赤旗「水曜随想」 「異次元の放置」を問う/衆院議員 田村貴昭

0726-1 「川があるのに、なんで土手がないのか…」。筑後川水系の住民がぽつりとつぶやいた。大雨のたびに冠水被害が常態化。「まるで自然遊水池のようになっとる」。現場を確認し、国土交通省に尋ねたら「遊水池の位置づけはない。改修の計画もない」。なんということだ。河川改修計画を見直し、築堤、河道掘削など対策をすぐに行うことを強く要請したのは言うまでもない。
想像を超える豪雨被害が続いているのに、治水対策が手つかずのところがごまんとある。「異次元の放置」を即刻やめよ。復旧と防災、被災者の生活再建にはどれだけ多くの費用を必要とすることか。岸田総理に聞きたい。兵器爆買い、軍拡している場合じゃないだろう。
九州で線状降水帯が発生した翌日の11日、総理はNATO首脳会合に出席した。思い出すのは、5月の広島サミットで、イタリアのメローニ首相が洪水被害への対応のため、早めに帰国したことだ。「困難な時期にイタリアから離れていることはできない」と。
命にかかわる猛暑の中、泥出しに片付けに追われる被災者の姿を想像してみたことがあるだろうか。いまだに総理の足は被災地に向いていない。
田んぼが冠水してぼう然と立ちすくむ農業者。丹精込めて作った花鉢がすべて泥水につかった園芸農家は「どこから手を着けていいのか・・・」。悲痛の声を農水省に届けるが、既存の対策を述べるにとどまっている。「離農をさせない。営農再開に政府は責任を持つ」ぐらいのことは言ってもいいではない
か。
災害対策委員会が来月開かれる。コロナ禍、物価高騰、その上に災害が押し寄せた。被災者にこれまでにない最大の支援を行う。それがまともな政治というものではないのか。厳しく問いたい。(しんぶん赤旗 2023年7月26日)