町の火力発電所が緊急停止、需給バランスが崩れ、他の発電所も自動的に停止した。大電源に頼ってはいけないことが教訓となっている。
 
 九州ではどうだろう。九州電力によれば昨日(17日)の最大電力は1220万キロワット稼働している川内(鹿児島)と玄海(佐賀)の二つの原子力発電所での出力は約400万キロワットで、相当な比重を占めている。しかし、原発に依存しなくても九州では、自然エネルギーが大きく成長している。
 
 すでに太陽光エネルギーの接続済みは約800万キロワットで、福島の原発事故以降8倍に増加している。
 
 再生可能エネルギー全体では、接続済みが1156万キロワット、接続予定・検討が2616万キロワットにも及ぶ。既存の火力発電などと調整し、蓄電を向上させれば、原発に頼る必要は全くないではないか。
 
 原発はいったん停止となれば供給に大きな影響を与える。出力を小刻みに調整できないから原発優先となり、再生可能エネルギーは買い取りを拒否され、出力制限の事態に至る。こんな愚かなことはない。
 
 北海道の停電で、産業活動は中断された。私も被災調査の時、コンビニやスーパーに食料品が供給されない現実を目の当たりにした。搾乳ができずに乳房炎にかかった年は数千頭に及ぶという。
 
 人間の生活に欠くことのできない電気。大規模発電はリスクが大きく、中小規模の発電施設を地域の需要に合わせておくのが自然であり、あるべき姿だと確信した。
 
 政府は教訓を生かせ。二度と「ブラックアウト」を起こさぬために。(しんぶん赤旗 2018年9月19日)

随想 「反省のないあなたへ」 衆議院議員 田村貴昭

 反省のないあなたへ。あなたはいつも議場でヤジってますね。先日は本会議の登壇者に「議長、杉田(水脈)議員のヤジを止めてください」と名指しされていました。
 
 あなたの発言はヤジにとどまらず、性的少数者や隣国を目の敵にして、多くの人が傷ついています。今回は、同性カップルを念頭に「生産性がない」「税金を投入するのがいいのか」と主張しました。日本はそういう国会議員を許容しているのか――外国からそう見られたなら、私は同じ議員でいることが、恥ずかしくていたたまれない気持ちです。
 
 「生産性がない」などよくも言えたものです。こんな声も間きました。「自分年金暮らしだが、『年寄りはいらない』と聞こえた」。あなたにその気はなくても、働くことができない、働き終えた方も大変不愉快な思いをしています。
 
 あなたの党、自民党の幹事長は「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」と述べました。確かに人はそれぞれです。LGBTの方も、ハンディキャップを持った方も、病気の方も、元気な方も、そしていろいろな考え方があります。その多様性、個人の尊厳を認め、保障するのが政治の役割ではありませんか。
 
 発言を撤回・謝罪しないのなら、議員を辞職すべきです。あなたをかばい、差別を容認する自民党には、政権から退場いただきたいと思います。
 
 追伸。先日、ブラックな働き方をしてきた青年と会いました。「今の賃金では結婚もできない。将来不安しかない」。格差と貧困をひろげ、子どもを産み育てたい方々の願いに背いているのも、あなたの党であることを付言しておきます。(しんぶん赤旗 2018年8月3日)

水曜随想 「防災・減災を抜本的に」 衆議院議員 田村貴昭

http://img-cdn.jg.jugem.jp/82d/2942373/20180620_1681164.jpg?_ga=2.124910157.617969084.1533343336-605089301.1533343336 大阪でまさかの地震。母と妹一家の暮らす箕面市は震度6弱の揺れに襲われた。電話は通じなかったが、SNSで安否が確認できた。食器が粉々になった写真が送られてきた。見慣れた食器棚は阪神大震災も経験。2度の被災に耐えたか。
 
 学校プールの塀が崩れて小学4年生の女の子が犠牲となった。塀の倒壊は福岡西方沖でも、熊本でも何度も見てきた。「国土強靭(きょうじん)化」の掛け声の一方、通学路の安全も確保できない政治の現実。新聞の写真に手を合わせ、防災、減災を抜本的に進めなければと誓う。
 
 これだけ科学が発達しても、地震や火山爆発の予知は難しい。国土交通省の調査では、大規模建築物の約1割が、震度6強以上の地震で倒壊・崩壊する可能性が高いという。東京圏をはじめ、大都市の一極集中を本気で是正する気があるのか、政府に迫りたい。
 
 昨日、衆議院本会議で自民、公明、維新がカジノ法を通した。国民の7割が反対しているにもかかわらず。大阪府や大阪市は、震災を目の当たりにしてもカジノ誘致に血道をあげるのか。
 
 朝鮮半島の非核化と平和構築へ、世界が大きく動く中、日本は圧力一辺倒への反省もなく、2千億円もかけてイージス・アショアを導入しようとしている。逆立ちしてはいないか。もっと、暮らしに根差し、地に足をつけた政治を。
 
 通常国会は今日で会期末を迎えるが、与党は会期延長で悪法成立をはかる。許してなるものか。今国会、野党各党は、それぞれの憲法観は違っても、自衛隊を明記する自民党改憲案を審議入りさせなかった。全国統一署名と野党共闘の力だ。逆立ち政治をただす力を、もっともっと増やさなければ。(しんぶん赤旗 2018年6月20日)