「原発をゼロにしたら働き口がなくなるのでは」― 集会でよく出される質問なのだが、実は逆。たとえばドイツのオプリヒハイム原発は稼働時249人だった雇用が廃炉作業に移ると350人へと増えた。廃炉を決めた他の原発でもみんな雇用増だ。
施設の解体、廃棄物の処分、撤去までの維持など廃炉までには多くの仕事を要する。これに加えて、自然エネルギーヘの転換などでさらに雇用は広がる。そう話すと、質問した方の顔がほころぶ。
日本の原発固執勢力はしぶとい。「原発は必要」「使用済み核燃料の再処理は可能」― 5日に九州電力と交渉したら、福島事故直後は神妙だった態度が明らかに変わっていた。
佐賀県への早稲田進出に20億円をポンと寄付し、大学関係者との懇親・宴会に電気料金をあてがうなど、立地自治体への〝懐柔工作〟がマスコミをあげて批判されている。九電の甘い金銭感覚を批判し、電気料金の値上げの中止を求めたのは言うまでもない。
原発のある鹿児島県薩摩川内市をみて回った。商店街はお世辞にもにぎわっているとは言えず、閉鎖されたホテル・旅館が長くそのままの状態。耕作放棄地は県内で最も増えた。立地交付金は下りても箱物に化け、市民福祉の向上には使われない。
街の自立的発展を妨げる原発マネー。もうやめよう。自然との共生とそれを生かした新エネルギーの創出こそが九州の、日本の進むべき道と信じる。(しんぶん赤旗 2012年11月7日)