エッセイ

赤旗「水曜随想」 「アゴ」も体も鍛えて/衆院議員 田村貴昭

387813551_5923049574464648_5920759590150654147_n 論客で鳴らした元衆議院議員の三浦久さんは、現役時代に卓球で体を鍛えておられた。
 
 「体力勝負だからね。アゴの運動ばかりではダメだよ。ハッハッハ」。豪快な笑いが忘れられない。そこで私も国会に行ってアゴの運動(論戦・演説)に力を入れるとともに、ランニングやストレッチなどをして、体力維持に気を配ってきた…はずだった。少なくともその気だけはあった。
 
 ところが、今年の春に足をくじいてしまい、痛みと違和感がとれない期間が長引き、よくなってきたところに、歯の手術・治療が重なった。痛みや腫れがあっては、走る気にもなれず、毎年欠かさず参加していた反核平和マラソン(といっても短距離の部分参加)もやむなく欠場した。
 
 こりゃ、体力も落ち、体重も増え、健康状態も悪化しているに違いない。過日、おそるおそる健康診断へ。検査の結果を見ながら問診の医師は「うん、問題ないですね」ときっぱり。えっ?いや、先生そんなことはないはず。どこか悪いところないですか?肝機能とか。「ほら腹部エコーの画像もきれい。大丈夫」
 
 血圧正常、体重は横ばい、検査の数値は正常範囲内であった。これはもしかして、不思議な力が体に宿ったのかもしれない・・・そんなわけないだろう〝これ以上、さぼったらだめだよ〟とのメッセージと受け止めよう。
 
 今から15年ほど前、候補者活動の中で体調の異変を感じ、病院で高血圧と診断された。一念発起して初めた運動が今の健康につながっている。
 
 20日から臨時国会。〝正常値〟などどこにもない今の政治を治さなければ。アゴも体も鍛えて、万全の体勢で臨みます。(しんぶん赤旗 2023年10月11日)

赤旗「水曜随想」 欧州の当たり前に学べ/衆院議員 田村貴昭

海外視察 イギリス 先週は財務金融委員会の議員派遣でヨーロッパ3国を訪問。付加価値税(消費税)と最低賃金について大いに学んだ。
 
 スイスは賃金水準が高く、最低賃金は一番高い州で時給24スイスフラン(3960円)。外食はお金がかかるが、それは人件費のウエートが大きいからと教わった。一方、食料品、医薬品などの付加価値税の税率は標準税率の約3割に軽減されている。だから暮らしが成り立っている。
 
 EU(欧州連合)の基準では、生活に欠かせない品目の税率は、ゼロか軽減税率と定めてある。日本にはない。EUを脱退したイギリスは、旅行、住宅建築までゼロ税率を採用しているが、これらは存続させるのかと財務省で聞いたら「どの政権であっても税率を増やすことはしない」とのこと。
 
 1年に3度も最低賃金を上げたドイツの例は、国会質問で紹介し岸田首相に実行を求めた。現在、時給12ユーロ1944円)でしかも全国一律だ。だが、日本は学ぼうとしない。ドイツの雇用者団体の役員いわく、「最低貨金は労働の対価で、生活全体を賄うのは社会保障である」。なるほど、例えばこの国の医療費本人負担は安く、国公立学校の学費は大学院まで無償だ。
 
 コロナ禍でドイツ、イギリスは、付加価値税の税率を時限措置であったが引き下げた。だが、自公政権は減税要求に聞く耳を持たない。
 
 整理してみよう。▽国民生活がピンチの時は減税▽生活必需品は非課税か低税率▽物価高騰に合わせて賃金を上げる――欧州の当たり前を、日本政府は取り入れるべき。物価高騰に無策で、実質負金が15カ月下落。その上にインボイス増税を押しつけるとは、言語道断、血も涙もない政治じやないか。
 
 学んだことを確信に、今後の国会論戦へ。(しんぶん赤旗 2023年9月6日)

赤旗「水曜随想」 「異次元の放置」を問う/衆院議員 田村貴昭

0726-1 「川があるのに、なんで土手がないのか…」。筑後川水系の住民がぽつりとつぶやいた。大雨のたびに冠水被害が常態化。「まるで自然遊水池のようになっとる」。現場を確認し、国土交通省に尋ねたら「遊水池の位置づけはない。改修の計画もない」。なんということだ。河川改修計画を見直し、築堤、河道掘削など対策をすぐに行うことを強く要請したのは言うまでもない。
想像を超える豪雨被害が続いているのに、治水対策が手つかずのところがごまんとある。「異次元の放置」を即刻やめよ。復旧と防災、被災者の生活再建にはどれだけ多くの費用を必要とすることか。岸田総理に聞きたい。兵器爆買い、軍拡している場合じゃないだろう。
九州で線状降水帯が発生した翌日の11日、総理はNATO首脳会合に出席した。思い出すのは、5月の広島サミットで、イタリアのメローニ首相が洪水被害への対応のため、早めに帰国したことだ。「困難な時期にイタリアから離れていることはできない」と。
命にかかわる猛暑の中、泥出しに片付けに追われる被災者の姿を想像してみたことがあるだろうか。いまだに総理の足は被災地に向いていない。
田んぼが冠水してぼう然と立ちすくむ農業者。丹精込めて作った花鉢がすべて泥水につかった園芸農家は「どこから手を着けていいのか・・・」。悲痛の声を農水省に届けるが、既存の対策を述べるにとどまっている。「離農をさせない。営農再開に政府は責任を持つ」ぐらいのことは言ってもいいではない
か。
災害対策委員会が来月開かれる。コロナ禍、物価高騰、その上に災害が押し寄せた。被災者にこれまでにない最大の支援を行う。それがまともな政治というものではないのか。厳しく問いたい。(しんぶん赤旗 2023年7月26日)

赤旗「水曜随想」 総選挙新たなたたかい/衆院議員 田村貴昭

田村貴昭 背景無し② 冬。通常国会の開会は1月23日だった。寒さに弱い私だが、エンジンを温めさっそく論戦開始。岸田総理に賃上げと消費税減税・インボイス中止を求めた。どれだけ物価が上がっても無策状態が続き、今に至るも国民の財布の中は凍ったまま。なんと冷たい政治か。
 
 春。桜の花をめでるいとまもなく、所属する三つの委員会を中心に質問戦が本格化。
 
 一日2ラウンドや3日連続質問も。論戦と統一地方選の応援に追われる日々だが、選挙を通じて、訴えに共感が広がり、仲間が増えるのが活力の源となった。
 
 そして、軍拡財源法案とのたたかい。憲法違反の敵基地攻撃、医療・年金、復興の財源まで軍事費に転用――戦前にしようとするのか。安倍・菅政治もひどかったが、岸田政権は戦後最悪の内閣となった。1力月にわたる追及の中、「御党と立場は違うが、正しい主張だ」と他党議員からも声がかかる。
 
 夏。議場にかりゆし姿の議員も増えた。国会は後半戦に。「異次元の少子化」と唱えながら、高い学費も下げず、財源も示さず。悪法が次々に自公維国の4党連合で通されてゆく。まさに翼賛国会だ。
 
 しかし、こうした政治に国民は怒っている。月曜発表の各紙世論調査で、内閣支持率は軒並み下落。物価高騰への対応に「評価しない」76%(朝日)、マイナカード・保険証廃止は「延期」「撤回」合わせて72・1%(共同)など。
 
 今国会での私の質問は、本会議、委員会通じて36回。平和・暮らし守れ―」日本共産党の総力を挙げた論戦が、世論を動かしていると確信する。
 
 秋。果たして解散・総選挙はあるのか。しかし、あまりにひどい自公政権を退場させなければならないのは、はっきりしている。きょう6月21日、国会は150日の会期を終える。閉会と同時に、総選挙に向けての新たなたたかいがはじまった。(しんぶん赤旗 2023年6月21日)

赤旗「水曜随想」 たたかいは重大局面に/衆議院議員 田村貴昭

16niti 田村貴昭 衆院議員が国会情勢報告② 「屋根や瓦が崩れて、修理代が100万円を超えます・・・」「コロナが収まり、やっとこれからというときに店を開けられない」と、肩を落とす被災者たち。石川県珠洲(すず)市で震災支援を求める声を聞く。ところが政府は、災害対策などの補正予算に充てる決算剰余金を軍事費に転用するというのだ。
 
 東日本大震災復興のための特別所得税も召し上げて軍事費に。「被災者を見捨てるのか」と声が上がるのも当然だ。北九州市の小倉医療センターでは新外来棟の建て替えが中断したままで、台風が来るとあちこちで雨漏り。福岡病院では患者の風呂が壊れたまま。そんな状況にもかかわらず、国立病院機構の積立金をこれまた軍事費に転用する。新たな増税も行うという。あまりにひどいではないか。
 
 手当たり次第に金をかき集め、5年間で43兆円の大軍拡を進める自公政権。憲法違反の集団的自衛権と敵基地攻撃で、防衛大臣は「わが国が他国から武力攻撃を受け、大規模な被害が生じる可能性がある」とさらりと言ってのけた。憲法が禁じた「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ること」を生じさせる岸田政権は、まさに戦後最悪の内閣だ。
 
 物価高騰でくらしと営業に深刻な打撃。実質負金は12カ月連続のマイナスを記録した。「風呂もがまん。昼食はバナナー本だけ」。年金は減り、先行き不安の高齢者の気持ちかわからないのか。賃金は上げず、国民の消費税の引き下げの願いに背を向け、インボイスで増税を押しつける。これも軍拡財源にしようというのか。
 
 国会前では、「大軍拡・大増税反対」の市民行動が連日続いている。励まし、励まされ、軍拡財源法案とのたたかいは重大な局面にさしかかっている。5回の質問に立ったが審議は尽くされていない。
 
 審議継続! 採決反対! 憲法壊すな! ご一緒に声を上げましょう。(しんぶん赤旗 2023年5月17日)